小説「ヴンパイア・リターンズ〜ヴァンパイア・ウォーズ・パート3・完結編」
拓哉の友達・冷奈が計画立てた山登り。 招待されて行くのは、拓哉と正広と慎吾。そして、昌未と冷奈、その友達・雪子。 登山の経験があるのは雪子だけ。 行く当日までに登山用品をそれぞれ買い揃えて行く準備をした。 そして、昌未は慎吾から送られてきた往復切符を使って、前日の日に横浜へ。 一泊だけ、慎吾の家に泊まって翌日、集合場所へ二人で行ったのだ。 もう既に皆来ており、雪子のワゴンに乗り込んで山の麓まで車で。 晴天だが山の天気は変わり易い。 それぞれ行く準備をして、出来た者から山へ登り始めた。
雪子の跡を追い、一つにまとまって山に登る。 険しい山道を歩いて約一時間。少し疲れ始めてきた。空には雲がかかり青空じゃなくなってくる。 雪子は空を見て少し急いだ方がいいわねと、引き返す事など思っていなかった。 「雲行きが怪しくなってきたから、悪いけど少し急ぐわよ?」 と、皆に言う。 昼近く、川岸に辿り着きて此処で昼食を摂る事に。 昌未の隣に慎吾は座る。一緒に昼食を摂りたいからだ。
昼食を食べ終え、少し休憩をしてから、また歩き出した。 それからしばらくして、雨が降り出し次第にその雨は強くなり始めていた。 何処か雨宿り出来る所を探すと、一軒の屋敷を見つける。薄気味悪い洋館。何故こんな所に?という疑問が生まれる。だが、そんなのに構ってはいられない。 拓哉達は門を開けて中へ入り玄関の所へ。ノックをするが誰も出て来ない。 ノブに手をかけ扉を開ける。鍵はかかってなく拓哉達は部屋の中へ入っていった。 「あのー、すいませんー。誰かいませんかー?!」 大声を出して言う。 じきに足音が聞こえ誰か居ると分かる。 部屋の真ん中まで来ると背後から声が聞こえた。 「勝手に人の家に入って何をしている?」 振り向くと若い男が一人立っていた。 背が高く生意気な口調で、拓哉達を見下した眼をしている。 「雨が止むまで雨宿りさせて欲しいんです。しばらく此処に居てもいいかな?」 そうお願いをする。が、男は…。 「見返りは?」 「見返りって何も持っていない…。」 「じゃ出てけ。」 愛想もない冷たい態度を取る。 その男は拓哉達を追い出そうとするのだが、もう一人の男が出て来た。 「郁巳、失礼な事を言うもんじゃない。」 そう言いながら
階段を降りてきて拓哉達の目の前に立ち 「弟の失礼をお詫びするよ。どうぞ中へ入って。」 快く拓哉達を迎え入れてくれた。そして、一言。 「お久しぶりですね。」っと付け加えた。 拓哉達も彼を見て安堵する。以前、助けてくれたあの男・穂高薫なのだから。 薫は皆をリビングへ案内する。そして、バスタオルと温かいコーヒーを差し出してくれた。 薫の行為に甘え寛ぐ皆。薫と郁巳は廊下でひそひそと話をしていた。 「兄貴どう云うつもりだ?あいつ等を中に入れて…。」 「何も心配ない。ただの登山者だよ。正体がバレなきゃいいんだ。分かったな?それに、ちょっとした知り合いでもあるから。心配するな。」 と、薫は言い聞かせてバスルームへ。 日帰りのつもりだったが、雨は一向に止まず。 拓哉達は一泊泊まる事になる。 だが、薫の考えは甘かった。好奇心旺盛の彼女達は、薫や郁巳の傍に来て色々と質問する。 そして、屋敷内を案内して貰い客室へ。 正広達は部屋へ行き、雪子に慎吾を取られた昌未は、一人リビングでしょんぼりしていた。 丁度そこへ郁巳が来て昌未の隣に座る。 「あんた処女の匂いがする。」 黙って昌未の事見ていた郁巳がそう言い、昌未は後ずさりを…。 「ん…一番美味しそうだな…。」 しっかりと腕を捕まえられていて。 ソファの上に押し倒され首筋に唇を這わせられて、昌未は正広や拓哉に襲われた時と同じものを感じ… 「やっ…!(ま、まさか………ヴァンパイア…………。)」 やられそうになった時に薫と拓哉が現れたのだ。 「郁巳!!何やってるんだっ!!!」 薫の声を聞いて止める郁巳。 二人の状態を見てた拓哉は薫達に疑問を抱き始める。 「大丈夫か…?」 昌未は拓哉に手を触られ、はっきりと脳裏に襲われた時の情景が浮かぶ。 「何された?!」 質問しても昌未は答えないで拓哉を見て脅える。 「何されたか聞いているだろう…、答えろっ!」 っと、強引に言わせようとするが…。 昌未は答えようとしなかった。 拓哉の手を払いのけて案内された客室へ。 昌未の姿を見た薫は不安を抱いて郁巳を問い詰める。 「別に何もしてないさ。ただ処女か聞いただけ…。」 「本当にそれだけかっ?」 「あぁ。」 「馬鹿な真似だけはするなよ。」 「分かってる………。(ちぇ、誰も来なければ襲えたのに…。)」 と、郁巳は言うが、本当は昌未の血が欲しくてしょうがなかった。 そして、その反動でか冷奈を襲ってしまう。彼女が近づいて来たからだ。 お風呂上りに冷奈は慎吾に会い 「お風呂空いたから昌未に伝えてきてくれない、お風呂入れるって。」 と、言われた慎吾は昌未がいる部屋へ。 その後に郁巳に会って、冷奈は彼を誘い二人で部屋へ入っていった始末がこの状態。 Bedに倒れてる冷奈をどう処理するか迷っていた。 正体がばれるのも時間の問題だ。 郁巳が迷っている時に雪子が、部屋へ入ってくるのを見、慌てて郁巳は部屋を後にした。 Bedに横たわってる冷奈を見た雪子は揺り起こすが、なかなか起きない。変に思った雪子は…。 うつ伏せになってるのを仰向けにさせ、胸に耳を当て心音を聞くけど、その心音が聞こえてこなかったのだ。 「死んでる………………。」 慌てて部屋の外へ出た時に、正広達とぶつかった。 「気を付けろよ。」 「あ、中居君………、冷奈が…………。」 雪子はちゃんと謝り、冷奈が死んでる事を知らせ部屋の中へ入った。 半信半疑で冷奈に近づき、死んでるのを確かめた。 拓哉は、まさかと思い首筋を見てみると、案の定、牙の痕が残っていた。 「なんて事だっ…。今すぐ荷物まとめろ!此処から出るぞ。」 「これ見ろ。何の痕か分かるだろ…。」 首筋を見せる拓哉。 「まさか吸血鬼…。」 「そのまさかだよ。」
拓哉達はすぐ部屋へ戻り荷物をまとめる。 部屋にいる慎吾にも伝え、慎吾はバスルームに居る昌未にも伝えに行った。
お風呂上りの昌未を見て、つい見とれるがそうしてる場合ではない。 「木村君がすぐ荷物をまとめろって。此処から逃げるんだってさ。」 「え、なんで…?」 「吸血鬼だよ、あの二人吸血鬼みたいなんだ…。」 そう聞いて昌未はぞっとする。 昌未の手を取り急いで部屋へ行く途中に、郁巳にばったり出くわす。 慎吾は昌未を自分の後ろに隠し…。 「何をそんなに急いでいるんだ?」 「退いてくれないかな、木村君達の所へ行くんだ。」 「何もそう急ぐ事はないだろう…。」 そう言って郁巳は立ち塞がる。 「通してくれ。遅れると木村君怒るから…。」 無理に通ろうとすると、郁巳に腕を捕まれその場であっという間に倒される。 「―――っつ…。」 「慎吾君、大丈夫?!しっかりしてっ!」 傍に駆け寄り慎吾の身体を心配する。 抱き起こすが、郁巳が最後の一発をお見舞いして、慎吾はその場で気を失ってしまった。 「やっ………慎吾君っ………、気づいてっ!目覚ましてよぉ…………。」 瞳に涙をため、今にも泣きそうになる。 慎吾の事を揺り起こすがなかなか起きる気配もない。 「さぁ、こっちにおいで。」 っと、郁巳は慎吾から昌未を離して連れて行こうとする。 「嫌っ!!離して!!!」
拓哉達は玄関の前におり慎吾達を待っていた。 だか、じきに来たのは慎吾達ではなく薫だった。 「何処か行くのか?」 「……家へ帰るのさ。」 薫はとっさに正体がばれたと気づく。 事を荒立てるつもりはなく、穏便に片付けたい薫。
「我々は戦うつもりは無いし、危害を加えるつもりもない。それに外はまだ雨だ。夜の山道は危険で危ない。」 「それでも帰る。ヴァンパイアの家に泊まるつもりは無いんでね。」 出て行こうとする拓哉達の目の前に、ボコボコになった慎吾が転がってきた。 「友達をおいて出て行く気か?」 と、郁巳が姿を現した。 「その男連れて出ていけ、女はこの俺が貰ったから。」 一瞬にして薫の蹴りを食らう郁巳。 「郁巳、お前、何を考えてるんだっ!!」 「何すんだよっ!」
「出て行くのなら朝にしろ。それにそんなに心配ならリビングで休むがいい。」 それから、薫は郁巳の部屋にいる昌未を抱きかかえてリビングのソファに移す。 「先程も言ったように危害を加える気など全く無い。攻撃的な種族も居るが我々は違う。それだけは知っておいてほしい。」 そう言って自分の部屋へ戻って行った。 気がついた慎吾は雪子に手当てをして貰い、部屋に置きっぱなし
の荷物を取りに行って、昌未の荷物もまとめて再びリビングへ戻った。そして、昌未の傍にすっと居た。 薫に散々怒られた郁巳は、あの時やっておけば良かったと後悔していた。
拓哉達はリビングで一夜を明かし、夜明けに出、屋敷を後にした――。 山を降り車に乗って自分の家へと帰って行った。 昌未はもう一晩慎吾の家にお世話になり、その翌朝、9時発の新幹線に。慎吾はホームで 「必ず迎えに行くから。」 と、昌未の頬にキスを。 そして、お金を貯めて買ったリングをプレゼント。いわゆるプロポーズみたいなものを昌未に言う。 慎吾の言葉を受け、嬉し泣きをする昌未。 いつもの笑顔に戻っていた。 新幹線に乗り、自宅へと帰って行ったのだ。
あれから半年後。 昌未は慎吾の言葉を信じて待っている。 慎吾の方は仕事で忙しくて、昌未の所へと行く時間が無くなって来ており…。 電話もメールも無く忘れかけてた頃………。 丁度、誕生日の前日、5月14日。朝、突然、現れた慎吾。 手には二枚の航空券を持っている。 「一緒にハワイ行こう!!!」 っと、抱きつかれる昌未。 嬉しくて堪らない昌未は、慎吾の招待を快く受け入れたのであった。
HAPPY−END
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