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It was a "Short"...
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※前書き
「短い」・・・それを「み自害」とPCで変換す。
・・・・・(妄想噴出)
で、書いてみた短編です。(笑)
初期をイメージしています。普通に奔放な「S」です(汗)。心配な方はお戻りください。
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「姫」
王子が冷然とその眼差しをキャロルに向ける。
「自害だと?」
明白な事由を泰然と娘の口に問うた。
凄みに圧倒されながらもキャロルは何も答えようとしなかった。
怯(ひる)まず黙秘で王子に対抗した。
「馬鹿げたことを」
長い衣を払うとキャロルに真っ直ぐ歩を進めた。
威厳ある、そしてこんな時でも悠然として落ち着き払ったその声の主。
琥珀色の瞳に真っ直ぐ射竦められてキャロルは俄かに身構える。
「そなたは私が得たいと望んだ娘」
キャロルの上に静かに声が降る。
「私が成すすべては厭わしいか?」
威圧されぬようにじっと見返す。
精一杯のそれが答え。
当然すべては否。
王子は意を汲んだ。
「これほど我が意に添わぬなら好きにするが良い」
さらりと明言するとその腕を掴み引き立たせ部屋からキャロルを連れ出してしまった。
不審がって娘が幾度も拒む声を上げたが、王子は何も言わず怒りを顕わにするでもなく長い回廊を渡って行った。
どこか挑戦的にキャロルを黙殺しつつ。
怒りを込めた貌(かお)の娘がいつしか言葉もなく大人しくなってどれくらい経っただろう。
「暫くここで過ごすが良い」
回りには花々が溢れ、砦の一画ではあるが木々を鬱蒼と背後にする石造りの建物の前だった。
「私は暫くは来れぬ。ここで好きにするが良い」
「なに・・?どういうこと・・?」
白い掌(て)で王子の腕を振り払って数歩下がった。
重ねて尋ねる。
「ここにわたしを・・?わたしはあなたの所には居たくないの。出て行くわ!」
キャロルは元来た方へ翻った。
王子の手にすぐにつかまると思ったが。
何か釘を刺されると思ったが。呼び止める声は無かった。
肩越しに後ろを振り返った。
離宮の一軒とでもいうべき意匠をあちこちにあしらったどこか優雅な家屋にその人は向かい、
どこに居たのだろう、侍女たちが何人も現れ建物の白い石に嵌め込まれた重厚そうな扉を開き、
中の仕度に取り掛かる様子を見せていた。
彼の様子に不信を抱きながらも彼女は走るのだった。
もと居た高層の城の建物群は木々の向こうにちらと見えたが、
木々と低層の建物の中のうねうねと続く小道を歩くうちに見えなくなった。
遠くに兵士や召使いが見え出すと、ぴたりとその足は止まった。
この自分の格好は・・・?
高価な紗(うすぎぬ)はひらひらと彼女の歩みに翻って足元で踊る。
腕は露わで肩から下がるその身を包む美しい衣装は殊更薄物だった。
日差しの下でこれは・・・
どこから飛び出してきたのか問わずと知れた。
戸惑ったが踵を返して衣装を探してみる。
だが城砦の中に服は落ちているはずがなかった。
いつの間に来てしまったのだろう・・・
ふいに衛兵が居る辺り風格の違う一角に来ていた。
王子が居るわ・・・
この先のどこかに居ると感じられた。
他を当たろうと思ったが思い直すのだった。
直談判してやる!
息を整え衣装に気遣いつつ衛兵に向かい案内を求める。
そしてその人の元に通されるのだった。
兵士たちを下がらせた後窓に向かっているその人にキャロルは殊勝に声を上げ、
だが少し思案するように言うのだった。
「王子・・!王子は卑怯よ。わたしが出て行けないと知っていて───。とにかくなにか衣装を!必要だわ!」
彼は鷹揚に振り向きキャロルを一瞥する。
「そうだな、気が進まぬが──」
肩衣を持つように侍女に告げてはくれた。
だが次の行動にキャロルは驚愕した。
傍まで来た王子はキャロルの繊細な衣装を不意に引き裂く。
背中を大きく裂かれ、未だ赤い傷を覗かせて、座り込んで恐怖の声を上げるキャロルにふわっと用意された肩衣が巻かれた。
やれやれ、王子はそう言うとキャロルを抱き起こし、次いで腕を検めてキャロルの腕輪を取り去ってしまった。
「何するの!」
冷然と、しかし悠然とした態度で宣告する。
「どこにも行かせぬ・・」
真っ直ぐに蒼い瞳に言い渡す。
「南の宮が嫌であればここに居るのだ」
南───先ほど連れて行かれた建物。
「どちらも結構です!離して・・!」
蒼白になりながらも気丈に言い放つ娘に琥珀色の眼差しは細められた。
「そなたはどこにもやれぬ」
手にしている娘の装飾品を傍の卓に置くと腕を掴んだまま柔らかい敷物の上で膝の上に捉え直すと、
抗い続けるキャロルに少々手を焼きつつ足首に付けられていたアンクレットの飾りも取ってしまう。
腰帯の装飾品も逃走の代価になるようなものは全て取ってしまう。
「離して・・!!」
キャロルは滑り落ちそうな衣装を押さえて急いで肩衣を自分に巻きつけるのだった。
王子は笑いながら言うのだった。
「まだ陽は高い。あまりそのような姿で私を誘うな」
絶句して固まる。
「なにを───」
だが王子は止めなかった。
今度は愛しそうにその肌に触れる。
「私だけのものだ。何も身に纏うな」
囁きが低くなる。
「───そしてどこにも行くな」
その手は白い身体を隠す割りに厚い肩衣を取り払おうと動いた。
キャロルは言葉を無くして逃れようと身を震わせたが、
仰け反った白い首筋は露わで自然、王子が唇を寄せる。
肩衣が取り払われ裂かれた紗(うすぎぬ)が顕れる。
それも取り払ってしまう。
キャロルの肌には熱い口付けを繰り返す。
「や、やめ・・・」
「この心も私のもの」
何度も何度もそなたが愛しいと呪文のように繰り返す。
娘は声も涙も出せなかった。
圧倒的な力に抗し切れない悔しさ。
息もできぬまま。
極度に強張る身体が大きく痙攣し、不意にくたりと反応をなくした。
キャロルは余りのことに気を失っていた。
琥珀色の眼差しを持ち上げながらゆっくりと溜息を吐いた。
「強情なことだ・・」
またこれで何度目であろうか?このままでは娘の身体が持たぬな
王子は優しく愛してみたいものだと自嘲するのだった。
白い身体は白日の下に粗方晒されていたがそれを僅かに隠して肌に掛かる紗(うすぎぬ)を邪魔に思うままに取り払う。
美しい身体を秘すように肩衣に収め包み直すと抱え上げた。
卓の上の水を取り一口入れると、娘の息づく唇に流し込む。
名を呼ばれやがてゆっくり意識を取り戻すのを沈静した面持ちで見守り大事無いか問う。
やがて娘が藻掻くより早く抱き上げそのまま南の宮に連れ戻した。
「ここに留(とど)まれ」
それだけ言うと王子は部屋を後にした。
それから───。
この離れた館でキャロルは過ごしていた。
風のそよぎ、木の葉のさざめきを身近にし、囚われの身を感じない配慮を感じたが、思うことは一つだった。
わたしはどうなるのだろう・・・?
その答えは?
ゆっくり頭を振る。
わたしはどうしたい?
この大地の息吹を感じられて・・・幸せ。そう。
生きていられて幸せ───
そして。
感謝、しているわ
それから幾日も過ぎ、穏やかに過ごすうちにその日は来た。
「私は南へ行く、姫。そなたの国だ」
わたしも行かなければならない。
そう思った。
条件があると言われても引き下がれない。
暗雲の立ち込めたままの灼熱の国。
あの人に感謝していると、そう伝えよう。
そして貴方にも───
「感謝しているわ」
「条件も聞かずに・・」
問いながらくすくす笑って耳元でその言葉。
「自害はするな」
わたしはこの言葉に感謝したかった。
感謝しているわ───
生きよ───
私を愛するまで───
その先は抱き締められて、そして抱き返すだけで充分だった。
Fin.
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※あとがき
きっと二人は結ばれる・・。そう信じたい。しんみり・・。未だに呟いてしまう筋金入りです。(笑)
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