お話"Wound"最下段から始まるアンケート。(2007.03.07〜 )____
      
      
      


「キャロルは幾分、分が悪いのだった。」

その後・・・


- 10 投票 - 王子が恋の駆け引きで魅せる。
- 1 投票 - キャロルがちょっと大人な一面をみせるようになる
- 0 投票 - メンフィスが駆けつける
- 0 投票 - ルカが登場する
- 0 投票 - ティティが駆けつける
- 0 投票 - ミヌーエが駆けつける
- 0 投票 - その他

(アンケート No.1 )



その後・・・

──傷痕を残しながらも復調を得た王子は、魅せ始めていた──

キャロルの心をまず揺らしたのは・・・


- 18 投票 - 王子の眼差し
- 4 投票 - 王子の声
- 4 投票 - 王子の微笑
- 1 投票 - 王子の横顔
- 1 投票 - 王子の歩幅
- 1 投票 - 王子のすべて
- 0 投票 - 王子の指
- 0 投票 - その他

(アンケート No.2-a )



キャロルの心をまず揺らしたのは・・・。

──王子の眼差しにキャロルは心を乱していた──


負けじと返していた蒼い双眸だったが、

怒り無く悲しみも無く、淀みもなく向けられる王子の視線に戸惑った。

何を抗議しても意に介すことなく深く沈静した眼差しを見せる王子に、

猛禽類を前にした小動物のように鼓動が早まり堪えかねて青の瞳を逸すのだった。

たおやかな身は打つ手無く佇んで、

かくてキャロルは王子の手に落ちぬとするのであった。(早っ)


だが無謀にもキャロルは・・・。


- 6 投票 - 困ってると相談してみる
- 5 投票 - 好意があることを認めてみる
- 3 投票 - 王子を否定するのをやめてみる
- 3 投票 - 抵抗は諦めなかった
- 3 投票 - 王子のばか!(突拍子もなく…)
- 2 投票 - 「愛してます」と言ってみる
- 2 投票 - その他
- 1 投票 - やっぱり説得しようとしてみる
- 1 投票 - もう、どうにでもして。(やけっぱち)
- 0 投票 - 大泣きする。(…芸無し)

(アンケート No.3-a )



だが無謀にもキャロルは・・・。

──自分がこんなにも困っていることを王子はどう思っているのだろう?分かっていないように思え、
  『困っている』と伝えてみようと思うのだった──

すっと上げた腕で王子を押し返し、悲痛に険しくなりそうな白い面をこらえ真っ直ぐに王子を見て、
王子の前で止まりそうになる呼吸を慎重に整えた。

「私は困っているの、どうしていいか分からない・・・。

 このままでは大変なことになるわ。私には・・・堪えられない・・・!」

しかし王子の答えは至極簡単だった。

「わたしと居れば何の問題もない」

何の恐れもなく言い切る低い声。

「貴方には恐いものはないんでしょうけれど、私は───」

小気味よく囀る小鳥だと思いながら王子は首を傾けると、遮る暇も無く口付けた。

驚きで蒼い目が大きく見開いた。

キャロルを覆うような両腕。

胸が締め付けられて涙が零れた。

身体が動かなかった───


王子は宥めるようにするだけでその力を弱め、キャロルは息を吐き力を得てまた言い募る。

「私にはっ──恐いものだらけでっ。どうしていいか分か───」

また同じ事が繰り返された───強い力だった。

口付けの意味など分かりきっていた。

『受け入れる』

”本当に───?これも本当に───?!”

また呼吸を数回すると、涙の零れ落ちるのも気にしないで続ける。

「貴方の言うことを聞いていてっ───いいのかがっ───」

「私は困っているのっ───それは王子、分かっているのっ───」

キャロルは何度も同じ目をみた。

遂に、乱れた金の髪の下、視線が上げられなくなり、
たおやかな身体は気力尽きて荒い呼吸を・・・微笑浮かべる王子の腕の中で繰り返していた。

王子は・・・、


- 11 投票 - キャロルの様子が微笑ましかった。「もう充分であろう?」
- 7 投票 - キャロルの気力が尽きるのを楽しんでいた(奔放Sです。裏を作って・・になるかも)
- 4 投票 - 「次は?あっても同じだ。無駄なことを」(うわ手であった)
- 2 投票 - 「次はどうなるか考えてものを言うことだ」(さらっと。エロで気障)
- 1 投票 - その他

(アンケート No.4-a )



王子は・・・。


──キャロルの様子を微笑ましく思うのだった──

「もう充分であろう?」

返す言葉は無かった。

キャロルには充分だった。

呼吸を整える。

すっきりしていく頭の中。

涙はまだ乾いていなかったが溢れる涙はもうなかった。

王子の長い指が頬に触れ蒼い瞳を上向かせる。

表情には、


- 7 投票 - まだ戸惑いが感じられた
- 6 投票 - 悟ったような思いが感じられた。
- 1 投票 - その他

(アンケート -3/29現在- No.5-a )





キャロルの表情には。


──まだ戸惑いが感じられるのだった──

それを押し遣ってしまうのを良しとするのは一方的なのだろうか。

王子が瞳を細める。

キャロルは成す術無く、蒼い瞳を逸らした。

王子が覗き込み、引き寄せられるように唇を寄せ、触れ合う寸前にする。

キャロルは瞬間、瞬いたが瞳は大きくして見上げた。

その当惑した表情に王子は告げる。

王子の声、


- 7 投票 - 「もう何も言わずともよい」
- 3 投票 - 「後悔はさせない」
- 3 投票 - 「いつか分かる時がくる」
- 0 投票 - 「そなたには抗えなかったのだ」
- 0 投票 - その他

(アンケート -3/29現在- No.5a-a )







王子の声が響く。

もう何も言わなくてもいいと───

優しく口付けが落とされる。

震える吐息。

瞳を細めて口付けを重ねる王子が青い瞳に焼き付く。

 怯える心が分かるのね───

呟きが薔薇色の唇に乗る。

瞬間交し合う口付け。

胸の高鳴りに心酔う。

畳み掛けて甘い口付けが誘いかけるが。

返すほど大胆にはなれない。

柔らかい唇が怯えをみせる。

吐息。

愛しむような優しい口付けに戻る。

 知ってくれている───

もう何も言わなくて良かった。

恐がることはもうないと思えた。

長い口付けも暖かい抱擁も。

長い夜も。

恐ろしくはなかった。

心に壁を作って彼を阻まなくても。

視線が奪われても。

悲しい時に寄り添っても。

嬉しい時に彼の手を引いても。

恋しても───


貴方は私の全てを分かっている。


全てを愛してくれる───














「会いたかったわ。でも私に刺客を・・・?」

返事は沈黙で返された。

「メンフィス?」

航路も遥々、王宮に到着して段上玉座に御すその人───メンフィス。

漆黒の髪がうねり美しく、その苛烈な面にぞんざいに掛かっている。

「奪還が目的と聞いたわ。・・・そちらに上がってもいい?」

まだ返事は無い。

「みんな、下がって。メンフィスと二人だけで話します」

出迎えて居並ぶ臣下達に堂々とした姿。

ファラオの声は掛からず、可ととらまえた者達から次第に下がっていった。

白く煌く光のような妃が旅装の被布を翻して段上に上がって来る。

高貴な女性に相応しい美しいものだったが、見慣れぬ旅の装束はメンフィスを苛立たせた。

「メンフィス、私、帰って来ました。貴方の元へ」

「ヒッタイトで何をしておった」

重厚な声が響き渡る。

「私・・私が必要だと言われたものだから、どうすればいいか考えていたの」

用意していた答えであった。

「必要?!そなたはわたしの妃だ!エジプトの王妃なのだ?!それを───」

「それは──王妃なのも・・言われたから・・貴方が必要としてくれた・・と思ったから───」

「どういう意味だ?そなたはわたしを愛しているのではないのか?誠ではないということか?!」

「メンフィス・・貴方を愛しています」

「───」

「・・・メンフィス・・・」

「もう一度」

「──愛しています」

「もう一度」

「メンフィス、愛しています」

「・・・誰よりもか?」

「───」

「どうした」

「お、同じくらい民も愛している──」

「ほぅ?」

「意地悪はやめて」

「気に食わぬ」

「苛立たないで。何でも言うことを聞くわ・・・」




変わらぬ身体だった。

妃を愛し抜く。

確かめる。

何度も。

言わせて満足する『愛してる』の言葉を繰り返させる。



次の日に彼女は人前に出ることを拒んだ。

予感が胸をつく。
























「イズミル・・殿、此度は我が妃を護衛いただき感謝する」

行方不明になる元々の所から一枚噛んでいると睨んでいるが推測の域を依然出ていない。

「礼には及ばぬ事」

忌々しい。この男と二月もの間───

謁見の間でメンフィスはこの上無く苛立った。

「妃は今朝は床を離れられず───遠慮したいそうだ」

昨夜を思えば当然の事と密かに笑んだ。

ただ青ざめた顔は気に掛かる。

明け透けに言ってしまうのはそのせい。

加えて目の前の男のせい。

この間では下座にて頭を低くするイズミルであったが上座のファラオに引けを取らない威圧感を発していた。

返事はごく自然にない。

この男から他に聞きたいことはない。

「・・・・・・ゆるりと旅の疲れを癒されよ」

後の返事も聞かずに間を後にした。





翌日も朝日の中白い身体に吐息を零す妃。

不信が募った。

あれ程夜は熱さを見せたというのに───

身支度の前にわたしの顔を伺い湯を使うのを一瞬躊躇ったのを見逃しはしない。

その貌に苛立つ。

衣を選ぶ声が言い訳がましく聞こえる。

愛された肌を見せたくないと言えばいい───あの男に見せたくないと───

確かに妃はわたしを愛している。愛に応える。

だがわたしは聞きたいのだ。口をついて出そうになるその問いの答えを。

──イズミルに抱かれたのか?──

衣を着込み終わって微笑む顔に。

──イズミルは優しかったのかと──

腕に縋りつき寄り添う妃に。

──イズミルを愛したのかと──

回廊を渡り庭に眩しく瞳を細める妃に。

──何故わたしを裏切ったのかと──

「や・・やめ・・て───メンフィ・・・」

止められない。

苦痛に苦しまない顔でなくば許せない───

白い首を両手で締めていた。

愚かな問いを口にするほどわたしは愚かではない───

そなたに姦通の嫌疑を掛けない事でのうのうとするのが許せない。

姦通の検分でそなたをもっと苦しめてやれば良かった。

医師達に延々晒させば良かったのだ。

泣き喚かせれば良かったのだ。



───何故そなたはこんなにわたしの心を苛む?


わたしの優しさに付け込む?


メンフィスは、


- 17 投票 - 手に掛けることはできない。思い直して抱き締めキャロルに深い愛を寄せる
- 3 投票 - (王子はどこに行った・・・)→王子の場面まで飛ぶ(ルート8a-zへ)
- 3 投票 - 逃がしたりで次の現場で王子の邪魔が入る。その刃に没す
- 3 投票 - 逃がしたりで次の現場で王子の邪魔が入り、受けて立って結局怒り治まらずキャロルに手を掛ける
- 2 投票 - キャロルを手に掛けて横暴になってひたすら死に場を求める
- 2 投票 - 逃がしたりで次の現場で王子の邪魔が入り、受けて立って和解してキャロルに深い愛を寄せる
- 1 投票 - キャロルを手に掛けて失意のまま王を続ける
- 1 投票 - 逃がしたりで次の現場で王子の邪魔が入り、受けて立ってキャロルを捨てることを決意する
- 0 投票 - その他

No.7-a )




メンフィスは───

滾った感情をやり過ごし、揺り返しの如く沸き起こった悲痛にぐっと面を歪めた。

 失うに───あたわず───

失ってどうするというのか。
漸くのところで、力の弱まっていく娘の儚い姿に指の力を緩める。
衝動を完遂できようはずはなかった。
硬い腕の中に倒れるように身を伏したキャロルが苦しそうに咳を繰り返す。
柔らかい身体。
メンフィスを支配した憎悪は愛しさに塗り替えられる。

 失うは───愚かすぎる

身に残る憤怒は自嘲でやり過ごす。
愛しい存在が殊勝にもふわりと彼の首根に抱きついた。
華奢なその背に触れると安心したように荒い呼吸を深いものに変える。
抵抗を、妃は余りにも抵抗を見せなかったことに気付くのだった。




「諦めていたのか───」

王妃の間の寝台に向かって問い掛ける。

「貴方に信じてもらえなければ───」

天を仰いだまま寝台に伏せるキャロルが答える。

「その時はいっそ・・・と思っていたの」

首に残る痕。
メンフィスが指でゆっくり癒すように肌をなぞり掌を当てて包んだ。
片手で押さえ込んでしまえる細い首。

「気持ちいい───」

長い睫を伏せて瞳を閉じ口元に穏やかな微笑を見せる。
彼が寝台に腰掛け身を寄せるとキャロルは更に微笑んだ。

「メンフィス」

いたいけで切ない声が確かめるようにその名を呼ぶ。
その答えだと、ゆったりとした口付けを落とす。
閉じられ震える金の睫、泣き出しそうな貌が涙を堪えていた。
白い腕が持ち上がりメンフィスの首にふわりと抱きつく。

「愛しているわ」

震える声音。
そして漸くキャロルが意を決した。

「私、分かるの、どうしようもない、私のせい───」

きゅっと白い腕が縋る力を強める。

「エジプトは攻められるわ」

「───」

「私なんかのために戦争が。それは、やめて。戦争はしないで」

「奴だな───イズミルが───」

「私のせいなの、私が居るばかりに・・・!」

頭を左右に振って続ける。

「絶対エジプトを、メンフィスを守るって決めたから、私───何度も死のうと思った」

「!!」

「───死ねなくて───ごめんなさい───」

「死ぬなど許さぬ!!」

メンフィスの地を這うような怒声。
柔らかな身体は吹き飛んでしまいそうだった。
肩は強く押さえられている。
ハラハラと涙が溢れ出す。
叱ってくれる事にこんな時なのに嬉しくて。
だが次いで、どうしようもない自分の身に憂鬱になる。
両目をぎゅっと閉じて涙を振り払うと光を強めた青い瞳を上げて言う。

「死ぬなら貴方に会ってからと思っていたわ。私は死は選べなかった」

 貴方が許さないのが分かる
 貴方は向かう、敵を定めて───

キャロルはメンフィスにしっかりと抱きついた。

「メンフィス、冷静に聞いて、」

息を整えてしっかり身を寄せて続ける。

「イズミル王子は言うの、私が必要だと」

 国に浚って行く程に───
固く瞳を閉じる。

「話し合ったの」

 口付けで分かったことがあるの、それは言えないけれど。

「彼は狙っている、エジプトの富を。争いはしてほしくない。私は”そこ”でできることがあるわ」

淡々と語るキャロルの前で、堪らずメンフィスが怒りの声を上げる。

「抜け抜けと申したか?!そなたに奴は!!そなたが欲しいと言ったのだろう?!」

「メンフィ───」

「この身体が欲しいとそう申したのだろう?!」

強く肩を引き寄せられて息が詰まった。
首をふるふると振ってキャロルが声を上げる。

「分かったことがあるの!やめて、メンフィス!貴方が怒りをぶつけるのも分かるから!」

「なにが分かると──」

「貴方が刺客を送ってくるのも!分かるわ!当然だわ」

白い貌を振って髪を乱して声を上げるとメンフィスが強い瞳に翳りを見せた。

「刺客──だと?そのような命(めい)は───」

「分かってる!貴方がどんなに手を尽くそうとしたか!分かってるわ」

喉の奥から搾り出すような声は真意に震えた。

「奪還が本当に目的だった」

キャロルの重ねる声は吐息まじりに呟く。
だが手練な間者は刺客でもあり、王の密命を受けて手先となった者達が判断を許されているのは
奪還の名の下だけではなかっただろう。
キャロルの柔らかい腕が精一杯しがみ付く。

「私たちは遠くにいても分かり合っている」

しっかりした声を響かせた。

「私たちにできないことは───ないと思うの」


- 10投票 - やっぱり許さないのがメンフィスである
- 9投票 - とにかくもっと王子の所業をばらして(認知されてないあれこれにオマージュ)
- 3投票 - メンフィスの場面はパスで行きたい。王子の場面へ飛ぶ
- 2投票 - キャロルをメンフィスは許す
- 1投票 - キャロル辛すぎ。この場面はパス。王子の場面へ飛ぶ
- 1投票 - メンフィス辛すぎ。この場面はパス。飛べるなら飛ぶ

- 1投票 - その他

No.8-a )




「もう何も言うな」

轟く声。
重くそれは判決を下していた。

キャロルは主張し切ったまま、真っ直ぐに顔を上げて聞いた。
慈愛を籠めて見詰める青い瞳だった。
だが今はメンフィスには届かない。『今は』届かない。そう思いたいのだった。

 悲しくはない
 涙は流さない
 貴方が理解できないのも当然だから───

長い黄金(きん)の睫を伏せて瞳を閉じた。
キャロルは───


- 7投票 - いつか分かってくれると願って折れたりしない
- 2投票 - 愛する人を苦しめる事ができず、メンフィスに従う
- 2投票 - 愛する人を苦しめる事ができず、ナイルへ帰る
- 2投票 - その他

No.9-a )




キャロルは折れはしなかった。


 いつか分かってくれる

そう願ってその精神を保っていた。
とても耐えられるものではない───恐怖。
あっという間に彼の握力の中に重力を失い、
次いでこの口が恨めしいとばかりに親指を突き入れ、顎を鷲掴みにした。
どこからこれ程の意のままにならぬ理屈を吐くのか、狂気じみた衝動だった。
上を向かされたままキャロルがむせて喘ぐ。
抵抗できない力。
正気の沙汰とは思えなかった。
誰かを求めたが、ただ増す恐怖──この場は誰にも止められない。
キャロルの顔にありありと上る絶望。

 『彼』、なら───?

ふと思考に現われるその人。
今は一番頼ってはならない、そう思え、更に絶望が色を深めた。
煽られるメンフィスの嗜虐心。
増幅し胸倉を締め上げ、壊したい衝動のまま振りかぶる拳。
キャロルを永遠に過去のものに、手の届かないものに───


- 3投票 - 〃 〃 彼女こそ諸悪の根源と見る勢力が……
- 2投票 - 暴力は要らない。白い肌を虜にする、融通させる……のはいつか裏で
- 2投票 - その他
- 2投票 - 手を上げてしまう。永遠にすれ違ったまま
- 1投票 - 暴力はやはり外道。その内に内外政問題勃発。しかし彼女の活躍により回避。彼は改心する
- 1投票 - 手を上げてしまう。粗暴な暴君となる。世を案じる勢力が……
- 0投票 - 暴力は外道。平行線のままメンフィスも耐えて、耐えられるかも……
- 0投票 - 暴力はやはり外道。その内に内外政問題勃発。時代の荒波の中、二人に結論が出る事はない
- 0投票 - 暴力は要らない。人質やそういった世にも残酷なことで脅迫……もいつか裏で……
- 0投票 - 手を上げてしまう。が気丈にも、古代では仕方なし、不屈であり続ける彼女に感銘をする


No.10-a )




永遠に、手の届かないものにしようとしていた。



 許せぬ

許せぬ、許せぬ、許せぬ、許せぬ、許せぬ──!何度心で叫んだか。
憤怒に心が焼失しそうだった。
振り下ろす──それは刹那、躊躇われた。
重心を失ったようにゆっくりと傾けると足が地に付かないキャロルの身体は、
容易く床まで華奢な背を落とす。
細い息で歪む白い面。
右の拳は振り上げたまま。
締め上げている胸倉を──何度も愛した感触を今は左腕できつく押さえ込んでいる。

 許せぬ──!

力が漲る右腕が鳴った。
来る──と小さな身体が身構えた。
鋭く撃ち込まれる音。木の壊される音だった。
寝台の脇に拳が突き刺さっていた。
もう二度、ガンガンと撃ち込むとがばと身を起こす。
メンフィスは辺り構わず形あるものを壊してかかる。
木片の裂ける音、砕ける音、陶器の割れる音。
青銅のぶつかり合う音に戦いて目を見張れば剣を振るうメンフィスは悪鬼か鬼神。

その全ては己のせいだと告げていた。

「ファラオ、如何なされました!!」

戸外から声が掛かる。
だがメンフィスは一蹴。下がっておるよう恫喝した。
身体が竦み上がる。
身構えなければという気持ちを持ち直すことしかできなかった。




(つづく・・・)