海外からのコンテスト参加決意
最近は特に珍しいことでもなくなったが、DXコンテスト好きなら誰でも一度は海外からコンテストに出てみたいと思うであろう。当然いろいろな制約はある。仕事、家族、金銭的事情・・・など。中でも我が職場では好きな時期に1週間も有給をとるような文化ではない。誘ってくれる方もいたのだが、そのことが大きなネックになっていた。
2009年、私は勤続20周年の褒章として特別休暇7日間+多少の旅行券をいただくことになっていた。これは海外からコンテストに参加するまたとないチャンスと前々から狙っていた。ところが折りしもリーマンショックに端を発する大不況のため、金銭的にも精神的にも余裕は消滅、海外コンテストどころか無線活動全てにやる気を失ってしまった。
明けて2010年、春くらいから徐々に景気のいい話も聞こえ始めた。YAAの後輩たちがやっている6m&Downコンテストの人手が足りないと誘われるままに行ってみた。久しぶりに仲間たちとアンテナを上げ、酒を飲み、大騒ぎをし、大変楽しい2日間を過ごさせてもらった。一ヶ月後のFDにぜひ参加したい旨を表明し、山を後にしたが、帰りの車の運転が眠くて眠くて、死ぬかと思った。
ともあれ3年ぶりにスイッチが入った。まぁ財政状況はまだまだ厳しいので徐々に・・のつもりだったのだが、6m&Downから戻って数日後、ほぼ半減だったボーナスに上乗せしてくれると言う。これを聞いて特別休暇が余っていることを思い出した。これはチャンス。以前誘っていただいたAH2Rに混ぜてもらうか・・・しかし特別休暇は10月いっぱいで消滅、するとWWPHしかないが、ライセンスは間に合うのか?・・調べてみると、仙台で8月7日に受験できる。準備期間は3週間と少し。落ちたら前橋で一度チャンスがあるようだが、交通費はかけていられない。よし、妻を拝み倒そう!「Extra級一発合格するから追加ボーナスで行かせてくれ!」
Extra級への挑戦
猛暑の中勉強を開始。1アマはあるが局免切れの私にはExtra一発合格しかない。試験とFDが重なっており、FDはキャンセルした。受験のことは伏せてはおいたが、P君とR君がみちのくチームのVEをしているので、ばれるのは時間の問題。 7月24日、仙台の某すし屋でYAAの先輩でもあるJR7OMD三河氏と会い、挑戦の意を表明した。
いろいろな方がFCC試験受験記をHPやブログで紹介されている。
いろいろ読ませていただくと、Question poolの問題をひたすら暗記することに努めるという内容が多かったが、私はあえて逆をやることにした。問題はそこからしか出ないとはいえ、Technician、General、Extra、全部で1500問近くある。これを記憶力低下の著しい脳みそで覚えきれるわけがなく、できるだけ理解することで記憶量を減らそうと考えた。理解するうえで役に立ったのはこういうページである。作者・運営者の方々にはこの場を借りて深く感謝申し上げる。
1は知らない無線用語(英語)の辞書引きとして、2は無線工学のハイレベルの解説として大変有用である。3はQuestion poolの日本語訳と解答が載っている。問題文の訳が難しい場合は大変役に立つが、最初からこの日本語訳に頼るのはお勧めできない。まずは自分で訳してみて、難しかったらこれを見るようにするべきではないかと思う。法規は訳せても何を意図したものかがわからないということがよくあるが、4はCEPTとか相互運用協定(レシプロ)とかについて、日本語で詳しく書いてあるところがありがたい。
問題を読んだら、理解できたものと、知らなかった(覚える必要がある)ものとに分類し、それぞれ印をつけた。忘却対策として、Technicianの問題を一通り読み終わったら、毎日一度模擬試験サイトで模擬試験を受け、間違った問題には赤で印をつけた。やはり知らなかったことは何度も間違えやすい。

Question pool問題への書き込み。
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模擬試験サイトはaa9pw.comとqrz.comを専ら利用した。AA9PWはランダムに出題してくれるためお手軽であるが、繰り返しやると重複した問題が多く出てくることに気がつく。qrz.comは問題が何セットか用意されていて、全部やれば満遍なく、重複もなくできるようになっている。時間があって全問こなしたいならqrz.com、時間がなくてそんなに数をこなせない人はaa9pw.comがいいと思う。
問題は、日本の1アマのほうがはるかに難しいと感じた。1アマは本当に理解して解くには通信回路についてかなり深い知識が要るが、Extraは10年アマチュア無線をやっていればわかるような問題ばかりである(例外もあるが)。つまり一番難しいのは英語である。実際には双方とも4択で出る問題は決まっている。よって実際にモノをいうのは深い理解のレベルではなくて記憶力である。したがって覚えるべき問題数が多いExtraの方が難しいという考えも成り立たないことはない。しかし小学3年生でExtraに合格した日本人が話題になったが、1アマでそこまで低年齢の合格者がいるという話は寡聞にして知らない。
Extraの問題を一通り読み終わったのが試験6日前。あとは模擬試験をやりつづけるだけ。正解率はコンスタントに9割だったので、かなり自信がついた。
試験会場のビルは石井スポーツが入っているビルだった。受験者は6名で、仙台での最多だったそうだ。開始時間までの間、私は問題に目を通していたが、私以外に問題を見ていた人はいなかった。皆さん自信があるのかないのか・・・
試験は一斉に始まるが、終了時間は決まっていない。受験者各自のペースで試験は進む。私はTechnicianを解き終わったところでトイレ休憩、飲み物を仕入れて来た。ほどなく合格が伝えられ、General受験開始。そのうち他の方の結果などが嫌でも耳に入ってくる。一発で受かる方、次のクラスを受ける方、受けない方、何度やっても落ちる方、それぞれである。
やっていると、4つの選択肢の順番がQuestion
Poolとは入れ替わっていることに気がついた。ところが単に入れ替えているだけなので、1番にいきなり「All
of avove is correct」なんてのが出てきてしまう。(おいおい、この上には何もないよ)。この「全ての選択肢が正しい」という選択肢がある問題はかなりの数あるのだが、それを表す英文表記が少しずつ違っていて面白い。たとえば「All
of these are correct.」とかに統一すればいいのにと思うが・・
TechnicianからExtraまで全部受けた人は私以外にはおらず、Extraに進むころには他の全受験者が試験を終えられていた。それでも3時半頃には無事全て合格のCSCEをいただいき、夕方からの打ち上げでおいしくビールをいただいた。

CSCE(合格証明書)
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コールサイン発給とVANITY申請
試験からわずか6日後(米国東部時間では12日)、AH2DWというコールサインが発給され、FCCのULSデータベースに登録されたと、AH2Rのメンバーの方が教えてくれた。何と迅速なことか・・。VANITYは悩んだ末に8月16日に申請した。
vanityとは元々「見栄」「虚栄」という意味の言葉で、希望するコールサインが空いていれば申請者に割り当て、「どうだいかっこいいコールサインだろう」と自慢するための制度であるといえる。元来Extra級には4文字のコールサインが割り当てられたが、それは一部地域を除き、とうに底をついた。そのため、一度誰かに発給され、その後Expireしたコールサインを、この制度で奪い合っているといえる。
特に太平洋地域の4文字コールサインは日本人が占めて顰蹙を買っており、このためARRLがFCCに対して制度変更を答申したという話も聞いた。このため申請するかどうか考えたのだが、実際調べてみるとGuamの4文字コールサイン、日本人は36%とそう多くない。Saipanは60%と多いが、ハワイはわずか8%である。そして、4文字コールサインの空きがないのはカリブ地域である。要するにアメリカ人や地元の人が取らないということではないのだろうか? 確かにアメリカ本土からわざわざ高い飛行機代を払ってグアムサイパンなんかに来るよりは、カリブの方が近いのに楽しめるに決まっており、無線をやりにグアムサイパンに来るのは日本人だけというのは、当然と言えば当然である。
ただひとつ心に留めたいのは、アメリカ本土やアメリカ領土内において、日本とりも受験する環境に恵まれず、受けたくても受けられない方が多数存在するということである。またこれほど日本でFCCの受験がしやすくなったのは、諸先輩方のご尽力によるところなのだが、そのことへの感謝も忘れてはならない。
さて、申請そのものは恐ろしいほど簡単で便利であった。ネットでの申請、クレジットカードでの手数料支払い、しかも14.5USDと格安で、しかも迅速である。本当に日本との違いを実感してしまう。受験だって1アマは年2回?受験料も8900円と高額なのに対し、FCCは約束されているわけではない(VE次第である)とはいえ年4回もあって、受験料はたったの15USD。そのうち日本で1アマを受ける人はいなくなるのではないだろうか?
Vanity申請する前に、どのコールサインを希望するかを決めなければならない。Expireして2年経過したコールサインでないと、希望しても割り当てられない。それを調べるサイトとして、N4MCのサイトが有名であるが、私にはAE7Qのサイトの方がわかりやすく便利に思えた。希望コールサインはNH2Mを第一希望に第4希望まで書いた。第何希望まででも無制限に書けるらしい。200以上書いた人もいると言う話を聞いたことがある。本当ならご苦労さんなことである。
Vanityの申請が受理されて3週間以内に、優先権のある人から同じコールの希望が出ない限り、希望したコールが割り当てられる。優先権のある人とは、以前にそのコールを持っていた本人、もしくはその近親者のことらしい。そういうケースはレアだと思われるが、同じ日に同じコールを希望する申請が受理されることは良くあるようだ。この場合は抽選となるらしい。結局9月3日付けで第一希望のNH2Mが割り当てられた。めでたしめでたし。
出発間近
さて現在は出発間近、荷造りをしながらこれを書いています。コンテストの状況はまた後日何らかの形で書こうかと思います。最後まで読んでくださって感謝します。聞こえていたら呼んでくださいね。参加の様子は後日何かに記したいと思います。
後日談
ホテルをMailing Adress にしたのですが、AH2DWのライセンスは届いておらず、NH2Mのライセンスのみ届いておりました。バニティ申請しておいて良かった・・。参加の様子はそのうち
掲載します。
最後になりますが、AH2Rのメンバーの方々、呼んでいただいたみなさま、この場をお借りしましてお礼を申し上げます。ありがとうございました。次回は2011年WWのどちらかへの参加を目標にいたします。
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