1:見た目改善。でも・・・動力が

購入直後に撮影。結構きれいにできています。
*購入のいきさつ
ワールド工芸と言えば、高価な金属製モデルのメーカー。
半田付けが苦手な私には、キットですら手を出せない、あまり縁のない存在。
しかしその製品ラインナップは・・・旧型車両がズラリ!・・・私の好みの車両があくさんあるのです。
気にはなるけど手の出せない存在だったワールド工芸、
そのED16キットのユーザ組立品を中古模型ショップで発見したのは、2006年の春でした。
キットの組立品であることと、動力がスリップして走らないということで、
同社の製品にしては超破格とも言える価格だったのです!
確かに通電してみると、モーターは回っているのに、動きません。
裏返して見ると、ベルト駆動動力のベルトがかかっていない状態、
そのくせ、箱の中にはバンドの材料となる樹脂チューブは残っています。
ナンバープレートも未使用だし、組立ても塗装も比較的丁寧で、破綻は見られません。
「動力を直せば使える!」
そう思った私は、購入してしまったのでした。

左写真:台車はホワイトメタル製。塗り残しが結構あります。。。
右写真:片側のヘッドライトは取れました。手すりもかなり曲がっています。
*外見を詳細チェックすると
帰宅して早速詳細をチェックすると、いくつかの不具合を見つけました。
・台車の片側に塗り残し
完成を急いだのでしょうか?(笑)
・片側ヘッドライト外れ
半田付け不良でしょうか、購入時既にぐらぐらしてました。
・デッキ手すりの曲がり
素材はわかりませんが、手すりは一体成型。これがぐにゃぐにゃ曲がっていました。
・窓ガラスが入っていない
もともとキットには付属していないのでしょうか?ここまでやったのに窓ガラスがないなんて。。。
また、不具合ではないものの、ヘッドライトパーツは単なる円筒形で非実感的だし、
テールライトは軽くエッチング(プレス?)表現されているだけで、これも非実感的。
そこで、これらを改善することにしました。
ボディと下回りを分離したところ。
単なる円筒形のヘッドライトが哀しいし、エッチング表現のテールライトも玩具っぽいです。
*動力を調整・・・しかし!
さて、問題の動力です。
噂のベルト駆動とやらを拝見することにしましょう。
上回りをはずして動力を見てみると・・・
モーターは2個搭載され、車体中央にはウェイトも載っています。
説明書によると、2個モーターにするにはモーターを追加購入しないといけないし、
ウェイトも別売となっているので、組み立てた人はかなりお金をかけたんでしょう。
・・・って、あれ?モーター軸にはちゃんとベルトがあります。
単にベルトが車軸から外れていただけだったのです。
そこで早速、外れたベルトをかけなおし、試走させてみると・・・・
スルスル・・・っとベルトを滑らしながらも、走り出したのです!
なぁんだ、これなら大丈夫ジャン!
しかし・・・安心したのも束の間。
少し走らせていると、ベルトが外れてしまうんです。
どうやら、ベルトが伸びて緩くなってしまったようです。
ならば、残っていた樹脂チューブを細く切り、新しいベルトを掛けなおせばいい、ということで、
早速カッターで細く切りだし、やってみました。

これが動力。2個モーターとウェイトはオプションです。
右はその拡大。モーター軸にベルトがかかっている、恐ろしくチャチな構造です。。。
ところが、これが厄介者でした。
ベルトをかけた最初のうちは、ベルトがきつ過ぎて、ギクシャクとしか走りません。
そこで少し引っ張ってベルトを伸ばしてみると・・・今度は緩くなりすぎてスリップしてしまうのです。
ここで使用されているベルトが、ゴムのように伸び縮みする素材ではなく、
一度伸びたら元に戻らない・・・復元性のない素材なんです!
たまたまちょうどよいテンションになったときにだけ、とてもよい走りを見せてくれるのに、
しかしそれは、全く長続きしません。
ベルトの張り具合だけではなく、ベルトの太さを変えてみたり、
分解して電気接点を磨き、集電性を上げてみたりもしました。
でも、どうしてもうまくいきませんでした。
そこで・・・あることが想像できるのです。
前オーナーは金属工作の腕もあり、ED16への思い入れもあって、
かなり力を入れて、このキットを作ったのでしょう。
ボディの組立ても塗装も無事に終わり、
オプションのモーターとウェイトも購入し、動力を組み、さぁ仕上げを・・・
という段階で、この厄介な動力に手を焼いてしまい、窓ガラス、ナンバー装着、
塗り残し部分の補修をすることなく、失意のうちに手放してしまったのだと。。。
(マイクロエースから、素晴らしいプラ製のED16も発売されたしね)

中央寄りの2軸にかかっている黒い帯がベルト。
*見た目の改善に着手
私も・・・まともに走らない動力に、失意のどん底になりました。。。
しかし、悔しいので、ここで手放したりはしません。
せめて見た目を改善しておき、動力は後でどうにか考えることにします。
@ヘッドライト
ヘッドライトはどうせ1個は取れているし、残った方も非実感的なので、
銀河モデルの旧型国電用を装着しました。
ピンバイスで空けた穴に脚を差込み、裏から瞬間接着剤で固定しています。
実物写真を雑誌やネットで探し、参考にしたのですが、
走行写真や形式写真ばかりで屋根上を写したものがなく・・・取り付け状態はかなり想像です。
すぐ後ろにパンタがあるので、斜めの脚は短く切って、垂直に立てています。
固定後、シールプライマーを塗ってから、ぶどう色を筆塗りし、レンズを入れました。

ヘッドライトはこんな感じに付けました
Aテールライト
テールライトも銀河モデル。
エッチング表現されている中央にピンバイスで穴を開け、装着しています。
折妻なので半流用を使いましたが、
どうも実物写真を見ると、線路に平行になっているようには見えません。
なので・・・そのまま妻板と垂直に(線路よりやや外側を向いて)取り付けました。
また、通常なら裏側から瞬間接着剤で固定するところですが、
ちょうど妻板の裏側あたりに下回り固定用の「板」が渡してあり、それができません。
なので表から少量の瞬間接着剤を流しました。
ヘッドライト同様、固定したらシールプライマーを塗って、ぶどう色を筆塗りしています。
尚、テールレンズを入れるのには、また苦労しました。
銀河モデルのテールレンズは、裏から入れるとちょうどよい位置に止まるようになっています。
そう・・・先述した動力固定用の「板」が邪魔をして、入れるのが難しいのです。
そこで、以下のようにしました。
・あらかじめ、レンズを固定するため、少量のゴム系接着剤を付ける。
・爪楊枝の先端にも少量のゴム系接着剤を付ける。
・爪楊枝の先端の接着剤でレンズを保持し、「板」の後ろから差込み、
手探りでそのままテールライトの筒に入れる。
・筒に入ったレンズは、ゴム系接着剤で固着する。
これでなんとか、レンズを入れることができました。
やはりレンズが入ると、男前になります。

銀河モデルの旧国用ヘッドライトと、半流用テールライトを装着。だいぶいい顔になってきました。
B信号炎管と避雷器
どちらもKATOのASSYパーツを使いました。
しかし・・・屋根上の写真がないため、正しい取り付け位置が不明です。
そこで信号炎管は標準的な位置(助手席上)にしました。
避雷器の方は・・・実車でもヘッドライトのすぐ後ろにあるものと、
パンタと屋根上モニターとの間にあるものが確認できたので、
モニター寄りの位置にしてあります。
しかし、正確な位置はわからないため、適当です。
C色さし
塗り残しのあった台車には、ハンブロールの艶消し黒を塗りました。
側面の下端部は台枠部分なので、ここにも同じく艶消し黒を入れています。
さらに、薄めた艶消し黒をボディ全体に流すように塗り、ディテールを浮き出させました。
これでいかにも古豪然とした雰囲気も出て、いい感じになりました。

見た目の雰囲気はよくなったでしょ?墨入れの効果も見逃せません。
D手すりの修正
実物写真を見ると、ED16の手すりは垂直と水平で構成され、斜めの部分はほとんどありません。
そこで、ヤットコやピンセットで、できるだけ真っ直ぐになるよう修正しました。
なんとか・・・見られる程度には修正できたと思います。
Eナンバープレート
幸いに未使用状態で残っていたので、ハンブロールで黒く塗った後に文字を磨きだして、
所定の位置に貼っています。
でもこのナンバー、文字の形態が実物に似ても似つかない書体なので(特にE)、
やがて銀河モデル製のものに交換する予定です。

この字体はちょっと。。。
Fカプラー
当鉄道の標準である、KATOカプラーを所定の位置に接着しました。
先輪・動輪と一緒に首を振るので、接着しても牽引には支障ありません。
というか、もともとアーノルトカプラーも接着するように指定されているようですしね。
*見た目は完成・・・そして
さぁ、とりあえず見た目はどうにかなりました。
これが(ワールド工芸にしては)格安だったんだから、ヨシとしなければ。
しかし・・・まともに走らない動力は、どうにかしなければなりません。
私は、「動かないものは模型ではない」という主義だし、
組立てた前オーナーの無念も晴らしてあげたい(笑)と思うからです。
他製品の動力を改造して組み込むことでも考えるか、鉄コレ動力を利用して自作するか・・・
そんなことを思い始めてすぐの私に、思いがけない幸運が舞い込んできたのでした。。。

見た目はスバラシイ!
2:新動力を組み込んで・・・完成へ!
*幸運とは・・・
ネットオークションに、ワールド工芸のED16動力が安く出ていたんです。
しかも、ベルト駆動の旧式ではなく、TOMIXのギアを組み込んだ、ちゃんとしたギア駆動。
最近のワールド工芸のキット、完成品はこの動力に変更されていて、
走行性が劇的に向上しているんだとか。
・・・期待は一気に高まります。
早速落札、入手した私・・・
しかし、届いた動力を見て、ちょっと困ったことが起こりました。
*結局大改造
「ベルト動力の台車外枠が装着できない!」
そうなんです・・・TOMIX製の台車内枠(ギアボックス)はかなり大きめで、
ベルト駆動用の台車外枠を固定する部分が干渉してしまったのでした。
この動力の台車内枠は、TOMIXの何を流用しているのでしょう?ED75あたりでしょうか?
元々の台車外枠部分は、手作業で切り取られていました。
ならば・・・装着できるよう、干渉する部分を切り取ってしまえ!ということで、
台車外枠の左右を連結、補強し、内枠に固定していた部分を切り取ってしまいました。
固定方法はどうしましょう?
いろいろ考えましたが、結局内枠にプラ板を貼って、そこにこの外枠を接着することにしました。

台車外枠の加工。固定用の横枠を切り取ってしまいます。(左が加工前、右が加工後)。
しかし、もうひとつ問題がありました。
「先輪が固定できない!」
TOMIX流用の台車内枠には、先輪を固定する部分がありません。
新動力を利用している最近の製品は、どうやって固定しているのでしょう?
そこで・・・旧動力の先輪固定用の部分を切り出し、
Mカプラー用のカプラーポケットに差し込んで、接着することにしました。
この際、カプラーポケットにプラ板を一緒に押し込んで、固定しています。

先輪の固定には、旧動力の先輪部分を移植し、カプラーポケットに差し込みました。
先輪の先に見えるプラ板は、デッキを載せるためのものです。
さぁ、これでどうにかなります。
台車内枠にプラ板を接着し、そこに外枠を接着してみました。
どうも台車のホィールベースが微妙に違うようですが(笑)、
それはTOMIXの台車を流用しているため、仕方ないことです。
尚、この新動力をボディ内側にきっちりと収まるようにするためには、
動力の両側に1mm厚のプラ板を貼ればいいこともわかり、
モーターを固定している真鍮パーツに、プラ板を貼りました。
よっしゃぁ、これで完成か!
ボディを被せ、試走させると・・・ベルト駆動時代とは全く異なる、すばらしい走りを見せてくれたのでした!

台車内枠のプラに台車外枠を接着し、そこに台車外枠を接着してみました。
*しかし・・・強度が
しかし、ご機嫌で走行させられたのは、束の間のことでした・・・
接着剤の効きづらい素材の台車内枠に、プラ板を瞬間接着剤で接着し(しかも接着面積が狭い)、
そこにホワイトメタル製の重い台車外枠を接着するという、かなり無謀な工作をしたため、
ちょっとした弾みでプラ板が「バキッ」と外れてしまったのです。。。
こりゃ、ダメです。。。やはり無理があったようです。。。
台車の内枠と外枠の固定方法を、もう一度考え直さなくてはなりません。
*真鍮線で補強
どうすればいいか、私はしばらく考えました。
単に瞬間接着剤で接着するだけでは、引っ張り方向にも、横方向にも耐えられず、強度が不足する・・・
ならば、台車内枠とプラ板の間に真鍮線を差し込んだら、どちらの方向にも補強できるし、
接着面積の不足も補うことができるのでは?・・・と考えたのです。

台車内枠とプラ板との間に真鍮線を通して補強しました。
結果は大正解でした。
プラ板は強固に内枠に固定され、びくともしなくなりました。
この上に、ゴム系接着剤と瞬間接着剤を併用し、台車外枠を固定したのです。
尚、これと同時に・・・牽引力増強のため、鉛板を適当な大きさに切って動力に貼り付ける加工と、
車輪の輪心に艶消し黒を塗っておく加工も行いました。
前者は新動力がかなり軽量にできていたための処置、
後者は本来スポーク車輪であるべきものが真っ平らなのを、目立たなくさせる処置です。

左写真:台車外枠を接着。台車のホィールベースが微妙に異なってるのがわかるでしょ?
右写真:プラ板を黒くしてしまえば、全く目立ちません。
*上回りも仕上げる
苦労を重ねた下回りは、これでようやく完成です。
続いて上回りの仕上げを行いました。
透明プラ版で窓ガラスを入れ、非実感的だったナンバープレートを銀河モデルのパーツに交換、
全体に薄く溶いた艶消し黒のハンブロールをまぶした後、
エナメルシンナーを含ませたティッシュで拭き取ることで、全体的にくすんだ感じにしました。
しかし・・・ここまでいろいろな加工を行ったせいでしょうね、
ボディの塗装のあちこちに色剥げが見られます。
特にリベットや車端のエッジ部分などは、拡大して見ると悲惨な状況です。
ユーザが組立てて塗装したものなので、塗膜が弱いのはある程度仕方ないし、
肉眼ではあまり目立たないとは言え・・・いずれは補修(タッチアップ)をするつもりです。

左写真:内側から透明プラ板で窓ガラスを表現します。
右写真:書体が実感的な銀河モデル製ナンバープレートに交換しました。
拡大すると色剥げが目立ちます。。。(涙)
*感動の、完成です!
ここまで、予想外に苦労しました。
購入した当初は、ベルト駆動でも調整次第で使えるだろうと思っていたのに、
これが全くのダメダメだと気づき・・・
どうしようかと思った途端、ネットオークションでの新動力の出品にめぐり合い、
それを組み込めば完成だと思いきや・・・思わぬ大改造が必要となり、
しかもいったん完成しかかったものが強度不足で使えず・・・
ここでちょっとメゲてしまって数ヶ月間放置、
しかし一念発起して真鍮線で解決、ようやく現役ロコとして復活できたのです。
当鉄道に、小規模貨物列車に最適な牽引機が、また1両、就役しました。
このED16は、古豪然とした姿ではありますが、最新鋭機と同じく、大活躍させる予定です。

やっと完成しました。。。ここまで長かった。。。