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A:①第二言語(日本語)習得と認知的発達に有利:第二言語の読み書き能力や認知面における発達の基礎を成しており、母語と第二言語は相互に依存しているため(二言語の相互依存仮説:Cummins,1984)、第二言語の、特に学校の教科学習に関わる言語(学習言語)の発達のためには、母語の能力が重要となると指摘されています。言い換えれば、子どもの母語を無視し結果的に剥奪してしまうサブトラクティブなバイリンガリズムに置く限り、子どもは学力的に困難を抱える可能性が高いということであります。現在、子どもに対する日本語教育の課題として、教科学習と統合された日本語教育をめざすべきであることがあげられていますが、そのためには、母語の保持伸長をも考慮に入れる必要があると思われます。
②親子のコミュニケーションと誇りとして:言語は文化的アイデンティティの根幹をなすものであるため、母語を脅かすことは、親子のコミュニケーションに支障をもたらしたり、子どもの自尊感情を損なうことにつながります。「母語は社会の中で価値があるのだ」と子どもに誇りを持たせ、情緒的な安定を促すことにも役立つと言えます。
③人権の観点から子どもの当然の権利として:日本は国際人権規約や子どもの権利条約を批准しており、そこでは「自己の言語使用の権利」が言語的マイノリティーの人権として謳われています。この二つの条約は法的な実効力をもっていることから、これを実現するには母語教育を推進する必要があると指摘されています。(参考文献:『多様な言語背景をもつ子どもの母語教育の現状』石井美香)
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