小説「香港大騒動」

誰かの仕組んだ罠にハマった一人の刑事。
だがこれで、警察の中に内通者が居ると判る。組織の連中と手を組んでいる悪徳刑事が居る事を知った・アンディは、身動き取れない状態にいた。組織の連中に捕まって監禁されているのだから。
監禁されて3日目。一人の女性がアンディの面倒を見ている。どう見ても不釣合いな女性。
組織。いわゆるヤクザ。黒社会では恐れられている供興社。供興社のボス・キム。極悪非道だが頭も良く機転も早い。部下への温情は一切無い。
幹部に当たるカンと云う男に拾われたのが、アンディの面倒をしている女性・サンなのだ。
キムは警察の内部にも手を広めていた。
サンはカンに命令されてアンディの面倒を。といっても食事を作って運ぶだけ。食事の時間は限られ、決められている。ほんの15分程度。それでもアンディは、サンに何かと話し掛け逃がしてくれと頼む。”だめ”と言うだけでサンは何も話そうとしない。ずっと見ているアンディは、ヤクザと無縁の女性だと気づく。
一週間も地下牢に監禁されてアンディはうんざり。彼女を人質にして逃げ出そうと考えていた。1日に2回、朝と夜。決まった時間に来るサン。逃げるのなら朝より夜の方がいい。暗闇に紛れて逃げ出せると考え、サンが来るのを待っている。そう言っても今は朝。8時にサンは朝食を運んで来た。この時にアンディは立ち入った事を聞く。朝食をテーブルに置いて何時ものように部屋の隅っこへ行くが、アンディは引き止めて側に座らせた。
「何故、此処に居るんだ?ヤクザの無縁の女性だと思うけど、俺にはそう見える。何か訳があるんだろう・・・・・。辛い思いしながら此処に居る必要はないと思うが。全部話してみたらどうだ?」
優しく諭すように言われ、サンは今まであった事を話す気になった。カンに拾われた事。最初は優しくしてくれたが、徐々に本性が暴かれていき今ではこのザマ。見向きもされず召使扱い。サンの境遇に同乗するアンディ。サンにとっては辛い、思い出したくない過去。朝食を終えると食器を片付けて、さっさと部屋から出て行った。
そして、その晩。8時に晩御飯が運び込まれサンは、右手だけ解放するが、アンディはもう片手のロープも解いてくれないかと頼む。
「だめ。解くなって言われてるから。」と言うが
「何もしないから頼むよ。片手だけじゃ食べずらい。ずっと我慢してたんだ。ロープ解いてくれないか?お願いだ。」
「ほんと?逃げたりしない?」
「あぁ、しない。」
アンディの言葉を信じロープを外したサン。アンディは、両足のロープも勝手に外してから御飯を食べる。それもゆっくりと。サンは時間を気にしながら待つ。時計を見ると後、2、3分しかない。アンディが居た場所に視線を移すと彼が居ない。周りを見るが居なく振り返ろうとすると背後から手が出て来て口を塞いだ。
「!!??」
「し―――っ!騒ぐな。大声も出すなよ。」耳元でそう囁かれる。
「このまま戻らなかったらどうなる?ん?それとも見張りが入ってくるのを待つか。もうじき45分ス過ぎになる。」
アンディは、サンの口を塞いだままその場に座り込んで、見張りが入ってくるのを待つ。予想通り。見張りをしている2人の内1人が入って来る。50分になってもサンが出て来ないから、何かあったのかもと扉の鍵を外して入って来た。
食器だけあって2人が居ない。辺りを見回すが居なく後に振り返った男は、アンディの姿に驚く。叫び声をださないように、すぐさま男を気絶させた。そして、もう1人の男も入って来て頭を殴り気絶させ、2人の銃を取り上げサンを連れて逃走する。
「嫌っ!離して下さい!」
サンはアンディから離れようとするが、逃げられなかった。
「君を人質代わりにするんだから来い。」
と、強引にサンを連れて行った。
地下牢から出て階段を上がると1階の廊下に出た。真っ直ぐに進み扉を開けると部下達が、2〜3人椅子に座っていた。
「そこを動くな!!でなきゃ、この女殺すぞ!!」と、威嚇する。
部屋に入って来た者を銃で撃つ。今の銃声でたちまち部下達が駆けつける。そして、部下の1人がカンの所へ行きアンディが逃げた事を報告。カンはす現場に駆けつける。アンディはサンを人質にしたまま出口へ向かう。けれど、そこへカンが現れた。刑事の習性か、一応出口は確保してしまう。
「そこを動くな。動いたらこの女殺すぞ。」と脅してもカンは
「殺したかったら殺せ。その女には何の用もない。」
そう言ってサンの事を見捨てたのだ。
「本心で言ってるのか?」
「あぁ本気だ。殺すんだったらさっさと殺せ。」
カンの部下は殺せてもサンを殺す気など全くない。
いちかばちか賭けに出たアンディは、乱射しサンをつれて出口へ向かった。彼等が出た行った後に部下の一人がカンの所へ慌てて駆けつける。
「どうした?」
「大変です。あの書類が盗まれました・・・・・。」
冷汗を掻く部下。
「何っ?!もしあれが警察の手に渡ってみろ!我々はおしまいだ!!・・・・それ所じゃない。ボスにこの事が知られたら大変だ。いいか、早く2人を探せ。」
「はいっ。」
カンは2人が盗んだ物と思い込む。
だが本当は違う。どさくさに紛れてカンの部下の1人が盗んだのだ。書類の中身は、カンだけでなく供興社を潰せる程の証拠が入っている。この書類が警察に渡れば供興社はおしまいだ。
アンディは、自宅に戻って一週間ぶりにお風呂に入る。そう長い時間は居られない。短時間で済ませ次はデパート。サンの服や下着を買いに行った。サンは無一文で連れ出されたから何も持っていない。近くのデパートで買い物を済ませると車に乗り出発。アンディは行き先を考えながら運転。署には戻れない。思いついた場所は親友の所。繁華街を抜けて少し行った所に一軒家が立ち並ぶ中、一番奥にある建物の前で車は止まった。アンディに連れられるまま、インターフォンも鳴らさず家の中へ入る。
「アーロン居るのか?」
ズカズカと入っていくアンディは、彼の名を呼びながら探す。
例によってアーロンは何時もの部屋。機械いじりが好きで彼は、アンディと違って頭が良い。電子工学の技術者の資格も持っており、爆弾などの解体も受け持つ。その道の一任者。アンディの大の親友でもある。
アンディは又あの部屋に篭ってるなと思い呼びに行った。リビングを出て廊下の突き当たりの階段の左側にある扉を開けて地下へ。地下に作業室がある。階段を下りて二重になってる扉を開けて部屋の中へ入って行った。
「アーロン!」
アンディが大声で呼ぶと彼は気づいたらしく作業を止めた。アーロンはアンディの姿見るなり
「インターフォン鳴らせよ!いつも言ってるだろう。」と怒鳴りつける。
作業を中断させて作業室へ入って来たアンディに腹が立つアーロン。
「いったい何の用だよ・・・・。」
苛立つ口調で言い作業室を後にする。
扉を閉めた途端アーロンは、煙草を吸い始める。作業室は危険だから煙草を吸わないよう気を付けている。
「しばらくの間、ある女性を預かって欲しいんだ。」
「女?!」
「理由を聞かずに預かってくれないか?」
「嫌だね。理由を聞かせて貰おうか。」
「危険なんだ、アーロンまで巻き込みたくない!」
「いや、絶対、巻き込まれる。大体いつもお前がトラブル運んでくるんだぞ!!それに危険には慣れている。警察絡みか?それともヤクザか?」
「仕方ないな・・・・・・・・。その両方だよ。」
そう答えるとアーロンは呆然。
「嘘だろっ?!」
「いいや嘘じゃない。それもよりによって供興社だ。あそこから逃げて来た。それで追われてる・・・。」
リビングに着く間に大体の説明をして、リビングで待っているサンを紹介する。
それ程に美人じゃないけどブスでもない。サンを一目見て気に入ったらしくアーロンは
「いいよ。分かったよ。しばらくの間預かるよ。」
と快く引き受けた。それを聞いて安心するが
「くれぐれも手を出すなよ!」
と、一言添えて出て言った。
「ったく誰かさんじゃぁあるまいし。でも、可愛いな・・・・・・。」

アンディは自分のこの手でカンを捕まえる気でいる。危険だがやるしかない。そして、危険を承知で署へ戻る事にした。
アーロンの自宅では、サンが遅い晩御飯を作っていた。お腹が空きアーロンの分も一緒に作って二人で食事をするが、その食事中に誰かが帰ってきた。食事の匂いに誘われて彼等はダイニングルームへ行くと、知らない女が目に入った。
「・・・ひょっとしてアーロンの彼女?!」
2人は顔を見合わせてアーロンに言う。
「違うよ。アンディに言われてしばらく預かるに事になったサンだ。左側の男はナンで右側がチャン。」
「よろしく。」と、2人とも軽く挨拶する。
サンも「よろしくお願いします。」と丁寧に挨拶。
アーロンの家には2人の居候が居る。ナンとチャン。2人共アーロンに助けられて、そして、アーロンの事を尊敬している。ナンは、元は黒社会に居た。麻薬の売買や時には仕事(殺し)も。金品を騙し取ったりと、悪い事ばかりし、ある街を牛耳っていたが、敵対していた供興社と揉め抗争に発展し、組織はナンを裏切る形で見捨てたのだ。抗争の首謀者にされ、結局、ナンだけがパクられ刑務所に送られた。そして、そこでアーロンと出会った。刑務所に用があった為、訪れていたのだ。半分自暴自棄になっているナンはアーロンから優しい言葉を掛けられる。そこから2人の友情が始まったわけなのだ。
そして、チャンは元・チンピラ。悪い事ばかりしていてその日暮らしをしていたチャンは、当時、騒がれていた爆弾魔に偶然捕まり、そして、爆弾魔を追っていたのがアーロン達。そう、つまりチャンはアーロンに命を救って貰ったのだ。もうちょっとの所で爆弾魔に殺される所だったのをアーロンが助けたのだ。命の恩人ってやつ。チャンの境遇に同情したアーロンは、良かったら家においでと誘ったのがきっかけで居候に。
2人ともサン見て気に入る。これでもう1人居候が増えたなと素直に喜んでいた。
2人共、肩くらいまである長髪でナンの方が、少し背が高い。共通して言える事はハンサム。アーロンも同じくらいハンサムでかっこいい。
それからじきに、2人の男がアーロンの家に勝手に上がり込む。
サンは後片付けをしていた。2人はサンの姿を見るとアーロンに挨拶もせず、顔も見せずにサンの所へ行く。キッチンで食器洗いしてる所に2人は、背後から声を掛けた。
「誰・・・・?」
と、振り返るとサンはびっくり。見知らぬ男が2人立っていたのだから。
「君、アーロンの彼女?」
「いえ、違います。」
そう答えたら2人はこそこそ話し合う。
「ほら言っただろう。アーロンの彼女じゃないって。」
「分かったよ。じゃ、気を取り直して。」
再びサンに視線を戻すと二人はサンをナンパ。
「彼女じゃないんなら俺と付き合わない?俺はフェイって言うんだ。」
「俺はホー。こいつとじゃなくて俺と付き合わない?」
いつもこの調子で女のシリを追いかける。女好きでエッチでだらしの無い二人。卑劣な行為を行い二人は叩かれる。
「邪魔しないで下さい。」
2人をキッチンから追い出そうとする。
けれど、逆に腕を掴まれ引き寄せられた。
「やっ!離して下さい!」
2人はしつこく付き纏う。丁度そこへナンが現れて二人を追い払う。
「お前等、何やってるんだ。」
と、頭を叩かれる。
「いって――なっ!!誰だよっ!!」
2人は振り返るとナンが立っていたのだ。
「ナン!こりゃあ失礼。」
「用があるならアーロンの所へ行けよ。」
「はいはい。」
2人はしぶしぶ引き下がる。
「大丈夫?何かされなかった?」
「えぇ、大丈夫です。」
サンは一安心するが、足元でチロチロと走り回る虫を発見。何・・・っとじっ――と見ていたらゴキブリ。
「やっ!!ゴキブリがいるっ・・・(冷汗)」
と、ナンに抱きつく。
「ゴキブリ・・・?」
「あ、足元・・・・・。」
そう言われ見て見るとゴキブリが2匹、走り回っていた。ナンも苦手な方でサンを連れてキッチンから出る。ほっと安心するナン。サンに抱き付かれ悪い気はしない。いい男には天も見方する。その光景を見ていた二人は
「もう少し居れば俺に抱きついていたのに!」とナンに嫉妬。
「もう大丈夫だよ。」
「本当・・・・・?」
「あぁ、何処かに行ったよ。もう居ないから。」
そう言われ、ふと我に返ったサンはナンから離れ
「あ・・・・ごめんなさい。」と謝った。
キッチンに戻ってさっさと片付けをしてリビングに移った。
2人はアーロンの所へ行って、今晩泊まらせてくれないかと頼んでいた。
「頼むよ!何でもする。何でも言う事聞くから泊めて!」
「理由は?」
アーロンが理由を聞くと2人じゃなくてチャンが来て
「どうせまた、借金取りじゃないのか?」
と、代わりに答える。
「そうなのか?」
「あぁ、そうだ。」
「今夜だけだからな。」と、2人を泊める事に。
だが、2人は災いの元。隙を狙ってはサンに近づく。
サンは、アーロンに先にお風呂入ってきていいよと、言われ入るが例の如く2人が覗きに来ていた。
「なぁ、アーロン。サンは?」
「彼女なら入浴中だよ。何か用でもあるのか?」
「いや、入浴中ならいいや。」
丁度そこにナンが来て
「なぁ、あの2人見なかった?大人しく部屋に居ると思えない・・・・。あ、そういえばサンは?」
「入浴中だってさ。」と、チャンが答える。
「!?」3人とも、思った事は同じ。
「まさか、あいつら覗いてるんじゃ・・・・・。」
バスルームへ駆け足で急ぐ。
2人は火事だと嘘を付いて中へ入ろうとしていた。
覗きだけじゃ足りなくて、中へ入ってサンのオールヌードを見たいと張り切りすぎて演技が不自然。サンは本当なのかどうか疑う。
「お願いだよぉ。此処を開けてくれ。そのうち火の手が此処にも回ってくるよ。早く逃げた方がいい!」と、中へ入ろうとする。
けれどもサンが出てくるかもと期待もしていた。 が!待ちきれずホーが扉を開けたと同時にアーロンの声が聞こえた。
「お前等〜〜〜!!何してるんだっ!!!」
と、3人が現れホーとフェイはびっくり。
2人はアーロンに頭を殴られバスルームから連れ出された。
「最低だな、お前等。」
ナンやチャンから言われ、アーロンからも説教を聞かされる羽目に。まぁ自業自得でもある。
サンが出た後にナン達も入って就寝の時間。サンはアーロンに
「鍵閉めて寝なよ。」と、言われて鍵を閉めて床につく。
アーロンだけでなくナンもチャンもまだ起きていて、又、フェイ達も起きている。説教されても懲りない2人。サンが寝てる部屋へ忍び足で近づく。鍵掛けてあるから大丈夫だとアーロン達は安心している。が、フェイ達も馬鹿じゃない。鍵が掛けてあると思ってスペアキーを拝借してきたのだ。
「フッ。」含み笑いをし喜ぶ2人。
「夜這いなんて久し振りだな。」
「しっ!あいつらに気づかれるだろっ。」と、フェイはホーを叱る。
慎重に行動しサンを起こさないように気をつける。
鍵を外して扉を開け中に入る。起こさないように忍び足でBedに近づいた。
「サン・・・・?!」
寝ているかどうか確認して2人は、上着を脱ぎながらBedで寝ているサンに抱きついた。
「サン♪」
Bedに寝転がるが何か変。
「ん?!」
慌てて電気をつけようとしたが勝手についた。
「お前か?電気つけたのは?」
「いや俺じゃない。」
Bedを見るとサンが居ない。
「あれ、サンが居ない!」
「何処・・・・・?」
辺りを見回しても居ない。
「サンならアーロンの部屋で寝てるよ。」
「ナン!!」2人共びっくり。
「こんな事があると思ってアーロンの部屋へ移ったのさ。」
2人の醜態を見てナンは笑う。
「ほんと、夜這いなんてするなんて最低だな・・・・。」
「うっるせぇ〜〜〜〜〜。」
からかわれ恥ずかしいやらかなり酷い醜態。2人は上着を着ながら部屋を出る。
「大人しく寝ろよ。」ナンに言われ2人は大人しく部屋へ戻った。
その頃、サンは気持ち良さそうにアーロンのBedで寝ていた。
アーロンは作業室で仕事を続けていたが、夜中の2時過ぎにはソファで眠った。

翌日には2人共帰り、サンは外へ出れずにいる。
ナンやチャンは仕事へ。昼間はアーロンと2人きり。
一方、アンディは1人で捜査。
そして、カンの部下達は2人を探している。紛失した書類もまだ手元に戻ってはいない。幸いボスのキムは仕事で台湾へ行っている。キムが帰ってくるまでに書類を取り戻そうと躍起になっていた。
アンディは、奴等に見つからないよう署内を嗅ぎ回る。自分をハメた真犯人・内通者を見つける為、あの日の行動、そして、署には誰か居たのか、電話の主を見つけようと手段を選びながらやっている。
盗まれた書類はある場所にあった。カンの部下の1人が、裏切りある人物の元へ送られていた。書類の中に自分の名前が書かれてないかどうかを確認する為だ。もし書かれてあれば自分の身も破滅。確認出来れば後は何の用も無い。

カンの部下・タイはアンディの自宅に忍び込み、友人の連絡先が書いてあるアドレス帳を見つけ、行きそうな所へ手分けしてアンディの友人宅をあたっている。その内、アーロンの所にも奴等がやってくる。
アンディは署内でこそこそやっていたが、署から出て供興社の事務所を張り込む事に。事務所を見張れば、誰が出入りしているのかが分かる。だけど、ある程度は目星付いていた。だが、その前に自宅へ戻ったアンディ。自宅へ戻ってアンディはびっくりする。部屋が全部めちゃくちゃに荒らされていたのだから。何か盗まれた物は無いか確認しながら適当に片付ける。お金や通帳は置いてあって安心する。けど、クローゼットにしまってあるコートの内ポケットに入ってあったアドレス帳が無い事に気づく。
「やばいっ!こんな事してる場合じゃない!!」
自宅は盗聴されていると思い外へ出て、公衆電話で掛ける事にした。アーロンの自宅へと。
ほぼ三日間、アーロンの家にいてサンは退屈。作業室は危ないから入ってくるなと言われ暇を持て余していた。追われている身だから外へは出れない。
タイ達はアーロンの家へと向かってる途中。もうすぐそこまで来ているのだ。
アンディはアーロンの自宅へ電話をしようと公衆電話を使うが、運悪く奴等に見つかった。
「おいっ!!あいつだ!皆追え!!逃がすなよ!!!」
「糞っ・・・・・」全力疾走で逃げる。
偶然、近くにあったバイクを借りてナンとチャンの所へ向かった。
2人は同じ店で働いている。店の名前は「天地久長」れっきとしたレストランバー。2人はボーイとして此処に勤めているのだ。
アンディはバイクを乗り捨て店の裏口から入り2人に
「今直ぐアーロンの所へ戻れ。」と、言う。
「何言ってるんだよ、今、仕事中。」
「いいから早く戻れ!!供興社の奴等がアーロンの家に向かってる。あいつ等よりも早くアーロンの家へ行って知らせろ。」
「それなら、アンディが行けばいい事だろう。」
「それが今、追われてるんだ!だから頼むぞ!」
と、2人に頼んで店から出て行った。
じきに又、見つかり追われる身になった。
2人は電話で知らせようと思ったが、使用電話は禁止になっているに気づき仕方なく家へ。それぞれ自分のバイクに乗って急いで家へ戻る。アーロンの家へ戻る途中、3台の車と擦れ違う。猛スピードで通り抜ける。10分もかからないで家へ着いた。ナンは作業室へ。チャンはサンを。
「アーロン!!」
ナンは大声で叫ぶ。声が聞こえたらしくアーロンは姿を現す。
「なんだ、どーした?仕事中じゃないのか?」
「そうだけど。突然アンディが来て戻れって言うから。供興社の連中がこっちへ向かってるらしいんだ。それで急いで戻って来たわけさ。」
「で、そのアンディはどーした?」
「それが追われてる身って言って逃げて行ったよ・・・。」
「・・・ったく・・・・・・。」
アーロンは又、作業を中断し作業室から出て扉に鍵を掛けた。
急いで部屋に居るサンを連れ出すチャン。
「どうしたの?」
「供興社の奴等が、此処へ向かってるから急いで逃げるんだよ。」
チャンはサンを連れて1階へ行くが、その時にインターフォンが鳴る。
「!?」3人は顔を見合わせる。きっと奴等だ・・・・・・・・。緊迫した空気が流れる。
「誰だ?」
アーロンは尋ねると相手は宅急便を名乗ってきた。信用などしてない。
「お届け物です、ハンコを。」
「ちょっと待って下さい。」
と、印鑑を取りに行くフリをして、サンを2階へ。アーロンは印鑑を持って扉を開ける。が、運悪くやっと電話出来たアンディから電話が入った。留守電にしてあるから大丈夫だが、そのメッセージは相手も聞いている。
『早くそこから逃げろ!!供興社の奴等がやってくるから!!』
ったくどうして、こんな時に電話してくるんだ・・・・・。
バレバレ。連中はアーロンに襲い掛かってきた。抵抗する間もなく5,6人ですぐさま押さえ付けられ
「あの女は此処にいるんだろ?!」そう言いながら凄い形相で睨む。
「さ、知らないな。」
「これでもかっ!?」と、ナイフ見せ脅す。
「!?・・・・2階だ!2階を探せ!」
タイは階段を見て言い、5人が2階へ探しに行く。他の者は外で待機していた。
このままじゃ捕まる。ナンは此処は俺が食い止めるから窓から逃げろと。
「判った。」チャンはサンを連れて逃げる事に。
先にチャンが窓から出てサンに手を貸す。屋根づたいに歩いていき地上へ降りる。サンも降ろしチャンは
「ちょっと待ってて。」そう言ってバイクを取りに行った。
バイクを取りに行こうとするが、連中がバイクの側にいてバイクでの逃走は無理。仕方なく走って逃げる事に。
2階の部屋を隅から隅まで探し出すが居なく、一番奥の部屋に入るとナンだけが居た。
「女は何処だ?何処に居る?」
「知らない。」
知らない振りをするが、連中は本当の事言えと暴力を振るってきた。
腕っ節は強く喧嘩にも強いが、戦える相手は3人が限度。3人倒せても相手は5人。ナンもアーロンも捕まる。
走り出した2人に気づいた連中は
「捕まえろ!!」と2人を追う。
1人は車に乗ってスピードを出して2人を追い越し前方で止まる。後ろからは連中が追いかけてきて絶体絶命。
「クソッ・・・・・・」
2人は取り囲まれチャンはサンを守ろうとするが、反対に5,6人に暴力を振られ捕まる。
「チャン大丈夫・・・・?」
サンはチャンの側に。2人共車に乗せられ、アーロンとナンも車に乗せられカンの所へ連れて行かれた。
「男はどうするんですか?」
「刑事を呼び出す人質にする。」
そう言ってタイは携帯でカンに報告。女を捕まえたと。

連中をまいたアンディは事務所を張り込む。じきに内通者の男が現れた。その男を見てアンディはショックを隠せない。
同じ課のレオン。彼がカンとグルになっていたのだ。アンディを罠にハメたのもレオンの仕業だった。
サンはアーロン達と一緒に部屋に監禁される。部屋に入って来たカンはサンをひっぱ叩いた。
「拾ってやった恩を忘れたのか?恩を仇で返しやがって・・・・・。それはそうと書類を何処にやった?正直に言えば助けてやる。」
と、カンは言うがサンは書類など知らない。
「書類って・・・・何・・・?」
「とぼけるな!!お前等が盗んだんだろうが。何処にあるんだ?ん?」
手荒な事をしサンに吐かせようとするけれど本当に知らないのだ。
「知らない・・・・。書類なんて盗んでない・・・・・・・・。本当に知らないの・・・・・・。」
カンは頭にきて又、ひっぱ叩く。部下のタイに
「お前に任せる。書類の事吐いたら連絡しろ。」
そう言い後の事はタイに任せて出て行った。
アーロン達は見てられない。タイはサンに酷い目にあわせ書類の事を吐かせようとするが知らないの一点張り。
「強情な女だな・・・。」
タイは一番やりたくない方法が頭に浮ぶ。
「書類は何処だ?正直に言え。」
「本当に知らないの・・・・・・。」
泣きながらサンは言う。書類など盗んでも居ないし、勿論アンディの所にも無い。本当に知らないサンに対してタイは
「仕方ないな・・・・。」と、ティンを連れてきて
「話さないならそれでもいい。ティン、この女好きにしろ。可愛がってやれ。」そう言ってサンを渡した。
嫌がるサンを無理矢理部屋へ連れていく。
「どうする?」
「どうするって・・・・このままじゃやばいに決まってるだろっ!逃げないとな・・・。」
と、ロープを解こうとする。
「そう云えば俺のズボンのポケットに何か入ってる筈。ナン、取ってくれ。」
と、言いナンはポケットに手を入れ探るとナイフみたいな物が入っていた。
それでロープを切る。タイに気づかれないようにやり、タイがふと目を離した隙に3人がかりで襲い掛かった。
2,3発腹を殴り頭も殴って気絶させ隣の部屋へ乗り込んでティンをぶったおしサンを助け出す。3人とも喧嘩は強いからあっという間にティンはノックアウト。
その頃、アンディは1人ハンバーガー食べながらブラブラと歩いていた。
そして、書類は裏切った部下が持っている。確認した者はもう用はない、燃やすなり返すなり君の好きにしたまえと言われ困っていた。返せば裏切り行為がばれる。かといって燃やすには惜しい品物。警察に届けようかどうか迷っている。署の前でウロウロしていると、1人の刑事に呼び止められた。
「君、此処で何してるのかね?」そう言い彼の顔を見ると刑事は
「供興社の者だな?」と聞いてくる。
「いや・・・・・・。」彼は逃げようとしたが捕まり刑事は紙袋に目をやる。
「それはなんだね?見せたまえ。」
と、強引に取り上げ中身を出した。刑事はその書類を見て驚く。
「こ、これは供興社の・・・・・・・・・。」
彼はいつの間にか消えていた。刑事に顔見られたから逃げ出したのだ。
「フフ・・・・フフフフ・・・・これでカンも喜ぶぞ。」
と、刑事は署に入らず車に乗って、カンが居る事務所へ向かおうとしようとしたが、後頭部に銃を突きつけられた・・・・・。
「!?・・・・誰だ?」
「課長、俺ですよ、俺。」
「ア、アンディお前・・・・・。」
「その書類何処へ持ってくつもりですか?署なら直ぐ目の前ですよ。」
「そ、、そうだな・・・・・・・。」
課長は諦め署に戻る。そして、その途中、レオンも居てアンディは2人に手錠を掛ける。
「ア、アンディ?!いったい何の真似だ?」
アンディは黙って2人を課の皆の前に連れ出す。アンディの姿を見て驚く皆。
「ア、アンディ?」
「課長とレオンは裏切り者だ。俺を罠にハメたのもレオンだよ・・・・。」
「何、馬鹿な事言ってるんだ?!」
「そうだ!どうして俺がお前を・・・・。」
「ネタはあがってるんだよ、レオン。」
レオンは言い逃れをするが無駄な事だった。
「これが証拠だよ。この書類は供興社を潰せる程の証拠が入ってる。これで奴等を逮捕出来る。」
と、書類を皆に渡した。
「それは本当か?」
書類の中身を全部出して目に通す。書類見て皆は驚き、歓声もあげる人も中にはいた。
「でかしたぞ!!これで奴等を逮捕出来るな!!」と大張り切り。
課長とレオンは、もう終わりだとお先真っ暗。落ち込んでいた。
「逮捕状を手配してくれ。」
「いや、そんなに待てない。奴等が逃げてしまう。今から乗り込むんだ!」
「分かった。じゃ、俺等は逮捕状が出来しだい連絡するよ!」と。
アンディは仲間を連れて供興社へ向かう。同僚のジャッキー達は逮捕状を請求しに裁判所へ向かった。
覆面パトカーにのり、サイレンを鳴らしながらそれぞれの場所へ行く。
供興社の連中はサイレンの音に気づき、部下達はカンに警察が来たと連絡する。そして、逃げ出そうとしていた。
一方、アーロン達は無事にサンを助け、連れて逃げ出していた。出口へ向かうには事務所を通らなくてはならない。思い切って扉を開けるが、部下達は誰もいなかった。
「あれ・・・・・?!」
サイレンの音に気づきアンディ達だとホッとする。
建物はじきに包囲され、逃げ遅れた者は供興社の中から出る事が出来なかった。
交通課にも応援頼んで完全に包囲し、中へ乗り込んで一人残らず捕まえる。
アーロン達は無事に保護され外へ出てくる。
「アンディ・・・・。」
「アーロン、お前等・・・・大丈夫だったみたいだな。」
あ、そうでもないか。サンの姿見て、何をされたのかは想像ついた。
「あぁ。なんとか大丈夫だよ。」
「無事で良かった!」

署へ連行し取り調べ。証拠がある以上、言い逃れは出来ない。そして、台湾から帰ってきたキムを待っていたのは逮捕状だった。これで供興社は壊滅し一件落着。
そして、サンは身寄りも居なく頼りになる人もいない。そこでかって出たのはアーロン。良かったら一緒に暮らそう。そう言ってくれたのだ。これで、アーロン達と一緒に暮らす事になったのだった。

END

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