2013年初夏、我々年長組み夫婦は観光旅行としては3度目のドイツへの個人旅行に出る事になった。今回の旅のモットーは「Live like a German.(ドイツ人の様に生活する)」出来るだけ地元の食材を揃え、自分達で食事を作って生活する。乗り物も地元の人達が使うであろう乗り物を利用して、人との触れ合いを大事にするのである。道中はジャーマン・レイルウエイ・ツインパスを利用し、列車中心の旅である。成田空港からドイツ フランクフルト空港に降り立ち、宿泊先は時差ぼけを治すため先ずはフランクフルトに一泊、翌日は列車で南部の「シュバルツバルト(黒い森)」にある町、トリベルクで牧場主の経営するアパートで一週間自炊等しながら生活する。この間に列車と徒歩で「黒い森 (Black Forest)」を満喫する。また、昔懐かしいスイス・バーゼルに立ち寄り昔の思い出を振り返る。その後再び列車でフッセンへ移動し、5日間過ごし有名な城や湖を見学する。最後は再び列車でミュンヘンに移動し、ここで2日間最後のドイツを観光し、最終日はミュンヘン空港から成田へ戻る事になる。以上が今回の旅のあらすじであるが、より詳しい旅の出来事を写真と共にお楽しみ下さい。 Danke!

2013年5月27日、成田空港9:45発, ルフトハンザ航空LH711便でフランクフルト空港を目指す。所要時間は11時間45分の予定である。昨年スロヴェニアに行った時(別掲載)もこの便を利用しているので、何となく安心感がある。飛行機はほぼ定刻にフランクフルト空港に到着。ここからは近郊列車(Sバーン)でフランクフルト中央駅に向かうのだが、そのプラットホームが分かり図らいのだ。近くの人に英語で尋ねるが、英語は喋れないと言う。やっとのことで学生風の男性に声をかけると、彼は親切に答えてくれるが、よく分からないから上階の案内板でプラットホーム番号を調べるように勧めてくれた。やっぱり現地の人にも「ややっこしいのだろう。」
なんとか列車に乗ることができ、中央駅に無事着くことができた。予約しておいた駅近くの宿泊先「ホテル・ツーリスト(Hotel Tourist)」に入り、忘れない内にそのまま直ぐに再び駅構内に行きクレジットカードでユーロをキャッシングする。
駅前通りを東に向かい街の中心街に行ってみる。この辺の通りは前回10年ほど前にも歩いた通りだと思う。昔とあまり変わっていない。街のシンボル、定番の旧市庁舎レーマー、大聖堂等を見学。南に下り、マイン川の橋を渡り対岸辺を歩るきホテルに戻る。明日からが楽しみだ。
5月27日(月)から28日(火)まで フランクフルト中央駅構内 旧市庁舎レーマー
聖パウロ教会 マイン川 ホテルから見る市内路面電車


5月28日(火)。今日はここフランクフルトから特急列車(IC)に乗って黒い森にあるトリベルクを目指す。途中古城で有名な観光地、ハイデルベルクで途中下車して観光することにしている。約50分の乗車でハイデルベルク中央駅に到着。この街にも前回のドイツの旅で訪れたのだが、とても美しい街なので、この機会に再度訪問することにした。土地勘があるので安心して歩くことができる。いつ来てもやはり美しい街であるが、さすがに観光地、平日の日中にもかかわらず、通りはどこも人々で混雑している。街を見下ろして建つハイデルベルク城(工事中でした)と、ネッカー川に架かる古い橋(カール・テオドール橋)が、うまく溶け合い、落ち着いたたたずまいを映し出している。ここにはドイツでもっとも古い大学が創立され、その面影があちらこちらに見られる。約3時間の観光の後再び駅に戻り、特急列車に乗りいよいよトリベルクを目指すことになるのだが、この列車の到着が20分ほど遅れることになる。「ドイツの鉄道は時間に正確だったんじゃなかったっけ?」日本での感覚はこの際捨てることにしよう。「だって、列車が遅れたのは、ここだけじゃなかったからね。」
5月28日(火) ビスマルク広場 平日でも混雑するハウプト通り
ハイデルベルク城を見上げる 城へ繋がる通り ネッカー川に架るカール・テオドール橋
橋への入り口門 ネッカー川に沿った通りを歩く ハウプト通り


これから我々が行くトリベルクは、ドイツ南西部の広大な丘陵地帯で、山並みを覆う樫の木の濃い緑のため、「黒い森」(Black Forest, Schwarzwald)と呼ばれてきた地域にある小さな街である。ここには素朴な人情と土着の風俗・習慣が残されているそうだ。今回我々はこのトリベルクと言う街で一週間程アパートを借りて、できるだけ自給生活をする。そしてここでの宿泊期間中は、後述のゲスト・カード(KONUS Guest Card)を利用して、列車で「黒い森」内のあちらこちらを旅する予定である。

やはり20分程遅れてトリベルク駅に到着。実は今日から宿泊するアパートのオーナーさんが車で我々を迎えに来てくれることになっていたから、到着の遅れが気になっていたんだ。ホームに下りるとチョッと高齢の奥さんが待っていてくれた。オーナー夫人と駅前に停めたオーナーさんの車に向かう。このアパートに関する口コミに、オーナーさんは「ドイツ語しか喋れない。」と書いてあったから、我々もチョッと不安だったのだが・・・。迎えの車に乗るが、会話が進まない。車内はイヤーな雰囲気が漂う。オーナー婦人は気を利かして、我々を道中のスーパー・マーケットに案内してくれる。我々にとっては「ありがたい」ことである。今晩から必要になるパン、ハム、水、果物等などを購入。「牛乳やチーズは我が家にあるから、買わなくていいよ」と、我々にジェスチャーで教えてくれていた。だって今晩から宿泊するオーナーさんの家はミルク・ファームを営んでいるんだからね。

ここでオーナーさんについて話しておこう。先ずはオーナー夫人(Erna 81)とご主人の(Franz 84)。彼等は我々の2階の部屋の上階(3F)に住んでいる。共に英語は話せない。別棟のシャーレー・タイプの家の1階には牛舎とチーズを作る工場などがある。その2階にはオーナー夫婦の娘さん(Inge)と彼女の夫と息子達、彼等と共に乳牛が17〜18頭、それとフレンドリーな犬の「Luna (ルナ)♀」と猫2匹が住んでいる。皆さんとても親切にしてくれる。

我々の部屋は2階の西側で、部屋はリビング・ルーム、ダイニング・キッチン、寝室、トイレ・シャワー室などに別れ、全体で70uあるそうだ。我々2人にはもったいないほど広い。ベランダはリビング側と寝室側の両方に付いている。ここからの景色が素晴らしい、と言いたい所だが、隣の建物以外は写真の通り全て草原である。こんな景色、我が家の近くでは見る事は出来ない。
5月29日(水)から6月3日(月)まで 一週間の滞在先の草原のアパート 2階左側と中央部分が我が宿泊部屋
ダイニング・キッチン・ルーム リビングルーム ベッドルーム


我々の部屋のベランダからはオーナーさんの娘家族の住む隣の棟が見えるが、それ以外は全て草原で囲まれており、遠くに列車の線路がある。小雨が降る中、近場を散策してみる。駅から来た道をさらに上へ歩いてゆく。隣の家まで3〜400メートルはあるだろう。その間は全て草原。その草原の所々に乳牛が放牧されている。近所の家も全て放牧を営んでいるようだ。
雨が上がった日にアパートの裏山に行くために庭に出てみる。すかざず犬の「Luna」が出て来て、「案内するよ!」と言わんばかりに我々を先導して歩いてゆく。多分この辺は全てお散歩コースなのであろう。我々も当然彼女に従い安心してついて行く。アパートよりさらに高い場所に案内してくれる。草原の中に黄色い花が一面に咲いており、その遠くにトリベルクの街が見える。明日はこの街中を散策してみよう。

アパートの隣の棟では毎朝早くから搾乳が行われている。この作業は娘夫婦とおじいさんのFranzがでやるようだが、搾乳の終わった牝牛たちは、順番に迷わず草原のある裏山へ上がって行くのがベランダから見える。のどかな風景である。

牛乳、チーズやヨーグルトは当然こちらの牧場で安く分けてくれるので大変助かる。牛乳などは新鮮で濃いものが必要に応じていつでも手に入る。
高台から眺めるアパートメント 早朝の搾乳の終わった牝牛達 アパートの近辺の草原


オーナーさんの所で作ったミルク、チーズを買って、朝食やティー・タイムに利用する。ある日、Ernaが自家製ケーキを持って来てくれた。甘くてとても美味しかったよ。
今回は日本からパックに詰めた即席ライスを一人5パックづつと梅干を持って行ったんだよ。ドイツの固いパンは美味しいけれど、やはり日本人、時々ご飯を食べないと飽きるからね。肉やハムやソーセージも美味しいけれど、偶にはお魚も食べたいよ。ヨーロッパの国々でチェーン店を持つ、「Nordsee」と言う、魚のフライ中心のレストランは、我々には貴重な食事となる。今回も結構お世話になりました。
牧場のチーズやErnaの手作りケーキでティー・タイム ある日の夕食と有名なドイツのパン Nordseeの魚のフライとジャガイモ   子牛


5月29日(水)は、雨の降る中をトリベルクの街を散策してみる。アパートから街に出るには、上記の急な坂を駅の近くまで下りて行き、そこから再び街の方へ坂を上って行く事になる。トリベルクは250年の歴史を持つ、樫の木で作ったいわゆるカラクリ・ハト(カッコウ)時計で有名である。「カッコウ時計の故郷」とも呼ばれているそうだ。街のメイン道路にはハト時計のお土産屋さんが所狭しと並んでいるのだ。何軒かの店内を覗いて見ると、大から小までありとあらゆる時計が飾られていて、見ているだけでもとても楽しい。店先に飾られた2階まで届く大時計や巨大なカラクリ人形の動き等は大人気である。軽くて持ち運びに問題がなければ一つお土産に買いたいのだが、これからの移動を考えると諦めるしかない。

トリベルク最後の日(6月3日)は久しぶりにお天気が良い。最後にもう一度傘を差さずに街中を歩いてみた。相変わらず多くの観光客が土産物屋を覗いている。我々はこの街を通り越して、さらに奥の街まで歩いてみた。トリベルクに劣らず自然に囲まれ綺麗な街が見られた。ゲストハウスやホテルがあちらこちらにあり、ぜひお勧めしたい場所でもある。
トリベルクの街 街のハト時計等を売るおみやげ店 街のハト時計等を売るおみやげ店
動くカラクリ人形 大きさにビックリする時計 トリベルクの街を眺める


お得な情報を一つ。黒い森内の宿泊施設を利用する旅行者は、誰でも宿泊先が発行してくれるゲスト・カード(KONUS Guest Card 下図)を使って、黒い森内のあらゆる所に無料で列車(特急列車 IC ,ICE & ECを除く)およびバスに乗って動き回る事ができるのである。旅行者にとっては大変有難いシステムである。宿泊期間中は下記の通りに、このカードを駆使して黒い森内をほぼ毎日散策し続けた。

我々とErnaさんとの会話の方法は、パソコンの「ドイツ語vs英語の翻訳機能」をお互いに交互に使うか、万国共通語のボディー・ラングエッジのみである。お互いに大変ではあったが、それでもお互いに相手の言わんとする事は最低限理解できたと思う。犬とでも意思の疎通が出来たのだから、言葉は違えど人間とは当然意思が通じるものですよ。
宿泊先で貰ったゲスト・カード アパートのオーナー婦人と アパートのフレンドリーな愛犬「Luna」


5月30日(木)。今日は上記のゲストカードと当然パスポートを持って、スイスのバーゼルに行って見る。ドイツ側のスイスに接する駅はBasel Bad Bahnhofである。この駅が黒い森でゲスト・カードが使える最南端である。なぜバーゼルまで来たかって?現役時代に日本で勤めていた会社の親会社がここにあったので、仕事で度々訪れたので今でも懐かしいし、その頃の街は今どうなっているか知りたかったためでもある。実はもう一つ理由があったのだ。社用でスイスに来た時に残ってしまった、50スイスフラン(約5千円)がまだ手元にあったのだ。色々調べたら、この紙幣は市場ではもう使えない状態だそうだ。但し、今年の9月までならスイス中央銀行なら新札に変えてくれると言う。今回は絶好で最後のチャンス。で、今回色々努力して何とか交換に成功したんだよ。ドイツ側バーゼル駅で下車してバーゼルの街を散策することにする。駅を下りたがパスポート・コントロール・オフィスが見当たらない。このまま通り過ぎると帰りがヤバイかもしれないので、駅員に尋ねてみた。彼は当たり前の様に曰く、「パスポート・コントロールなんかないよ!」だってさ・・・。さすがヨーロッパ。

日本人にとってはバーゼルの駅は面白い。このドイツ側バーゼル(DB Basel)から街を歩いた反対側にスイス・バーゼル駅(SBB Basel)がある。この駅の地下道を潜って反対側に出ると、そこは既にフランス・バーゼル駅(SNCF Basel)なのである。

バーゼルで有名な観光場所、市庁舎、マーケット広場、ライン川、カソリック教会などを見て回り、最後に路面電車で再びドイツ・バーゼル駅に戻ってきた。高速道路が出来ていた位で以前と殆ど変わってないことが確認できた。

ところで、両替した50スイスフランのお陰で、両替もせずにスイス・バーゼルの街の散策ができたよ。1.75スイスフランだけ残ったけど。
5月30日(木) スイス・バーゼル中央駅 バーゼル市庁舎とマーケット(朝市)
バーゼル市を横切るライン川 バーゼル・カソリック教会 バーゼル駅前通り


5月31日(金)。今日は朝から雨模様で寒い。ゲスト・カードを使ってトリベルクの北西、黒い森の中北部、自然公園の中に位置するゲンゲンバッハと言う変な名前の街を探索する。この街の至る所に歴史があり、花が溢れている。特徴的なのが、可愛い木骨組みの家が建ち並ぶ。「ロマンティックな宝石のような町」と賞賛されているそうだ。表通りの家々も面白いが、裏の細い道に入ると、緑の植物で覆われた壁や木組みの長屋風の家並み、さらには入り口に等身大の人形を、あたかも本当の人間が居るように置いてあるのも面白い。
5月31日(金) 街の通り 街の広場の真ん中にある花壇
表通りの木骨組の家々 裏通りの木骨組の長屋 今にも倒れそうな変な家
皿に絵を描くオジサン(人形) 裏通りは迷路の様 市庁舎


6月1日(土)、この日は曇りではあるが、歩くには最適である。ゲスト・カードを使い、トリベルクの東にあるドナウエスシンゲンを訪れた。駅を出てヨーゼフ通りを進むと市教会が見えてくる。プリガッハ橋を渡り教会の下まで出てきた。その後この街の最大の見所と言われる円形の「ドナウの泉」を探す。なかなか見つからなかったが、市教会と城の間の観光客など一人もいない工事現場の柵の中にションボリ隠れていた。教会から左へ曲がると街の中心に向かうカール通りがあり、その先に市庁舎が建っていた。かつてモーツアルトがこの街を訪れ、音楽祭が開催されたのを記念して、市庁舎の前に音楽家達の彫刻と共に噴水が置かれていた。

源泉の水が注ぎ込むブリガッハ川沿いの緑の美しい通りを歩いてみる。この川の水がドナウ川に注ぎ込み、ドイツ、オーストリア、ハンガリーとヨーロッパ大陸を東に向かい、3,000kmもの旅をして黒海に注ぎ込むのだそうだ。

ドナウエスシンゲンの街の中心辺りを歩いていると、「コンイチワ!」と声を掛けられる。「あれ!こんな所で日本語?」 子供を2人連れた西洋人が声を掛けたのだ。話によると、彼はここに住むドイツ人。奥さんは日本人なんだって。日本語で話が進む。彼もビックリしたかも。「こんな所に年老いた日本人夫婦。」一期一会の良い出会いでした。
6月1日(土) バロック様式の市教会 ドナウ川の源泉「ドナウの泉」
カール通りに建つ市庁舎 市庁舎前の噴水 音楽家達の彫刻、一人違う音楽家が?
街中を散策 ブリガッハ川に架かる橋を渡る 街中を散策


ドナウエスシンゲンの観光の後は、この駅の一つ手前の駅フィリンゲンで下車してみる。駅前にドナウ川に注ぐ川があり、その両岸は緑と城壁に囲まれていた。この頃には雨も強く降り出した。歩行者天国と見られる道を進んでみる。この街についてはガイドブックにも載っていないので、詳しいことは分からない.。裏道では市場が開かれていたためか、通りは地元の人たちで結構賑わっていた。この街は城壁に囲まれた中世の古い街で、あちらこちらに古い建物が残っている。市場の先に2本のタワーの建つ教会があったが資料がないので良く分からない。
6月1日(土) 城壁門に向かって歩く 雨の中市場へ行き交う人々
街の市場 フィリンゲン ミュンスター ドナウ川に注ぐ


6月2日(日)。ゲスト・カードを持って列車に乗る。久しぶりにお天気は快晴。目的地はドナウエスシンゲンとフライブルクのほぼ中間地点にあるティティゼー湖へ行ってみる。ここは「黒い森」の中でも高級避暑地である。ドナウエスシンゲン駅で乗換え後、ティティゼー駅で下車する。駅前から既に人の波が見える。さすがに観光地、且つ今日は日曜日。久しぶりに混雑する場所に来た。皆んなが湖を目指して歩いて行く。道路の両側に土産物店が並んでいるし、人だかりが出来ている。現役の頃ここのホテルで会社の講習会があったので場所は良く覚えているのだが、バスで送迎され、殆ど毎日缶詰状態だったので、部屋の窓から湖を眺めるだけだった。そのためここがどんな所だったのか全く覚えていない。景色はとても良いのだが、湖の周りはホテルや木々で覆われていて、一部の所からしか景色が良く見えない。多分ホテルに宿泊して高い所から見下ろすか、遊覧船か水上ボートに乗って水上から景色を眺めるようになっているのかも知れない。
6月2日(日) 賑わう湖への道 ティティセー湖
ここにも大きなカラクリ時計 駅から湖へ 湖畔の公園
穏やかな湖面 湖に沿って建つホテル・レストラン お土産屋が立ち並ぶ

我々の旅は黒い森のトリベルクから次の宿泊地フッセンに続く。  「黒い森の画像を続けて見ることもできます。
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2013/05/27〜06/12
南ドイツを満喫する旅
フランクフルト & トリベルク編