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あなたの人生で
大切なモノは何ですか?
あなたは「結果」が大切ですか?それとも「過程」?それとも「今」ですか?
少し考えながら読んでみてください。
山梨日日新聞社山日文芸児童文学入選作品
2005年1月17日(月)掲載
「てっぺん祭り」
作・ 小林昭洋
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記事・写真・イラストの無断掲載・転用を禁じます。 Copyright 2005
山梨日日新聞社 THE YAMANASHI NICHINICHI SHIMBUN.
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ふもとからはぜったい見えない山のてっぺんに、月夜にかがやく泉がありました。
その泉には昔ケンカをしていた熊村、猿村、うさぎ村を見守るために月の女神が移り住んだという言い伝えがあり、毎年そこで『てっぺん祭り』が行われているのです。
祭りではたくさんの屋台がならび、花火大会をするのですが、今年は村の代表で競われるマラソン大会をみんな楽しみにしているのです。
一ヶ月前には各村の代表選手として熊村からは心の優しいプーマン、猿村からはいつも前向きなモンタ、うさぎ村からは負けん気の強いラビが選ばれました。
どこにいっても、誰が金メダルをとるのかという話でもちきりのなか、プーマンは仲間の熊たちと楽しそうに練習をしています。モンタは気持ちよさそうにマイペースで走り続けています。そんななか、ラビは朝から晩までマジメな顔で階段を上ったり下ったり、あるときは山を二つも越える大変な練習を繰り返していました。
ある日、森の中、プーマンがモンタに出会いました。
「毎日走っているのかい?」
「うん、毎日走ってるよ。ずっと前から続けてるんだ。僕は走るのが好きで、もっと速くなりたいんだよ」
汗をふきながらモンタはほほえみました。
日が暮れて、帰ろうと思ったプーマンの前にラビが走ってきました。
「こんな遅くまで練習をしているのかい?」
「ああ、毎日やってるよ。俺は勝つ、絶対に負けるわけにはいかないんだ」
ラビはその場走りを続けながらクールに答え、すぐに走り去っていきました。
大会の前日は雨が降っていました。プーマンは仲間と楽しそうにごちそうを食べています。モンタが部屋で運動をしながら窓の外をながめていると、バシャ!バシャ!バシャ!レインコートを着たラビが走り過ぎました。雨風はいっそう強くなり、川にかかるつり橋は大きくゆれているのでした。
ドーン!ドーン!昨日の雨が嘘のように晴れわたり、花火が打ち上がっています。ゴール地点の泉まわりでは屋台の準備が始まり忙しくしています。スタート地点の大きな木の下では、みんな今か今かとワクワクしながら選手を応援しています。
いよいよスタートです。パン!という音とともに一番に飛び出したのはモンタ、続いてラビ、そしてプーマン。道ばたの声援に応えるようにみんな一生懸命です。
前に川が見えてきました。つり橋に一番乗りしたモンタは橋のゆれに驚いて、真ん中で立ち止まってしまいました。おかまいなしのラビがゆれる橋に元気よく飛び乗ってモンタにせまろうとした、その時です!さらに大きくゆれた橋の綱がプツリと切れて、モンタとラビが川に落ちてしまいました。大変です!みるみる二人が流されていきます。
ドッポーン!大きな水しぶきをあげて飛び込んだのはプーマンです。川のいきおいに流されそうになりながらも、なんとかモンタとラビに追いつき、二人を大きな両肩に乗せて必死に泳ぎます。やっとの思いで川岸にたどり着いたプーマンは大の字に倒れて息を切らせています。勝ちにこだわるラビは二人をおいてゴールを目指して行ってしまいました。
「おいらは力を使いきっちゃったみたいだ、モンタも先に行ってくれないか」
「プーマンをおいて行けるわけないだろ」
「モンタは走るのが好きなんだろ、おいらのぶんまで頑張ってくれないか」
少し考えてからモンタはコクリとうなずき、再び走り出したのです。
猛スピードでモンタは必死にラビを追いかけます。ゴールと大観衆が見えてきました。
大勢の声援がとびかうなか、「お兄ちゃん負けないで!」という妹の声にスピードを上げようと力をいれたラビがすべって転んでしまいました。あきらめずに立ち上がるラビをぬいてゴールテープを切ったのはモンタです。
モンタのまわりを猿村のみんなが囲んで拍手が鳴りやみません。ラビはその横で地面を叩いてくやしがっています。モンタは休む間もなく人ごみをかき分け、お医者さんを見つけました。
「プーマンが大変なんです!」
その声に会場中が静まり返ります。
誰かが指をさし「プーマンだ!」、叫ぶその先に大きな体をゆすりながらのっそのっそとゴールに向かう姿が遠くに見えてきたのです。歓声はプーマンコールに変わり、繰り返されるかけ声がプーマンのゴールを祝福しました。
泉に月が映り、金メダルがモンタ、銀メダルがラビ、銅メダルがプーマンにかけられます。モンタが表彰台でインタビューに答えました。
「自分の大好きなことでほめられて、すごくうれしいです。もっと速くなりたいから、これからも走り続けていきます。でも、今回の金メダルはプーマンです」
猿村のみんなはモンタに拍手をおくります。それを聞いたプーマンは
「おいらは仲間と楽しく戦えたことが一番うれしいです。そして、いっしょに練習してくれた仲間に感謝したいです。最後まで走りきれたのはみんなのおかげです。ありがとう」
と言いきりました。
熊村のみんなも大喜びでさらに大拍手です。
プライドの高いうさぎ村のみんなはラビが金メダルをとれなかったことが気に入らないらしく、腕組みをしています。ラビがマイクをにぎって静かに話しはじめました。
「金メダルをとることができなくて、残念です。くやしいです。」
うさぎ村のみんなはブーイングです。ラビは頭を下げたまま歯を食いしばっています。そこにラビの妹が前に出てきました。
「みんな、お兄ちゃんを責めないで、昔うちのお父ちゃんがカメさんに負けたことで私もお兄ちゃんもイジメられたの…だからお兄ちゃんはいつか俺が勝って村のみんなに認めてもらうんだって、ずっと言ってたの…」
「ラビは昨日の大雨でも練習していたし、誰よりも頑張っていました」
泣き出す妹の横でモンタがそう言うと、うさぎ村の中からポツリポツリと拍手がおき、しだいに大きく広がります。みんなの笑顔が見えたとき、涙目のラビが言いました。
「モンタ、プーマン、君達と走ったことで大切なものがわかったよ、ありがとう」
鳴りやまない拍手は猿村、熊村の全員にも伝わり、大歓声が三人をほめたたえます。
そのとき突然!泉に光がさして美しい女神が現れたのです。
みんなは目をぱちくりさせています。
「三人の心がみんなに感動を与え、三つの村を一つにさせましたね。自分の好きなことに素直なモンタ、いつでも仲間と楽しむことを忘れないプーマン、全力で目標に向かったラビ、みんな素晴らしいです。これからも変わらずにいてください。村のみなさんも彼らのように、自分に大切なものをもち続けてください」
女神はそう言葉を残すと、月まで真っ直ぐにのびた光の中を昇っていきました。
女神が去ったあとの泉にはたくさんのバナナとニンジンが積み上げられ、大きな壺いっぱいにハチミツが入っていました。
ドーン!花火の音がひびいた瞬間、みんなの笑顔が赤や黄色にそまります。いつもより明るい月にてらされて、『てっぺん祭り』の幕があく。
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記事・写真・イラストの無断掲載・転用を禁じます。
Copyright 2005 山梨日日新聞社 THE
YAMANASHI NICHINICHI SHIMBUN.
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あとがき
読んで頂いてありがとうございます。作者はこの作品を通じて大切モノを再確認してもらいたいと考え、この作品を完成させました。
「今」を大切にするモンタ
「過程」を大切にするプーマン
「結果」を大切にするラビ
あなたが一番大切にしたいのは何ですか?
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