カンガルーとコアラの差別問題

オーストラリアでメジャーな動物といえばカンガルーとコアラ。でも国内での待遇はえらい違いがある。

長距離バスでオーストラリアを旅したときのこと。夜行バスで一番前の狭苦しい座席に割り当てられて眠れずに,ふと眼前に目をやると,バスのライトにこうこうと照らされて路上に大きなカンガルー。ぐんぐん迫ってくるのにバスがスピードを落とす気配はない。危ない,と思わず目をつむった次の瞬間,座席の下でバン,という音と,鈍い衝撃。バスは何事もなかったように走り続ける。今まで夜行バスに乗ると時々聞こえていたバン,バン,という衝撃はこれだったのかと初めて分かって,けっこうショックだった。オーストラリアで田舎道を走ると,道の両側にカンガルーの死体がゴロゴロしている理由も分かった。

オーストラリアの大地のほとんど(たしか80%くらい)は人の住まない赤茶けた不毛の大地。そこはカンガルーやエミューの領域で,そこに人間が侵入して作った道路で,その主であるカンガルーをどんどん踏み潰していく――そんなノスタルジーに駆られた。

カンガルーと違ってコアラは手厚く保護される。田舎でカンガルーが大量に射殺されるのは日常茶飯事なのに,コアラが増えすぎて射殺話が持ち上がった時には国中で反対運動。どうしてかな,と地元の人に尋ねてみたら,「そりゃ,コアラはぬいぐるみみたいで可愛いからだろ」と明快な答えだった。可愛い動物,希少種は大騒ぎして保護,そうじゃない動物は知らん顔で踏み潰す,なんか納得できないカンガルーとコアラの差別問題だ。

ちなみに田舎のヒマな動物園へ行くと,カンガルーが餌を求めてワラワラと寄ってきて楽しい。私は自分と同じくらいの身長はあろうかというヤツに,餌を持った手をわっしとつかまれて,そいつが全部食べ終わるまで放してもらえなかった。奈良公園で鹿に囲まれた以上の迫力だった。

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