賞金稼ぎの小説部屋  



この小説部屋では、管理人”ばうんてぃ・はんたぁ”がイメージする
近未来の賞金稼ぎの活躍を、オリジナルの小説で紹介しています。 
  稚拙な小説ではありますが、興味のある方はぜひ御一読下さい。  

                           
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$GO AHEAD!$


プロローグ

2002年6月30日のサッカーワールドカップ決勝戦の会場である
横浜国際総合競技場を主目標に東京、横浜の計5ヶ所に及ぶ中東某国の同時多発テロに見舞われた日本政府は、この事件を転機に激増する凶悪犯罪に対して現警察力では対抗し得ないと判断し、新たな犯罪の抑止と犯罪者の検挙率向上を目的とした民間警察力の参入を決定。
2005年に成立した「民間警視庁支援事業者」法案により警察同様の法の執行権を持った民間人が登場した。しかしこの職業に就いた者は、犯罪者からはもちろん一般人にまで文字通り警察の手先である「犬」の意味とも取れるhound(猟犬)と呼ばれ、政府が当初期待した程の成果が得られなかった事もあり、2006年に同法案を改正、
通称「私設警察設立法」となり、犯罪者に懸賞金が懸けられるようになり猟犬たちも銃器の所持を許可され独自の情報網を持つまでに進化していった。
その結果、猟犬たちの呼び名も変化していた。マスコミや一般人からは期待を込めて、当の犯罪者・・・いや、賞金首からは当然のようにこう呼ばれた・・・・Bounty hunter(賞金稼ぎ)と。


第1話

2015年夏 横浜元町の住宅街。
午前3時を過ぎているにもかかわらず、立体駐車場に停められたの外車の側で蠢く人影があった。シルエットから男性だろう。
周囲をよく見ると同じような人影が全部で4つ。
どうやら外車専門の窃盗団のようだ。予めターゲットと決めていた車の周囲をぐるっと一周りして、何気なく車体を軽く叩いた。盗難警報機は反応しなかった。それもそのはず、彼等はターゲットを決めると数日前から何度も繰り返し盗難警報器をわざと作動させるのだ。
それは早朝であったり深夜であったり。車のオーナーはその都度、愛車の様子を確認しに現れるのだ。しかし車に異常は無い。そのうちにオーナーは警報器の誤作動だと思い込む。それはそうだろう、自分の車だけならともかく同じ駐車場内で何人も同じように警報器が作動したが一度も車に異常が無いと聞けばのら猫の悪戯か誤作動だと思うのも無理からぬ事ではある。すると当然、異常も無いのに大音量の警報が鳴り響くのは近所迷惑以外の何物でもないので警報器の電源を切ってしまう。
彼等はそれを待つのだ。
警報さえ解除されてしまえば、彼等にはドアのロックを開け、エンジンを始動するのは簡単な仕事なのだ。
駐車場の全体を見渡せる場所に停めたワゴン車の中から、リーダー格と思われる男が他のメンバーの様子を窺っていた。 ターゲットの3台の車のフロントガラスから小さな明かりが点滅した。恐らく「OK」の合図だろう。リーダー格の男はミニライトを3回点滅させた。残り1台からの合図待ちのサインだろう。
その光景をワゴン車後方の離れた高台から見物している車があった。乗っているのは女性一人である。
その娘は見事な金髪のロングヘアーをリボンでポニーテールにしている。そのリボンが、どうやっているのか猫の耳のようにも見える。
そういえば左の胸元には、金色の猫の顔を型取った小さなブローチが付いていた。
くるくると動く澄んだ大きな瞳が印象的なその娘は、助手席に設置されているパソコンをなにやら操作し、なにやらブツブツと呟き、胸ポケットから取り出した紙切れに目をやり大きくため息をついた。
それからおもむろにドアを開けて車を降りた。思ったより小柄な娘はトランクから筒のような物を取り出してから、あのワゴン車に向かって静かに歩き出した。ワゴン車の側に着くと、スカートのポケットからライターのような物を取り出して運転席の開いている窓からリーダー格の男に向かっていきなり何かを撃ち込んだ!男は悲鳴をあげることも出来ずに海老のように身体を反らした後、ぐったりとシートに身体を預けた、どうやらライターの正体は射出式のスタンガンだったようだ。意識はあるようで、脅えた表情で金髪の娘を見上げていた。すると娘は銃を突き付けながら笑顔で
「は〜い!いきなりごめんね、痛かった?あなた手配番号3ー10081の小野寺康平さんでしょ?」
と外見からは想像もつかない流暢な日本語で男に尋ね、男は黙って何度も頷いた。
「すると、あそこで仕事中なのはあなたのお仲間に間違いないわね?」
小野寺はまた黙って頷いた。
「あ、自己紹介がまだだったわね、私は賞金稼ぎのキャッシュよ」
と言いながらIDカードを小野寺に見せた。たしかにIDカードには”二級私設警察業務営業免許証、キャッシュ・D・スペンサー”と
印刷してあった。
「権利の説明はお仲間捕まえた後で一緒にするから、それまでおとなしくしててね」
と言いながらシートの後ろで小野寺の両腕に手錠を掛けた。(拘束しなくても全身の筋肉に力が入らないので逃げようが無いのだが。)
キャッシュはメインゲートから駐車場の中に向かって歩き出したが、異変に気づいた小野寺の仲間達はパニックに陥り、ある者は車ごと、ある者は車を捨てて逃走しようとした。キャッシュは慌てずにメインゲートの脇にある非常ボタンを押した。すると車用のメインゲートと人間用の通用ゲートに頑丈なシャッターが降りた。
「皆さんに警告しま〜す。もうこの駐車場は完全に閉鎖され、出口はありませ〜ん。無駄な抵抗はやめて投降して下さ〜い。」
とキャッシュはのんびりとした口調で言った。
まぁ彼女だって、これで投降する賞金首なんて存在しないのは百も承知だが規則は規則。この警告を無視されて初めて銃器の使用が許可されるのだから仕方がない(と、いうより彼女の場合は無視してくくれるのを期待しているのだが)。
その警告を聞いた直後、逆上した一人が乗っていたボルボでキャッシュを弾き飛ばそうと突っ込んできた。キャッシュは急速に迫ってくるボルボを見据え、微動だにせず素早く銃を両手で構えた。
ダブルタップ(二発連続射撃)を二回、左右のフロントタイヤとヘッドライトを撃ち抜いた。コントロールを失ったボルボは駐車場の柱に激突し深夜の住宅街に壮絶な衝突音が響き、近所のいくつかの家の窓に明かりがついた。運転していた男は衝突の衝撃で展開したエアバッグにノックアウトされて呻いていたが、スタンガンを撃ち込んだら静かになった。残る三人のうちの一人が、彼女に恐れをなして上の階へ逃げようと駆け出したが、キャッシュはそれを確認すると慌てずに銃をホルスターに納めて右肩にスリングで吊るしていた筒のようなモノを構えた。照準を合わせ引き金を引く。「ぼん!」という鈍い発射音と共に撃ち出された弾頭の赤い口径40ミリの弾丸はスローモーションのように男に向かって飛んでいく。突然、弾丸は十文字に展開した。そのまま風切音を唸らせながら男の背後に迫る。気配を察知した男が振り返った瞬間、視界に入ったのは大きな黒いバッテンだったが、それがなにか確認する前に顔面に激突!そのまま気を失った。
キャッシュが使ったのはH&K社製のグレネードピストルで、バッテンの正体は暴徒鎮圧用のラバークロス弾であった。
残り二人のうち一人は両手を挙げ、脅えて泣きながら投降してきたので手錠で柱に拘束した。
キャッシュは最後の一人に呼びかけた。
「残ってるのは、あなただけですよ〜。もう諦めて投降しなさいよぉ」
呼びかけられた男は盗もうとしていたベンツの中に隠れていた。
彼は必死に何か武器になるモノを探していた。グローブボックスを開けるが書類しか無い。助手席のシートを倒し、後部座席に身を乗り出してトランクスルーになっているリアシートを開けると彼は目を疑った。ショットガンがあった!驚いて車内をよく見ると書類の中に銃の所持免許があった。弾丸は装填されている6発だけしかないが、相手は賞金稼ぎとはいえ女一人。勝てる!そう確信した彼はそっとベンツを降りてキャッシュを探した。
先に相手を発見したのは男の方だった。車を一台づつ調べるキャッシュの後ろ姿に震えながらショットガンの照準を合わせる。そして引き金を引こうとしたが引けない!慌ててセイフティを解除したが、その「カチっ」という音はキャッシュの耳にも届いた。反射的に車の陰に身を隠した瞬間、轟音と共にさっきまでキャッシュが立っていた場所に散弾の雨が襲った。フロントガラスやドアミラーなどがバラバラになって彼女の頭上に降り注ぐ。
「うそ!なんで車泥棒が武装してるのよぉ!」
と愚痴りながらグレネードピストルを床に置き、左肩に吊るしていたショットガンを静かに構える(当然、彼のようなヘマはしない)。自分の優位を確信した彼は身を隠すどころかタバコをくわえ、堂々と銃を構えてキャッシュを探していた。足音でだいたいの位置を特定したキャッシュは足元に落ちていたドアミラーの破片を放り投げて男の注意を逸らした。案の定、男は金属音のした方向に発砲した。その瞬間キャッシュも立ち上がり様に男の太股に向けて発砲した。が、弾は僅かに逸れ男のすぐ横に停めてあったBMWのフロントフェンダーに大穴を開けた。彼女の使用した弾は散弾ではなく、警察が道路封鎖に使うライフルスラッグ弾(ようするに口径約20ミリの鉛のカタマリ)である、これは逃走車両のエンジンを破壊するための弾であり、対人用の弾ではない。さすがに男も驚いたのかタバコを投げ捨て、その場から逃げながらろくに狙いもつけずに散弾を巻き散らす。キャッシュも応戦するがもともとショットガンは精密射撃に向いていないせいもあり、撃つ度に車に大穴を開けていた(彼女の名誉の為に言っておくが、彼女の射撃の腕前は決して悪くない)。しかし、キャッシュの撃った弾の一発が車のガソリンタンクに命中し、流れ出したガソリンが男の捨てたタバコに触れた瞬間、轟音と共にBMWは大爆発!炎を巻き散らしながら天井に叩きつけられ裏返しになって隣に停めてあったジャグワーの上に着地した。
「あ゛!」
その光景を目の当たりにしたキャッシュは額に大粒を汗を浮かべて
「こ、これは私のせいじゃないよね?事故・・・だよね?」と呟いた。
しかしその間にもBMWから炎の川は流れ続けている。
はっと我に返ったキャッシュは最後の獲物の姿を探した。
見つけた!もう恐怖から我を忘れ隠れもせずに一目散にゲートを目指していた。ショットガンを構え、狙いを定めていたキャッシュが引き金を引こうとした瞬間、背後でまた大爆発が起きた。
「に゛ゃああ!」
爆風に吹っ飛ばされ、顔面から着地したキャッシュは目に涙を浮かべながら呟いた。
「なんで?なんで私がこんな目に会わなきゃならないよぅ!冗談じゃないわよ、この始末どうするのよ?ちゃんと弁償しなさいよね!」
そして大きく深呼吸してからショットガンを 構え直した。冷静に男の進路を先読みし、足元に一発撃ち込む。驚いた男はもんどりうって転倒するがすぐに反撃してきた。
しかしキャッシュはすでに移動しており撃った先には居ない。徐々に男との距離を詰めているのだ。
もはや生きた心地のしない男は、爆発した 車から飛んできた破片の落下音に反応し発砲した。それを確認したキャッシュは男の背後から声を掛けた。
「は〜い!ゲームオーバー・・・よね?」
男は振り向き様にショットガンを構えようとしたが、目の前にはキャッシュのショットガンの銃口があった。男の手からショットガンを奪いながら言った。
「その銃は最高で6発しか装填できないの、さっきアナタが撃ったのが6発目。残念だったわね。」
男は糸の切れたマリオネットのようにへたへたと床に座り込んだ。
それからキャッシュは所轄警察に賞金首の引取を携帯無線機で依頼した後、今回の賞金首5人を一ヶ所に集めて権利を説明した。
「え〜っと、あなたたちには黙秘権があります。弁護士を呼ぶ権利もありますが費用が無い場合は国選弁護人を斡旋します。あ、国選弁護人はウデが悪いからローンを組んでもちゃんとした弁護士を雇った方が良いわよ。それと司法取引の申し出があった場合は拒否権があります。・・・っと、こんなトコかな?ねぇ、ちゃんと聞いてる?」
5人の賞金首は、ぐったりしたままである。
そこへパトカーのサイレンが聞こえてきた。1台ではない、少なくとも4、5台はいるようだし、なにより到着が早すぎる、そのうち消防車のサイレンも聞こえてきた。駐車場の前が賑やかになり、車用のメインゲートが開けられた。パトカーのヘッドライトや警官の持つマグライトのおかげで、ゲートの外はまるで昼間のようである。暗闇に慣れていたキャッシュは思わず目を細めた。
「ご苦労様です、私が連絡したキャッシュです・・・・?」
と、IDカードを掲げながら話していたキャッシュは話し終わる前に五人の賞金首と共に大勢の警官と消防士に駐車場の外に担ぎ出された。と、同時に放水装備やホースを担いだ消防士たちが消火作業を開始した。キャッシュが事態を呑み込めず放心している横で、警官が賞金首の身元を確認して五人全員に手錠を掛け、護送車に乗せて連行して行くのをぼ〜っと見送った。サイレンの音が遠くなっていくのを聞きながら大きくため息をついた。
「あの、すみませんが・・・・」
警官の一人が書類を手にキャッシュに声を掛けた。
「ご苦労様でした。犯人の引渡書類にサインをお願いします、それとIDカードを拝見します。」
はっ、と我に返ったキャッシュは手渡された書類にサインして、IDカードと共に書類を警官に渡した。IDを確認した警官はIDカードをキャッシュに返しながら
「けっこうです。それとですね、お手数なんですがちょっとコチラに来て頂けますか?」
言われるままにキャッシュは警官について行った。
そこには警視の階級章を付けた男がいた。年齢は30代後半だろうか?「ご苦労様でした。私は神奈川県警刑事部長の海江田と言います。」
そう言いながらIDカードをキャッシュに見せた。
「で、その刑事部長さんが私に何のご用?」
キャッシュは尋ねた。
海江田は頭を掻きながら申し訳なさそうに
「ちょっと本署までご 同行願えませんかね、いろいろと聞きたいコトもありますし・・・」
「ちょっと、ちょっと待ってよ!私が一体何したっていうのよぉ!ほら、ちゃんと免許だってあるし!!」
反論するキャッシュをなだめようとする海江田の元に部下が何かメモを届けにきた。それを見ながら海江田はため息交じりに
「BMW2台、ベンツ3台にジャグワーが1台、それにボルボが1台プラス駐車場の修理代・・・まぁ 合計で約3千万弱ってところかな。キャッシュさん?」
キャッシュは冷や汗を流しながら弁解する。
「だってあれは、アイツが先に撃ってきたのよ!正当防衛よぉ!それに車があんなになったのは、・・そう事故よ、事故!」
海江田は両手で彼女を制しながら
「そのへんは、あの賞金首の証言を元に検察が判断するだろうからね、それとは別の話なんだがキャッシュさん、あなた3ヶ月前都内で賞金首の強盗犯捕まえる時にワクドナルド1軒爆発させたの覚えてます?たしかその賠償が済むまでか、3ヶ月の資格停止処分中じゃありませんでしたか?」
「そうよぉ!たしかにおっしゃる通りでしたよ。賠償するお金が無いから今日まで仕事しないで、1日2食で我慢して資格停止が解けたからこうして仕事してるんだから文句なんてないでしょう!」
と、キャッシュはニヤッと笑いながら言い返した。
すると海江田は首を傾げて
「おかしいな、こちらの資料では7月5日まで資格停止のハズなんだがね?」
「でしょう?だから何も問題はないんだから!」
しかし海江田は無情にも言った。
「・・・・・今日は7月4日だぞ・・」
それを聞いた時のきキャッシュの表情を一言で言い表すと( ̄□ ̄;)!! ってトコロだろうか。
「まぁ、そんなに恐がるコトは無い、逮捕するワケじゃないんだし。それじゃ、行きましょうか?あ、あなたの車は部下に運ばせますから私の車へどうぞ。」
と、海江田の車に乗せられた。
走り出した車の窓から明るくなり始めた夜空を見ながらキャッシュは呟いた。
「私まじめに仕事してるだけなのに、何でこんなにツイてないの?」
と。

TO BE CONTINUED!


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