★ beyond love is below love ★


−1−

「ねえ、ねえ、夏美」

いつもの昼休み、いつものおしゃべり。
弥生と五月、いつもの光景。
昼食後のノンビリとした時間。
他愛の無い会話が続く、私の好きなひと時。
だけど今日はちょっと様子が違っちゃった。

「最近の夏美って感じが変わったよね」
「なんか今までと雰囲気、違うよね」

そう言いながら二人は椅子を引き寄せて、額を付き合わせる格好になる。
なんだか私、尋問されるみたいじゃない?

「私が? どこも変わってないわよ」

びっくりして答えると、二人はさらに近づいて小声になった。

「なんかね、どこが変わったってはっきり言えないんだけど・・・」

そう言いながら顔を見合わせてクスクス笑う。
そんな態度に少し腹が立つ。

「もう! 感じ悪いわよ」
「ごめ〜ん、夏美」

むっとした顔をすると、二人は慌てて手を合わせて謝るポーズを取る。
それでも顔は笑ったまま。
どちらが話を切り出すか、陰で肘の突付き合いをしているみたい。
肩が動くから判るわよ、そのくらい。
一体何を聞きたいの?

「もしかして夏美、カレシ、出来た?」

突然出てきた質問に思わず呆気にとられちゃった。
ぽかんと間の抜けた顔をしたと自分でも思ったわ。
けれども二人にはそう見えなかったみたい。
小声で囁く二人の瞳は好奇心いっぱい。
キラキラと輝いて、私の言葉を待っている。
なんだかオカルト話をしている時の冬樹を見ているみたいだわ。
焦る心の片隅で冷静な私がそんな風に感じていた。

だけど、どうしてこんな話になっちゃうの?
そりゃぁ私だって、その手の話には興味はあるけれど。
まさか自分がそんな話題の中心になるなんて。

「な、な、な、なに変なコト言い出すのよ! そんな人、いないって!」

両手を前に突き出して、そんな事ないと振っても言い訳にしか見えないみたい。

「ほ〜ら、耳まで真っ赤になって。ホンとに夏美って判りやすいんだから!」
「成績優秀、スポーツ万能の夏美嬢のおメガネに適ったのは誰かしら?」
「もしかしてサブロー先輩とか?」
「キャー♪」

茶化す二人の言葉にトゲはないけれど、だんだん大きくなってきた声を下げてほしくて私は必死。
現に今の嬌声(きょうせい)で教室中の注目を浴びている。

「チョ、チョッと! 二人とも!」
「隠してないで言っちゃえ、言っちゃえ」

興に乗った二人がこうなってくると、もう何を言っても聞いてくれそうにない。
このままこの場で話題の中心になることが耐えられなくなった私は、適当な理由をつけて
逃げるようにその場を後にした。

< to be continued... >