Marky's Gallery

Welcome to Marky's gallery

Markyが猫好きであるのは皆さん既にご存知であろう。今までに我が人生に関わってきた猫達は全部で6匹。
既にこの世にはいない猫達、この5月5日に生誕20年目を迎えようとしている猫、今は幸せに暮らしているであろうと思われる猫・・・。
みんなそれぞれに思い出深い。
今回はそんな猫達のお話&ギャラリーである。

『みーちゃん物語』


どやオレ様の堂々たる寝姿。しかも初日からやで!

≪198×年5月5日運命の日≫

オレは閉じ込められていた。

表通りに面した化粧品を並べる狭いガラス製ショーケースの中だ。

狭い、そして暑い・・・。

しかも、なぜか大勢の視線にさらされている。

オレには他に2匹の兄弟がいる。

が、兄弟達とは今まさに離れ離れになる運命の瀬戸際だった。

好奇心いっぱいの大きな目が無遠慮にオレたちを見つめる中で、

ひときわ熱い視線をオレにおくってくる『女』がいる。

しかし、その瞳の奥に”不安と躊躇”が入れ替わり立ち代わり

浮かび上がっているのをオレは見逃さなかった。

突然、後ろから伸びた手がオレを狭いショーケースから開放してくれた。

イタイて!ほんまにぃ〜・・・もっとやさしゅう扱こうてぇなぁ〜!

ったく、このオレ様を誰や思てんねん!

この3匹の中でいっちゃん”めちゃイケ”のオス猫やでぇ〜!

憤然と毛繕いしているオレを誰かがそっと抱えあげた。

そやそや。なんや、ちゃんとできるんやんか〜。

ふと、その人間と目が合った。

なんや、いつもの飯くれるおばはんとちゃうやん・・・。

オレは思い出した。

さっき不安げなまなざしでオレを見つめていたあの『女』だ。

しかも、まだ目には不安がぴったり張りついたままである。

隣でおばはんは嬉々として、このオレがいかに可愛く、どんなにおとなしく、

どれほど飼い易いかを力説している。

一瞬、オレを見つめる『女』の目に、今までふわふわ漂っていた不安や躊躇を

一蹴するに十分な力強さがみなぎった。

・・・こ、この子くださいっ!

『女』が意を決したように突然叫んだ。

あっという間にオレはさっきのショーケースよりももっと狭く

暗い箱の中に詰め込まれた。

オレはその時、覚悟を決めた。

おばはん、世話になったなぁ〜。兄弟達よ、おさらばや〜・・・。

そっと心の中で別れを告げる。

『女』はオレが入った箱をぎゅっと胸に抱きしめ、オレンジ色の夕陽が

ほんのり染め上げた駅への道をつんのめるように足早に歩き出した。

箱を通して『女』のやけに早い胸の鼓動が聞こえてくる。

なんやえらい動揺しとんな、この女・・・。イヤな予感がするわぁ〜。

だいじょうぶかいなぁ〜、ほんまにぃ・・・?


オレ様の名前は『みーちゃん』 ♂ ずばり男前やろ!

電車というものに初めて乗った。

『女』は駅の窓口で『大阪まで大人1枚、ネコ1枚』と駅員に告げた。

『はぁ〜?ネコですか?』

若い駅員は驚いたように顔をあげ、聞き返す。

『女』はオレが入っている箱をその駅員の前に突き出した。

オレも気を利かせて、箱の中から小さく挨拶を返した。

にゃぁ・・・、手数かけて、えろうすまんなぁ・・・

若い駅員はちょっとびっくりしたようだが、にっこり笑うと

はい、ネコ1枚。人間より高くてごめんね

と恐縮したようにネコ切符を切ってくれた。

いや、ホンマすまん!

オレも思わず狭い箱の中で首をすくめた。

『女』を通して感じていた振動が急に止まった。

そして聞こえてきたのはまるで恐竜の鳴き声のような耳をつんざく音。

おいっ、なんやねん、これはっ!う、うるそ〜てかなんがな〜・・・。

出さんかい、ここからぁ〜!出せちゅ〜たら、出せぃ〜〜〜〜っ!

にゃぁ〜!にゃあ〜!にゃ〜〜ああっ!

ぱっ!と目の前が明るくひらけた。

慌てている『女』の顔が見えた。

オレはチャンスとばかりに箱から飛び出し『女』の肩によじ登った。

『女』が慌ててオレを下からそっと支えてくれる。

『女』の肩越しには今まで見たことのない風景が広がっていた。

オレは大声を出すことも忘れて、やけに足早に走り去っていく

風景の数々をただじっとみつめるばかりだった。

10分もした頃、オレはまたあの狭く暗い箱に押し込められた。

なんや、ええとこやったのに・・・

ちょっとがっかりだ。

しかし状況が把握できたオレはそれからは落ち着いていた。

あんまり落ち着きすぎて眠ってしまったくらいだ。

ここだけの話、ホントはさっきの恐怖体験でちょっと疲れて寝ちまったんだけど。

『女』はオレがあんまり急に静かになったので、

訝って箱をゆすったり、不安げに覗き込んだりしていた。

それから半時間くらいたった頃、『女』の家に着いた。

オレのイヤな予感は的中した。

『女』は自分の家のドアの前でいきなり立ち止まり、

すっかり暗くなった空を見上げて大きく大きく深呼吸をした。

そしてまた居間のドアの前でもさっきより大きな

深呼吸を数回と、小さなため息を1つついたのである。


眠りの境地に入るとこうなるオレ様・・・イケてねぇ〜(^_^;)

つづく