2007年9月10日
久喜市長 田中喧二 様

                           申 入 書

 「九条の会・久喜」は、05年8月7日、日本国憲法第9条をまもり、活かすことを共通理念として立ち上げられました。
 さて、質問ですが、この9月1日に行われた「平成19年度・国民保護現地訓練への参加(お願い)について」(北2丁目の自治会参加訓練)に対し、いささか危惧するところがあり、それについて質問させていただくべく貴台の所見を伺いたく筆をとりました。
 「国民保護法」に基づいた「久喜市国民保護計画」に従った実施された「平成19年度・国民保護実働訓練」は、9月1日の防災訓練と同じ日に計画され、いっさい広報(ホームページも含む)には掲載されませんでした。
 当日の説明で初めて、テロリストが大型店に潜伏し、サリンをまいて自爆するという想定であることがわかりました。この想定自体、あらかじめテロを前提にしたもので、「平和国家」日本においては、ちょっと考えにくいところです。
 また、その兆候はいまのところ見当たりません。しかし、消防署の「今回の訓練は国民保護現地訓練ですのでお間違いないように」との呼びかけを聞いて、どれだけの人が「防災訓練とは違う訓練だ」と意識して参加していたでしょうか。また、参加要請についても、自主的な任意団体である自治会の目的からかけ離れた半ば義務的ともとれる方法は、問題を残したのではないでしょうか。
 保護の名の下に危機意識を煽って、市民に対する戦争協力のための訓練ではないかとの危惧を抱かせるものだったのではないかとの意見もありました。
 これからも久喜市が行おうとしている国民保護現地訓練は、本当に必要不可欠なものなのでしょうか。
 過去には国民総動員体制の末端組織として、「町会」「隣組」が作られ、協力しない人たちを「非国民」として、相互監視によって反抗の芽を摘んだという戦時下の歴史があります。今回の訓練には、その過去につながる危険性はないと言い切れるのでしょうか。
 以上、9月1日実施の北2丁目の「国民保護久喜計画」に基づく訓練は、憲法で保障された基本的人権を脅かすことにならないか、納得できるご説明が必要と思われます。訓練実施にあたっては、市民の十分な理解を得たうえで行うのが然るべきと考えます。市長におかれましては、ご多忙中とは存じますが、ご一考願いたく、申し入れる次第です。どうぞよろしくお願いいたします。
平成19年9月13日
久喜市長 田中喧二

                国民保護現地訓練に係る申し入れ書への回答について

 平成19年9月10日付けにて申し入れのございました「久喜市国民保護現地訓練」に関するご質問につきまして、以下のとおりお答えいたします。
 まず、今回の「国民保護現地訓練」につきましては、埼玉県からの要請に基づき、市と県との共催で実施したところであります。
 国民保護に関する訓練につきましては、平成16年に施行されました「武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律」(いわゆる「国民保護法」)に基づき策定いたしました「国民保護に関する埼玉県計画」(平成17年度)、並びに「国民保護に関する久喜市計画」(平成18年度)の規定にございます「住民の避難誘導」、「避難住民の救援」といった国民保護措置について、県及び市の職員の実働訓練として実施したところでございます。
 また、訓練の想定内容につきましては、埼玉県危機管理防災部危機管理課で作成されたもので、市では、想定にあります大型店舗が存在している地域をいくつか候補として検討し、さらに、自然災害発生時の訓練と同様、住民の避難・誘導訓練を実施いたしますことから、自主防災組織の活動が活発であります「北2丁目」周辺を訓練場所として、選定したところでございます。
 住民の皆様へのお願い及び周知につきましては、まず、該当する5つの地区の行政区長に対し、国民保護計画の内容及び今回の訓練概要等について説明し、内容をご理解いただいた上で、住民の皆様に対して訓練参加依頼を行ったものです。
 住民の皆様の訓練参加につきましても、決して参加を強制するものではなく、回覧等により、自主的な参加を呼びかけたものでございます。
 住民の皆様への説明会も、区長及び区の役員等の皆様に対しましては、2回、また、参加申し込みをいただきました参加者の皆様に対しても、参加住民説明会を実施し、その席上で、訓練想定及び訓練内容等につきましてもご説明させていただき、ご理解いただいたうえでご参加いただいたところでございます。
 最終的に、訓練にご参加いただきましたのは、当初予定しておりました160人の参加者数をはるかに超えて、199人の住民の皆様にご参加いただいたところでございます。
 広報等による周知につきましては、今回の訓練は、「北2丁目周辺」と、地域を限定しておりますことから、広く市民に対する周知は行わなかったところでございます。
 また、当日は、北2丁目地内に設置しております「防災行政無線」2基を使用して、避難指示の放送を流しましたことから、消防団の車輌を使用して、訓練であることの呼びかけをしたところでございますが、事前に、住民の皆様には、「回覧」で、訓練の実施につきましてもご案内してございますので、防災訓練や、実際の火災、事件等とは間違われなかったものと考えます。
 国民保護に関する避難・救援訓練については、今回も、災害時要援護者対策として、低床バスを使用したり、リフト付きの車輌を利用して、車椅子の方を避難所まで搬送する訓練も、併せて実施しておりますことから、テロ等の緊急対処事態のみならず、自然災害発生時にも相通じるところが多々あるものと考えております。
 市民の皆様の生命、身体及び財産を保護することは、市の責務であり、万一の事態に備え、日頃から準備しておくことは重要なことでありますので、今後も、住民の皆様のご理解、ご協力をいただきながら、訓練を実施してまいりたいと考えております。

(問い合わせ)
久喜市生活安全課危機管理グループ
久喜市長 田中喧二様

「九条の会・久喜」事務局長

 前略、貴職には市民の生活と福祉について寧日なきご活動、感謝申し上げます。さて、9月10日付の私どもの質問書に対し、早速懇ろなご回答をたまわり、ありがとうございます。内容につきましては、疑問もありますが―たとえば「区長及び区の役員」といったような表現、私どもは「町内会」を任意団体としてつくり、それに参加してはおりますが、どのような意味でも「地区の行政区」などというものに一方的に組織された覚えはございません―、取り敢えずは貴職の意図するところが判りましたので、貴翰を広く市民に公開させていただくことで、今後の検討課題とするべく措置をとらせていただきます。とくに、貴翰では「テロ等の緊急対処、云々」とありますが、そのような事態が予想されるとは、私どもは到底考えません。何れ貴職と私どもとの話し合いをもちたいとは思い、さしあたりは、貴返書をもって事柄の性質が認知されたと考えるものです。これが戦時中の「町内会―隣組」のような強制的な住民組織とならぬよう願い上げるものです。

2007年9月18日