ジャコウアゲハの飼育
はじめに
ジャコウアゲハは、地味な感じのアゲハチョウです。飛び方もカラスアゲハのように力強くはあり
ません。体内に毒をもっていると言われていますが、そのためか鳥にもあまり捕食されないからで
しょうか。
食草は、ウマノスズクサです。幼虫は、全身にとげとげがあり、つるりとしたナミアゲハなどの幼
虫と違っています。幼虫にも毒があるといわれていますが、確かに鳥に捕食されることは少ないよ
うに感じます。しかし、蛹から成虫への孵化率は、余り高くありません。昨年は、大量に発生したの
で楽しみにしていましたが、90%ぐらいが寄生蜂にやられていました。幼虫の保護のために、鉢
植えにしたウマノスズクサ全体を細かな網で覆う必要があります。
しかし、ジャコウアゲハの幼虫は大食なのか、すぐにウマノスズクサを食べつくしてしまいます。
食べつくせないぐらい繁茂したウマノスズクサの株全体を覆うとなると、かなり大きな網が必要です。
私は、庭植えのウマノスズクサにつけておいて蛹になる直前の幼虫を、飼育箱に保護していまし
たが、先述したようにこのやり方では寄生蜂の被害が大です。このあたりがなかなか難しいと感じ
ています。
ウマノスズクサは、高麗川の土手にも自生種のものが生えています。リュキュウウマノスズクサ
なのでしょうか、タキイで取り寄せた素性確かなウマノスズクサとはちょっと植生が異なり、4月ご
ろには、勢い良く紫がかった新芽を伸ばします。タキイのウマノスズクサは木質部が冬季にも残っ
て来春にはそこから芽を出しますが、自生種のウマノスズクサは冬季には地上茎部分が完全に
枯れてしまいます。
ジャコウアゲハの幼虫は、どちらの葉も良く食べますし、飛来した成蝶は、どちらにも卵を産みます。
飼育日記
2007年4月21日。
暖冬だということでしたが、4月になって肌寒い日が続きました。やっと下旬になって、本格的な
春を感じます。さて、ジャコウアゲハの食草のウマノスズクサですが、どんどん芽を伸ばしています。
鉢植えのウマノスズクサは日当たりがよいので成長が早い。地植えの方は、種類が違うせいもあり
ますが、やっと芽を出してこれから伸びる段階です。でも、盛夏には地植えの方が圧倒的に繁茂し
ます。現在の生育状況は以下の写真のようです。
鉢植えのウマノスズクサ(素性正しい品種)
地植えのウマノスズクサ(高麗地区自生種)
2007年3月29日。
今年は暖冬ですが、東京の桜は今が満開になっています。さて、ジャコウアゲハの食草ですが
地植えのウマノスズクサは、まだ芽も出ていません。塀際で日が一日中当たるわけではないた
め、条件が悪いかもしれませんが、もう少し日にちが必要です。一方、鉢植えにしているウマノス
ズクサは、すでに盛んに新葉が伸び始めています。これからどんどん伸びていくでしょう。
2007年2月。
ジャコウアゲハの食草は、ウマノスズクサですが、私は2種類栽培しています。地植えの方は、
まだ芽が出ていません。地上の葉や茎は全部枯れています。それらを刈り取って、新しい萌芽
に備えます。鉢植えの方は、蔓や茎が残っています。その蔓や茎から新芽が出ます。既に、この
時期、新芽が出ています。ネコヤナギのような繊毛が生えた薄緑色の新芽です。
鉢植えのウマノスズクサの絡み合った蔓を多少整理し、水をやります。発芽時期に水が少ない
と、成長がよくありません。
ウマノスズクサの花は、毎年つくのですが、実が取れたことはありませ
ん。どうしたわけか、実が成る前に落花してしまいます。実生の苗が得られるようになれば、ウマ
ノスズクサの鉢の数を増やすことができ、幼虫の旺盛な食欲に応えることができるので、飼育が
安定すると思いますので、今年度は実を取れるようにしたいと思います。そのためには、人工的
に燐酸肥料を施す
必要があるかもしれません。今までは野生の草本なので特に肥料をやること
はありませんでしたが、実を取るために
今年は実験的にやってみようと思います。
茎や蔓が地上に残らない種類は、鉢植えには向きません。水分の蒸散が激しく、夏季には枯れ
てしまうこともあります。鉢植えには別の種類が向いていますが、ジャコウアゲハは区別無く、両方
をよく食べます。寄生蜂の被害を避けるために全体をカンレイシャなどで覆うためには、鉢植えが
どうしても必要です。
ジャコウアゲハの幼虫は、運動量が多く、小さな網掛け袋ではうまく飼育できません。蛹になると
きにも数十メートルも離れた軒下とか、とんでもない遠方に蛹化することがあります。ですから、で
きるだけ大きく囲ってやることが必要です。
2006年12月。
地方のある高校で、ジャコウアゲハの飼育を学校の授業でやっているという記事を見つけました。
しかし、2年で統廃合か何かになるそうで、担当の先生は残念がっていました。トンボのビオトープ
実践や学校の森を作る運動などが少しずつ広まっているようですが、大変すばらしいことだと思い
ます。そのような実践をしている学校同士が、インターネットで繋がりあって情報交換をしたりすれば
とてもいいのではないか、と思います。そして、大学や農林水産省の研究所などの昆虫研究室とも
ネットで繋がって、指導を受けることが出来れば夢のようだと思います。
2006年。
2006年は、大量発生の年でした。2005年は、飛来蝶がそれほど多くなく、例年並みというと
ころでした。2007年はどうでしょうか。ジャコウアゲハの生息地として有名なところは狭山市の
三ヶ島地区だということですが、私自身は三ヶ島地区でジャコウアゲハをたくさん目撃したことは
ありません。今度、調べてみたいと思いますが、早稲田大学でしたか、どこかの大学でジャコウア
ゲハの生息調査をやっていましたから、そういう報告を見て見たいと思っています。
2005年。
群生したクサギの花に時たまジャコウアゲハが飛んできました。近くの草原の草に何度も止まり
に行きます。後でその場所を見に行くと、弱弱しいながらウマノスズクサが生えていました。これを
目ざとく見つけて、産卵していたのでしょう。ウマノスズクサは、特有のにおいがあって、葉や茎を
折ると強いにおいがします。また、枯れてしまった茎や葉でも、折ったりしてみるとにおいがします。
ジャコウアゲハは、この臭いを感じ取っているのかもしれません。
ウマノスズクサは、以前は、土手の傍やお茶などの畑のところに生えていました。現在は、余り
見かけません。同じように、ヤブガラシも以前はどこにでも生えてきて、夏には庭木の頂上を覆い
尽くしていました。そして、アオスジアゲハが好んでやってきていました。最近は、余り見かけなく
なりました。どうしてなんでしょうか。
なお、2005年に飼育したときには、ジャコウアゲハモドキというジャコウアゲハそっくりのガがまじり
ました。触角が蝶の触覚とは違って、筆状のガの触角ですからすぐに分かります。触角を除けば
非常にジャコウアゲハによく似ています。幼虫や蛹まで、そっくりです。このとき実は、成虫になるまで
騙されていました。どうも腹の部分の色が違うな、と思っていましたが羽化して分かりました。残念
なことに、このときは写真を撮っていませんでした。今度混じったら、写真を取っておきたいと思い
ます。