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「だめっていったらぜったいだめぇー!!!」 「どうして?可愛い子には旅をさせろっていうでしょ?」 「それは人間の世界の話!」 「それって差別ーーー!」 「それに世の中みんなわたしみたいにいいヒトだとは限らないんだからっ。」 「ごめんね、くみちゃん。でも、ぼくもう決めたんだ。Adios!」 「ねこくーーーーーんんんん」
それでも、泣き叫ぶくみちゃんのことが気になるのか、 ちらりちらりと振り返りながら雪景色の中へと消えていったのだった。 ◆◇◆ 家ねこだったねこくんには、見るもの聞くもの全てが別世界。 でも、しょせんは、はじめて経験する風を 「これが、この間くみちゃんが言ってた台風っていうやつかな?」 なんて呑気なことを考えたりする世間知らず、イノセント。 本当にひとりで大丈夫なんだろうか? ◆◇◆ どのくらい歩いただろう。 もうすでに、大好きなくみちゃんのことを思い出しさびしくなってきた。 でも、ねこくんは心に強く誓うのだった。 次にくみちゃんに会うときには、 『ぼく、本当の意味でセルフ・プロデュースができる猫になったよ』って 胸をはって言えるような一猫前の猫になるんだ、と。 ◆◇◆ ところが、日が暮れてお腹も空いてきたころ、あることに気が付いた。 「あー、お金持ってきてないや。これじゃあナニも買えない。どうしょう?」 途方にくれていたその時だった。 「ね、君の足に触らせてくれないか」って、 見ず知らずのおじさんに声をかけられたのは。 「え?足?うーん、いいよ。そのかわり、なんか食べるものくれる?」 「そんなのおやすいご用さ」 と差し出されたのは、ねこくんの大好物のツナ缶! きゃーーー
がつがつがつがつ 「あー、おいしかったぁ。じゃあ、はい、お約束。」
ぺた 「好きにして!」 「じゃあ、触るよ。いいかい?」 「あぁぁぁ、おじさん、きもちいいーーーー、もっとぉ、もっとぉ」 「そぉお?うまい?」 「うんうん、すっごーいテクニシャン!」 「そぉっか、よろこんでもらえてうれしいよ。」 実はこのおじさん、近々『猫専門マッサージ』というビジネスを始める予定で、 実戦に役立つようにと、練習台になってくれる猫を探していたらしい。 おじさん、ねこくんが美形なことに目をつけて、 営業でもやらせたら結構イケルかも?って思いはじめていた。 「どぉお?よかったらビジネスパートナーにならない?」 「それって儲かる?」 「もちろんさ。君の取り分は、とりあえず1/3でどうかな?」 「それって、もしおじさんが1000円儲かったら、僕いくらもらえるの?」 「えーっとねぇー」 おもむろにポケットから電卓をとりだすおじさん ぴっぴっぴっ 「333テン3333333333333」 ◆◇◆ ねこくんの今日の教訓:そう、割算は割り切れるものばかりじゃない。 |
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