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試してみた! 【ktEStress-F2D】

壁エレメントと開口

 開口を有する壁について、ktEStress-F2Dによる壁エレメントを用いた計算結果と、市販ソフトによるFEM(有限要素法)を用いた計算結果を比較しました。

計算モデル

 計算モデルは、1層1スパンの開口を有する壁であり、開口は、出入口のパターン(Pat.1)と窓のパターン(Pat.2)としました。FEMの計算モデルは以下の通りです。

図1.1 FEMの計算モデル

 壁エレメントによる計算モデルは、壁柱の位置と壁梁の軸剛比を変えた以下の3つとしました。壁柱の位置は、

 の3パターンとしました。壁梁の軸剛比は、壁柱の位置に応じた比率としました。

図1.2 壁エレメントの計算モデル

 開口を有する壁の剪断変形に関する形状係数κは、矩形の形状係数である1.2に対して、「鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説」(以下、「RC基準」と省略します)に示されている有開口耐震壁の弾性剛性低減率を考慮して、下式により算出しました。なお、梁・柱の芯に要素を配置する計算モデルであることから、1988年版のRC基準により低減率を計算しました。また、開口があることによる弾性剛性の低減は剪断剛性のみとして、軸剛性と曲げ剛性は低減しないものとしました。

(1)
表2.1 要素の断面性能
B×D ヤング係数 ポアソン比 形状係数
(mm) (N/mm2)
C 500×500 21,000 0.2 1.200
G 300×600 21,000 0.2 1.200
W0 150×5,000 21,000 0.2 1.200
W1 150×5,000 21,000 0.2 2.078
W2 150×5,000 21,000 0.2 1.893
表2.2 集中荷重
X方向 Y方向 曲げ
(kN) (kN) (kNm)
P1 100 0 0
P2 100 0 0
表2.3 壁梁の軸方向剛比
IA IB JA JB
Pat.0 0.500 0.500 0.500 0.500
Pat.1 0.475 0.525 0.475 0.525
Pat.2 0.436 0.564 0.436 0.564
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計算結果

図2.1 FEMの変位と支点反力(kN)

図2.2 壁エレメントの曲げモーメントと支点反力(kN,kNm)

表2.1 支点反力(FEM)
n0 n1
X Y M X Y M
(kN) (kN) (kNm) (kN) (kN) (kNm)
Pat.1 -94.1 -140.0 0.0 -105.9 140.0 0.0
Pat.2 -102.4 -140.0 0.0 -97.6 140.0 0.0
表2.2 支点反力(壁エレメント)
n0 n1
X Y M X Y M
(kN) (kN) (kNm) (kN) (kN) (kNm)
Pat.0 -100.0 -140.0 0.0 -100.0 140.0 0.0
Pat.1 -95.0 (1.01) -140.0 0.0 -105.0 (0.99) 140.0 0.0
Pat.2 -87.2 (0.85) -140.0 0.0 -112.8 (1.16) 140.0 0.0

(備考)

  • 括弧内の数値はFEMとの比率を示します。
表2.3 節点変位(FEM)
n2 n3
X Y M X Y M
(mm) (mm) (rad) (mm) (mm) (rad)
Pat.1 0.246 0.032 -0.000032 0.249 -0.032 -0.000041
Pat.2 0.236 0.037 -0.000034 0.234 -0.037 -0.000039
表2.4 節点変位(壁エレメント)
n2 n3
X Y M X Y M
(mm) (mm) (rad) (mm) (mm) (rad)
Pat.0 0.172 0.031 -0.000012 0.172 -0.031 -0.000012
Pat.1 0.265 (1.07) 0.032 -0.000012 0.265 -0.030 -0.000012
Pat.2 0.245 (1.04) 0.033 -0.000012 0.245 -0.029 -0.000012

(備考)

  • 括弧内の数値は、FEMにおけるn2とn3のX方向変位の平均値(Pat.1は0.2475、Pat.2は0.235)との比率を示します。
表2.5 フレームの柱に作用する軸力(FEM)
Section e2 e3 e2 : e3
(kN) (kN)
Pat.1 n0-L0 / n1-R0 -111.2 106.6 0.51 : 0.49
L0-L1 / R0-R1 -82.5 79.3 0.51 : 0.49
L1-L2 / R1-R2 -59.7 58.7 0.50 : 0.50
L2-L3 / R2-R3 -41.0 42.6 0.49 : 0.51
L3-L4 / R3-R4 -26.7 29.5 0.48 : 0.52
L4-L5 / R4-R5 -15.0 17.6 0.46 : 0.54
L5-n2 / R5-n3 -2.4 4.2 0.36 : 0.64
Pat.2 n0-L0 / n1-R0 -114.8 109.6 0.51 : 0.49
L0-L1 / R0-R1 -92.1 87.0 0.51 : 0.49
L1-L2 / R1-R2 -74.3 69.5 0.52 : 0.48
L2-L3 / R2-R3 -56.1 54.1 0.51 : 0.49
L3-L4 / R3-R4 -35.5 39.1 0.48 : 0.52
L4-L5 / R4-R5 -16.9 23.7 0.42 : 0.58
L5-n2 / R5-n3 -1.0 0.7 0.59 : 0.41
表2.6 フレームの柱に作用する軸力(壁エレメント)
e2 e3 e2 : e3
(kN) (kN)
Pat.0 -46.7 46.7 0.50 : 0.50
Pat.1 -48.0 (1.17) 45.2 (1.06) 0.52 : 0.48
Pat.2 -49.9 (0.89) 42.8 (0.79) 0.54 : 0.46

(備考)

  • 括弧内の数値は、e2はFEMのL2-L3との比率、e3はR2-R3との比率を示します。
表2.7 壁エレメントの応力
I端 J端
軸力 剪断力 曲げ 軸力 剪断力 曲げ
(kN) (kN) (kNm) (kN) (kN) (kNm)
Pat.0 0.0 200.0 466.7 0.0 -200.0 233.3
Pat.1 2.8 200.0 466.6 -2.8 -200.0 233.5
Pat.2 7.1 200.0 465.9 -7.1 -200.0 234.1
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まとめ

 今回は1例のみの検討ですので、一般的な傾向を得ることはできませんが、以下のような計算結果でした。

 支点反力について、出入口付きの壁であるPat.1は、FEMの値と壁エレメントの値が概ね一致しました。一方、窓付きの壁であるPat.2は、FEMでは、袖壁部分の幅が狭いn0側の方がX方向の支点反力が大きいのに対して、壁エレメントでは逆になり、結果が異なりました。

 壁の水平剛性について、剪断変形に関する形状係数に「RC基準」に示されている弾性剛性の低減率を考慮することで、FEMと壁エレメントとの比率が、Pat.1は1.08、Pat.2は1.04との結果でした。

 フレームの柱に作用する軸力について、柱高さの中間位置におけるFEMと壁エレメントの値を比較したところ、Pat.1は壁エレメントの方が1〜2割大きく、Pat.2は壁エレメントの方が1〜2割小さいとの結果でした。

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入出力シート

 「Microsoft」の「OneDrive」に計算を行ったExcelファイルを公開していますので、こちらの「esf2d_壁エレメントと開口」をご覧ください。

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