イタリア日記2007/02月


何かが見える..えっ!顔だっカオーっ!
(詳しくは本文後半)

【2月のイタリア日記】

<タダ券の旅欧州版>

 なんと、会社からご褒美で旅行券をもらってしまった。クイズ番組の「○○の旅獲得おめでとうございまーす」みたいな、 イイカゲンそうなものではなくきちんとしたもの。税金の関係から、1年以内に使わなければならない。 しかも、旅行代金と して使わなければならなず、その使途を明確に領収書などを後日添付した書類を提出しなければ ならない...ようするに、 新橋とか神田あたりのチケット屋で換金しちゃダメよ...ということなのだ。まあ、そんなことは ワタシに限ってしない (とは限らない)が、とにかくこのJTBギフト券を使い切るには、国内旅行かJTBで何か手配しないと、 使い切ることができない のであった。しかーし、国内旅行といっても中途半端な額(10万円)なので、2回にわけるか? 家族を誘うか?いや飛行 機乗ったら足が出る、うーん国内旅館高すぎっ!なんていろいろ検討したが、家族も自分で使いなさいよおおと言うので、 結局欧州便の チケットに充当すればいいや...なんて漠然と考えていた。せっかくのワタシにご褒美なんだから、ワタシが 使って悪いことはないしねえ〜 などと思いながら...。

 ある日、同じご褒美組のY美ちゃんと話をしていて、ちょうど共通の友人がNYに居るので、遊びに行こう!なんて話になる。 NYは行ったことが無いが、劇場めぐりなど、ロンドンと同じようなタノシミ方が出来るのでは?と、これまでとまったく違う 目的地に、 かなりわくわくしていた。しかし、直接どの事件が影響したか忘れたが、米英で多発したテロ行為によって、 なんとなく北米大陸は 見送り状態となっていた。そうこうしているうちに、だんだん時間が経過してゆき、こうなったら 9月に引き続いて 欧州ひとり旅かなあ...なんていう気にもなってきた。が、せっかく途中までプランをしたよしみでY美ちゃんに 「イタリア行こうと 思っているけど行く〜?」と声を掛けてみる。11月頃の話であった。年度末になるとどんどん忙しく なっていく予定であった今期 のワタシタチ。2月の閑散期に取れればいっしょにいっちゃおうか〜ということになり、今回の 「一部タダ券」の旅が決まったのであった。

 JTBでのチケットゲットはなんとなく納得のいかない手順で進められる。まずネットで、便の空席を確認して、いつもの 席が空いて いるかチェック。そうしたらおもむろに旅行券をにぎりしめて近くのJTBへ向かう...で、その便名と座席指定を あらためてリクエストして 、しかも少し高い料金を支払って、ネットですぐに予約・購入・座席指定できるものをわざわざ やってもらうというのもなあ〜などと思い つつも、領収書をもらわないと怒られちゃうし、まあいいかあ〜という感じで、 しばらくして「お席とれました!」の連絡をもらうのであった。 この差額もご褒美のうちなのかもしれないなあ〜。

 ところで、今回はどんな目的で行くのかというと...ちょうど1年前のように「オリンピック」という大きな目標がないこともあり、 世界的に2月というのは、あらゆる意味で「閑散期」なのかもしれず、どうしたもんかなあ〜と思案。閑散期だからこそ、 カーニバルなどというイベントが出現したとも言われているが、そういえば、ヴェネチアは仮装の仮面舞踏会がこの時期 行われる。 Y美ちゃんは「ヴェネチアに行きたい」とのこと。ワタシも9月になんとなく引きこもりがちであったため、そのリベンジで、 また行きたいと思っていたのだ。いちばん離れた距離をヴェネチアとして、その間をつないで行くとして、土曜日にミラノ着の あと、 日曜日はパルマへ移動して午後の日光浴も兼ねてサッカー観戦 (パルマ×フィオレンティーナ)この日、ミラノ・サンシーロでインテル ×ローマの試合があるのだが、敢えてパルマを選ぶところが ポイント。これは去年の教訓で、サンシーロでのインテル戦のビッグマッチ など「ろくなことがない!」ということか。その日はパルマに泊まり、 翌日はどうしよう。そうだ、なかなか行けなかったガルダ湖へ行って みよう。実はワタシが長らく憧れて、焦がれていた、 シルミオーネという街がある。ローマ時代から温泉が出ることで有名だが、とにかく 写真で見た不思議な風景に引き付けられて、この目で 確かめたいというのがあった。温泉テルメもあるようなので、ここでゆっくり2泊。 エステでも受けよう。そのあとヴェネチアにはいり、 Y美ちゃん念願の地を訪れる。そんなとこかな?

★2月3日(土)★

<んがっ!事件発生を知る>

 当日は成田で待ち合わせ。チェックインもストレスなく行えるので、ほんとeチケットは快適だし、出国も この時間になると行列をしなくて済むので全く問題なし。タダ、手荷物チェックが強化されているので、液体類は すべて機内持ち込みが制限されて、持ち込めるものはちいさな密閉できるビニールに入れる必要がある...と、 いうことで、今回は最低限のものを小分けにして詰めて持ってきた。とうとう成田も厳重チェック開始かあ〜なんて思って、 期待していたのだが、なぜか手荷物検査のところではそのパッケージを見せることもなく、ならば飛行機に乗るところで なのかと思いきや、おJALに限りなのかもしれないが、この時はまったくチェックされなかったのだった。(液体類は、出国後 免税店で買うものはOK。乗り継ぎがある場合はその空港で成田免税品は没収の可能性はある。あああ...めんどい)

 そんなこんなでゲートでくつろいでネットのニュースなどを見ていると、なんと、イタリアセリエA・シチリアダービーで暴動が起こり、 警官1名が死亡。これに伴い、予定されていた今週末の試合はすべて中止となった...なんと!近年、規制が強化 されているのにも関わらず、各国でこういった暴動が頻発している。これも、そのうちの一つであるが、死者が出たというのは、 問題外である。シチリアでは、ファンとは関係なく、騒ぎや暴動を煽る集団もあると聞く。また、それらに武器を提供している 組織もあるという。聞いた話なので定かではないが、明らかにこれらは、暴動や警察に対する抵抗・挑発が目的であって、 それにサッカーが利用されていると思わざるを得ない。とにかく、警官の車に爆発物を投げ込み殺害したというのは、とんでも ない事件である。殺戮者は処罰されるべきで、試合の中止は解決を見るまで中止は妥当なところだろう...。ということで、 急遽、2日目のパルマでの予定が変更になったが、ちょうどこんなことを予感していたのか?チケットを取っていなかったのは 幸いした。とにかくミラノへ向かおう...。

 この時期は、やはり閑散期なのか?去年はオリンピックということもあり、そこそこ満席のフライトであったが、今日はかなり すかすかである。Y美ちゃんは3席独占。私も1個おいて若〜〜いお兄ちゃんが乗っているだけであった。毎度思うのだが、 いつもこれくらい余裕があるとよいのだがなあ...なんて思いつつ、毎度おなじみおJALのサービスであったが、ドイツ人のCA が元気に働いていたのが好印象。到着前に「やっぱビールください」というと「あーワタシも飲みたいっ!」と言うキャラは、 おJALでは珍しい...かも。ま、そんなこんなで、ほぼ定刻でミラノに到着する。

ミラノは14℃。世界を覆う異常気象のため、一番寒いはずの季節がこんな感じである。 そのうち異常でもなんでもなくなるんだろうなあ。スキーのW杯も楽しみにしていたのに、 雪不足で変更に継ぐ変更で、いったい今どんな結果なのかわけわかんなくなってしまった。 開催しても人工降雪機で作った雪を寄せ集めてコースを作ったりして、コース以外がまったく 土であったり、なんだか結果よりもそんなことのほうが気になってしまう。去年トリノでオリンピックが 開催できたのは奇跡のように思える。とにかく、最初に来たときは骨まで凍るような激しい欧州の 寒さをミラノで感じたが、今回はすっかり春を感じさせる空気が漂っていた。ただ、入国審査の係員 がワタシのACミランのピンバッジを目ざとく見つけて喜んで話しかけて来た。何も変わらないミラニスタにほっとする。

 初日は、まさに中央駅前ホテルのスターホテルスプレンディッドに泊まる。ツアーでもよく使われているので、 大雑把なチェーンホテルかと思いあまり期待をしていなかったのだが、外観こそ古いのだが、部屋も広く内装も 設備もしっかりしたホテルであった。スターホテル系は、インターネット環境も部屋で無線有線両方可能で (但しそれなりに高額だが)スカイTVも見られる。枕もリクエストできるし、かなり快適に過ごせる条件を各 ホテルに標準仕様化しているようだ。ここは特に立地もワタシ向きなので、値段の安いときは使おうかなと思う。

定番お部屋写真:外観に比して良い感じ
ベッドの硬さもちょうど良い駅前旅館「スターホテルスプレンディッド」

 中央駅でチケットをピックアップに行く。懸案のシルミオーネ行きの時間を変更しないとならなかったが、 同じ種類の列車(急行の種類ICとかECとか)であれば、機械で簡単に時間変更可能であった。ただ、 それ以外であると、料金が変わったりするので、予約窓口で変更を行わなければならなかった。季節柄か、 はたまた、チケットレスやセルフが一般化したせいか、常に人であふれていた予約窓口も人がまばらであった。 (ひまつぶしや、ホームレスもいなくなっていた)中央駅の工事も少しずつ進捗しているようで、9月のときと、 足場の位置が変わっていたりした。

 その足で大聖堂のほうまで足をのばした。夜になって、やや湿気が降りてくるのか、うすい霧につつまれた ような夜だった。ギャレリアを流し、大聖堂の周りをそぞろ歩く、たくさんのミラノ人とともに、うすいもやのなか にくっきりと満月が浮かび上がる2月の夜を楽しむ。駅スーパーで冷めたピザとライスコロッケと、発泡性の 赤ワインを買って帰る。暖めてもらいたかったが、兄ちゃん達が閉店モードだったので諦めた。Y美ちゃんは スーパーの充実に喜んで、また来ようねと、張り切っていた。

★2月4日(日)★

<目的をやや失うがパルマへ向かう>

 翌朝、慌ただしく荷物をまとめ....ではなく、朝食室でゆったりと食事を取る。ビュッフェもなかなか充実していて、 その手前にあるロビーも変わったデザインの調度類で、なんだか良い感じであった。駅まで1分の距離なので、 フロントに駅のデパーチャー ボードがあれば良いのになあ、などと思ったりして。パルマ行きのIC+は全席指定 でナポリまで行く長距離便で満席のようであった。オープンサロン式の特急はコンパートメントより、日本人にとっては 居心地が良い列車に思える。日本でも中距離以上の対面式の座席はあまりに近すぎて居心地悪いものだが、 コンパートメントはそれに近い印象がある。パルマまでは1時間半ほどなので、どちらでもかまわないといえばそうなるが。 ほっとひといきついたあたりで、パルマに到着する。駅の外に出て見ると日差しがあるものの、ミラノよりやや寒い気がした。

 今日のホテルマリアルイジアは、駅から歩いて5分ほどの距離にある、古くからあるホテルだそうだ。日曜日の試合のある 日は相手チームの宿舎にもなるそうだが、今回、フィオレンティーナの関係者は全く見当たらず、鍵もほとんどが掛けられた ままであった。(追っかけではありませんよ)12時過ぎの到着であったが、部屋もすぐに通してもらえた。SINAホテルズの 系列で、最近リノベーションされたそうだが、やや、掃除やメンテナンスが緩い感じがしたが、部屋はちょっとくたびれて いるが、広くてなかなか良い感じ。建物全体も見た目より奥行きがあり、中庭もある素敵な作りだ。

ちょっと古いが部屋は広く、対戦チームの 定宿との噂「マリアルイジア」
(駅から徒歩可:中心部にも徒歩可)

 一息ついたあと、本来ならば観戦前に急いで昼食といったところだが、今日はたっぷり時間がある。されば、 去年行ったトリビューナという地元料理の店であれこれ堪能しようということになる。ホテルは旧市街の入口にあり、 パルマの町であれば、どこへでも歩いて行ける距離だ。これが駅向こうだったり、川向こうだったりすると、すこし 不便かもしれない。最近最高級ホテルと、パスタで有名なバリラのショッピングセンターがオープンしたようだが サッカー場の近くということで、旧市街の外側になるとパルマ的にはずいぶん外れになる。距離的にたいした ことがなくても、少なくとも電車で訪れる観光客向きではないかもなあ。などと、考えながら去年の記憶を頼りに、 ちょっと迷いつつ店に到着。やはり、前回と同様に日曜日の家族の外食のような地元客であふれており、 心なしか、ワタシタチのように、サッカーが中止で流れ着いたような人々もいた。

パルマハム屋のディスプレイ
ああ〜1本買いたい

街のちょうど中心部にあたる広場

サッカー中止の日の昼食は♪
(上段)パルマハム・アーティチョークとパルミジャーノのサラダ
(中段)激ウマ手打ちパスタ・もう食いきれない〜リコッタ入りパスタ
(下段)ピリ辛トリッパは食いきれねー&店の内部



 ここでは、ハウスワインのランブルスコの甘くない赤を飲みながら、パルマハムでスタート。 季節のアーティチョーク薄切りにオイルとパルミジャーノで和えたサラダ、タリオリーニ、リコッタを詰めた 手打ちパスタにバターソースとパルミジャーノ、ピリ辛のトリッパ..を食す。そういえば、朝食も普通にとって来たので 、もう試合開始の3時を回っているが、とにかくお腹一杯になってしまう。パスタ2皿といっても、見た目 よりも何故にこんなにどっしりくるのか、未だにそれは謎である。でも、この北イタリアで手打ちパスタは外せない からなあああ〜困ってしまう。ランブルスコも美味で、何故か日本を含めた海外では、甘口のほうが先に有名 になったため不思議に思うかもしれないが、普通にパルマの日常の味を支えているのである。などと考えながらながら、 重いお腹を抱えて街に出た。

 店を出て北側に旧市街を抜け、立派な邸宅が立ち並ぶ大きな道をしばらく東に向かった突き当たりに、 パルマの蹴球場が見える。いつもなら、自転車に応援グッズをくくりつけた市民がここへ急ぐ姿が見られるところだが、 やはり今日は切符売り場の戸も閉ざされて、閑散としていた。今朝は、殺害された警官の葬儀の模様が ヘッドラインであった。気丈に挨拶を述べる夫人の傍らで、警官の制服で正装したちいさな坊やが、人々の涙を誘い、 本人の無念を伝えていた。北に遠く離れたこの蹴球場で、再び幸福な時間を共有できる日々が戻るのを、 祈らずにはいられなかった。

ほんとうに中止の蹴球場・合掌

 元来た道を戻るころ、街に人が戻り初めていた。せっかくなので、この街の世界遺産を堪能するべく、 それら建造物の集まる地域に向かう。聖堂と、鐘楼、礼拝堂が集まる一角はそのひとつひとつが、 この街の重要な宝になっている。外観は地味なロマネスク建築も、いったん中に入るとヴァチカンのシスティーナ 礼拝堂の如く、フィレンツェの大聖堂の如く、絵画による表現で彼らの物語と精神世界が描き上げられていた。 そんなに巨大ではなくちょうど良い大きさで完璧に造り上げられた建造物に思える。入った瞬間、前回来たとき 中に入らなかった事を後悔した。そういった素晴らしい空間は、地元の人々にとっては地元の精神的な よりどころとなっているようで、地下の小さな礼拝スペースで友人同士の老人2人が静かに語り合って いたのが印象的であった。


ワタシの前をとおりすぎるとは何事だ!
と怒られるがごとくそびえるファザード


なななんだっこの内部はっ!


うをおお〜素通りしてごめんなさーい(泣)


語り合うイタリアじいさんたち

 聖堂の隣りにある土産物屋でうまく撮り切れなかった(もちろんフラッシュはなし)天井画絵葉書などを買い、 パルマ名産のスミレ(ヴィオレッタ)の香りの石鹸やフレグランスをお土産に買った。アクアデパルマが有名だが、 伝統的な製法や調合で変わらぬ香りを造り続ける一方、爽やかな柑橘系のラインや、ヴィオレッタにも いくつかラインやがあるようだった。メーカーも数社あり、好みの香りが見つかると良いのだが、どうだろう。

 その後は部屋に戻り、8時過ぎまでごろごろしていた。昼の店に近くにある、女性シェフの創造する 郷土料理の店へ向かうが、お昼が強烈すぎてプリモ二つでギブアップ。パルミジャーノのムースに甘い ポルトのソースなどとても前菜とは思えない美しい一皿。甘さの使い方はいわゆる目からうろこなことが多く 、そういったものに出会うとすごく楽しい気分になるのだが、少々余裕がなくて残念。お店は地元の カップルが10時をまわった辺りからも、次々に訪れる。もちろん若い人だけではなく、隣りのドレスアップしたかなり 大人の二人は、他のどのカップルよりもラブラブで上品だったのが印象的だった。店を出ると街は静まり返り、 石畳もようやく北の街らしく凍りつくように冷え始めてきた。

甘いパルミジャーノムースにポルトの甘いソースの前菜
前菜のパルミジャーノムースとポテト
もうたべられましぇん...手打ちパスタ...


図らずも充実の1日をありがとうパルマ!


★2月5日(月)★

<月曜日から温泉へ向かうというシアワセ>

 パルマからミラノはおよそ1時間半で非常に便利なのだが、主要幹線をはずれると、電車の旅はなかなか 時間がかかる。今日はガルダ湖のシルミオーネまで行くのだが、いったんミラノに戻ってディセンツァーノデルガルダ という駅まで行くのが早いようである。ディセンツァーノデルガルダもヴェネツィアなどへ向かう本線の途中駅なので、 本数も多いしこれで行くのがベストだろう。ということで、早めにガラガラの朝食室で済ませたあとパルマを後にする。 IC+の車内でミラノに乗り継ぐICのチケットを何げなく眺めていると「あれ?こんなはずでは!」ミラノでの乗り継ぎ 時間が10分しかない!

 東京であれば、同じ駅の乗り換えに10分というのはセーフかもしれない。でもイタリアでは入線待ちなどで 微妙な遅れには文句は言えない。(まあ、東京の通勤電車も慢性的遅延は同じようなものだが)朝の時間帯は 特にそうだ。ということで、本来なら30分は見るのだが、成田でホテルからのメールを見て慌てて時刻表をメモしたので、 違う時間を書いてしまったようだった。ミラノの市内にIC+が滑り込むと同時に、遅れないでくれ〜遅れないでくれ〜 と祈るワタシであった。という願いが通じたのか、奇跡的にオンタイムで到着。Y美ちゃんと慌てて乗り継ぎのICに向かう! でも改札機にがちゃりをっしないとっと思うとそこだけ故障してるううう!ということで、大変な騒ぎでICに乗り込む、 が、サンシーロでせっかく大枚はたいて買った指定席に座れなかった経験から、やはり、座りたかったら時間前に行け! との教えは今日にもあてはまる。この線はいつも混雑している印象だが、この日もものすごかった。慌てて手前で 乗り込んだは良いが、通路にもどこにも人があふれてどうしようもない。仕方なく通路の補助席に落ち着くが、 ブレシアへ遠足に行く餓鬼らの大群の大熱狂につきあわなければなかった。はああ。ワタシタチの指定席はいずこに..。


ワタシタチの指定席はガキんちょに占領され補助席で目的地へ

 ブレシアで、かわいい餓鬼らを降し急に静まり返った車内でほっとすると、窓の外に広大なガルダ湖が姿を現す。 この湖は、北側に山脈が走るため、アルプスの寒風が遮られ、これだけ北にある湖であっても非常に温暖な地として 有名だ。そういった特殊な気候を活かした良いワインの産地としても有名だ。また、泳げる湖というのも、他の湖と 違う特徴を持つ。更に魅力的なのは、この湖底から温泉が湧いてるということだ。これから行くシルミオーネは ローマ時代から、その温泉の存在は知られていたそうだが、いったん温泉としての役割が途切れたあと、呼吸器 に効果のある温泉地として後世再び有名になった観光保養地である。しかし、ワタシがこの地に引かれていたのは 温泉も去ることながら、不思議な魅力のある風景にであった。13世紀に建てられたスカラ家の古城の港の遺跡と ガルダの緑がかった湖水とのコントラストが素晴らしく、実際にどんな風景なのか見て見たいとずっと思っていた。 今回のプランニングで「イタリアのテルメ(温泉)」にY美ちゃんが興味を示したために、これは行くチャンス到来! と思って決定したのであった。

 ディセンツァーノの駅は思ったよりも小さく、すぐ外に出てしまうような感じだった。駅を出て右側へ少し行ったところ にバス停があり、待っていたおばさんにシルミオーネ行きはここで良いか確認し、チケットは中のカフェだというのでも う一度買いに戻った。ブレシア行きのバスと調べてあったが、番号では表示されてなくて分かりにくい。おばさんはこ のあとのバスのようであったので、これがそうだと教えてくれて助かった。お客はほんのわずかで、住宅地をしばらく行 くとガルダの湖畔に出る。距離にして10キロほどだろうか?しばらく海岸線と見まがう湖畔を行くと、シルミオーネに 至る半島への道へ入る。ここからは、本当の一本道で天気が良ければ細い半島の両側にガルダの湖水を見るこ とができるだろう。両側にはぽつぽつとリゾート地らしいホテルが並び、ホントどこへ泊まっても満足できそうな感じであった。 果たしてワタシタチのホテルはどこにあるんだろう?バス停とどれだけ離れているか心配であったが、20分ぐらい走っただろうか? 運転手に終点を告げられて降り立ったバス停の目の前に目指す温泉ホテルが待っていたのであった。

ホテルからの眺めは絶景かな:温泉プールとガルダ湖

 フォンテボイオラホテルは、広い前庭を持つ横長の赤い色の壁をした建物である。隣りの黄色い壁はグランドホテルで、 もうひとつグレードの高い、マリアカラスが逗留したホテルとしても有名であるが、この時期休業中であった。同系列で、 ホテルにちゃんとしたテルメを持つのは、実はもう1軒旧市街寄りに建つシルミオーネホテルの3軒のみとのこと。ここにた どりつくまで無数のホテルがあるのだが、せっかくなのでそういったところをチョイスするのが賢明だろう。が、営業日もしか と調べないと忙しいニホンジンは、はるばるやってきても滞在期間中そのサービスを受けられないなんてことになる。 そうなりかねなかったワタシタチは、取り急ぎチェックインを果たし部屋にはいる。いやまたこの部屋がシンプルであるが素晴らしく、 海と見まがうガルダ湖が眼前に広がり、広い裏庭には湯気の立ちのぼる広い温泉プールがある。しばしバルコニーで、 あまりの気持ちの良さに呆然とする。普段ならばすぐにテレビをつけて静寂を破るのだが、今回はなんだかその前にすっかり リラックスしてしまったかんじであった。しかし、テルメの予約があるのでそうのんびりもしていられない。テルメ用の支度をして、 旧市街にある「アクエリア」という施設へ向かう。

<イタリアでイタリア人にまぎれてエステと露天風呂を楽しむ事>

 ホテルを出て、バスがやってきた道と反対側へ行くとすぐ目の前にシルミオーネのシンボル、スカラ家の城壁が 現れる。その跳ね橋を渡ると旧市街にはいるのだが、その城壁のイメージそのまま中世にタイムスリップしたような 不思議な空間を、車が通りすぎる(車両通行可)度に現実に戻るような不思議な街であった。街の唯一の 目抜き通りをしばらく行くと目指すテルメが現れるのだが、広い広い庭にはなんと露天風呂ならぬ巨大屋外温泉 プールがあり、その同じレベルにガルダ湖のひろびろとした水面が見えるのである。そして、施設も立派な外観を 持ち、近代的なスポーツセンターの趣もあるが、全く安っぽい感じはなく美術館や博物館のような趣もある空間 であった。受付で名前を告げると、ホテルから予約がしっかりはいっており感激。ホテルの宿泊者は10%割引が 受けられるので、何か宿泊の証明を求められたが、ちょうどバッグにはいっていた 予約確認メールのプリントアウトでOKであった。他にあるとしたら 何だろう?部屋の鍵?まあ、とにかくメールでやりとりをしたとおりのプログラムが用意されており、早速施術の部屋に 通された。このテルメのプログラムは、健康管理からフィットネス系、美容系と様々あるのだが、忙しい日本人向けの 1日コースというのは限られており、ほとんどが1週間ワンセットなどのプログラムが多い。ようするにあまり急激に効果を 求めようとしてはいけないようで、とにかく長期滞在でゆっくりくつろぎつつ、楽しみつつ健康増進というのが、欧州のテルメ のようである。ということで、数少ない体験コースでは、温泉泥を使った足集中コースというのを2人とも選んだ。他には、 フェイシャル系の1日コースもあったが、温泉泥というところにY美ちゃんが強く惹かれたということで決定。

ここがテルメの殿堂「アクエリア」水曜定休ですよ

 して、内容は、 温泉水(冷たい)のハーバルエッセンス入りジェットバス1時間。足を中心に泥パックのラッピング30分、自動的に加圧 されるエアバッグをぐるぐる巻きにして、マシンによるマッサージ30分(だったかな?)...とまあそんなところがメインコース。 きれいな個室で施術が行われ、バスローブやタオルなども一式貸し出しがあり、水着も貸し出すそうだ。全部で5時間の コースと聞いていたので、まだいろいろあるかとおもいきや、のこりの時間は温泉プールでラストまで入っていられるということの ようであった。個室も別々で、ちょっと進行に差があったので、最後までY美ちゃんとははぐれた(?)状態であったのだが、 荷物を暗証番号式のロッカーに収めて、プールに出るとそんなことも忘れて楽しんでしまった。プールも屋内施設がいくつか あるのだが、やはり、なんといっても屋外の温泉プールが最高である。時間がちょうど夕暮れ時であったので、プールサイドの 縁につかまると、同じレベルでガルダ湖が望め、まるで、湖で泳いでいるような気分になるのだ。そこにだんだん夕陽が傾き、 湖面に沈んで行く光景を約36℃にコントロールされた気持ちの良い温水の中で眺めることは、今回の旅行の間違えなく ハイライトであった。ああ、やはり2泊と言わず何日も飽きるまで居たいものだなあ〜と思った。周りには、みなおそろいの 水泳帽を被ったイタリア人たちが(ちょっと不思議な出で立ちになるのが笑える)それぞれくつろいでいたのだが、たぶん 同じような思いで夕陽を見つめていたに違いない。そして、間違えなくこの日この場所にいたニホンジンはワタシタチだけ であろう。大変な穴場でもあり、硫黄泉のかほりがきっとニホンジンが来ればはまるにちがいないなあ〜なんて思った。

お部屋チェックは白基調の快適空間


 夕陽がすっかり落ちていくまで、かなりの時間そこに居たのだが依然としてY美ちゃんの姿は見えず、いったいどこへ行って しまったのだろうか?36℃のマイルド温泉であるにもかかわらず、テルメの効能書きにはだいたい1回20分が限度とのことである。 ニホンジンにとっては、もっと強烈な高温酸性温泉とかなんだかんだで免疫がついているので問題はないと思うが、かれこれ数時間 はいっているので、そろそろ暗くなってきたので上がることにした。そういえば温泉好きのY美ちゃん(確か北海道へスキーへ行ったとき、 スキーをやらずにずっと温泉と読書をしていたという伝説の、ある意味ニホンジン離れしたリゾート感覚の持ち主であった)も出てくる だろうと思い、先にロビーで待つことにした。受付で最初に磁気情報で施設内の飲食などができるブレスレットを渡されるので、 それを最後に受け付けでチェックアウトして完了。であったのだが、待てど暮らせど現れないので、再入場させてもらい探しに行く ことにした。すると係員の兄ちゃんが「ニホンジンならあそこにいるよ」と教えてくれた先にY美ちゃんを発見する。 まだまだのんびりモードであったようで、急がせてしまいちょっと申し訳ないことをしたかもしれない。そんなこんなで、あわただしい一日 であったが、テルメを出ると夜の7時を回ってあたりもすっかり暗くなっていた。

ホテルのプールは夜8時までやってますよ:36度の硫黄泉です


 テルメ利用の注意書きにあるように、ちょっと部屋で休憩して、そのあと夕食に出かける。とにかく、シーズンオフということで、 暗闇に妖しく浮かび上がるスカラ城の先はお店の開いている気配がしない。とにかく人が歩いておらず、テルメのスタッフたちが 帰宅するところとすれ違い、手を振ったりしたのだが、果たして開いている店はあるのか?それとも不本意ながら、ホテルでの晩餐となるのか! であったが、夜になってますます現実離れが著しいシルミオーネの街を彷徨うと、とうとうまったくもって1軒だけ灯りのともった店を発見。 とにかくどう考えてもこの夜食事の出来る唯一の店であったことに間違えはなさそうであった。スーパー観光地でここだけ開いている なんていうのは、ひょっとしたら悪徳な店である確率が非常に高いのが常であるのだが、ここの人々が醸し出すのんびりとした雰囲気 はそういったぎすぎすとしたものとは無縁であることが、この店にはいってよくわかった。今晩街にいるほとんどすべての観光客が 集まってきたのではと思われる店内であるが、やや値段は高めなものの、どの料理も良心的で、シェフとホールの寡黙なおじさんが まじめに立ち働く様は、非常に好感があり「料理どうですか?」と合間に聞いてきたり、結局デザートまで食べ尽くした ワタシタチに食後酒をサービスしてくれたりしたので、その好感度はぐっとアップしたのであった(単純)。いや雰囲気も料理も 素朴ながら堅実でなかなかであったことは確かである。

勤勉なレストランの内部と、闇に浮かぶシルミオーネの夜




★2月6日(火)★

<憧れの街をそぞろ歩く一日>

あああ、今日は湖面が全くみえましぇん


 朝から空はどんよりとしており、少し雨が降り始めたようであった。バルコニーから外を眺めると、昨日遠景に 見えていた海のようなガルダ湖は、すっかりその姿をかくしてしまったようであった。しかも、昨日まで青空をそのまま 反射していたような広大な青い水は、今日はさみしいグレーの空につながっているみたいだ。そんな中、ホテルの 庭にあるプールは昨日と変わらず適温の温泉を湛え、ゆらゆらと湯気が立ち上っていた。広くて明るい朝食室で、 軽く食事をしていると、ぽつぽつと宿泊客が集まって来る。オフシーズンということもあり、きらびやかな観光目的 の客というよりも、むしろこんな時期でも療養を目的に来ているような人たちが多かったような気がする。一人で 来ている年配の女性とか、雨の降る中テラスで食事を取る男性など、おたがい微妙な距離を保ちつつ 常連のようで、ホテルのスタッフとも客同士とも顔見知りのような感じであった。

お城は13世紀からここにあります。さあどうぞ


 残念な天候ではあったが、この日は街を散策することにしていた。とにかく、あの街のシンボルの城へ登らなければ 始まらない。ワタシがここへ来るきっかけとなった風景をこの目で確かめなければ...。ということでスカラ城へ向かった。 旧市街の入り口となっているこの城門を渡り、さらに跳ね橋の入り口を行ったところにチケット売り場がある。13世紀に 建てられたこの城は、現在は見学者のみを受け入れているが、ガルダ湖に面したところには城専用の港が作られている。 城内に荷物を運び込むことと防御の意味もあるかと思うが、引き込み口が2カ所あり、城の外側に着岸するところと城の内部 に壁で囲まれた港に引き込む入り口とに分かれているようである。引き込み側の港は外壁と同じく高い塀に囲まれて、 高いところから常に監視ができるようになっているのだろう。現在はあまり船などの往来がないために湖面は穏やかで、曇りにも 関わらず透明度が高いためかその深度によって水色が全体的に緑がかって見え、その濃淡が不思議な雰囲気を 醸し出しているのであった。ワタシが見たのも、城壁に囲まれて不思議な緑色の水を湛えた内港の景色であったようだ。 おそらくもっと太陽が輝いている日はさらに幻想的な色が現れるのではないのだろうか?城の東側には港の遺跡があり、 西側には平和な現在のヨットハーバーがあり、何隻もちいさなボートからクルーザーまでが行儀良く停泊していた。

城からの景色:ふるい港と新しい港
すぐしたにはグランドホテルで天気がよければヴェネチアも見える?


 城の最上段にある高い塔の上から南にあたるディセンツァーノ方面を見下ろすと、ワタシタチのホテルの手前に グランドホテルが見え、曇っているのだが、細いシルミオーネの半島の両端がくっきりと見ることが出来る。もし 晴れていたら右にブレシア、左にヴェローナ...なんていう遠景が見えるのではないのだろうか?ひょっとして、 この次に訪れるヴェネチアまで...は無理だろうなあ...。旧市街を見下ろすと、やや古めの町並みで赤い煉瓦も 色が一定しているわけではないが、おそらくシーズンが始まればさらに華やかにきらめくであろう可能性を感じる、 落ち着いた風景が広がる。昼近いのであるが人の姿が見えないのがちょっと寂しいが、わびしいという感じではなく、 街も静かに休んでいるといった感じだろうか?半島の先端は緑の森になっており、昨日のテルメのもっと先には、 ローマ時代の遺跡があり、この温泉源泉はその沖の湖底から湧いているということだ。いったいローマ人はどうやって、 その温泉の存在を知り活用しようとしたのか?その位置関係からするととても不思議な気がするのであった。 欧州の各地に温泉を切り開いた古代ローマ人の情熱が、なんとなく、ニホンジンの温泉好きに何か通じるものが あるような気もするし、ない気もするし...とにかくこんなところで硫黄泉の露天風呂に入れるということが、 ニホンジンにとって狂おしくバリューだということに、ここの人たちは気づいているだろうか?(ないな)

「おーい」と言ったら寄ってきたカモ

 城を離れて、雨のしとしと降る街をそぞろ歩く。湖畔のとても良い場所にあるホテルも、ほとんどが休業中だ。 町中のほとんどの店も休業中で張り紙を見てみると、なんと3月中旬までお休み..なんて書いてあった。 ああ、こういうのを見てしまうと「イタリア人になりたいものだ」なんて思ってしまう。こんなちょっぴりの休みに 四苦八苦しなくてもよく、風光明媚な環境においしいワインと料理。おおらかな人々。明るい太陽に 青い海...あああ...なんて落ち込んで居る場合ではない。湖畔にいたカモが同情してか、そばに寄ってくる。 そして、道に出れば白手袋をしたようなとらねこが、これまたわざわざあしもとにすり寄って挨拶をしていく...。 ああ、本当に良いところだ、シルミオーネ。ワタシを待っていてくれたようだよ。

白足袋のにゃんこも挨拶に来る


 街のはずれ、昨日のアクエリアあたりまで行って、だいたい目抜き通りは終わるのだが、ここの店もほとんどが休業中。 なんとなくさびしい雨の1日になりそうだったが、ポート近くのセレクトショップというか、ちいさな洋品店が奇跡的に開店 していたので、どんなものがあるのかはいってみた。ブランド物などはないのだが、店のシニョーラ曰く「ウチの商品は、 みんなイタリア製なのよ。中国製はないからね」とのこと。そういえば、最近こういう風に言う人が多くなったような気がする。 特に昨今「原産地証明」というのを声高に推進しているのはイタリアであるような気がする。とにかく、どれもこれも、にたような 名前を付けてニセモノを平気な顔をして売っている。ブランド物などはそういう被害に遭いがちだが、たとえばパルマハムなども そうである。モッツァレッラチーズなども、ちゃんと水牛のミルクを使ったものでなければ、そう呼んではいけないし..とにかく、 キリがない。大陸で見たニセモノを喜々としてして誇らしげに売りさばく中国人のワカモノの姿に常に違和感を覚えて来たが、とにかく、 おかしい事はおかしいとちゃんと言う時が来たという事なのだろうなあ。そんな気運と平行して、ニュースで中国人が狙われた 殺人事件が流れた。イタリアに住む中国人に、不幸な事件が続かなければ良いのだが..と思わずには居られなかったが...。

シルミオーネと言う名のピザトースト

 その店で、あれこれイタリア製のモノを買い物し、近くのカフェで四角いピザのシルミオーネ風というものと白ワインを飲んで ホテルに戻る。あいにくのお天気で、まだぽつぽつと雨が降っていたが、水着を持って屋外温泉プールへ向かった。昨日はお休み で、係員のお姉さんがメンテナンスをしていたのを上階から眺めていたが、今日は開店中で夜8時まで泳ぐことができる。プール は宿泊者は無料で利用できて、施設にはアロマミストサウナ、ジャグジーなどもあり、およそ36℃に保たれた温水は実に快適で ある。同じレベルにやはり、ガルダ湖の湖面を眺めることができ、良く手入れされた広い庭に、時折住み着いている猫が通り過ぎ たりする。マリアカラスも休暇に眺めたであろう同じ風景とともに、ゆっくりとした時間が流れて行く。そういえば、日本ではあ まり見ない光景だが、温泉治療の一つに「吸引」というものがあるが、ここも最初に書いたように、伝統的に呼吸器系の疾患に 良いとされる温泉地なので、プールの手前の部屋にはずらりと、その器具のブースが並んでいた。これも無料で利用できるので 、のんびりとした環境で長期滞在。しかもミラノからの交通も至便ということで、喘息や気管支の疾患の方々に強くおすすめした い。もちろん温泉泥のスパ&エステメニューもここで受けられるということで、とにかく知れば知るほど、この短い滞在が悔やま れるのであった。

 そんなこんなで、全身ふやけ切る余地がなくなるまで温泉を堪能し、しばらく休んだ後に夕食に出掛けた。たぶん昨晩の勤勉な 店は空いていると思うが、今日はお城のすぐそばにある店も開店していた。有名なレストランの並びにある店で、ホールは女性 だけで行い、昨日のグロッタ(洞窟)のような雰囲気ではなく明るい内装であった。先客の老夫婦は、もう食事も終わりにさし かかり、おじさんのほうがワインで気分よく、いたく食後酒のリモンチェッロを讃えていた。この店のおすすめで、ガルダ周辺 で採れる単一種の葡萄で作られた白ワインが非常に良く、魚介類中心の食事に良く合った。こういった、出会ったワインの メーカーや名前をいちおう控えてみるのだが、もし仮に東京でこの瓶を見かけても、おそらく、ここで飲んだ味のささやかな 面影だけであろうとは思うのだが。むしろ、またここで飲めることを期待して記録して、味を記憶する材料として意味を持た せる。闇夜に浮かび上がるスカラ家の古城を眺めながら、静かなシルミオーネの夜はふける。サービスに出してくれた リモンチェッロは、おじさんの言った通り、清々しい食事のフィナーレとなる。

ガルダ特産の白ぶどうを使ったワインはここで飲むのがいちばんということで...


★2月7日(水)★

<指定席というのはそこに座るためにあるのだが>

 翌朝もお天気は優れなかった。結局素晴らしいガルダ湖の眺めを満喫できたのは、到着した1日目だけであった。静かに 雨は降り続けているが、もうすこしで春がやってくるような予感のする朝であった。朝食の食堂はほとんど人がおらず、 常連の逗留客がぽつぽついる程度であった。トリノからやってきた男性にチェックアウトまでつきまとわれるもご愛嬌で、 この人物はさておき、次回はもっとゆっくり滞在したいものだなあ〜なんて思った。同じ時間にチェックアウトした、 お金持ちそうな老人3人は、それぞれの高級車にたくさんの高級カバンの荷物を積み込んで、彼の地へ出発するところであった。 いったい何日いたのかは定かではないが、どの客も何度も訪れている様子で、感じの良いスタッフに見送られていた。 ワタシタチは、もときた郵便局の前(良く見るとそうであった)バス停で、ブレシア行きのバスを待った。2人ほど同じバスを 待っていたが、少し到着が遅れたので駅まではここで大丈夫か?と訪ねると程なくやってきて、そのバスに皆乗り込んだ。

 シルミオーネの半島を抜けると、ディセンツァーノの街までは普通の住宅街を抜けていくような感じである。地元の 乗客を次々乗せて、30分もしないうちに駅に到着する。駅に到着すると、同じバスに乗っていたおじさんが、どこへ行くのか? と訪ねるので、何時発の便でヴェネチアへ行くと伝えると、おじさんは窓口へ向かっていった。なんで聴いたのかな?と 思っていると、窓口から戻ってきて「それでOKだ」と言ってなんと街のほうへ消えて行った。どうもおじさんは、バスを降りた ところから心配で着いてきたようであった。ああ、なんだか不思議な感じであったけれども、とりあえずこの街とはお別れとなる。 やってきたICに乗り込むと、難関の指定席探しが始まるのであった。

 まったく、指定の車両に乗り込んで、その番号の書いてあるコンパートメントの前に行き、書いてある座席に座れば 良いのだが...。ほんとうにそれだけで良いのだが、ほとんど9割がた、自分の席に座っていないというのがイタリア の指定席のような気がしてきた。自分の席はどこだかわかっているのだが、こっちに座っているんだ。みたいな感じである。 その辺がよおくわかんないのだが、そういう場合、空いているところに座ることになり、ワタシタチも「その席だと解って いても」別の席に座ることになる。しかも、そのワタシの席に座っているオヤジに「そこへ座れ」なんて言われたりするので、 まあいいかと思うことにしているが、疲れているときはなんとなく不機嫌になってしまう。「オヤジがどけばいいのだ」なんて。 でも、みんな座れているのだからいいぢゃないか、なんて感じなんだろうなあ〜などと考えていると、ヴェローナで ビジネスマンが「良い一日を」などと言いながら去っていく。ニホンジンも見ず知らずの人でも、以前はこんなことあった よなあ...なんて、人の少なくなったコンパートメントで日本を憂う。例の卵みたいなオヤジはそのまま残っていた。

 サンタルチアの駅に着く頃には、雨は止んできた。たまごオヤジとともに、メストレの駅を過ぎたあたりから、ヴェネチアの ラグーナのアプローチをぼんやりと眺める。まだここからはその姿は見せないのだが、なにか、確実に違う処へ向かっている のだという雰囲気がして大好きな瞬間だった。オヤジもきっとそう思っているのだろう。再びヴェネチアを訪れることの 出来る喜びを、密かに感じるワタシであった。Y美ちゃんも初めてのヴェネチアを楽しんでもらいたいものだ、などとも思った。 たまごオヤジに別れを告げて、駅舎を出ると「ああ、またやってきた」というヴェネチア劇場がスタートする。すこし 日差しも戻ってきた中をまっすぐホテルに向かう。昨年9月のベルエポックというホテルよりは奥にあるのだが、ほぼ その駅前通りのならびにアマデウスホテルはある。グレードも前より高い分、エントランスも立派であったが、フロントで 見える鍵が掛かったままで、本日はお客は少ないようであった。今回はラッキーなことに、どの目的地の 昼頃の到着でも問題なく部屋に通して もらえたので、すべていったん荷物を置いて、一息ついてから予定通り進めることが出来たのでとてもついている気がした。

いかにもヴェネチアな「アマデウス」の部屋

 このホテルは、ニホンジンの団体ツアーでも使われることもあり、日本食レストランがメインダイニングということで、 いかがなものかと思っていたのだが、部屋はクラシックであるが、この界隈にしては広くゆったりとしており、中庭に面 している部屋だったので、表の雑踏からすると非常に静かであった。荷物を整理して、例によって歩いてラグーナ内の散策 に出掛けた。水上バスでキャナルグランデを時間掛けて進んで行くのも良いのだが、とにかく、ロンドンの地下鉄と同じぐ らい不当に高い運賃で、直前に料金改定があって、更に値上がっていたのだ。初めて来るのであったら、その辺希望であれば 、ゴンドラも乗るかい?なんて聞いて見たが、特にこだわらないということで、エコノミーなヴェネチア観光となった。実は 船でも歩きでも時間はそう変わらないし、キャナルグランデが表の顔とすれば、迷路のような路地こそ、この不思議な街の素顔 のような気がするが。

やはり撮らずにはいられない大運河


 結局これまで何度も歩き回っているのだが、いまどの辺かわからず、目印になるような教会や歴史的建造物が見えると安心し、 見たことのある広場や路地をなんども通り過ぎるうちに、今日もまた無事サンマルコ広場にたどり着くことになる。そういえば 、ヴェネチアの2月といえば、カーニバルである。実は今日は閑散としているホテルも、明日から料金は跳ね上がり、満室状態が 続くはずである。前日とはこんなに静かなものか、と驚くばかりであるが、このサンマルコ広場には、イベント用の大きなステー ジが設営されており、明日からの華やかな数日間を待ち侘びていた。寺院とドゥカーレ宮殿のあたりを散策し、宮殿はあとまわし にして、とりあえず昼食に行くことにした。しかし、これまたあてにしていた店が改装中で途方にくれる。この時期の観光地は、 シーズンのためにあちこち化粧直しをするべく店は内装工事を行い、路地は舗石を並べ換え、商品を棚卸し..。といったとこ ろであろうか。とにかく、ヴェネチアの飲食店に苦手意識のあるワタシはさあ困ったなあ〜と思ったが、この際勘で勝負賭けて みるか!と開き直り、それが良かったのか、フェニーチェ劇場前の路地にあった店はまずまず当たりであった。そういえば、 名物であったイカ墨もここであらためて食すと、なるほど美味であり、少々高めではあるがワインとの相性も良好であった。 こんな中心部で飛び込みで当たりとは、ついてるのかもしれないなあ〜なんて思った。

フェニーチェ劇場の目の前の道に蛇が出るかヘビが出るか?

と、思ったが無難に良い店が見つかって・いかすみも食べちゃったぜい

 この界隈は、表通りがいわゆるブランド店が立ち並び、時間帯にかかわらずいつも大変な人通りだ。その裏には、 小さな土産物屋が立ち並び、レストランなどもたくさんあり、サンマルコの裏側ほどではないが、ちょっとした買い物 も楽しい。少し時間を掛けた後宮殿へ向かうと、もうすでに入場は終了していた。まだ日が高いので油断していたのが 悪かった。観光も明日は少し時間的に難しいので残念なことをした。帰りがてら、趣味の良いセレクトショップを覗いたり 、リアルトのガラス店を物色したり、意外にお買い物が楽しいと言うことでY美ちゃんも気に入ってくれたようだ。すっかり 暗くなった帰りの長い道程も、ちょっと遠回りしてしまったが、そんなこんなで足取り軽くホテルに戻ることができた。しかし、 昨日までの疲れが出たのか、冬場の乾燥のせいか、風邪のような症状でY美ちゃんがホテルに着くとダウンしてしまった 。....。ということで、一寝入りした後、すこし回復してきたかもということなので、何か軽く遅い夕食でもと思い 外に出た。何か買って来てもよかったが、すこしなら大丈夫そうなので、混雑を避けて、これまた勘でしかないんだけど、 2ブロック程先の入り口が立ちのみのカウンターとなっている店にたどり着く。たいしたメニューは無いのだが、 シーフードパスタとヴェネチアで食べたかった、バッカラマンカート(干しだらをほぐしてペースト状にして、パンなどに 塗って食する)に出会えたが、とにかく、速効で食事を済ませ、とうとうぽつぽつ雨の降って来たサンタルチア駅前通り 界隈を足早に戻った。相当辛いようで、ベッドに倒れ込む姿を見て、明日は軽目の予定変更だな、と思った。雨で人どおりも 少ないが、中庭に面したこの部屋の静かさに助けられた。

バッカラマンカートにも遭えましたが

冬場の欧州は体調管理がたいへんだよなあ


★2月8日(木)★

<とうとう心を開いたかに見える女王>

 フランス語で海は女性名詞だが、イタリア語ではイルマーレということで男性名詞となる。同じラテンルーツなのに 不思議だなあ、と思うのだが。陸地は女性なので、ヴェネチアはアドリア海の女王と言われ、毎年海との結婚式の儀式が 行われる祭りがあるそうだ。(毎年しないといけないものなのか??) そんなわけでこの魅力的な土地(といってもほとんど島と橋と人工島の人の成せる技の集大成 なのだが)は、美しく華麗であるが決して観光客には素顔を見せない頑なさを感じ、その分身である街の人々によって、 観光客は法外な授業料を払わなければならない所に思える。多少ボラれても、ここならそれを補って余りある思い出があるさ、 なんて。

それではいけない。

なんとか攻略したいとは思っていろいろ調べ、時間があれば足しげく通い詰め、迷路をさまよい歩き、店の地図を片手に 捜し回り、だけど弱気になって本丸へ攻め込まず、門前でうろうろしているのが去年までのワタシであった。しかし、 今回は、オフシーズンのクローズが多くあてにしていた所がことごとくダメになったので、却ってどこでもいいや!という 気持ちで歩き回っているのが良い感じなのかな?と、ようやくイタリアの他の街のように、普通に普通の店が探せるように なった気がする。

 そんなこんなで、一晩しっかり寝たお陰でY美ちゃんも回復して、ミラノへ出発するまでの時間で再びドゥカーレ宮殿を 観に行くことが出来た。が、どうショートカットしても30分はかかるサンマルコまでの道程。これだけはどうしようもないが、 元気になったならば、頑張ってもらうしかないし、観光客的に宮殿を観ないで帰るのもせっかく来たのにもったいないと 思うし..。荷物をホテルに預けて少し早めに出発した。昨晩からの雨で、サンマルコはアクアアルタで水没しているか もしれないなあ、と思ったが、幸い雨も上がって広場も水たまり程度で収まっていた。「ワタシひとりで行くから他の ところ観てて」なんて言われるのだが、イタリアの歴史的建造物は1回みとけばいいや、というものでもないので、 気を遣ってくれなくてもいいのになあ〜なんて思いつついっしょに入る。ヴェネチアで行き違いになるのも厄介だし、 そのへんは自信があったのか不明だが..。とにかく、あちこち回った後にこの絢爛な内部をみると、いかに最盛期 世界の中心であったか納得できる訳で、大広間でしばし呆然と眺める至福。いくつもの観光客グループが入れかわり 立ちかわり過ぎ去って行くが、立ち止まり好きなだけここで過ごす贅沢は再び訪れないと出来ない訳で..。なんて 事をいろいろ考えていた。

とはいえドゥカーレ宮殿に通うというのもいいものだよね


 結局そのあとは戻りつつどこかで食事を、と思いこれこそ嗅覚だけを頼りに、ある運河の小さな橋のたもとの店に入る。 外から眺めて、メニューと値段が見られて、立派な立ちのみカウンターがあり、地元民が店の人と話ながら飲んでいて、 テーブルにも普通の労働者とか、指定席のような常連がいる..。ので、入って見たらアタリ!だった。イカ墨のリゾット を待つ間、アリーチェ(ひこいわしのマリネ)のサラダも、魚が新鮮でワインに良く合うし、出て来たリゾットも良好良好。 隣の米国人観光客チームはツーリストメニューのステーキやらボロネーゼなどをもくもく食べていたが、となりのアジア人 が喜んで食べているひこいわしは、これは食べ物ですか?みたいな視線を送っていた。こういうとき、食文化に共通点が あるということが素晴らしく思えるのだがなあ。場所も店の人と名前も覚えなかったが、なんとなく、ようやく難攻不落 のヴェネチアにワタシも出入りを許された様な気がして、ちょっとうれしかった。また来たいな。ヴェネチア。

新鮮でないとおいしくないアリーチェとありそうでありつけないいかすみリゾット

 ホテルに舞い戻り、荷物をピックアップして駅に向かう。ミラノまでのESは、オープンサロン式でこちらのほうが 分かりやすくていいかなあ〜なんて思う。ミラノまでのまでの3時間もワインが効いてぐっすり寝たまま到着する。 最後の2泊もスターホテルの駅前ホテルで、スプレンディッドのほんとうに向かいにある、アンダーソンにチェックインする。 フロントが地下に降りて行く構造で、ちょっとこの天気の悪い日々は浸水が気になる感じだ。荷物を持って階段を降りるのも ドアマンがいないときは、ちょっと辛いかなあ。が、向かいよりもワンランク上を目指すデザインホテルのコンセプトらしく、 フロントも若いイケメンをずらり並べていたが、なんとなく人が多すぎるような..。研修中のようだったが..。 部屋もぴかぴか新設備三昧であったが、ちょっと盛りだくさんすぎて、バスルームが手狭で暖房ばりばり。 水着でも過ごせそうな室温は暑がりの私は窓を空けて調節するしかなかった。

スターホテルアンダーソン
部屋はちとせまいけどいけてますのがおとなりと違うところ


<我が愛しのイタリアオヤジ達よ>

 この日はこの後忙しくて、荷物を整理したらスカラ座へ出掛けなければならなかった。まあ、でも8時開演であれば 30分前に向えば問題ないので、すこしだけきれいな格好をしてDUOMOに向かった。演目はバレエで「真夏の夜の夢」。 10月に香港で見たものと同じ演目であったが、子役はそのとき香港の子供達であったし、やはり、この劇場も演出の一部 であるので、全く別のものと考えて良いと思う。実際、オーケストラとの息や、合唱が入る所など多少演出も変わっている のであった。これだけは実際見に来ないと分からないところであるのだが、しみじみ思うのは、舞台というのは生き物で 、劇場という箱でこんなにも変わるものか。あらためて確認し、良い経験をしたような気がした。歌舞伎は新橋演舞場より 、やはり歌舞伎座で見たい。それに似た感覚であろうか?何しろ優雅で、華麗で、美しい極致がこのスカラのバレエと思う。 是非この場で見てほしい。オペラも含めそれぞれの箱でそれぞれの演目を見るのが、何物にも代え難い贅沢だろうなあと あらためて、安い安い席で乗り出しながら思うのであった。

 美の極致から夢見心地で解放された人々は、その周辺の優雅なテラス席に吸い込まれて行くのだが、今回私達もその 流れでギャレリアの中にあるリストランテに入って軽く食事とすることにした。劇場流れの客で大盛況だったが、同じ空間を 共有していた人々と余韻を楽しみつつ過ごすのも良いものだなあと、思った。隣のいかにもミラノ人らしいおしゃれなオジサマ (この場合オヤジではない気分)2人は、仲良くボンゴレとサラダバーを食し、最後にしっかりデザートを食し、 しかも相手のドルチェをつまみ食いするあたり、あああ、、イタリアオヤジ万歳と思ったのであった。食後にドルチェ 食べないのはやはりイタリアオヤジ道に反するのである。すべての食事はドルチェに至る道である。と、だれか言って いたよなあ..。なんて思っていると店のイタリアオヤジがカフェをサービスしてくれた。レシート無しならば、 カフェの数はどうにでもなるんだろうなあ。食後の1杯のカフェに破格の値段を取るニホンジンよ。そろそろカフェの 位置付けを再考してくれい!なんてことで、ミラノの夜が更けて行くのであった。

★2月9日(金)★

<高いところにゃ登ってみるもんだなあ>

 週末の朝食室はビジネスマンなどでごった返していた。今回は地方めぐりであったので、こういう雰囲気は、 ああミラノは都会だなあなんて思う。窓を空けていると、中央駅の喧噪とトラムの通過する音とが流れ込んでくる。 ああ、都会だなあ。あ、でもここのパンはうまいなあ。ベッドも気持ち良いし枕も選べるようだし、スターホテル気 に入ったなあ..。なんて。ようやく天気も回復してきて、青空も戻って来た。Y美ちゃんも風邪は勘違いかも、 なあんて言うぐらい回復して一安心だし。でも今年はやはり暖かい。不気味に少ない山々の雪を憂いつつも、もう春が 近いから大丈夫かな?なんて訳の分からないことを思う。今日はゆっくりミラノ見物だなあ。

はっ!こんなところに!!

 となると、やはりスフォルツァ城がスタートかな?と、思い地下鉄で出掛ける。が、スフォルツァ城おまえもかああ〜 と言いたくなるほど、ここもまた、城壁の内側に足場と囲いが巡らせてあり、大改修中であった。広い内庭がまったく 工事現場になっていた。ああ、シーズンオフおそるべし。と、落胆して足場を歩いていると、あ、城ネコだ。そう、 ここはネコ多発地帯であった。不思議なことに1匹見つかると次々見つかるのである。足場から下をのぞき込むと、 ちょうど陽のあたるところでのんびりしているのが見える。ネコを2匹飼っているY美ちゃんも喜んでネコ探し。 で、ふとすぐそばの手摺りを見ると、生まれて4カ月ぐらいのきれいな雄ネコが座っている(というか、鳥がと まっている感じ)。人なれしているようで、堂々たる態度がまるで王子のようであったので、この王子としばらく 撮影会などしながら和む。ネコ嫌いな人には理解不能かと思うが、ワタシタチはこれだけで、たとえ足場が 張り巡らされてあっても、城見学はかなり満足なのであった。

ミラノに来たら挨拶に参れよ・と王子が言った

 城のあとは、なんとなく通過点になってしまっている大聖堂へ向かう。実はこれまで何度も何度もこの場所に来てい ながら、この大聖堂に登ったことが無かった。ちょうど出発前に後輩がここに登った話をしていたので、をを盲点であった! 高い所好きなワタシとしたことが..。なんてことでここにまともにやって来たのであった。登る方法には2種類あって、 階段(4ユーロ)かエレベーター(6ユーロ)で、ここは迷わずエレベーター。入り口が違うので要注意だが、 軽くセキュリティーチェックを受けて昇ること15秒。あっと言う間にこのミラノを一望する、奇怪な建造物の 天井部分にたどり着く。天に向かってあらゆるところから伸び行く大理石の尖塔は、近くで見ると実にさまざまな意匠 に形作られた、二つとして同じものがないのでは?と、思えるような彫刻群で造られているのであった。ネコが ねずみをくわえているものなどもあって、なんだかこれまた楽しくなってしまう。さらにファザードの裏側に当る 大天井の上部に上がる階段を昇ると、DUOMO前広場が一望できる。をを、この風景は何かで見たことがあるぞ、 などと思いつつ更に天井を伝って、黄金の天使像のある尖塔の下部まで昇る事が出来た。卒業旅行らしきニホンジン の女子グループが何組かいた。ニホンジンってこんなんだったかなあ?なんて思うような奇異さであったが 、何年も前から奇怪なこの大理石の大聖堂にはかなわないかな、なんてね。

トップの写真も大聖堂の彫刻のひとつです
ねこがねずみを〜なんてのも探してみてください

大聖堂の天井からみおろす広場=ミラノの広間だね
ミラノリゾット・バローロワインのリゾット
ミラノカツレツ・付け合せの焼き野菜




リナシェンテのちかくにあるお店です:もちろん大聖堂からもすぐですよ


 思わぬ観光に満足したところで、昼時となったので、この日はミラノ風カツレツでもいかが?ということで リナシェンテの裏側路地に当りをつけて、これまた勘で新規開拓してみる。スプマンテで始めて、 パルミジャーノムースのアカシア蜂蜜がけ、ミラノ風リゾット、バローロワインのリゾット、焼き野菜にメイン のカツレツ〜と、かなり食い過ぎ状態だけどワインも状態が良く充実の昼食となった。しかしあまりに食べ過ぎた のでいったん部屋に戻ることにした。が、夜も更けたころ起き出して、中央駅近くのスローフード協会ゆかりの店(?) トレーノへ、出掛けた。いつも行こうと思って行っていなかったのだが、駅前からも歩いて行ける距離である。 古いシンプルな内装にあまり手を加えていない様子で、むかしの学校の校舎のような風情であった。しかし、 奥行きのある店内はほぼ満席で、飛び込みの私達はぎりぎり冷蔵庫とヒーターのそばという場所しかなかったが致し方ない。 ユニークなカメリエーレにそんなの無理だと言われつつ、安くて旨いワインにありつき、○○村の限定サラミ盛り合わせを 食べ食べ、メインの豚とがちょう料理は滋味でそれぞれ美味であり、ついでに昨晩のイタリアオヤジに習ってドルチェも堪能。 素性の良さそうなグラッパとカフェで締め、上機嫌の夜。バングラデシュの花売りにちょっと引っ掛かるも、 勢いでぶっちぎり部屋に戻る。やはり、ミラノはいろんな店があって楽しいなあ、と思う。食い過ぎだけどね。 と言いつつ、スーパーで買ってあったバルベラ3.5ユーロで最後の夜に乾杯で、飲みすぎる...。

産地&生産者限定サラミ:このワインははずれなし!名前は...なんだっけ?
店内はシンプル・地元中心:ワタシの頼んだがちょう料理のポレンタ添え
ぶた料理りんご添え:デザートも滋味であったぞよ





★2月10日(土)★

<おや日曜日だったハズなのだが>

 とうとう最終日となった朝は、昨日よりも人が少なく静かな朝食室だった。ちょっとレイアウトに難があるが 近代的ホテルともお別れ。夕方まで荷物をお願いして街に出る。ガイドブックによれば、ナビリオ運河のあたりで 土曜日も市が立つとかいうことで、日曜日じゃなかったっけなあ?と思いつつ、見に行ってみることにした。 ちょうど、ミランポイントの近くだったのだが、いわゆる常設の食品市場がこの日オープンということのようで、 ちょっと拍子抜けであった。でもせっかくなので、中を覗きつつ、日本とはちょっと違う店の呼び込みとか、 品揃えを冷やかしつつ、外の魚屋のお持ち帰りフライ盛り合わせに心引かれつつ、こんなもんかなあ?と後にする。 せっかくこの界隈に来たので昼ごはんも食べて行く事にした。ミラネーゼの隣にあるパローネという、 サッカーテーマ?の店にはいる。最近にしては珍しいのだが、店員が逆に言葉に自信がないらしく、何故か 「変なガイジンキター!変なガイジンキター!」というかんじで パニックに陥っていた。無事にオーダーを済ませると安心したようだが、なんだか最後まで様子がおかしかった。 しかしイノシシのラグーのパッパルデッレや、シンプルなバジルトマトソースパスタは激ウマで、軽い気持ちで入ったのに、 ああ、イタリア去り難しと思う瞬間であった。隣のご家族が、紙幣のコレクターなので日本円を交換してほしい、 なんて事もこの店であったが、千円札を喜んでしまいこむこのオジサンもイタリアオヤジ。なんだか都会のミラノなのに ゆったりと過ごすことができた昼下がりだった。

ナビリオでも目立つところにある店だけど、出てくるものは美味でした


 ナビリオから大聖堂まで戻り、なんとなくもてあました時間を大聖堂に再び捧げてみることにする。実は、 大聖堂の中にはいったこともなかったのだ!この旅のはじめのパルマでも「はいってびっくり」の教会の素晴らしさに すっかり魅せられてきたわけだが、そういえばここも入らねばなあ〜ということで、これまた簡単なセキュリティ チェックを受けて中に入った。うをっ!なんぢゃこりゃああ〜!ということで、これまで素通りしていたことを 深く後悔したことは事実である。Y美ちゃんもこんなステンドグラスは見たこと無い!と絶賛するし、ワタシは、 昨日昇ったこの建造物を支える、巨大な柱の存在感に圧倒された。ああ、人間はなんてものを作り出すのだ。 そして、こんなものを造りだす力があるはずなのに、なんてちっぽけなことにこだわってしまうのだろうかあ。 なんてその巨大な天井が頭の上に落ちて来たぐらいの衝撃を感じるのであった。ああ、これまでこれないでごめんね。 美しいバラ窓を呆然と眺め、美しいフロアのモザイクを踏みしめ、しばしここの信徒となる。ああ、参りました 大聖堂。来るたびに立ち寄ることにしますです。

大聖堂は中からも堪能しよう:ミラノはやはりここから始まりここに帰るのか?


 その後はリナシェンテでお買い物ラストスパート。バーゲンも最終段階でかなり出遅れ気味であるのだが、 期待していなかったところでY美ちゃんはかなりの収穫で、素晴らしいシルバーフォックスの襟巻きをゲットしていた。 こういう高品質の掘り出し物はうれしいものである。かなり喜んでいるのでワタシもうれしかったなあ..。 そんなこんなでタイムアップしてホテルに戻る。ぐるぐる巻きにしたナルディーニの グラッパはケースに詰め込み、さあ帰るぞ!と、 割れないようにしっかりな、とそっと声をかけてみるワタシであった。 そして、なんとなくいつになくツキを感じる旅であったしめくくりに、帰路便は2人とも3席独占で、 「欧州便フルフラットで寝て帰る」という、エコノミー客垂涎の夢も実現してしまったのであった。 とにかくいろいろ、収穫の多い旅であったことは間違えないようだ。
 

ぶひひ

 

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