脳卒中は癌、心臓病に続き日本人の死亡原因の第三位である。CTやMRIなどの普及、手術技術の向上などにより、救命率は格段に上がってきている。しかしながら、この病気は助かった場合も後遺症が残ることが多い。運動機能面だけでなく、知的、精神的に障害が残ったときには本人だけでなく、家族も大変な苦しみとなる。その恐ろしさを考えると、癌、心臓病以上に怖い病気である。くも膜下出血は脳卒中の中でも死亡率が高く、後遺症が残る可能性が高い。医者に「ごく普通のくも膜下出血です」と言われ、10時間あまりに及ぶ大手術を受けながら、後遺症もなく生還できたのはなぜだろう。
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生まれてから現在までの自分の生きてきた道筋をたどりながら考えてみた。思えば病気に於ける幸運は、幼児期の悪性肺結核治癒から始まり、子宮内膜症、チョコレート膿腫による不妊症の克服、くも膜下出血からの生還、硬膜外膿瘍の完全治癒。いろいろな病気にかかりながらいつも良い方向に生きてこられた自分を最近「病気上手」だと思い始めている。
くも膜下出血に関して言えば、病院に行くまでの手当の仕方に鍵があるような気がする。この病気は、助かった場合も後遺症が残ることが多いので、患者自ら病気の経緯を語っているものは少ない。発作を起こした日の事を細かく振り返り、何が良かったか?を検証してみた。少しでも多くの人がどのようなことに気を付けるべきかをわかっていれば、例えこの病気を発症しても、私のように無事に生還できるのではと思い、書いてみた。
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また医療事故は毎日のように新聞、テレビで取り上げられている。患者である我々にとっては不安でたまらなくなるようなことが、あちこちの病院で起こっている。医療は、人間が行う限り事故を100%なくすことはできない。しかし、昔なら到底助からないような病気でも、私のように医師達の力で救われた人も数限りなくいることだろう。もちろん事故が起こった場合は謙虚に反省し、その後同じ事が起きないような様々な対策が必要とされるが、助けられた人々、成功した事例をもっと報道することは、医療従事者が勇気と使命感を持って、その任に当たり、患者が少しでも早期発見のために、積極的に病院に足を運ぶ気になり、より良い医療体制を築くことになるのではないだろうか?


茂木まや子著 文芸社
