おジャ魔女はるか
朝日はフルートの音色と共に
あれから、3週間が経ち夏休みを迎えていたが、特に進展は無く、三人との連絡もとっていなかった。
はるかは、一人では店を開けられないため、ひたすらグッズを作り続けていた、
3人が戻ってくることをひたすら信じて。
「はぁ」
そして今日何度目かのため息をついて、何度目かまほ〜DOを見回す。
「こんなに広かったんだね、まほ〜DOって…」
いつもは3人がいて、たくさんのお客さんがいる、必ずにぎやかなまほ〜DOそれが当たり前だった。
「はるか、無理して来なくてもいいぞ」
いつの間に帰っていたのかマジョセラがそう言ってくれる。
「大丈夫、心配しないで…それじゃあ今日は帰るね」
はるかがまほ〜DOを出て行くのを見送ってマジョセラが口を開いた。
「あんな、はるか見ておれんぞ、何とかならんかのぉ」
「そうね、今にも自殺しそうな雰囲気なのよね」
ククがそう言って同意する。
「他の三人も心ここに在らず、といった感じじゃが…」
水晶をだして、あずさ、かなえ、みんとの様子をのぞくと、
あずさは、友達と鉄棒をやっているようだが、友達に心配されている、
運動が得意なあずさが、逆上がりすら満足に出来なくなっている。
その友達に「大丈夫、大丈夫」とでも言っているのだろうか、頭をかきながら笑顔を作っていた。
かなえは、一見普段と変わらないようだったが、本を読んではいなかった、本を開いてそこに顔を落としているが、
何時までたってもページがめくられる様子は無なかった。
みんとも同様で、演技は失敗する、何も無いような所で転んだりと失敗を繰り返している。
一通り様子を見終わったマジョセラが水晶を片付けると、
デナが軽快な音楽とともに現れた。
「こんにちはセラ、珍しいわねこんな時間にいるなんて」
「まぁな…それで何のようじゃ?」
「うん注文の再確認に来たんだけど?」
「再確認?どういうことじゃ」
デナはマジョセラに、注文表を見せながら。
「これなんだけどね、しばらく店空けてないからそんなに要らないって、言ってたんだけどね」
マジョセラはそこに書かれている商品名と注文数を見て。
「何じゃこれは?、何時もの3倍の注文じゃないか」
ククもそれを覗き込むと。
「早く何とかしないと、あの子達いろんな意味でやばいわね」
「ところで、コレどうしよっか?」
デナが注文表を受け取ると、そう言ってマジョセラの顔を見た。
「デナ悪いが全部キャンセルじゃ、すまんな」
「気にしないで〜、キャンセルは残念だけど、何時もお世話になってるからね…それじゃあまたね〜」
そう言ってデナは‘ボン’と言う音を残しまほ〜DOから消えた。
「仕方ない一騒動起こそうかのぉ」
ククとそんな話をしていると‘カラン’と音がして入り口が開いた、入ってきたのは魔女界の女王のハナだった。
「だ〜めだよ、そんなことしたら、ここまでやってる意味が無いもん」
「しかし女王様これでは、あんまりでは…」
「誰がなんと思おうと、絶対に手を出しちゃだめだよ、これは命令だからね、破ったらお仕置きだかんね」
とり付く暇も無く一方的に告げて、さっさと帰ってしまった。
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運命が望んだのか『ソレ』はやって来ていた。
まず訪れたのは記録的な猛暑だった、連日40度近い気温を示していた。
おかげで熱射病、熱中症、脱水症の患者が数百を超えた。
各家庭、会社、その他各施設で冷房を使用したことでさらに室外の気温が上がる、
と言う悪循環を生んでいた、その影響で度々大停電を引き起こすなどの被害に及んだ。
はるかは、ひとりでも多くの人の助けになろうと町中を駆け回っていたが、
はるかも熱を出して倒れたりした。
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続いてやって来たのは台風だった、狙ったように続けざまに静岡に上陸した。
何とか立ち直ったはるかは、これから起こるであろうことを、占うと、
あわてて暴風雨の中を箒に乗り飛び出した。
はるかはまほ〜DOに訪れると、保管していた3つのタップを持って再び飛び出していった。
まほ〜DOにいたマジョセラたちがとめようとした時すでに飛び出した後だった
「何じゃあのあわてぶりは?ちょっと占ってみるか」
そう言って水晶を取り出し占い始める
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はるかは、台風の中あずさの家にやって来ると、あずさの部屋の窓をたたいた
「あ〜ん、こんな天気じゃ、窓たたいても気づいてもらえないよ〜」
はるかが頭を抱えると、タイミングよく窓が開いた。
「はるかちゃんほんとに来てるよ…ってそんなことより入ってよ、今タオルとか持ってくるから」
「コレ渡したら、すぐ行くから良いよ」
「まぁまぁ、ちょっと待ってってよ」
しばらくしてあずさが戻ってくると、その後ろからぞろぞろと、誰かがあずさの部屋に入ってくる。
「ひさしぶり〜はるかちゃん」
そう言って声をかけてきたのはみんとだった、続いて
「お変わりないようで、よかったです」
かなえがそう言って安堵のため息を漏らした
「な、んで…」
「あまのさんが、ボク達の前に現れて、今日はるかちゃんが来るから会うようにって」
言われたが、その後ろからは、あずさの母れい、みんとの母けいこ、かなえの母つぐみが入ってきたため
再び口をとじた。
「お母様たちがいるのは、私達が説得していたからなんです」
かなえがそう言って、
「魔女見習いに戻りたいから」
その言葉の先をみんとが、
「それから、まほ〜DOで」
あずさがそれに習う、
「それだけじゃありません、その前に」
かなえの言葉にみんとあずさがうなずく。
《また4人一緒にやりたい》
そういってあずさ、みんと、かなえは声をそろえて宣言した。
「みんな…」
はるかは、その先をいえなくなってしまった、もちろんその先に続く言葉はあったが、
言う必要が、言う意味が無いことを理解したから、だからはるかはその後の言葉を行動で示す、
そっと三つのタップを取り出した、3人はそれを受け取ろうとして、
「何度も言ってるけど、私たちは反対よ、そんな何だか分からないもの」
そう声を聞いた、しかしそれを無視して、三人はタップをつかむと、タップのボタンを押して
見習い服に身を包んだ
「やめて、お願い」
再び誰かの母親が言った、3人はやっと振り返ると顔を見合わせて頷きあうと
「私たち決めたから、何て言われても魔女見習いも全部続けるから、はるかちゃんに会って決心したちゃったから」
3人を代表して、みんとがそう言った。
「それに、はるかちゃんが来たって事は、マジカルステージが必要だから」
みんとは相手が、口を挟むすき無く語り続ける。
「…な、何の音?」
さらに続けようとしかみんとは‘ゴゴゴ’というとてつもない音によって言葉を失った。
「いけない、時間がもう無いみたい、急がないと」
『現在高波が接近中です、直ちに避難してください、繰り返します・・・』
「一体何が起こっているって言うの?」
母親の一人が言った。
「簡単に言うと、この町に大津波が来てます、このままだと町が海に飲まれちゃうんです」
「それじゃあこんな所で、のんびりしてられないね、いそごうよ」
そう言ってあずさ、かなえ、みんとが窓から飛び出した。
「や・・・」
「何度も言いますが、止めようとしても無駄ですよ、さぁはるかさん急ぎましょう」
誰かの言葉を、あっさりと遮って、かなえは、はるかに手を差し出す。
はるかはその手をとって再び台風の空へ、本宮家上空で、
はるか達はマジカルステージのための準備に入る。
「まほ〜DO看板娘復活記念イベントね」
ほうきに横乗りしたみんとが、そう言ってポロンを構える。
「やっと、何時もの自分に戻れた気がします」
箒にまたがって乗っている、かなえはそう言いながらポロンを構える。
「かなえちゃんの意見に賛成かな、ボクもそんな気分」
器用にも、ほうきの上に立っているあずさは、何度もうなずいてからポロンを構えた。
「それじゃあ、はじめようか…」
はるかがポロンを構え呪文を唱えようとした時、
「はるかちゃんノリが悪いよ、せめて意気込みとか言わなきゃ」
そう言ってみんとに突っ込まれてしまう。
「そんな事言われても、困るんだけどな〜…あ〜こないだの注文多く頼みすぎちゃった〜」
《へ?》
途方も無く意味の不明なはるかの言葉に他の三人は首をかしげた。
「なんのはなしなの?」
「この前、デナが来た時、少なく注文するつもりで、何時もの三倍頼んだ覚えが…」
はるかは、そう言って頭をかいた。
「大丈夫、私達がそろって店を開けば一日でその倍は売り上げられるから…」
みんとが、そう言って笑っている。
「みんとちゃん笑いすぎだよ〜…わぁ〜」
あずさは、笑いすぎて足を滑らせる。
「お二人ともそんなに笑わなくても…」
「そう言うかなえちゃんも、笑ってるじゃん」
はるかが渋い顔でかなえに言った。
「も〜はじめるからね・・・ペ〜レッテレ〜ネ・にこやかに〜」
はるかは、地面に向け構えなおしたポロンを、静かに天空へ向ける。
「ごめんごめん、ト〜トルナ〜ナル・なごやかに〜」
はるかに習ってあずさもポロンを天空に向ける。
「早くしないと大変なことになっちゃうんだよね、パ〜ラッケラ〜テ・かろやかに〜」
みんとも同じようにポロンを天空に向ける
「私達も風邪を引いてしまいます、パ〜ランニ〜ニル・あきらかに〜」
かなえのポロンが天空を指したとき4人のポロンが光を発し、
その光がポロンを離れ四人を囲むように輪を作り出した。
《マジカルステージ・津波を何とかして〜》
言葉に反応するように、光の輪が四人を通り抜け収縮すると一気に弾た。
何事も無かったように台風による風の音が響いている
『発生していた高波が突如消滅いたしましたが、第二は第三の津波警戒のための非難は行ってください』
そんな放送が4人に聞こえてくる。
「そんな津波も起こさせないけどね」
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台風が通過し雨が上がり雲の切れ間から星空が顔をのぞかせている
家の外で上空のはるかたちを見守っていた母親達は。
「アレからずっと、元気が無くて心配していたけど…」
「今のあの子達、本当に生き生きしてるわね」
「確かに不安だけどだけど…」
三人の母親が見詰め合ってうなずき会う
「あずさ〜」
「かなえさん
「みんと〜」
呼ばれた3人とはるかが見下ろしている
《あなた達がそれを続ける事を許します》
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《あなた達がそれを続ける事を許します》
そう聴いた瞬間4人は飛び上がりそうなほどはしゃいだ。
「これからはまた、まほ〜DOを盛り上げていきましょ〜」
みんとがこぶしを上げた。
「かなえちゃんは本を控えてね」
あずさがかなえを見つめていった。
「読書は良いんです」
かなえはあずさを睨むように言い返した。
「やっと戻ってきた感じ…お帰りなさいみんな」
はるかは、懐かしそうにみんなを見てそれから一言そう言った。
《ただいま》
あずさ、みんと、かなえは声をそろえてそう、はるかに返した。
「何かこ〜嬉しいと一曲演奏したくなるね」
「え〜あずささん楽器演奏できたのですか」
「しつれいな、ボクだって楽器のひとつくらい演奏できるよ」
あずさの言った言葉にかなえが意外そうな声を上げる、それにあずさが言い返した。
「それじゃ、みんなで何か演奏しよう、魔法で得意楽器出して」
《お〜》
みんとの提案に他の3人が手を上げた。
「ペ〜レッテレ〜ネ・ク〜ルルク〜タン」、「ト〜トルナ〜ナル・ミレ〜セニ〜ニ」
「パラッケラ〜テロ・ク〜メリ〜ド〜リ」、「パ〜ランニ〜ニル・ミ〜シ〜ニ〜レラ」
《フルートよ》
「出て」「出ろ」「出てきて」「出てください」
4人が同時に同じ楽器をだした
「ってみんなフルートなの?」
「共通点なんて無さそうに思えたんだけど…」
「物凄い意外だよ」
「こういうこともあるんですね〜」
四人がそれぞれ感想を漏らすと
「まあいいじゃんフルートの四重奏やってみよ〜って何か曲あったっけ?」
「いくつかありますけど、全員が知ってる曲が有るとは思えませんよ」
「同じ楽器の四重奏なんて滅多に機会ないもんね…」
「何か無いかしら?」
《あれ?》
四人に知らない曲の旋律が頭に流れた、
初めて知った曲だが、四人にはとても懐かしいような、
何時も演奏しているような、不思議な感じがしていた、4人は初めて感じたその曲をごく自然に
迷うことなく奏でたその演奏に魅了されたように、ゆっくりと朝日が顔を出した。
次回おジャ魔女はるか
『ハナちゃんお願い』