仕事探し、オーストラリアのジョーシキ

1999年4月、日本では「女子職員募集」「男子営業マン募集」なんて求人広告 が一斉に姿を消した。一方オーストラリアでは、男女はもちろん年齢、国籍 などによる差別も法律でとっくに禁止していて、新聞の求人広告を見てもこれが徹底 されている。「社員募集。年齢35歳以下」「日本人スタッフ募集」。日本で は今もまかり通るこんな求人広告も、あちらでは通用しない。例えば学校が 日本語の先生を募集する場合でも「日本語が堪能な人」ならOKでも「日本 人ネイティブ」と限定してはいけないのだ。

ところで、オーストラリアの人に職業を尋ねて「会社員」とか「OL」なん て答えが返ってくることはまずない。仕事を探す時も、日本みたいに社名で 選ぶというよりは、仕事の内容で選ぶのが普通のようだ。オーストラリアの 新聞の「クライシファイド」欄に並ぶ求人広告を見るとそれを実感するのだ が、まず、募集している職種がとにかく細かい。ざっと見ただけでも「経理 」や「受付」「エンジニア」あたりは日本でもあるとして、専門的なものに なると「環境健康評価担当官」「オーディオビジュアル・インストーラー」 「主任雑草管理官」(このへんの日本語訳は結構適当です)などなど、こん な仕事もあったんだー、と感心してしまうような名前がズラズラ並んでいる。

ちなみに、日本でいう「お茶くみ(そんなの向こうでは存在しないか)&コ ピー取り」に相当しそうな職種には、「オフィス・オールラウンダー」(要 するに雑務全般?)なんていうのもあった。

結局、採用時に問われるのは、年齢とかどこの大学を出たかなんてことより も、まず経験と能力。転職しながらキャリアを積んでいくわけだから、高校 や中学の「校長募集」とか、「マネジャー(管理職)募集」の求人広告もご く普通に見かける。もっとも、経験が少ない新卒や20代の失業率が飛び抜け て高いという問題も、一方ではあるのだけれど。大学なんかでは外国語がペ ラペラのオーストラリア人もいくらでもいるけれど、ある知人に、それほど 日本語ができたら転職も有利なんだろうねと聞いてみたら、「語学は付加価 値みたいなもの。プラスして、例えば会計とかコンピュータとか専門知識や 得意分野がないと、語学だけじゃキツイ」とのことだった。

それにしても、日本人の中にはこうした考え方がなかなか理解しにくい人も いるようで、オーストラリアで発行されている出版物に「受付業務。25歳以 下のオーストラリア人女性」なあんて求人情報を掲載するんだと言ってきか なかったオジサンもいたりとか。社内でつい、セクハラや人種差別めいた発 言をしてしまうのもそんな人なのかもしれないけれど、被害を受けた社員が 公的機関に相談し、当局の調査が入るなんてことも十分あり得るのだ。

年齢や性別や国籍よりも、経験や能力・資格を重視するというスタンスは、 採用する側にとってもされる側にとってもやりやすいと思うんだけどなぁ。


豪日交流基金ニュースレター「Australia Web通信」掲載 1999

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