広大なオーストラリア大陸を自分のペースで経済的に(つまりビンボー旅行) 旅しようと思ったら、いちばんお世話になるのが「コーチ」と呼ばれる長距 離バス。乗り降り自由なバスパスを手に、気に入った街に好きなだけ滞在し 気が向いたらまた次の目的地へ。バックパック1つ背負って世界中から訪れ る人たちが、そんな自由な旅を満喫する足となっているのがコーチだ。バス旅の快適さを決めるのは持ち物と服装、それに座席割り当ての運・不運。 まず服装だが、夏といえども車内は冷房をガンガンに効かせてくれるので、 ジーンズに長袖のジャケットまたは軽く羽織れるものは必携、靴下もはいて いないとつらい。ちなみに私が初めて乗った時は半袖短パン姿だったために 夜間の冷房でこごえかけ、途中で買った「The Australian」紙のぶ厚い新聞 紙をかぶってしのぐというビンボーくさいことをした。
何十時間もの長旅になるなら枕も欠かせない。これがあるのとないのとでは 快眠度が全然違う。隣の座席にだれも来なければしめたもの。枕を通路側座 席に置いて足を窓の方に投げ出した姿勢、または窓に枕を置いて通路側に足 を投げ出した姿勢、どっちでもけっこう熟睡できる(できない?)。 でも、衛生観念が捨てられない人、お行儀がいい人、太った人および足の長 い人にはバス旅はあんまりオススメしませんが…。
食事とトイレの休憩は数時間ごとに取ってくれるので、車内の狭苦しいトイ レを使う必要はあんまりないし、食べ物にも困らない。でもバスが立ち寄る レストハウスの食事がおいしかったためしはまずない。
座席割り当てに関してはもう幸運を祈るしかないが、ターミナルでは早めに チェックインすると、窓側とか前の方とか後ろの方とか希望が通ることもあ る。夜間は男性と女性を隣同士にしないことといった原則もあるらしいが、 これは運ちゃんの人柄次第。ヘタに座席割り当てに文句を言ったために、超 太ったおばちゃんの隣に座らされて押しつぶされそうになった経験が私はあ ります。
それから、長時間乗るなら一番前の座席もできれば避けたい。足が伸ばせな くて苦しむだけならまだしも、ある晩、寝付けなくてボーッと進行方向を眺 めていたら、ライトに照らされて路上に浮かび上がった大きなカンガルー。 その姿がぐんぐん近づいてもバスが速度を落とす気配はない。思わず目をつ ぶった次の瞬間、床下で、バン、という軽い衝撃。バスは何事もなかったよ うに走り続ける。それまでも時々感じていたバン、バンという音の正体を初 めて知って、以来、夜のバス旅がちょっとつらくなった。
豪日交流基金ニュースレター「Australia Web通信」掲載 1999
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