蔵辻ヒカル詩集

【ドリルマン】 2003/09

 
 ジャングルジムのてっぺんから
 「俺はドリルマン!とお!」
 叫びながら
 飛び降りた
 ドリルマンは
 そのまま地面をぐりぐり掘って
 地球の真ん中の赤い部分も掘って
 体が半分溶けたけど
 どんどん掘って
 やがて
 日本の反対側の
 ブラジルにたどり着いた
 そこには褐色の肌の
 素っ裸の美女がいて
 ドリルマンと結婚した
 子供もできた
 それから
 ドリルマンは
 100年生きて
 最後は
 「ペヤングソースやきそば」を
 「ペヤングソースやきばそ」と
 言い間違えて
 裁判にかけられて
 最高裁で死刑宣告された
 それがドリルマンの
 小学1年生の時の人生設計
 ちょっとイカレた子供だった
 だけど
 あれから20年経った今でも
 ぼくがドリルマンであることだけは変わらない
 今日もぐりぐり掘りまくって
 愛してもいない女性をぐりぐり掘りまくって
 どこか遠いところへ行こうとしている
 

蔵辻ヒカル詩集