おジャ魔女はるかサイドストーリー

発覚!!魔女見習いかなえ編



そこはかなり広い部屋の中、そこに居るのは一人の少女と7つの小さな存在それだけが
その部屋を占拠している。
「何をやっているんじゃ、良い子じゃからでて来い!!」
年老いた声が部屋の中の少女を叱る。
「ハナちゃん、せめて説明してくれませんか?」
部屋の中の少女ハナに向けられた、静かだが説得力のある若い女性の声
外、入り口の辺りが騒がしいが、子ども扱いされているような(実際そうなのだろうが)
口調に反発し、無言のまま翆晶を眺めて居る。
説明する必要もやめる理由もない、すでに必要な了承は得ている。
本来はドアの外の二人の了承もいるのだろうが…
後は時を待つだけ。
「はるかたちなら、きっと大丈夫」
ハナ呼ばれた少女は7つの小さな存在たちにただ同意だけを求めた。
7つの小さな存在たちはそれぞれ‘コクン’とうなずいた。
そしてハナは黙って時を待つ、外は相変わらずうるさいがそれはどうでも良かった。
幾らか時間が過ぎた頃、翆晶が光を放つ
「せーの」
待ってましたとばかりにハナはそう言うと、手に持っていた楽器を演奏する、
その音色にあわせて水晶玉が強い光を一瞬だけ放つ
目的を果たしたハナは部屋を出て二人の女性に
「ないしょ〜」
とだけ言って、あとは一切そのことに触れようとしなかった。

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かなえは、読んでいた本をパタンと閉じると。
「テテ、お留守番よろしくおねがいしますね」
机にむかって声をかける、机…とは言っても勉強や書き物が出来るようなスペースは無く、
簡易本棚と化している、辛うじてテテの入る球と、筆記用具を置くスペースが設けられている
テテが球から出てくると、かなえの姿になる…足場になった場所に本が置いてあり
かなえ姿のテテはそれに滑って音を立てる。
「テテ大丈夫です?」
テテに手を差し伸べようとしたかなえも、何故かフラフラとぎこちない様子だった。
「て〜て?」
「いえ大丈夫ですよ、とっ、こんな事をしてる間に試験に遅れますね」
テテが立ち上がるのを確認したかなえは、パレットタップを取り出しボタンを押すと。
軽やかなメロディーが流れ、見習い服が出現する。
出現したそれを軽くジャンプし手早く腕を通す、腕を通すと自然に手袋が装着される、
床に付いた足からブーツが装着され、両足が床に着くと最後に頭を通す、
両耳にイヤリングが装着され頭上に尖がり帽が現れる、それを手でキャッチし頭にのせて
「プリティウイッチ、かなえっち」
服のすそやらを直し、帽子の位置を調整し、改めて服装の乱れを再確認して
軽く姿勢を正して名乗りを上げる。
テテは、その様子を見ていて少し不安な表情を浮かべる、
いつものかなえは、自分(テテ)が本を取り上げ、タップを握らせてはじめて渋々着替えている。
そして、自分の身だしなみよりも、先に本を開いて思い出したように、名乗っている、
そして名乗り忘れて何度も着替え直す、なんて日常茶飯事だったりする。
テテはこの原因が体調不良によるものだと理解していたが、どんな状態だろうとかなえは、かなえ譲らない時は譲らない
その譲らないものが健康な時と、不調の時ではまったく違う、今のかなえは本については、あっさり譲るが、それ以外はなかなか譲ろうとしない
だからテテは何も言わずにかなえを送り出した。

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かなえの母=つぐみは、調子の悪いかなえが置き忘れた本とノートを届けにかなえの部屋の前に居た。
入ろうと思った矢先、かなえが誰かに話し始めて、一部始終を目撃してしまった。
驚いてかなえの本を落としてしまったが、ちょうど部屋のなかでも大きな音がしたので気づかれることは無かったが。
落ちたノートとを手にとった時、その文字に目を奪われた。
「(魔女界言語?)」
そう書かれた見開きのページ、思わずページをめくっていくと、音楽記号がよく分からない法則で書かれている、その隣にはその読み方などが書かれていた。
思わず本を見ると、タイトルと思しき音楽記号が書かれている、ノートと照らしてそれを解読する
「(ま…じょ……かい、し…さん……?)」
カエルの子がカエルであるのが当然、ならばカエルの親も当然カエルである。
つぐみはかなえの記したノートと本を、交互に見ながら本の内容を読みふけっていく。
それを読み終えたころ部屋の中が少しさわがしくなる。

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「まったく、かなちゃんたら、次の試験が何時になるか分からないとはいえ、そこまで無理しなくても」
ぐったりとしたかなえを、みんとは支えるようにして部屋に入ると、待っていたテテが手を貸してくれた。
「テテちゃんありがと、まぁそのおかげで飛び級出来たんだけどね」
テテにお礼を言い、体調不良が極まって意識をなくしたかなえに、感謝を込めて言った。
かなえをベットに寝かすと、みんとはそそくさと部屋を後にした

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「(今の会話の流れだと確かに、この本に書かれている、魔女見習い試験と言うのに符合するけど)」
つぐみは悩みながら。
「(って事はまほ〜DOにいた他の3人も?、『魔女見習い』って聞くわけには、いか無いわね)」
そう言って本の内容を思い出す。
[魔女及び魔女見習いになったものは、いかなる理由においても人間達にそれを問われてはならない、
その場合マジョガエルとなり、そのものを魔女見習いとし魔女になるまで元の姿には戻れない]
その書『魔女界史3』には人間界にいる魔女たちの生活や呪いといった事は書かれていたが、
数年前に起こった事件には触れられていない、余談ではあるが、それが記されたのは3年前に発行の『魔女界史6』なので知る由も無い。
「(明日遠回りに聞いてみようかしら、魔女と言う言葉は多分出しても大丈夫よね?)」

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本を片手にかなえが食堂に顔を出した、それに気づいたつぐみは本を読み始める前に。
「かなえ聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」
イスに座り本を開こうとしたかなえは、渋々本を置くと、明らかに嫌そうに。
「構いませんが、何ですか?」
つぐみはかなえの前に一冊の本とノートを出して置くと。
「この本に書かれていることって、事実なの?」
かなえは置かれた本『魔女界史3』を手に取ると。
「そうですね、割と事実です、お母さんが考えているとおり、私たちは魔女見習いですし」
「イチハタさんに用ができたからいっしょにいくわ、それと魔女界の本を全部まほ〜DOに持っていくから用意しておいてね」

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「悪いがまた頼めるか」
かなえとつぐみの姿を認めたマジョセラが、はるかにそういうと、二人を座るように促した。
二人は魔女界の本をテーブルに置いて席に着く
「魔女界史と言う本に載っていることを確認したいのですが…」
つぐみはそう言った。
「ふむ、この本に書かれている内容は分かっているようじゃな」
マジョセラは、今の魔女会の現状、魔女界と人間界との交流のため、魔女が人間界にいること
人間に魔女と魔女界を知ってもらうために魔女見習いを育てていること、
「それに魔女に、というより魔法を必要に感じている子に、その機会を与えているっていうのもありますがね」
かなえは、別の魔女が魔女見習いにしたこと、なども付け足して話す
「この子の場合、魔女界の本が目当てだったと、その魔女が言っておったが」
マジョセラは最後にそう言ってから冷めたお茶を飲む。
「話の内容からすると、別にうちの子が魔女見習いを続ける理由は無いわけですか?」
つぐみが、少し考えてからそう言った。
「わしの立場から言えばないがね、この子自身には必要みたいじゃね」
マジョセラはそう言ってテーブルの上の本を物干しそうに眺めるかなえを見た。
「これらの本は原則として、我々に関わらない者に見せてはいけない規則があって、魔女見習いを辞めれば読んではいけなくなりますが」
それを聞いたかなえが恨めしそうに、マジョセラとつぐみを睨んだ。
「それがこの子の理由、ただほかの3人も、この子と魔女見習いを続けたいと思っているみたいですが」
「それでも…」
マジョセラの言葉に反応したがそれをマジョセラがさえぎった。
「かなえタップを置いて行くんじゃ、わし個人としてはどちらでも良いが、お前の母親は反対のようじゃ、この本は諦めろ」
そういわれてかなえは渋々涙をためた眼でつぐみをみつめ、ゆっくりとパレットタップを、
テーブルに置いた。
つぐみはそのかなえの眼を見て良心が痛んだりしたが、タップを置いたかなえをつれて家路に着いた。

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その夜つぐみは布団の中で涙を湛えたかなえの顔が頭から離れず寝ることも出来ずにいた。
「(私が悪者みたい、まぁかなえから本を取り上げたんだから、かなえにとって悪者なのかも知れないわね)」
まほ〜DOから帰った後も、今までと変わらない様子のかなえを見ていると、逆にひどい罪悪感が生まれた。
「(恨み言のひとつも言ってくれたほうが、よっぽど気が楽なんだけど)」
寝れないと思っていたつぐみだが、唐突に脳が眠りを誘っていった。

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様子からして体調不良ではなさそうなかなえが、パタンと本を閉じると
「テテ、後お願いしますね」
そう言ってあっさりと見習い服に着替え、静かに家を後にした。
全員が席に着いたのを確認すると
「どういうことなのかな?まほ〜DOの全員が一度にばれちゃうなんて」
はるかがそう切り出した。
《はいぃ?》
ほかの三人が同時に素っとん狂な声を上げた。
「全員てみんなもなの?」
みんとがそういって見回した。
「はるかちゃん、まほ〜DOによくいられたね?」
あずさが疑問を口にした。
「そうですよね全員ってことは、はるかちゃんも見付かってしまったんでしょう?」
かなえが同意するようにそう言ってきた。
「うん見付かっちゃったけど私の場合は、お母さんが魔女見習いでいること許してくれたから」
「理解力のある人なんだね、はるかちゃんのお母さんって」
あずさがそう言ってはるかを見つめる。
「あはは・・・まぁね・・・」
‘ガチャ’っと音がして裏口が開いた。
「ふぃ〜〜抜け出すのに苦労しちゃった」
そんなことを言いながら、金髪をツーテールにした少女が顔を出してそういった。
《は、ハナ女王様》
4人が声をそろえてそう言った。
「ハナちゃん、ハナちゃんって呼んでっていったよ〜」
「そうでしたハナさん、今日はどうかしたんですか?」
はるかは、ハナが訪れた理由を尋ねた。
「みんなお母さんに、魔女見習いってばれちゃったでしょ〜〜」
何か含みのあるような言い方をした。
「あれね〜ハナちゃんがやったんだよ〜〜、何とかできるって信じてるから、がんばってね〜」
そう言って再び裏口から出て行った。
「嵐のように去っていきましたね、それに今回の原因がハナさんなら、マジョセラも怒るに怒れませんね」
かなえはそう言って、少しほっとしたようにため息をついた。
「でも何とかしないといけないね、私もこんな中途半端な終わり方は嫌だし」
「はるかちゃんには、ご迷惑おかけしますが何とか説得して続けられるようにがんばります」
とかなえは、はるかにではなく本をいとおしそうに見つめていった。
「って、かなえちゃんその本が読めなくなるのが嫌なんだね」
しばらく話した後はるか達は、適当な感覚に広がると
「ペ〜レッテレ〜ネ・にこやかに〜」
「ト〜トルナ〜ナル・なごやかに〜」
「パ〜ラッケラ〜テ・かろやかに〜」
「パ〜ランニ〜ニル・あきらかに〜」
《マジカルステージ、私達の未来に光がありますように》
魔女見習いとして4人でいられるよう深く願うように、マジカルステージを発動させる。
暖かい光が四人を包み込むと何事もなかったように光が消える。




というわけで長かった14話のサイドストーリーもこのかなえ編で終わり、
いよいよ15話です。
予定からだいぶ遅れましたが…

次回おジャ魔女はるか
『朝日はフルートの音色と共に』