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派兵違憲裁判の会学習会開催のお知らせ
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 ご存知のように小泉内閣は自衛隊の多国籍軍参加を閣議決定しました。これは、既成事実の積み重ねによる憲法の形骸化を諜(はか)る以外のなにものでもありません。このことは私たちの起した裁判にどのように関わってくるのでしょうか。そこで下記のような学習会を企画しました。ふるってご参加ください。尚、法廷は多分9月、決定次第連絡します。

●学習会レジュメ

<自衛隊イラク派兵違憲裁判の会 学習会 於:静岡労政会館 04.07.26>
           自衛隊の多国籍軍参加と憲法9条
                小沢隆一(静岡大学人文学部・法学科・憲法学)

はじめに
*自衛隊の海外派遣をめぐって、何がどう論じられてきたのか
*こうした議論の「積み重ね」を踏まえて、今、何をどう論じるべきか

0.日本国憲法制定時…9条の原点的理解
 「戦争放棄に関する本案の規定は、直接には自衛権を否定して居りませぬが、第9条2項に於いて一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動しての戦争も、又交戦権も放棄したものであります。」(1946.6.26吉田茂首相の答弁)。
 「第9条は戦争の放棄を宣言し、我が国が全世界中最も徹底的な平和運動の先頭に立って指導的地位を占むることを示すものであります」
1946.8.27幣原喜重郎国務大臣の答弁)
「兵隊のない、武力のない、交戦権のないと云ふことは、…それが一番日本の権利、自由を守るのに良い方法である、私等はさう云ふ信念から出発致して居るのでございます」
1946.9.13貴族院憲法改正特別委員会での幣原の答弁)。

1.自衛隊発足時
1)「個別的自衛」への役割限定
「憲法は自衛権を否定していない。自衛権は国が独立国である以上、その国が当然に保有する権利である。憲法はこれを否定していない。…他国から武力攻撃があった場合に、武力攻撃そのものを阻止することは、自己防衛そのものであって、国際紛争を解決することとは本質が違う。従って自国に対して武力攻撃が加えられた場合に、国土を防衛する手段として武力を行使することは、憲法に違反しない。」1954.12.22大村清一防衛庁長官答弁)

2)「海外出動」の禁止
「本院は、自衛隊の創設に閑し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれをおこなわないことを、茲に更めて確認する。右決議する。」
1954.6.2参議院本会議決議)
<参考 その後の「海外派兵」概念の定義>
「いわゆる海外派兵とは、一般的にいえば、武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することである。」
1980.10.28稲葉誠一議員の質問趣意書に対する答弁書)

2.湾岸戦争後
1)多国簿軍への参加…「武力行使と一体化(しない)」論の登場
「多国籍軍への我が国の関与については、多国簿軍の武力行使と一体とならないような協力であれば憲法上は許される。」(1992.12.8加藤紘一内閣官房長官の答弁)
2)PKOへの参加…「武力行使」と「武器使用」の区別論の登場「『武力の行使』とは、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいい、…『武器の使用』とは、火器、火薬類、刀剣等その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置をその物の本来の用法に従って用いること。」
 「憲法9条1項の『武力の行使』は、『武器の使用』を含む実力の行使に係る椒念であるが、『武器の使用』が、すべて同項の禁止する『武力の行使』に当たるとはいえない。
 例えば、自己又は自己と共に現場に所在する我が国要員の生命又は身体を防衛することは、いわば自己保存のための自然的権利というべきものであるから、そのために必要最小限の『武器の使用』は、憲法9条1項で禁止された『武力の行使』に当たらない
(1991.9.27衆院PKO特別委における政府統一見解)
<参考 PKO法24条 警察官職務執行法7条>

3.周辺事態法
(1)「後方地域支援活動」概念の登場
 「周辺事態安全確保法案に基づき、我が国が実施する諸活動は、いずれもそれ自体武力の行使に該当せず、米軍の武力行使と一体化の問題が生ずることも想定されません。したがって、この法案のもとでの我が国の活動は、憲法上認められない集団的自衛権の行使に当たるものではありません」
(1999.4.23高村正彦外務大臣の答弁)
*「武力行使」椒念(=戦闘行為)の狭さ
*後方支援=兵粘支援(logistic support)も「武力行使」の一環
*後方地域支援活動に対する武力攻撃への反撃は個別的自衛?
 <参考1999.4.7衆院ガイドライン特別委員会 小沢参考人意見 資料1>
(2)「後方地域」横念
 「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空」
(周辺事態法3条1項3号)
 「近傍において戦闘行為が行われるに至った場合」…支援活動の「一時休止」、危険「回避」
(同法6条5項)

4.テロ対策特措法
(1)対応措置の実施地域の拡大
 周辺事態法の地域に加えて、「外国の領域(当該外国の同意が必要)」まで拡大
(テロ特措法2条3項2号)
(2)武器使用の拡張
 自衛隊の「管理の下に入った者」の生命身体の防護にも拡大(同法12条1項)
 <参考 2001.10.13衆院テロ対策特別委員会 小沢参考人意見 資料2>


5.イラク特措法
(1)占領活動への参加と交戦権との関係
 「(憲法9条2項の)交戦権とは、戦いを交える権利という意味ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であって、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国領土の占領、そこにおける占領行政、中立国船舶の臨検、敵性船舶のだ捕等を行うことを含むものである」
(1980.10.28稲葉誠一議員の質問趣意書に対する答弁書)
 <参考 2004.1.29衆院イラク特別委 小沢参考人意見 資料3>

 ■演題:自衛隊の多国籍軍参加と憲法9条
 ■講師:静岡大学 小沢隆一教授(憲法学)
 ■日時:7月26日(月)午後7時
 ■場所:静岡労政会館5F 第4会議室
 ■主催:自衛隊イラク派兵違憲裁判の会
 静岡市西草深町20−26 

 FaxO54−252−7088 中川弘気付