あと何回、お前に愛を囁けば満たされる。






How many






「I love you」
「それはようございます」




幾度となく言い続けてきた言葉に幾度となくそれを聞いてきた女はこれまた幾度となく繰り返した返事をした。
それはようございます。そう言われ続けて自慢じゃないがよいことなんか一度もない。



「馬鹿の一つ覚えみたく返すんじゃねえ。もっとvariationを増やせ」
「政宗さまも人のこと言えるお立場ですか?顔を合わす度に同じ事を繰り返して」
「言っても言っても、足りねえんだから仕方ねえだろ」
「さようですか。それならも同じでございます。言っても言っても政宗さまがお聞きにならないようですので、何度も何度も同じ事を言っているのでございます」



つれない、なんてLevelじゃない。これは軽く嫌われているのではないだろうか。
の冷たい目が不安を更に掻き立てる。あの目は嫌いだ。ガキの頃を思い出す。



「政宗さま、いかがされました?まさかお体の調子が悪いのでは」
「そんな柔じゃねえよ。なにSeriousな顔してんだ」
「しりあす、がどのような意味なのか計り知れますが、あまり無理をなさらないで下さいませ。大事な御身、戦でなく病で倒れられては恨んでも恨みきれません」
「誰を恨むって?」
「自分めをでございます」



重たく吐き出された言葉と共にの目が微かに潤んだことを知った。
滅多に表情を変えず、変えたとしても弱みなど絶対に見せないこの女が涙ぐんでいる。

青天の霹靂。頭に何かがド直撃した気がした。



「戦では貴方さまをお守り出来ます。目に見えますもの。でも、病はがいくら助けようとしても助けられませぬ。そのような仕打ち、後生ですからどうか与えないで下さいませ」
「Okey。よくわかった。I’m sorry・・・I love you、
「またそうやって」
「ほう、違う反応だな」
「・・・意味は大して変わりませぬ」
、お前を好いている」
「ま、政宗さまっ!」
「へえ、そういったactionも返せるのか。さっきの異国語とそう意味は変わらんのにな」
「お戯れもいい加減にして下さい!」
「戯れじゃない。Seriousさ。Understand?」
「わかりませぬ!」
「okey、okey。それならわかるまで言ってやるよ」
「・・・それはようございます」
「だろ」



何回、何千回と囁いてもこの想いは満たされない。

満たされない飢餓感、でもこれがちょっと幸せだと感じる今日この頃。










平成18年9月30日