へラー:リズムと表現のための練習曲
まさしく、音楽作りの素材を勉強するのにはとても適している練習曲集です。
技術的には難易度が低いものの、表現やタッチの選択をこの練習曲集でじっくりやっておくと、
この後、ロマン派の曲でかなり役立ちます。
ある程度のタッチが習得できたらば、楽譜のアナリーゼもかねて弾き始めて行きたいですね。
指導者の方によっては、まず指の強化・独立ができないと表現の勉強に入らない先生もおられますが、
私はむしろ逆に表現したいという意思があって、そのための技術の習得を意識する方が
取り組みに意欲が出るかなと思っています。
ロマン派の小曲へのいざない
NO.2
へラーのこのほかの曲集・・・・・・・ツェルニー系ではつまらないという方にお勧めです。
| 25の練習曲 | 25 merodious sturdies Op.45 |
リズムと表現を学んだ人には、譜面への抵抗もなく取り組めるでしょう。 表題がありとても楽しい曲があります。発表会にも使えます。 ブルグミューラー25が終わられた方にお勧めします。 近藤たか子氏の解説があります。 |
| 30の練習曲 | 30 fortschereitende etuden OP.46 |
リズムと表現に続けてチャレンジしてください。 少し長めの曲も後半にあります。 25の練習曲とは異なり、いわゆるエチュード形式ですが、 へラーらしく表現への丁寧な練習を意図しています。 阪本みどりさんの解説があります。 |
いわゆるドイツ系しかやってこなかった生徒さん (バイエル、ツェルニー、ソナチネ、ソナタの経過でした)に、
非常に短期間でロマン派的な要素を学んでもらう時にも使いました。
その他、緩やかに学びたい方には最適です。

12.23 追記

へラーに関してはあまり触れているHPもないようなので、教材の解説より抜粋して
私なりにまとめたものを下に載せておきます。
シュテファン・イシュトヴァン・ヘラー・・・・・・・・・1813年ハンガリー生まれ
ショパン・シューマンより3才年少である。
両親はユダヤ人であったが12歳の時、両親と共にカトリック教徒となる。
少年時代より、和声の基礎教育・ピアノ奏法を学びその後ウィーンに出てピアニストとしての道が始まる。ツェルニーに師事するにはあまりにも授業料が高かったらしい。
結局師事したアントン・ハイムにベートーヴェンとシューベルトの作品の解釈を教わり、ベートーヴェンの死居する前年の1826年に第1回演奏会を開いている・
しかし、ステージパパであった父親の無理な演奏旅行計画のため体を壊し1830年にアウグスブルグにて、演奏旅行を中断することとなる。父親はあきらめてハンガリーに戻り、へラーは一人とどまるがこの地における1838年までの滞在が彼を人間的にも大きく成長させることとなる。この地において恵まれたのは彼の音楽的才能を高く評価する上流社会の大人たちに出会えたことであろう。その他シューマンとの文通もこの時期に始まっている。また本格的に作曲を始めたり貴族の子女のピアノ教師をしているのもこの時代である。
1938年5月からはパリに移る。カルクブレンナーに師事することが本来の目的であったが、衝突し結局やめてしまう。
パリの地で、苦しい生活を続けながらも。リスト、ショパン、ベルリオーズと知り合うことになる。
OP.45〜49の作品を発表、出版されるようになると彼のピアノ教授法も高く評価されるようになる。
がせっかく外国人としては珍しかったパリ音楽院の教授への誘いにも応じることなかった。、
彼はパリに行ってからはあまり積極的に演奏活動はしておらず、イギリス、ドイツ、オーストリアへの演奏旅行以外にはめったに多数の聴衆の前では演奏しなかった。むしろ気のあった仲間とサロン風に楽しむことを好んだ。
このことも当時巨匠性がもてはやされた風潮の中では特異な存在であったのだろう。
晩年は眼病にかかって視力を次第に失い、1888年1月パリにて死去する。
へラーのロマン性を重視する作風はシューベルト、メンデルスゾーン、シューマンに負うところが多い。
| 番号 | 調性 | 拍子 | 練習の主な目的(解説より) |
| 1 | ハ長調 | 2/4 | 左右両手で作るメロディー |
| 2 | ハ長調 | 3/8 | 息の長いメロディー |
| 3 | イ短調 | 6/8 | 表情豊かな右手のメロディー |
| 4 | ト長調 | 4/4 | 弱起のメロディー |
| 5 | ホ短調 | 3/4 | 左右交互の打鍵を軽くリズミカルに弾く |
| 6 | 二長調 | 4/4 | 4声部のメロディーとリズムを独立させ、調和させる練習 |
| 7 | ロ短調 | 3/8 | 速いテンポでのスタッカートとレガート |
| 8 | イ長調 | 3/4 | 切れ目なく続くパッセージ(無窮動) |
| 9 | へ長調 | 4/4 | 休符で始まる伴奏型と歌うようなメロディー |
| 10 | 二短調 | 4/4 | メロディーと和音の組み合わせ |
| 11 | へ長調 | 3/4 | ヘミオラの練習 |
| 12 | 二長調 | 3/4 | 反復音のあるメロディー |
| 13 | 変ロ長調 | 4/4 | リズミカルな和音のスタッカート |
| 14 | ト短調 | 6/8 | 8分の6拍子と3度の和音 |
| 15 | ホ短調 | 4/4 | 3連音符の伴奏 |
| 16 | ホ長調 | 4/4 | 複旋律と反復和音の伴奏 |
| 17 | イ短調 | 3/4 | 3連音符を含むメロディー |
| 18 | ロ長調 | 6/8 | はぎれのよい8分の6拍子とスタッカートの和音 |
| 19 | ハ長調 | 3/4 | メロディーと伴奏の調和 |
| 20 | ハ短調 | 4/4 | 美しい和声 |
| 21 | 変ホ長調 | 3/4 | メロディーと後打ちリズムの伴奏 |
| 22 | へ短調 | 8/9 | 8分の9拍子の軽やかなタッチ |
| 23 | 変ロ長調 | 2/4 | 手を交差し美しい音を出す練習(変奏曲) |
| 24 | ト長調 | 2/4 | 右手の美しい2声部進行 |
| 25 | ハ長調 | 4/4 | 総合練習(拍子の変化) |
掲載されている25曲には阪本みどり氏による解説がついている。
各曲の練習目的が記されているので、御参考までに調性・拍子と共に列記しておく。
05.1.12更新
へラー:リズムと表現のための練習曲