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試してみた! 【ktEStress-F2D】

壁エレメントと傾斜柱

 ktEStress-F2Dを用いて、壁エレメントにおける壁柱の位置が計算結果に与える影響について、傾斜した柱を持つ1層1スパンの壁に対する計算モデルを用いて検討しました。また、市販ソフトを用いて有限要素法(FEM)による計算を行い、その結果との比較を行いました。

計算モデル

 計算モデルは、1層1スパンの壁エレメントを含んだ傾斜した柱を持つフレームを基本として、

を組み合わせた6種類としました。

図1.1 計算モデル(壁エレメント)

 FEMによる計算モデルは以下の通りです。

図1.2 計算モデル(FEM)

表1.1 要素の断面性能
B×D ヤング係数 ポアソン比 形状係数
(mm) (N/mm2)
C 500×500 21,000 0.2 1.2
G 300×600 21,000 0.2 1.2
W 150×3,000 21,000 0.2 1.2
表1.2 壁梁の軸方向剛比
IA IB JA JB
Pat.1A 0.50 0.50 0.50 0.50
Pat.1B 0.50 0.50 0.50 0.50
Pat.1C 0.50 0.50 0.50 0.50
Pat.2A 0.50 0.50 0.50 0.50
Pat.2B 0.50 0.50 0.50 0.50
Pat.2C 0.50 0.50 0.50 0.50
表1.3 集中荷重
X方向 Y方向 曲げ
(kN) (kN) (kNm)
P1 100 0 0
P2 100 0 0
P3 100 0 0
P4 100 0 0
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計算結果

図2.1 壁エレメントの曲げモーメントと支点反力(kN、kNm)

図2.2 FEMの支点反力と節点変位(kN)

表2.1 支点反力
n0 n1
X Y M X Y M
(kN) (kN) (kNm) (kN) (kN) (kNm)
Pat.1A -70.0 (1.08) -150.0 0.0 -130.0 (0.96) 150.0 0.0
Pat.1B -76.4 (1.18) -150.0 0.0 -123.6 (0.91) 150.0 0.0
Pat.1C -67.6 (1.04) -150.0 0.0 -132.4 (0.98) 150.0 0.0
Pat.2A -63.3 (0.98) -150.0 0.0 -136.7 (1.01) 150.0 0.0
Pat.2B -65.0 (1.00) -150.0 0.0 -135.0 (1.00) 150.0 0.0
Pat.2C -62.8 (0.97) -150.0 0.0 -137.2 (1.02) 150.0 0.0
FEM -64.9 -150.0 0.0 -135.1 150.0 0.0

(備考)

  • 括弧内の数値はFEMとの比率を示します。
表2.2 節点変位
n2 n3
X Y M X Y M
(mm) (mm) (rad) (mm) (mm) (rad)
Pat.1A 0.186 (1.02) 0.054 -0.0000098 0.186 0.035 -0.0000098
Pat.1B 0.179 (0.98) 0.067 -0.0000090 0.179 0.049 -0.0000090
Pat.1C 0.186 (1.02) 0.049 -0.0000109 0.186 0.027 -0.0000109
Pat.2A 0.174 (0.95) 0.030 -0.0000117 0.174 0.007 -0.0000117
Pat.2B 0.171 (0.93) 0.024 -0.0000071 0.171 0.010 -0.0000071
Pat.2C 0.177 (0.97) 0.037 -0.0000149 0.177 0.007 -0.0000149
FEM 0.190 0.038 0.0000200 0.175 0.019 -0.0000060

(備考)

  • 括弧内の数値は、FEMによるn2とn3のX方向変位の平均値(0.183mm)との比率を示します。
表2.3 フレームの柱に作用する軸力
e2 e3 e2 : e3
(kN) (kN)
Pat.1A -95.3 (1.45) 108.2 (0.88) 0.47 : 0.53
Pat.1B -117.4 (1.78) 85.1 (0.69) 0.58 : 0.42
Pat.1C -86.1 (1.31) 116.8 (0.95) 0.42 : 0.58
Pat.2A -52.4 (0.80) 132.2 (1.08) 0.28 : 0.72
Pat.2B -41.5 (0.63) 126.2 (1.03) 0.25 : 0.75
Pat.2C -65.0 (0.99) 134.1 (1.09) 0.33 : 0.67
FEM -65.9 122.5 0.35 : 0.65

(備考)

  • FEMの数値は、e2はL1からL2の値、e3はR1からR2の値を示します。
  • 括弧内の数値はFEMとの比率を示します。
表2.4 壁エレメントの応力
I端 J端
軸力 剪断力 曲げ 軸力 剪断力 曲げ
(kN) (kN) (kNm) (kN) (kN) (kNm)
Pat.1A 49.3 131.1 229.4 -49.3 -131.1 185.3
Pat.1B 123.5 101.3 200.4 -123.5 -101.3 164.9
Pat.1C 20.0 134.2 231.9 -20.0 -134.2 181.6
Pat.2A -57.6 126.7 217.6 57.6 -126.7 162.4
Pat.2B -63.6 130.0 211.6 63.6 -130.0 178.3
Pat.2C -46.6 125.6 223.6 46.6 -125.6 153.3
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まとめ

 今回は1例のみの検討でしたので、一般的な傾向を得ることはできませんが、以下のような結果になりました。

 支点反力について、鉛直方向に対しては静定なので、全てのパターンで反力が同じ値になります。一方、水平方向の反力は各パターンで値が異なります。この理由について、壁梁の軸方向剛比を0.5:0.5としているので、壁エレメントから支点に伝達される水平力は同じですが、フレームの柱が傾斜しているために、壁柱の位置によって壁エレメントが負担する水平力に違いが生じることが影響していると思われます。

 壁全体としての水平剛性を比較したところ、壁柱を傾斜させたPat.1より鉛直に配置したPat.2の方が水平剛性が高いとの計算結果でした。この理由について、壁エレメントの軸力と曲げモーメントの比率と、壁柱の長さが関係していると思われますが、本例だけでは明確な理由はわかりませんでした。

 壁柱の位置がフレームの柱に与える影響の違いについて、壁柱を傾斜させた場合は、フレームの左側にある柱の引張力が大きくなるのに対して、壁柱を鉛直に配置した場合は、右側にある柱の圧縮力が大きくなるとの結果でした。この理由について、壁柱を傾斜させた場合は、左側にあるフレームの柱と壁エレメントの壁柱がトラスの近い状態になるのに対して、壁柱を鉛直に配置した場合は、右側の柱とトラス状態になるためであると思われます。

 FEMの計算結果と比較したところ、本例の場合、支点反力は壁柱を鉛直に配置したPat.2の方が、水平剛性は斜めに配置したPat.1の方が、FEMの値に近い結果になりました。また、フレームの柱に作用する軸力は、Pat.2Cが最もFEMの近い値になり、壁柱を極端に隅によせて配置したPat.1BやPat.2Bは、FEMと大きく異なる値になりました。

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入出力シート

 「Microsoft」の「OneDrive」に計算を行ったExcelファイルを公開していますので、こちらの「esf2d_壁エレメントと傾斜柱」をご覧ください。

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