コアラ Koala
「コアラは1頭1頭全部性格が違っていて、繊細で神経質なやつもいれば、人間に抱っこされるのが大好きなやつだっているんだよ」。こう、飼育係のおじさんは言う。オーストラリアに行ったらだれでも一度はやりたいコアラ抱っこ。でも、ニューサウスウェールズなどいくつかの州では既に禁止、まだOKのクイーンズランド州でもコアラのストレスに配慮して、ぬいぐるみにしがみつかせたまま客に抱っこさせる動物園も多い。
そんな中にあって写真のコアラ、ビンディ嬢は、知る人ぞ知る「ジャンピングコアラ」なのだ。少し離れた木の枝にとまらせておいて、その前で腕を広げて待っていると、ビョーンと勢いよくジャンプして人間の方に飛び移ってくる。爪が肩に食い込んでずっしりくるけど、しっかりと自分にしがみついてくれるコアラは可愛いもの。「別に仕込んだわけじゃないんだよ。ビンディは子供のころから人間に抱っこされるのが大好きなんだ。こうやって肩にとまらせておくと、どこにだって付いてくるよ」。
ビンディ嬢がいるこのクーベリーパークは、クイーンズランド州中部の町ロックハンプトンから車を1時間ぐらい飛ばしてやっとたどり着く、田舎の小さな動物園。客も少ないからおじさんもヒマらしく、最初に訪れた時は何も言わないのに「コアラを抱っこするかい?ちょっと待ってな、連れてくるから」と、コアラ舎の中に入っていった。ところがその間に、開けっぱなしの入り口からのそのそと出ようとするやつがいる。かがみこんでふさごうとしたら、勝手に私のひざによじ登ってきた。おじさんが別のコアラを連れて出てきた時にはもう、そいつが私の腕の中にちゃっかり収まっており、けげんな顔のおじさんに私は「こいつが自分で登ってきたんだってば」と必死で言い訳したのだった。
The Australia Web 掲載 1999