こんぺいとう47号 講評


① 早起きしたら

この作者には珍しく、可愛い動物物です。

さすがに、スイスイと読ませます。

子供たちが、次はどんなクイスが出るのか

楽しみに読み進めることができます。

勘違いがオチになるとわかっていても、途中の楽しさが

読者をひっぱるそういう種類の作品です。

最近こういう作品が少ないのでトップにふさわしいと思いました。



② レインボーパーク

バニラとチョコも茶色と白なんですね。

閉じられようとするパークが来年の春にニューオープンする、

こういう上向きの終わらせ方は童話にはとても大切です。

最後の一行「涼しい風のあたるグーを閉じた」は秀逸。

いつも言うことですが、この作者に文学を感じます。



③ どじだなぁ

いいお話です。

亀が主人公というのも珍しいです。

ドジだなぁと言う言葉の暖かさが読む者を包みます。

今度逃げたらもう友達じゃないと言いながら、その今度もまた

ハンはポムを救います。

この単純なお話を深く奥行きのあるものにしているはここですね。



④ へたくそピアノ

とても面白く読みました。

それは私が大人で「のうこうそく」の意味をよく理解しているからかもしれません。

ただ、同姓同名の人がおじさんだったというアイディアはおもしろい。

これだけで何か大きく飛ばせるように思います。

丁寧に描かれていることを褒めるべきなのか。

低空飛行すぎることを欠点とすべきなのか、おそらく両方なのだと思います。



⑤ ジィーちゃん

丁寧に描かれています。

夏休みらしい題材が選ばれて、お話しとしての体裁が整っています。

作者が書きたいと思ったことがキチンと書かれているのではと思います。

問題は自分の書きたいことが他人を楽しませられるかどうかですが

今はまた自分の世界を調えること以外に作者にとって大切なことは無いのだと思います。

自分に庭を綺麗に掃き整えて次に備えてください。



⑥ おかえり

何度か書き直した作品です。

誠実な作者の姿勢がいつも作品に感じられて好感が持てます。

古臭いように思う人もあるかもしれませんが、

童話というものにはある程度の古臭さが必要なのです。

ただ、それが欠点になってはいけません。

そうしないためには、「おしゃれ」であることが必須条件です。

自分にとって「おしゃれ」とはどういうことなのか、

作者は少しそれを考えてみてもいい時期かもしれません。

自分なりの垢抜け方がわかればいいですね。



⑦ おねえちゃんは100cc

いつも何かもうひとつ惜しい気がします。

大変都会的なセンスがあるのに、

いつもそれが「俗っぽさ」から逃れられない。

例えばこの話なら、姉弟の帰り道がタイヘンだったことが読者には

強い印象を与えて、その前のお見舞い、

おばあちゃんがお薬で寝たまま目がさめなかったことが弁当だけ食べて、

「ま、しょうがない。帰ろう」で片づけられている。

おばあちゃんも結構タイヘンだし、子供なりに目が覚めなかったことを心配する気配がない

薬→目がさめない→しょうがないと簡単に勘定が流れていく。ここが「俗」。



⑧ パパにい

おかあさんに赤ちゃんが生まれる話はよくとりあげられますが、

パパの背広を着てお母さんを助けるというアイディアは卓越しています。

背広のポケットに携帯電話が入っているというのも今ならではですね。

小さなパパにいがこまっしゃくれていないのが何より感じがいいです。

文章がよく整って、感じのいい作品に仕上がりました。



⑨ む

皆さんはこの作品を読まれて、どう思われますか?

先ずはタイトル。次はテーマ。

魅力的ですが、この作者はこれらの魅力に決してひきずられていません。

このテークで書くべきことが作者の中には沢山あって、

その選択肢のうちの ほんの一部を切り取って

余裕で面白い作品に仕上げています。

何より主人公がカラリと賢いキャラクターで

それがしめっぽくなりがちな こういうテーマを救っています。

何もいうことがない、素敵な秀作になりました、



⑩ つくも山

木の影たちは無念の感情を含んで重い。

主人公の舌も自在には回らない。

滞るモノへの作者の目は理知的で温かく、ほどこうとする過程も自然。

解決に向けて先生という大人が登場するタイミングも見事です。

吃音というやっかいなコトから自立しようとする少年の決意が

去らりと描かれていて大変好感が持てます。

秀逸なのは最後権太がおしっこをするところ。

この長さでこそこの最後が生きると思いました。

テーマにもちゃんとたどりついています。