簡単な月面スケッチの方法
「月のスケッチはむずかしい」「書きたいけれど面倒くさい」「サラリーマンなので時間が無い」「小学生時代、図工の成績が2だった」という方のために、「簡単な」月面スケッチの方法をご紹介します。この方法は私のオリジナルではなく、以前「天文と気象」という雑誌で紹介されていた方法を少しアレンジしたものです。
1.スケッチの道具
(1)スケッチブック
100円ショップなどで売られているA5サイズのスケッチブックが使いやすい。
(2)2B鉛筆
私は基本的に2B鉛筆1本を使っていますが、お好みに合わせてHB〜6Bなどを揃えると良いと思います。
(3)ノック式消しゴム
シャープペンシルのようにノック式になった消しゴムです。月面の明るい部分を描
くのに使います。
(4)トイレットペーパー
必需品です。おしりを拭くのではなく、スケッチのボカシに使います。
(5)練り消しゴム
明るい部分のボカシに使います。
(6)懐中電灯
スケッチの現場で使います。スケッチしている最中に電池が切れると嫌なので、私は手動で充電できるものを使っています。
2.スケッチの準備
実際に天体望遠鏡をのぞく前に、準備をします。
(1)鉛筆でうす塗りする
2B〜6Bくらいの柔らかい鉛筆で、スケッチ用紙全面をうすく鉛筆で塗っておきます。鉛筆を斜めに倒しながら、できるだけムラ無く塗ります。

(2)トイレットペーパーでこする
鉛筆でうす塗りした部分をトイレットペーパーでこすり、色が全体に滑らかになるようにします。

これで準備完了です!
3.望遠鏡をのぞく
実際に望遠鏡をのぞいて月面を観察します。あらかじめ対象を決めておくのも良いですが、実際の月面を見て、珍しい地形、美しい地形などを見つけたら、それをスケッチするのが良いと思います。
(1)大まかに位置を決める
対象を決めたら、まず大まかに周囲のクレーターとの位置関係をざっと書きます。位置関係が狂うと、あとで苦労します。

(2)「光と影」に注目して記録する
次によく観察して、できるだけ細かいところを描いていきます。この時「光と影」に注目することが大事で、「光の部分(明るい部分)」と「影の部分」を「対」にして描いていきます。「光あるところに影がある」の諺?通り、光と影は必ず一対になっています。初心者の頃はついつい「影」ばかりに注目してしまうのですが、その影をつくっている「光の部分」を忘れずに描くようにします。

静物画を描くのとは違い、月面は動くので、最初はなかなかうまくいかないものです。特にシンチレーションで細かく動くのがわずらわしく、ついさっき見えていた地形が、ほんの数秒後に見えなくなってしまうこともよくあります。そういう時は心眼に映して「エイッヤッ」と書いてしまいましょう。時には大胆さも重要です。
(3)部屋に戻る
「光の部分」「影の部分」を記録し終わったら、部屋に戻ります。このとき、できれば望遠鏡を出したままにしておきます(仕上げの際に再チェックが必要になることがある)。
「光の部分」をノック式消しゴムで描き、「影の部分」を鉛筆で黒塗りしましょう。また徐々に暗くなる部分をトイレットペーパーでこすったり、徐々に明るくなる部分を練り消しでこすったりして、ボカシをかけましょう。
仕上げの途中で、観察もれに気づくことがあります。こういう時は可能なら、再度望
遠鏡をのぞいてチェックしましょう。

さあ、完成です!慣れてくれば、準備から仕上げまで20分くらいで終わります。
(4)小学生によるスケッチ例
上のスケッチは、小学3年生の子がスケッチした「ティコ」と「シラー」です。ティコのレイ(光条)など、正確に描けているとはとても言えませんが、月面の特徴ある2つの地形の対比がうまく表現されています。何より、観察者が「何に注目したか」がストレートに伝わってきます。
このスケッチ法は簡便なのですが、色調が3段階しかなく(白、黒、灰色)、口径10cm以上 の望遠鏡を使った場合は、細かい情報が充分に再現できなくなります。あくまで小望遠鏡を使った観察や、天候が急変したときのラフ・スケッチに適した方法と考えて下さい。ちなみにコルキット・スピカを使った私のスケッチでは、ほとんどこの手法を 使っています。