ここではインドを舞台にした旅の小説を紹介しています。

1 風のインディア 紹介
2 ミッドナイト急行 紹介
3 放浪の町 紹介
4 青い曼荼羅 紹介
1 「風のインディア」 について
インドを放浪する若い女性が、人と触れ合って別れる中で、自分を見つめていく過程を描いています。
第14回大阪女性文芸賞佳作(1997年)に加筆
選評から
河野多恵子氏
面白く読めた。作品を読みインドが東洋つまり私のネイティブという感じを本当に受けた。それは作者に実感があるからではないだろうか。またこの作品は事柄を上手に配置している。
秋山駿氏
救世軍ホステルの同室の女性たちなどもうまく書いている。奇をてらっていなくて、誇張してなくて、抑制しているのがいい。
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2 「ミッドナイト急行」について
「風のインディア」の続編。
神戸ナビール文学賞の最終候補になった作品です(とろっこ31号)
「神戸新聞」1999.3.31 竹内和夫氏
インドを旅する若い女性を急行列車の殺伐とした空間の中に描き出している。人ごみで向けられてくる白い目や、一人きりになった車両で男に襲われかける恐怖など、神経を張りめぐらせている若い女性の孤独感が、高温多湿の車内の熱気そのままの密度の濃い描写で展開されている。
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3 「放浪の町」について
2001年 同人誌上半期優秀作として文學界6月号に転載
(初出とろっこ33号)
「文學界」5月号 松本道介氏
ベナレス紀行とも言える作品である。しかし「放浪の町」の夕美はツアーでこの地を訪れたのではなかった。男性とインドを旅するうちに、二人の間は行き詰まり、途中で別れて一人旅を続けるうちにこの町に流れてきたのである。今やさすらって生きることしかできなくなったこの女性は、さすらいの果てに生と死の境界が見えて来ようとも、安穏な日常生活へ戻ろうとはしない。
主人公がそんな人間になったとき、「紀行文」はおのずと小説になるのではなかろうか。そして紀行文とはある期間日常を離れて異国の土地を訪れ、何日かあとには予定通り日常生活に戻れる人の書く文章なのではなかろうか。
「読売新聞」インタビューから
2001.10.26
「 二十代から旅行記などを書いてきましたが、紀行文では書ききれないものが、私を小説へと向かわせました。体験をそのまま書く紀行文に対し、小説とは体験の意味を問い続けるものですね」
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4 「青い曼荼羅」について
このシリーズの最終編です(VIKING 645号)
「朝日新聞」 2004.10.29.高城修三氏
当てもなくインドを放浪する夕美が、旅の途中で知り合った洋司と共に、パキスタンとの係争地、西ヒマラヤのラダック地方にあるラマ教寺院へ青い曼荼羅を訪ねる。
過酷な自然とそこに住む人間の描写が秀逸だ。
「文學界」2005年1月号 松本徹氏
対立する国と国、そこに暮らすチベットからの難民の様子が描き込まれ、世界の厳しさを知らされる。この旅の過酷さはよく描けて、圧倒的なところがある。
イスラム教徒が大半を占める街では、バスに乗っていると、四方から何本となく男の手が伸びてきて痴漢的行為に及ぼうとする。払いのけても怯まない。街を歩いていても、わざとぶつかってきて、体に触れる男がいる。地味な色の長袖、長ズボン姿でもこうだが、スカーフで頭と肩を包むと、それがぴたりと止んだ。こういう挿話がイスラム教社会の現実を鋭く伝える。
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