クレーターの形成年代について(お勉強)

 

 最近知ったのですが、アメリカ地質調査所(USGSがアポロ時代に作った月面の地質図が公開されています。

http://www.lpi.usra.edu/resources/mapcatalog/usgs/

 

この地図を見ながら、月面の地質について勉強したいと思います。なお、私は地質学の素人ですので、以下はあくまで私の理解の範囲です。

 

1.コペルニクス周辺

 

まず月面随一の名所であるコペルニクス周辺の地質図を、実際の地形と比べてみましょう(正立像、つまり上を北にして表示しています)。

 

かぐや「レーザー高度計全球データ」をカシミールで表示したもの(筆者作成)

USGS I-703 Geologic Map of the Near Side of the Moon

 

地質図では、クレーターや山脈が色分けされていますが、その意味は以下の通りです(年代はWikipediaによる)。

 

 

コペルニクス系

最近〜11億年前

 

エラトステネス系

11億〜32億年前

 

インブリアン系

32億〜38億年前

 

先インブリアン系

38億〜46億年前

 

この年代分けは、地質の重なり具合(層序)から決めたそうです。これにについては、「月の科学」(P.D.Spudis,水谷仁 訳)に詳しい説明があります。曰く、

 

コペルニクスは他のすべての層の上にある。エラトステネスは海ができたあとだが、コペルニクスより先である。海の物質は上の2つのクレーターの下にあるが、アルキメデスを満たしている。アルキメデスは雨の海ベースンの内側にあり、したがって雨の海ベースンより若い。このようにして1枚の写真から、我々はこれらのそれぞれのイベント(コペルニクス『最も若い』から雨の海ベースン『最も古い』まで)の相対的年代を推定できる。

 

まあ要するに、

 

(1)   元はアペニン山脈やカルパチア山脈にみられるような、起伏のある地形だった

(2)   巨大な微惑星が飛び込み、雨の海(Mare Imbrium)が形成された

(3)   大きめの隕石が飛び込んで、アルキメデスが形成された

(4)   その後、雨の海が溶岩で満たされ、アルキメデスも溶岩の湖になった

(5)   雨の海やアルキメデスの溶岩が固まった後、隕石が飛び込んでエラトステネスやランバートが形成された

(6)   最近になって(といっても数億〜11億年前)、新しい隕石が飛び込んでコペルニクスやティモカリスが形成された

 

こんな感じでしょうか。

 

地質図を見てから改めて月面を見ると、何だか数十億年のダイナミックな変動が見えてくるような気がします。

 

2.カタリナ・キリルス・テオフィルス

 

 さて、もう1つの月面の名所として、カタリナ・キリルス・テオフィルスの火口列を取り上げてみましょう。

 

かぐや「レーザー高度計全球データ」をカシミールで表示したもの(筆者作成)

USGS I-703 Geologic Map of the Near Side of the Moon

 

カタリナ〜キリルス〜テオフィルスというと、サイズが似ていて重なっているので三つ子のクレーターと思われがちですが、その形成年代は全く違います。カタリナとキリルスは非常に古いクレーターで、先インブリアン系に分類されています(38億年以前)。一方テオフィルスは非常に新しいクレーターで、最近11億年以内につくられたコペルニクス系です。

 

神酒の海にはインブリウム期の溶岩に満たされていて、フラカストリウスの中にも入り込んでいます。したがってフラカストリウスも先インブリアン系の古いクレーターです。

 

確かに望遠鏡で観察すると、クレーターの年代がある程度わかることがあります。私の観察記にも以下のような記述があります。

 

テオフィルステオフィルス

20092118:00 月面余経度346.7°

MC127 UW6mm250×

火口内部に小クレーターがほとんどなく、比較的新しいクレーターのようです。今回は描きませんでしたが、お隣の「キリルス」内部は大荒れに荒れており、形成年代が明らかに異なっています。

 

 

素人ながら、何となく新しい、古いがわかるものです。今後も火口内部の荒れ具合や、地形の重なり具合にも注意しながら観察を続けていきたいと思います。

 

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