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「尚は?」
鳥居とのしばしの談笑後コテージに戻った優希は、そこに尚の姿が見えないのに気がついた。
「小田さんをを連れ戻すといって・・・」
「じゃあ、尚は一人で!?危険よ。どうして止めなかったのよ!」
「だって、日比野さん言い出したら聞かないし、それに彼女ならそこら辺の男より強いから・・・」
「そんなわけ無いでしょ!男っぽかったり強そうに見えたってあのこは私と同じ女の子なんだから。いつも強いわけじゃないんだから!」
普段からは想像出来ないほど興奮した優希に馬場も鳥居も圧倒される。
「わ、わかりました。僕、探してきます。」
馬場は、優希の剣幕に押され尚を探しに行く。
優希はしゃがみ込んで顔を押さえる。
異常なほど興奮してる事に自分でも驚いていた。
「尚が・・尚が・・」
「優希・・・」
混乱した優希を鳥居が力強く抱きしめる。
しばらくしてようやく落ち着きを取り戻した優希が言葉を発した。
「ごめん・・もう平気。」
「落ち着いたか?いったいどうしたんだ?」
「さっき眠ったときに見たの・・よく思い出せないけど嫌な夢。
なんだか嫌な予感がする。尚の事が気になる・・・それに馬場君も・・・
私、馬場君にひどい事言って・・どうしよう・・・」
「わかった、もう言わなくていい。」
鳥居は立ち上がると優希の手を引っ張り上げる。
「いくぞ!」
「でも、追いつける?二人がどっちに行ったかもわからないし・・・」
「それなら大丈夫だ。どこにいるかはこれでわかる。」
「それは?」
鳥居は簡易レーダーを取り出して起動する。
画面中央に表示される自分たちを表す二つの星。
そこから少し北に馬場を指す星が一つ。
さらに北に三つの星が隣接していた。
それらのすぐ近くにはもう一つの星も。
E−04にもぽつんと一つあった。
残りはすべて西へと移動していた。
灯台を目指してると考えられる。
馬場より北に位置するのが尚の星なのだろうが、三つある。
事態は急を要した。
「急ぐぞ!」
―――――間に合えば良いが・・・
険しい顔つきで鳥居が歩みを速める。
◇
再会を果たした尚と杏子の前に現れたのは、野村信悟だった。
いやらしい笑みを浮かべ、二人に近づいてくる。
「キョンちゃん、協力してくれてどうもありがとう。ナオ・・・また会えたね。」
「協力?・・・アン、まさか。」
「アンじゃないよ。キョンちゃんさ。もうキョンちゃんは、おいら達の仲間さ。だからずっとおいら達といるんだよ。」
「くそっ、、信悟の具合が悪いとかってのもウソだったんだ。
そうだよな・・・こいつずっとピンピンしてたのにおかしいなって思ってたんだよ。」
「ち、ちがう・・・」
「もうだまされないよ!」
尚は”ワルサーPPK9ミリ”を取り出し、杏子に向ける。
だが、すぐさま振り返りターゲットを変更した。
「な〜んてな!」
「な・・なな、どうゆうつもりだ?」
「言っただろ、もうだまされないってな!
どうせ、具合が悪いからとか何とか言ってアンをだましたんだろ。」
「くっそ〜〜〜!だいたい、さっきはそんなの持ってなかったじゃないか!」
「すまないね、これがオレに支給されてた武器なんだ。」
「うぐぐ・・」
信悟は唸るような声を上げて悔しがる。
尚はニヤリとほくそ笑み。
その瞬間、信悟は杏子の背後に移動すると彼女の喉元に果物ナイフを突きつける。
尚は油断していたため、反応が一瞬遅れ、信悟の行動を阻止できなかった。
「てめえ・・・」
「へへ・・撃ってもいいよ。殺せば?
どうせおいらは、大人になるまで生きられないんだ。死ぬ覚悟はとっくにできてるさ。
でもさ、間違ってキョンちゃんに当たったらヤバイよね?」
「くっそ・・・」
「信悟君・・・」
「おっと、ちょっとでも動くとこれが喉に刺さっちゃうよ。いいの?」
信悟は果物ナイフでツンツンと彼女の肌を突っつく。
「さて、どうしようかな?へへ・・いい事しちゃおっかな?やっちゃおっうかな?」
「信悟、まさかてめぇ・・・」
「なんだよ、いいだろ!みんなやってんだ、ちょっとくらい・・・
おいらだって・・おいらだって・・男なんだから。」
「本物の男はそんなこと考えねぇし、しねえよ!」
「ううう・・うるさいっ!」
信悟の手が振るえ、刃先が杏子の喉に触れて皮膚に血がにじむ。
「うっ・・」
「ナオがわるいんだ。
あの時、僕のこと受け入れてくれればこんなことにはなんなかったんだぞ。
さあ、キョンちゃん。前みたいに服を脱いでよ。あの時の続きをしようよ。」
杏子の顔が青ざめた。
「前みたい?あのときの続き?」
信悟の言葉と杏子の様子で尚の想像は激しく掻き立てられ、全身に鳥肌が立った。
【残り12人】
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