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本日、バスの中にて。 座席は満席、立つ人もまばらにいて バスは程よい混雑具合。 俺も立ちながら本を読んでいた。 とある停留所を出発してまもなく、バスに異変が訪れる。 バスが急ブレーキを踏んだのだ。 どうやら信号を無視して右折しようとしたバカCarがいたらしい。 魔法カード「右手に傘を左手に本を」を発動していた俺は、 手すりや吊り革に掴まる余裕など無く、 「ひょ?」という暇すらなく、 俺の体重の軽さ(モヤシ)も手伝って、 1メートルくらい前に、それこそ漫画のごとく吹っ飛んだ。 ツッコミ役が「ズコー」とか言いながら吹っ飛ぶ感じである。 慣性の法則には抗えなかった。残念ながら。 右手の傘といっても、右手首に傘をひっかけてただけなので、 普通のブレーキであれば吊り革をつかむ余裕はあった。 しかし急ブレーキとなると、一瞬で世界が横に傾く。 なんとか受身をとったものの、左ひじ・左ひざ・左ケツを強打。 「痛ぇなクソ野郎」と声には出さず、体制を整えて辺りを見回すと、 どうやらふっとんだのは俺だけらしく、皆体を傾けながらもなんとか立っている。 これが吊り革にしがみつく者と余裕ぶっこいて棒立ちしている者の違いか。 しみじみ思い、前方を見ると一人、中年男性が倒れまいと大の字になって 必死に両側の手すりに掴まっている。 後もう少しで「ふとんがふっとんだを体現してみた第二号」になれたのに。惜しい。 そのおじさんの背後、倒れまいとするおじさんにのしかかられている若い女性が 突然の出来事に驚きながらも、前のおじさんを見て「このクソジジィ」と 言いたげな顔をしている。 その気持ちは良くわかる。 ギャグ漫画よろしく吹っ飛んだ俺ですら、既に立って体制を整えているというのに、 その中年オヤジはいまだのしかかったままだ。 とっさのことに便乗して下心的行動を起こすとは、 筋金入りの変態だ。 その瞬間判断能力には、ある意味敬意を表したいね。 運転手が「ちょっとぉー」とか女子高生みたいな怒りをバカCarに飛ばし、 次に「大丈夫ですか?」と車内放送が入った。 勿論乗客全員に対してだが、特に吹っ飛んでいる俺に言われた気がしたので、 飛ばされる前にいた位置に戻り、置き去りにされていたバッグを足ではさんで 読書を再開すると、 後方から「すいませーん 子供が手を捻ったみたいなんですけどー」と女性の声が。 何も答えず、バスはすぐに再出発すると、 後方から「すいませーん 子供が手を捻ったみたいなんですけどー」と女性の声が。 大事なことなので2回言いました By声の主 さて、声の主を求めて後ろを振り返ってみると、 確かに安全帽子をかぶった小学生と、その母と思しき人物を発見。 ちなみに二人は座っていた。 ん?まてまて。手を捻っただと?座っているのに? 豪快に吹っ飛んだ俺ですら左半身強打したものの無傷で済んだというのに、 座っている子供が手を捻るだと? 確かに、座っていることに油断して、急ブレーキで思いっきり前に傾いたときに、 前の座席に手首を押し付けるような形になってしまい、手を捻るってのはありえる。 ただ…ただね…奥さん… 子供半分眠ってますよ。 手首押さえてないし。 一体あんたは何がしたいんだ、賠償請求か?と思いつつ、 バスは目的地へとひたすら走る。 その奥さんもそれっきり何も言わず、目的の駅に着いた俺は 目の前で電車に行かれてしまい、 痛む左ひざを押さえながら、改めてバカCarを憎んだ。 学校に遅刻はしてないけどね。 今日の出来事を通じて、感じたことが3つある。 一、吊り革にはつかまっとけ。 二、突然の急ブレーキ、人間の反射神経じゃ とっさに吊り革をつかむのは無理。 「テメーがヘタレなだけさ、俺は余裕」とかいってるやつほど危ないってのは まさしく本当のことだ。 俺がヘタレなのは認めるけど。 三、「わあ ぼく とんだよ」 |