メトロノームの上手な使い方

1:体感と数字のこと

 
 丁寧にメトロノームを使った練習をしていると
 次第に速さをなんとなく感じることができるようになります。
 ぜひ、この体感のヒントにしてもらいたいのが、次の速さです。
 比較的、意識しやすいので普段の生活の中で、ちょっと心がけてみてください。


      60・・・・・時報の速さです。意外に気づかずに耳にしているのでは?
          ピアノを弾く時には、四分音符=60だと、とてもゆっくりに感じますね。
     120・・・・秒針の細かいチ チ という速さです
          メトロノームでこの速さを鳴らすと、結構気ぜわしく感じるかも知れません。
      
        ☆この2つは同じ速さが基準なので60が体感できればすぐに慣れますね。
 
      80・・・・・たいていの人の脈拍より少し早めのテンポです。
           ハノンなどで、良くこの速さを指定されましたっけ。
           あまり早くも遅くも感じない、『普通の速さ』というところなのは、
           拍動に近いテンポだからでしょうか?
  
     100・・・・走った後の脈拍に近い速さです。
          曲として聞く分には心地よい動きを感じるテンポですが、
          実際に指を動かすと結構速く感じるはずです。
      

        さあ、これで4つの速さが大まかですが、基準点になってきましたね。
     
        遅く・・・・60   普通・・・80   早め・・・100   速く・・・・120    と
                      大きく分類するだけでも、練習の手助けになりますよ。

12.14  UP

2:拍子を意識したい時に

 
 意外に活用されていないのが、拍子を刻む機能ではないでしょうか。
 昔ながらの振り子式のものでは本体の側面に、
 デジタルのものではBEATという場所に
 拍子を明確に教える機能がついています。
 
 振り子式のもので御説明しておきますね。
    
    『0』・・・・・・・拍子を特別に設定しない時、拍はどれもも同じように鳴ります。
    『2』・・・・・・・1つおきにチンと鐘が鳴ります。 2拍子の1拍目を鐘にあわせます。
    『3』・・・・・・・3つごとにチンと鐘が鳴ります。  3拍子の1拍目を鐘にあわせます。
    『4』・・・・・・・4つごとにチンと鐘が鳴ります。  4拍子の1拍目を鐘にあわせます。
    『6』・・・・・・・6つごとにチンと鐘が鳴ります。  6拍子の1拍目に鐘をあわせます。

 この機能を使ってる時は、必ず1拍目をあわせてください。 
 曲が1拍目から始まらない形(アウフタクトと言いますが)でも
 休符の分をカウントしながら合わせていくことが大切です。

 はじめはこの1拍目にあわせるという作業も面倒に思えますが、
 慣れてくるとかえってよりどころがあって楽に弾けます。

 なお6拍子の曲に関しては、
 リズムがきちんと入りにくい時には『3』のきざみを使用して丁寧に練習したり、
 また逆に大きな2拍子のゆれを感じて弾きたいときには『2』のきざみを使って弾く など、
 場合によって使い分けることも可能です。

 

 
 デジタルのものと振り子式のものとどちらが使いやすいかは人によって違うかもしれませんね。
 参考までに私の感じるそれぞれの難点と利点を挙げておきます。
 
 ☆振り子式の難点は ねじ巻き式なので、途中でねじが戻ると鳴らなくなってしまうこと。
          利点は 目盛りの刻みがわかりやすいので、設定しやすいこと。
 
 ☆デジタルの難点は テンポの設定が数字を1つずつ増やすので面倒なこと。 
          利点は 電池が続く限り止まらずになり続けること。

    使用した年月が長いせいか、多少ねじを巻く問題があっても
    私自身は従来からの振り子式の方が使いやすく感じます。
    デジタル式のもう一つの問題点は電子音による刻みなので
    振り子式に比べてきき取りにくいことです。
     メトロノームの音だけを聞くと良いのですが、
          演奏しながら聞き取るのには電子音の刻みに私がまだ慣れていないのでしょうか。

 

3:振り子式とデジタル式

  
  メトロノームも慣れないと、案外使いにくいものです。 
  初めてメトロノームを使った方が体験したいくつかの例を挙げておきます。
     
  1)メトロノームを見ないと合わせられません。
     
      気持ちはわかりますが、見てあわせていては使いづらいですよ。
      なるべく早くみないであわせられるように頑張ってみてください。
   
    ・すぐにあわせて弾こうとしないで、頭の中で音を思い浮かべながらメトロノームの速さを聞いてみましょう。    
    ・テンポは60ぐらいから。耳で聞くと遅いと思う早さも、作業をするときには決して遅くないものです。
    ・歌える方は、まずメトロノームに合わせて声を出してみるのもいいですよ。
      音程に自信の無い方は、音名を読むだけでもOKです。

    ・鍵盤で指が動かしにくい方は、机の上などで指を動かしてもいいですね。
     ・鉛筆の後ろを使ってコツコツと叩くのでもかまいません。

    ・メトロノームの早さは一定なので、合わせられる=次の予測が出来る  ということです。
     60に慣れてきたら72,80,92,100,120 とテンポを変えてみましょう。
      どのテンポでも見ずに音が合うようになれば、はくの速さが予測できるようになったということなので、
      この先のメトロノームの活用が苦痛ではなくなります。

  2)弾いている途中からあわなくなってしまいます。

     初めて使うときはどなたもなりやすい現象ですが、あわせるように頑張りましょう。
      指のコントロールが十分でないと、弾くテンポは指が弾きやすい速さになり、演奏者の意のままになりません。

    ・コントロールのエクササイズをするときには、必ずメトロノームを使用してください。
              例:ハノン、スケール、テクニック、バーナム 等
     ・あわないまま(ずれたまま)で、弾き続ける事は止めてください。
       メトロノームを使用する意図とずれてしまいますね。あくまで機械的に指をコントロールするのが目的ですので、
       あわなくなったら一旦止まって、1小節分カウントしてから再度弾き始めましょう。
       テンポは無理な速さに設定していませんか?目盛りをすぐに調節してあわせやすい速さから始めましょう。

 
  3)トレーニングの教材以外では、どんな時に使えば効果的かよくわからないのですが。

     これは指導者によっても異なるかもしれませんが、私は指のコントロールは譜読みと共に行うことをお勧めします。
      いろいろやってみてきた結果、ブロック別の練習で
            譜読み→指慣らし(片手)→両手合わせ→テンポアップ(その日の記録を付ける)       
      という練習方法を活用していただいているので、メトロノームはすぐに片手から使います。
      このほうが短い練習時間でもまとまった結果を残せるような気がします。

      ブロックが出来上がっていけば、もちろん通しの片手練習でも使用しますね。
      ブロックでは次回までの課題目標になる指定のテンポが違うのですが、通しではゆっくりめから行います。
      テンポを一定にすることで つなぎの部分への注意・自然に感じる音楽の要求する早さの違い  を中心に学びます。
      つまり、自由に演奏する時のテンポの揺れは、
      決して指が楽になるからではなく、音楽が要求しているゆれ(=息遣い)であると考えているからです。
      
      

     さらに完成に近づいたときにも、メトロノームの利用価値は大きいです。
      ロマン派の場合は特に、自由なアゴーギクが許されますが、ともすると慣れてしまって段々崩れやすいのも事実でしょう。
      一旦すべての曲想、感情表現をなくして一定のテンポで弾いてみる事は、新しい発見を教えてくれます。
      演奏者はどうしても客観的になりにくいので、時たまこういう練習も入れるとすっきりと表現が整理されるように思います。
    
      最後に人前で弾く時には、低めのテンポ・最適なテンポ・速めなテンポ  の3種類の練習もしてみてください。
      あがった状態で、「普段のテンポよりゆっくり弾き出してしまった時」「普段よりも速めで弾き出してしまった時」 のために
      気持ちが動揺しないですみます。
      (本当にいつもどおりの演奏が出来るというのは、結構難しいものなのです。)

  4)楽譜に書いてある指定のテンポでは弾けないのですが。
     
     もちろんはじめから指定されたテンポで弾ければすごく嬉しいのですけどね。
     指定されているテンポ(数字)はあくまで目安としてください。
       誰がテンポの表示をしているかにもよりますが。
      ・作曲家が指定している場合は、数少ない作曲者からのメッセージなので、できるだけ尊重してあげましょう。
       (あなたが感じている曲のイメージとは違うかもしれませんが、それも面白いものです。)
       トライしてみてやはりうまく表現できないと感じたら、御自分の弾きやすい速さに少し変えてもかまいません。
       曲の中では微妙に変化しているので、画一的な速さだけを求めているわけではありません。
       極端に逸脱した速さでなければ、自分らしい表現のできるテンポが一番安定した演奏かも知れませんから安心して弾きましょう。

      ・練習曲の場合は、目標となるテンポだと思ってください。
       曲(音の動き)によって適切な速さがあること、テクニック的に努力すべき内容 がよくわかります。
       レッスンでは多分指導者のほうから、テンポの指定があると思うので、それに従ってください。
       慎重な性格の方の場合、どの曲も確実に弾こうと思うあまり、同じ速さから練習をスタートさせる方もいらっしゃいますね。
       ためしに曲の指定した速さにメトロノームを合わせ、刻みを聞きながら譜面を追ってみましょう。
       粒の一つ一つを感じるか、集合体(マッス)として捉えるかの違いかも知れませんので、このやり方での印象を覚えて置いてください。
        (連続している音型では、軽やかな動きが求められている場合があります。
         テンポの設定が遅すぎると、このような音型パターンをうまく処理することをなかなか習得しにくいようです。
         ある時期には、多少雑な音になっても強引にテンポにのせてしまうことも要求されてきます。
         速さへの冒険も、時には必要です。・・・・・・・・・・・・・・・・・経験談)
      
      
   
5)1拍の中にうまく4つの音が入りません。
     
      
多分四分音符1拍に十六分音譜の刻みが入る音型のことでしょう。
        メトロノームのテンポは四分音符=○○ という設定だと思いますが、少し考え方を変えてみましょう。
        なれない部分では通常の『四分音符=○○』というテンポをあわせやすくする工夫があります。
        例えば四分音符=80の場合、十六分音符の刻みを正確に入れるには、
              「 ♪=160 」  と変換してメトロノームを設定するのです。
        実際の音はかなりうるさいのですが、このくらいの強制力がないと粒を揃える練習には十分でないのです。 
        速さ的には数字上では同じですが、2つずつあわせることになるのでメトロノームとのあわせ方は格段に楽です。
        

      ・八分の三拍子系のものでは表記上は付点四分音符が速さの基準になっています。
        ですから♪の速さを割り出す時は付点四分音符での指定速度の3倍の値に、メトロノームの設定を変えます。
        付点四分音符=60でしたら ♪=180になるわけですね。


  
はじめ慣れるまでは多少煩わしく、面倒に思われるかもしれませんが、
  
このようにメトロノームの使い方には、いろいろな工夫があります。
  
せっかく便利な機械ですのでうまく活用して練習の成果に生かしていただければと思います。
  

        

4:メトロノームをはじめて使う方へ

12.20 追記
12.23追記
Counter

テンポの基本

12.25追記