化粧考:広告1
化粧が社会的に担っている意味の変遷について、とりわけ近年におけるそれを辿るとき、手がかりになると思うのは、化粧を扱った広告です。そこで以下では化粧の広告について、口紅の広告を例にみてみたいと思います。
ここでも歴史同様に日本と海外(西洋)の広告を比較すると、大きな違いが1つあります。日本の化粧品会社は全てメーカーであるのに対して、西洋の化粧品会社はブランドとメーカーという2つのスタイルに分かれています。なおメーカーとブランドの違いについて付言しておけば、メーカーとは製造業者のことで、より多くの人たちに購入されることを目的とされている。またブランドとは銘柄のことで統一的な商品イメージを象徴する役割をもっている。
日本の口紅の広告を分析すると、口紅に求められているものが4つあることがわかります。1つは「落ちない」口紅であることです。落ちない口紅が求められた年頃、女性は社会進出にある程度成功していることがうかがえる。女性の社会進出が進むと、接客中に口紅が落ちないかどうか、常に気にしなくてはならず、また化粧をした直後も歯に口紅が付いていないか気にするといった具合である。これは化粧が好きな女性にとっては苦にならないことであるが、そうではない女性にとっては常に完璧な化粧を保つようプレッシャーが与えられていることを意味する。したがって、落ちない口紅は、そのプレッシャーを軽減することになるため、落ちない口紅が支持されたのだと考えられます。他の3点については項を改めて述べます。