出産事故で改めて考えたリスクの見方
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5月2日、メディアでは、帝王切開を受けた妊婦と胎児がともに死亡したニュースを報じた。胎盤が分娩前にはがれる、胎盤早期剥離による酸欠と大量出血という。
胎盤早期剥離のリスクがある妊婦は、自然分娩ではなく帝王切開が行われるが、それでも今回のような医療事故が起こる可能性がある。
リスクのある出産は胎盤早期剥離だけではない。胎盤が子宮口をふさぐ前置胎盤も帝王切開が絶対条件だが、胎盤をはがす際に大量出血する場合があり、出産前から緊急処置が可能な大病院の管理入院を勧められるハイリスクの出産である。
妊娠が契機となって発症する妊娠糖尿病は、妊娠高血圧症候群や羊水過多症、感染症などを引き起こしやすくなり、やはり帝王切開が行われる。それだけでなく、胎児も高血糖となり、将来糖尿病になる可能性もあるといわれる。
子役スターだった間下このみの罹患でクローズアップされたのが「抗リン脂質抗体症候群」。習慣性流産・死産・血栓症などを引き起こすという。
そうしたことがなくても、出産時に子宮破裂するリスクは全妊娠0.03〜0.1%はあるといわれる。前回帝王切開で次に経膣分娩する妊婦では、その0.8%が子宮破裂になるという統計もある。出産時に胎児が死亡すると、老廃物が母体に逆流して妊婦もなくなる場合もある。
いずれも僅かな確率だが、ひとつひとつは生命そのものをおびやかしかねないものであり、年齢に関係なくどんな妊婦でも起こりうるリスクである。ところが、こうした出産全般のリスクというのは世間ではあまり認識されず、もっぱら出産のリスクというと「高齢」だけをクローズアップしたがる人もいる。
最近では、倖田来未の「35歳を過ぎると羊水が腐る」がある。一部の女性識者は、倖田を庇い立てる根拠に「高齢出産のリスク」をあげ、さらに傷口を広げた。
「彼女は無知で、言葉の使い方も間違っていたと思うけど、言ってることには一理あると思う。私は肉体的にも社会環境的にも若いうちに産めるならその方がいいと思っているし、“いつでも産めるんだ”という報道は逆に無責任」(「日刊ゲンダイ」2008年2月19日付でさかもと未明)
誰も、最初から高齢で出産すると「無責任」に決めているわけではあるまい。「いつでも産める」どころか、様々な事情があり産めなかったから、結果として高齢になったのであろう。
にもかかわらず、ことさらそれだけをクローズアップしたがる理由は何か。要するに、「高齢」の最大の「リスク」である、ダウン症やその他障害を持った子供への差別意識があるのだろう。もしくは、産まないと思った女性がよもやの年齢で産むことへの嫉妬ではないのか。出産経験のない女性識者が高齢出産の慶事を牽制するのは、とくにそれを勘ぐりたくなる。
たとえば、40歳でダウン症を産む確率は1%に満たない。無視はできないが、圧倒的にそうではないということだ。それに対して、体外受精で前置胎盤になる確率はその倍あるといわれている。もとより、高齢であろうがなかろうが、障害のある子どもを授かったのだとしても、それは「産んではいけないこと」ではない。
何より、「高齢」を敵視する前に、妊娠一般についてもっと確実に気をつけなければならないことはある。
個々の前置胎盤は原因が特定できないとされるが、若い女性の安易な性交の後始末である堕胎で行われる子宮かきだしの傷は、その原因になりうるといわれている。喫煙や飲酒の習慣は、妊娠生活や出産、さらには胎児へ悪影響を与える。客観的に見て、それらの方がよほど「社会環境的」に呼びかけるべき禁忌事項だろう。
出産というと、自然の摂理で女性なら誰でも当たり前にできるように思っている人が、男性だけではなく若い女性にもいる。その一方で、高齢出産のリスクばかりをクローズアップするムキもある。いずれも、出産という幾重ものリスクを乗り越えて達成する大事業を、リアルに表現したものとは言い難い。
前置胎盤・高齢出産サイト
胎盤早期剥離のリスクがある妊婦は、自然分娩ではなく帝王切開が行われるが、それでも今回のような医療事故が起こる可能性がある。
リスクのある出産は胎盤早期剥離だけではない。胎盤が子宮口をふさぐ前置胎盤も帝王切開が絶対条件だが、胎盤をはがす際に大量出血する場合があり、出産前から緊急処置が可能な大病院の管理入院を勧められるハイリスクの出産である。
妊娠が契機となって発症する妊娠糖尿病は、妊娠高血圧症候群や羊水過多症、感染症などを引き起こしやすくなり、やはり帝王切開が行われる。それだけでなく、胎児も高血糖となり、将来糖尿病になる可能性もあるといわれる。
子役スターだった間下このみの罹患でクローズアップされたのが「抗リン脂質抗体症候群」。習慣性流産・死産・血栓症などを引き起こすという。
そうしたことがなくても、出産時に子宮破裂するリスクは全妊娠0.03〜0.1%はあるといわれる。前回帝王切開で次に経膣分娩する妊婦では、その0.8%が子宮破裂になるという統計もある。出産時に胎児が死亡すると、老廃物が母体に逆流して妊婦もなくなる場合もある。
いずれも僅かな確率だが、ひとつひとつは生命そのものをおびやかしかねないものであり、年齢に関係なくどんな妊婦でも起こりうるリスクである。ところが、こうした出産全般のリスクというのは世間ではあまり認識されず、もっぱら出産のリスクというと「高齢」だけをクローズアップしたがる人もいる。
最近では、倖田来未の「35歳を過ぎると羊水が腐る」がある。一部の女性識者は、倖田を庇い立てる根拠に「高齢出産のリスク」をあげ、さらに傷口を広げた。
「彼女は無知で、言葉の使い方も間違っていたと思うけど、言ってることには一理あると思う。私は肉体的にも社会環境的にも若いうちに産めるならその方がいいと思っているし、“いつでも産めるんだ”という報道は逆に無責任」(「日刊ゲンダイ」2008年2月19日付でさかもと未明)
誰も、最初から高齢で出産すると「無責任」に決めているわけではあるまい。「いつでも産める」どころか、様々な事情があり産めなかったから、結果として高齢になったのであろう。
にもかかわらず、ことさらそれだけをクローズアップしたがる理由は何か。要するに、「高齢」の最大の「リスク」である、ダウン症やその他障害を持った子供への差別意識があるのだろう。もしくは、産まないと思った女性がよもやの年齢で産むことへの嫉妬ではないのか。出産経験のない女性識者が高齢出産の慶事を牽制するのは、とくにそれを勘ぐりたくなる。
たとえば、40歳でダウン症を産む確率は1%に満たない。無視はできないが、圧倒的にそうではないということだ。それに対して、体外受精で前置胎盤になる確率はその倍あるといわれている。もとより、高齢であろうがなかろうが、障害のある子どもを授かったのだとしても、それは「産んではいけないこと」ではない。
何より、「高齢」を敵視する前に、妊娠一般についてもっと確実に気をつけなければならないことはある。
個々の前置胎盤は原因が特定できないとされるが、若い女性の安易な性交の後始末である堕胎で行われる子宮かきだしの傷は、その原因になりうるといわれている。喫煙や飲酒の習慣は、妊娠生活や出産、さらには胎児へ悪影響を与える。客観的に見て、それらの方がよほど「社会環境的」に呼びかけるべき禁忌事項だろう。
出産というと、自然の摂理で女性なら誰でも当たり前にできるように思っている人が、男性だけではなく若い女性にもいる。その一方で、高齢出産のリスクばかりをクローズアップするムキもある。いずれも、出産という幾重ものリスクを乗り越えて達成する大事業を、リアルに表現したものとは言い難い。
前置胎盤・高齢出産サイト