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昨年から岡山合気修練道場の内田道場長が普及している降り棒による日本古来の武道鍛練法、そこで使用する鍛練棒を、先日、自作したのでレポートする。 私も筑波山の武道具屋製の鍛練棒を振っていたが、最近、友の会通信で皆さんがより重い鍛練棒で鍛え上げていることに触発され、今より重いものを欲していたところ、適当な材料が入手できたので、自作してみた。
入手したのは、間伐材のうち真っ直ぐに近い3本を分けてもらい、そのうちの1本を鍛練棒にした。 本来なら作る鍛練棒の長さ、重量を決めてから木を切り出すところだが、最初から切っているのをもらったので、これからどういう物が作れるかを予め決めて作業に掛かった。 鍛練棒は、太い円柱(本体)+細い円柱(握り)と考え、それぞれの重量を計算し、握りの長さや全体の長さを決め、総重量を予想した。 加工するのは、写真中央の木で、長さ140cm、重さ約7kgある。 これを出来上がり長さ約130cm、重さ約6kgの鍛練棒として加工してゆく。 ちなみに同じ重量のものを、杉で作るとしたら、長さ6尺、太さ11cm、ケヤキだと長さ5尺、太さ10cmぐらいになろうか。 まず、両端が斜めに切ってあったので、真っ直ぐに切り落として全長130cm、そして握り部分を30cmとって、太さ6cmに削り出す。(350mm缶ビールの底が太さ約6cmで、これを目安とした) この握り部分の加工が一番手間がかかる難所である。 握り6cmの円を書き、その外側をノコギリ等で荒削りし、仕上げていく作業だ。 しかし、木が堅いため思うようにノコギリが挽けない、しかも人力では時折折れそうになる。また、のみで削るのも時間が掛かる。 そこで、電気マルノコを使用、マルノコでも歯が下まで届かないので10cmずつ切り刻んでいく。 丸いので使用時の不安定感があったが、片手で木が転がらないようにしっかり抑えて作業する。 チェーンソーを持っていれば、より楽に作業できたであろう。 この作業は、刃物を使うので怪我の無いよう注意したい。
荒削りを終え、いよいよ握れるように仕上げる。これにはディスクグラインダーを使った。 ホームセンターで二千円位の安い物を購入、これに木材研磨用、中目のディスクを付け、削りこむ。 (グラインダーは、包丁や鎌の刃を研ぐにも使える) 削った木材片の飛来防止にセーフティグラスの使用と粉塵の吸い込みの防止にマスクをするなど安全面、健康面にも注意し作業する。 木くずが山と積もる中、木を転がしながら角がないよう丸く削り、時折握り加減を確認しながら太さを調整し削っていく。 そうこうしている内に、いい感じになってきた、この状態で約6kg。 握りができたところで、本体の皮を剥く。これもディスクグラインダーを使用、みるみる皮が削れ、緑色の粉ができる。 1時間くらいで皮は大体剥けたが、凹凸があるので、綺麗に剥くにはもっと削りこまなければならない。 しかし、あまり削ると細くなるので、この辺で止めた。全長130cm、直径9cmで5.5kg、木の皮を削った分0.5cm細くなって重さも減り、想定より少し軽くなったが、鍛練棒ができた!
さっそく振ってみる、ズシッとした手応えがある。 内田さんの吾勝よりは短く軽いが、体の小さい私には手頃である。 あとは、ニスを塗って仕上げると、My鍛練棒の完成だ! 普段はこれで、筋肉痛がひどい時は、筑波山ので鍛錬するとする。
完成後、改めて筑波山の武道具屋、杉山さん製を見てみる。筑波のは握りも滑らかで歪みも材の割れも無い、職人の技術を感じる。 自作は、やはり雑な作りで、また、丸木で乾燥させてないため、どうしても木が割れてくる。 (握りの所が急速に乾燥したため、割れが大きくなった。) 材も年輪の円弧からみて、直径6,70cm以上のケヤキを乾燥し、割れが無い部分を選んで加工しているのであろう、時間も手間も掛かるはずである。 最後に、自作してみて、職人さんの作業の大変さを知った。 我々に鍛練棒を作ってくださっている杉山さんに感謝すると共に、何十年も生き、鍛練棒となった木を大事に扱おう、そう思った。 平成17年3月15日 記 |