蔵辻ヒカル詩集

【にんにく】 2005/03

 
 僕のベッドで眠る
 君の寝顔に
 幸せを見つけた僕は
 君の鼻の穴に
 にんにくをひと粒
 詰め込んだ
 左の穴

 ピクリとも反応しない
 君の寝顔に
 愛おしさを感じた僕は
 君の鼻の穴に
 にんにくをまたひと粒
 詰め込んだ
 右の穴

 息苦しさでしかめっ面の
 君の寝顔に
 笑いを堪える僕は
 君の乾いたくちびるに
 にんにくをひと房
 押し付けた
 目が覚めた

 般若の顔で飛び起きて
 「なによこれ!」って
 僕につめよる君は
 恐ろしく荒い鼻息で
 にんにくを吹き飛ばして
 僕を殴った
 左の頬

 ベッドに倒れこんだ僕は
 薄目をあけて
 気絶したふり
 君が僕の顔を覗き込んだ瞬間
 君のからだを抱きしめた
 にんにく臭い君のくちびるが
 キスをした
 右の頬
 

蔵辻ヒカル詩集