海上自衛隊予備自衛官の紹介


海上自衛隊予備自衛官制度の現状

 海上自衛隊の予備自衛官制度は、予備自衛官制度そのものは昭和29年度に発足し導入された陸上自衛隊よりもはるかに遅く、昭和45年度にはじめて導入されました。定数は若干の変動がありますが、現在の定数は約1100人です。
 海上自衛隊では、防衛出動が発せられたときに、防衛招集命令に予備自衛官を招集されて自衛官として勤務し、後方の警備・後方支援・基地の警備などを主な任務とすることになっています。
 また、予備自衛官の資質を養い、必要とされる自衛官としての知識や技能について復習を行ったり、自衛隊や内外の情勢を学ぶ座学を通じて練度の維持をはかるため、年に5日間の招集訓練が義務付けられています。

 ところで、平成13年度の自衛隊法改正によって予備自衛官の任務の中に災害派遣出動に伴う招集も追加されました。海上自衛隊の場合はどうなるの?ですが、災害派遣時の行動内容が陸上自衛隊とは明らかに異なる内容であることから、予備自衛官の招集・派遣はなされないのではないか?と言われています。

 なお、従来海上自衛隊の予備自衛官は総員を男性隊員によって編成しておりましたが、平成18年度をもって新たに女性隊員(WAVE)の採用を開始、平成19年度第1回招集訓練より記念すべき第1号女性隊員の年次出頭訓練参加が実施されました。






予備自衛官が負っている義務

 私たち予備自衛官は任官した際に宣誓を行い、国民の負託に答えるために次の義務を負っています。

●防衛召集応招義務
  防衛招集を受けたときは心身の故障・その他やむを得ない場合を除き、指定された日時と場所に出頭して、防衛招集に応じなければなりません。

●災害派遣招集応召義務
 災害派遣招集を受けたときは、心身の故障・その他やむを得ない場合を除き、指定された日時と場所に出頭して、災害派遣招集に応じなければなりません。

●訓練招集応招義務
  訓練招集を受けたときは、心身の故障その他正当な自由による場合のほか、指定の日時・場所に出頭して、訓練招集に応じなければならないことになっています。

●各届出の義務
  住所を変えたり、長期休養や長期旅行、長期海外出張や滞在、氏名を変えた場合や自分の身上に 変更があった場合、担当の地方連絡部長に届出をしなければなりません。




予備自衛官はどのようにして採用されるか?

採用にあたっては、以下のような基準があります。

 ・海上自衛官としての勤務経験が1年以上であること
 ・退職時の階級が一等海尉以下であること(ただし、現在防衛庁の職員であるものを除く)
 ・志願時の年齢が海士長以下は37歳未満、3等海曹以上の者は定年+2年に満たない者


 この志願資格を持って志願した後、自衛官であったときの勤務成績や身体の状況、階級等を元に選考され、概ね毎月一回の採用日に採用されます。
 採用が決まると「宣誓書」に署名捺印し、「海上自衛官身分証明証」に代わって「海上自衛隊予備自衛官手帳」が交付され、晴れて予備自衛官に任官する辞令を交付されます。

 その時点で
  ・階級(ほとんどが退官したときの階級)
   =普通の自衛官階級に「予備」を冠した階級(・・・例えば、海士長なら予備海士長になります。)
  ・職種、特技(退官時点で持っている特技)
  ・訓練招集部隊(招集を受けときに出頭する部隊=地元を管轄する地方総監部)
が指定されます。任用期間は一任期3年で、3年を経過すると継続志願ができます。


ただ、海上自衛隊の場合現在定数いっぱいの状態が長く続いており、新たに志願しても空きがないためにそれを待たされることもあり、海上自衛隊ではなく陸上自衛隊の予備自衛官として任官するケースが最近は増えている状況です。

予備自衛官手帳の表紙
身分証明は中にあります。




有事のとき、予備自衛官はどんな任務に就くのか?

 実際、どのように我々予備自衛官を配置し、運用するのかはまったくの未知数です(前例がないから)。

 そこで、超現実的に考えられる、海上自衛隊予備自衛官の任務とは一体どのようなものがあるでしょうか?
任務を与えられる前に、まずその予備自衛官の職種や特技、さらには現在までに取得した資格などは考慮されると思います。

 特技をそのまま生かしてできる職種では、おそらくその担当部隊へ直接配置される後方部隊もあります。例えば・・・
  ○経理・補給・給養 → 基地業務隊での後方業務
  ○衛生 → 基地衛生隊や地区病院での医療・衛生業務

 その他の特技の場合、基本的にはそれに関わる陸上部隊があればそこへの配置は考えられます。例えば・・・
  ○通信 → 陸上通信隊での支援業務

 この他の職種、特に艦艇部隊や電子整備の特技を有している場合、現職を離れている期間が長いほど、進歩する機器や技術の進歩による知識・練度不足が懸念されることから、実戦部隊での配置は可能性が低いといわれています。そこで予備自衛官の運用方法の一つとしてもっとも現実的であり、実際に招集訓練の日程にも組み込まれているのが、次の業務です。
  ○警備・警護 → 基地や、その周辺の沿岸の警備・輸送
  ○基地防備 → 警備所や、基地隊での警戒・監視
  ○港務 → 支援船艇による護衛艦の出入港や燃料・物資・弾薬等の補給、海上輸送
  ○陸上部隊勤務 → 整備所や造修所での武器や艦艇の整備や修理・保守





海上予備自衛官についての素朴な疑問

Q・海上予備自衛官には誰でもなれるのですか?
A・現状では、海上自衛官として勤務した者だけが任官できます。
なりたいと思っている皆さんには残念ですが、陸上自衛隊の予備自衛官補制度のように一般国民からの採用はありません。


Q・女性でも予備自衛官になれますか?
A・採用条件を満たしている方であれば予備自衛官になれます。
これまで女性予備自衛官の採用は見送られてきましたが、時勢の変化に呼応し平成17年度より新たに海上自衛隊女性予備自衛官の採用を開始しました。


Q・昇進などはあるのですか?
A・あります。訓練の出頭実績や、予備自衛官としての勤務成績を考慮しながら、最高で一等海尉まで昇進できます。
昇進は選考によって行われ、常備自衛官のように試験などはありません。


Q・定年はあるのですか?
A・あります。常備自衛官の定年年齢+2年が基準です。
ただし、定年の年齢は階級によって違いがありますから、実際の定年時期はその階級によって決まることになります。

 ちなみに、常備自衛官の定年年齢は3等・2等海曹は53歳、1等海曹〜1等海尉が54歳です。

Q・給料(手当)は支給されるのですか?
A・支給されています。現在、予備自衛官手当として月額4,000円、招集訓練に出頭すると1日8,100円が支給されます。

Q・もし、訓練中や招集中に災害や事故などで負傷したり、病気になるとどうなるのですか?
A・あってはならないように配慮していただいていますが、常備自衛官と同様に衛生隊や病院で治療していただくことができます。また、万一の場合の補償も自衛官として行われます。

 ・・・このほか、質問があればこちらにお寄せください。こちらに掲載させていただきます。