星のソムリエ トークテスト
以前にも書きましたが、私は星のソムリエ(星空案内人)の資格取得を目指しています。三鷹ネットワーク大学の場合、星のソムリエの資格を取るには以下の段階を踏んでいかねばなりません。
1) 講義に出席して単位を取得する
2) ペーパーテストを提出し、合格点をとる
3) 実技@ 天体望遠鏡の組み立て
4) 実技A 星座を探す(室内でパソコン使ったテスト)
5) 実技B 一般の方を対象に、星空トークを行う
6) 実技C 一般の方を対象とした天体観望会を、安全かつ円滑に行う
これらのうち実技Bは、「みたか星空散歩」という一般の方を対象としたイベントで20分間星の解説を行い、来場者のアンケート結果で合否を判定するという、ガチンコ勝負です。しかも、スライドを使って良いのは基本的にその日の星空のみ、あとはトークで乗り切らねばなりません。
平成24年4月26日の「みたか星空散歩」でトークテストを受けてきました。

どんな話をすれば良いのかさんざん迷ったのですが、しょせん専門家ではないので、知識を伝えるのではなく、「感動を伝える」ことに集中しました。私という1人の人間が、どんな星を見て美しいと感じたか、どんな星座や神話が好きか、ということを正直に話せば、何らかの共感が得られるのではないかと考えたのです。具体的には以下の話を用意しました。
(1)惑星と1等星のペアが美しい
ちょうどこの時期、火星とレグルス、土星とスピカがそれぞれ近くに並んでいて、見ごろになっていました。1等星と惑星のペアであれば東京でも肉眼で楽しめると思い、まずこの話をしました。ステラナビゲータで当日の南の空をスクリーンに映し、見上げると火星とレグルス、南東には土星とスピカが見えることを説明しました。特に火星とレグルスの色を注目して下さい、と強調しました。
(2)おおぐま座の神話(カリストーの悲劇)
カリストーという美しい女性が、ゼウスとの間に子供を作ってしまったために、后のヘーラから呪いを受けて熊の姿に変えられたあげく、息子に矢で撃たれるという悲しい物語です。カリストーに感情移入していただくために「考えてみて下さい。姿は熊ですが、心は美しい女性のままなのです」と言ってみました。
(3)かみのけ座の話(ベレニケーの伝説)
私の好きな星座として、かみのけ座というマイナー星座を紹介しました。この星座を形作る星団(Mel 111)が非常に美しいことや、東京でも双眼鏡で充分に楽しめることを話しました。かみのけ座にまつわるベレニケーの伝説については、神殿に備えた髪の毛がなくなって、神官たちが慌てた様子を少し創作を交えてお話しました。
(4) 金星の太陽面通過と、1761年の金星大気の発見
来る6月6日に迫る金星の太陽面通過にちなんで、1761年の太陽面通過で金星大気が発見されたこと、その後約200年にわたって金星に生物がいると信じられてきたことをお話しました。
(5)タイタンの不思議な世界
見ごろを迎えた土星にちなんで、惑星探査機カッシーニ/ホイヘンスが見たタイタンの不思議な世界について話をしました。マイナス180℃のタイタンの世界では、メタンの雨が降り、メタンの川が流れ、そこでは氷はただの石ころであることを話しました。
さて当日、十数名のお客さんが来場されました。お客さんのタイプは
(A)中高生(天文少年と少女?)
(B)ご婦人(きれいな星が好きな方?)
(C)中高年の男性(マニアの方?)
(D)関係者(先輩ソムリエの皆さん)
の4つに分けられました。テスト前日は緊張で良く眠れず、当日は喉がカラカラに乾き、終わってぐったりしてしまいましたが、何とか話し終えました。
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数日して、合否判定とともに来場者からのアンケート結果が送られてきました。来場者からいただいたご意見(赤字)と、それに対する感想(青字)です。
【 良かったところ】
・神話が面白かった(6件)
・かみのけ座を見てみたくなった(2件)
・惑星の話が良かった(4件)
・星のペアなど、現実に見えるものの説明が良かった(3件)
・全天星図を使わないところが良かった(1件)
神話の話は正直言って受け入れられるかどうか心配でした。私自身、子供の頃は神話があまり好きではなく、どちらかというと科学的な話の方が好きでした。大人になってから神話の面白さが少しわかるようになりました。感情移入していただいたかどうかは分かりませんが、お話としては聞いていただけたようです。また惑星とかタイタンの話が好評だったのもちょっと意外でした。私が子供の頃は想像の世界でしかなかった惑星の世界ですが、今は惑星探査機によって明らかになりすぎて、かえってイマジネーションが膨らみにくいと思っていたのです。
全天星図を使わなかったのは偶然です。最初は、国立天文台のホームページにある「東京の星空」という全天星図を使う予定でした。ところが、なんとこの星図には「かみのけ座」が無い!(笑)。そこで急遽ステラナビゲータを用意して、ベランダから見る星のイメージを投影したのです。
改善すべき点
・おおぐま座がどれだかよくわからなかった(1件)
・テーマを絞った方がより良かったのでは?(1件)
・もう少し画像を使った方が良い(3件)
・少し早口(2件)
・語尾が聞き取りにくい(1件)
・「間」が長い(1件)
「おおぐま座」については完全に私のミスでした。おおぐま座は有名なので知っているだろう、と勝手に思い込んでいました。「早口」や「間」については、テストなので時間を意識しすぎました。もう少しメリハリをつけても良かったかも知れません。また当日の星空以外、画像なしで説明したのもちょっとトークテストを意識しすぎだったみたいです(ルールでは5枚まで画像を許されていました)。
トークテストの結果は何とか「合格」、次のステップに進むことが許されました。このメモが、星のソムリエを目指す人の参考になれば幸いです。