May探偵橘字音シリーズ(シリーズなのか?)
May(メイ)→→→かも知れない・多分・〜で良いのですか
「僕は、人間というものの美しさを知るためにこの探偵という仕事をしているのかもしれな
いな。 生きる事の素晴しさなんて感じられたこともないが、一度は味わってみたいじゃな
いか。」
彼は咄嗟にそう言った。
これが彼の本心だったかどうかは分からない。
だが私はこの言葉が彼の本心であったと信じたい。
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私はここまで書いてペンを止めふと外を見た。
もう雪がちらちらと舞っている。
私はもともと売れない小説家だった。
だがそれは半年前までの事、今では毎週、週刊誌の編集者らしき人物がせわしなく原稿を取り立てにやってくる。
これも、あの日かれに会った事が多く影響しているのだろう。
あの日の事は今でも昨日の事のようにいや、あたかも今あったことのように思い出せる。
私は、(自分で言うべきでないとは思うが)純情可憐、剛毅木訥といった印象で誰からも親しまれる存在だったが、実際は根暗で内股膏薬な人間で友達はいても親友はいなかった。
彼はそんな私の欠けた部分を補うような存在だった。
彼のイメージは傍若無人の一言につきる。
彼は八方美人な私を嘲った。
だが何故かそんな私も彼の前では素になれた。
私は夕食を済ませて再び机に向かい自分の小説を読み返した。