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Xbox: F A B L E を 遊 ぶ Fableとは、ピーター・モリニュー氏がデザインした三人称視点のアクションRPGです。開発には少なくとも四年を要しており、完成後も実現できなったFeatureがあると氏本人が釈明するなど、その意欲的で真摯な姿勢には好感が持てます。ザ・シムズのウィル・ライト氏やシヴィライゼーションのシド・マイヤーズ氏と同様、賞賛を送りたいゲーム開発の達人です。映画製作をモチーフにしたThe Movies、原始時代を扱ったというB.C.(開発中止が発表されました)も氏が携わっています。氏が創設したLionhead Studiosはベンチャーキャピタルから資金提供を受ける事になり、開発のサイクルが縮小されがちで粗製濫造な業界において、今後、質の高いゲームを提供できる"希望の星"とたりえるかもしれません。 宣伝によると、主人公は少年から始まり歳を取っていき、善行や悪行によって人物像や評判が変化する、との事。ザ・シムズ2で先に実現(=発売)されてしまいましたが、RPGのジャンルで半生が描かれるというのは、斬新な試みです。善行と悪行については、BIOWAREのSTAR WARS: Knights of the Old Republicを筆頭に、同様のコンセプトの作品が既に存在します。また、家を所有したり、結婚相手を選ぶことも出来る、など、諸々の自由度も高めに作られているという前評判もありました。さて、実際に遊んでみて、謳い文句とプレイヤーが感じる印象との間には、齟齬はあるものでしょうか? ゲームは主人公の少年期のとある一日から始まります。おとぎ話(Fableとは、教訓めいた寓話の意)のような語りがオープニングで・・・ ![]() アルビオンの森の奥深くにオークヴェイルという村がある。時の流れにも、戦(いくさ)という変革にもいまだ無縁の場所だ。そこに、少年の一家は住んでいた。 ![]() 少年は夢を膨らませる。英雄や、気高い騎士、強い魔道士になる日の事を。時には、邪な剣士もいいな、と。しかし、荒唐無稽な夢想でも敵わないものが待ち受けていようとは。運命の力である-- ![]() 父親: 起きるんだ、坊主。また白昼夢か。母親ゆずりだな。まるで魂が散歩してるみたいだ。少しは姉さんの事を気にかけたらどうかね? 誕生日のプレゼントをまだ買ってないだろう? 姉さんはバローフィールドゲイトで遊んでる。 忘れてたなんて言うんじゃないぞ。父さんは助けてやらないからな。その代わり、おまえがオークヴェイル村の中で「いいこと」をする度に、金貨をあげよう。そうすれば、プレゼントを買うお金が貯まるだろ? さぁ、行った行った。もめ事は起こすなよ。 ![]() システム: 村人と話してみよう。地図の緑色の点々がそうだ。なにか面白い話が聞けるかもしれないぞ。君が近づくと、村人は緑色の縁取りで光るから、Aボタンを押せば会話ができるよ。 ![]() 小さな女の子:ロージーがいないの! いつの間にか居なくなっちゃった。持ち物を交換したいのに! お願い、助けて。背中に青いつぎはぎがある、ふさふさのちっちゃいクマなの。 ![]() システム: 君は姉さんの日記を見つけた。 実りの月15日−母さんは今度も旅に出る。行き先はいつも教えてくれない。母さんが居ないと、父さんは少し悲しそうに見えた。 実りの月18日−またあの悪夢を見た。あたしは大きな部屋にいて、真ん中のビューンとうなる大きな明かりが、あたしを飲み込もうとしている。正面には何があるのか、よく見えないし、見たくない。 実りの月19日−別の夢を見た。あたしは誕生日プレゼントを開いて喜んでいる。すると、何かとても恐ろしい事が起きて、目が覚めてしまった。ただの夢だといいけれど。 実りの月21日−今日はあたしの誕生日! 弟はきっとまた忘れてる。でも、とにかく、母さんが帰ってきてくれる。早起きして目を凝らして沖を眺めてみよう。その後で、畑の丘で遊ぶんだ。 ![]() ・・・やがて、少年の村は山賊に襲われ、父は殺され、姉と母は捕まったらしく、行方しれずに。生き残った少年は、事件現場に現れた魔道士から差し出された手を掴み、英雄ギルドへ引き取られていきます。成人するまでの間、ギルドでの訓練に明け暮れるのでした。 この部分もいわばチュートリアルで、戦闘方法、マップでの移動方法を学びます。成人してからが、ようやっと本番。姉と母の消息を追いながらも、着実に実力をつけて行きます。来るべき復讐に備えるもよし、根性がねじ曲がって世間を敵に回すもよし、本筋そっちのけで自身の幸福に注力するもよし・・・。 ゲームの流れ--クエスト 主人公の行動の拠点は「英雄ギルド」です。ここを基点に、ほうぼうへクエストに出かけたり、純粋に村々の散策を楽しんだりします。
本筋に関わるクエストはあらかじめ明示されていて、それを進めれば、主人公の運命が明らかになるようです。本筋クエストの進行に連れ、行動範囲が広がります。請け負えるサブクエストは、物語の進行に併せて小出しに、一度に3つから5つ程度、登場します。依頼側によっては、クエスト自体が悪事に荷担する性質である事も、ままありますので、選ぶときは慎重に(更に、関連したBoastにより、己の立場---善か悪か--を明確にする事もできます)。 戦闘 アクションの比重が思ったより高めで、私自身は少々驚いています。Xboxはアクションのジャンルが優勢ですから、そうした方向性なのでしょう。 端的に言うと、押すボタンは異なるものの、テクモのXbox版忍者外伝とよく似た印象を覚えます。前方に回転して間合いを詰めつつ回避したり、防御と攻撃を排他的に行う点も一緒です。スティックで入れるコマンド技こそありませんが、攻撃能力が高まる瞬間を活用して、複数の敵を要領よく倒していく様はそっくりです。 ただし、敵が"ハメ殺しに来る"程の難度ではないので、そこに関して言えば忍者外伝とは大きな隔たりがあります。比較的、楽な戦闘だと言えるでしょう。体力回復ポーションはワンボタンで飲めますし、アイテムもある程度ボタン割付が利くので、忍者外伝よりも秀逸な設計だと感じます(笑)。 行える攻撃法は複数ありますが、ボタン連打になりがちですね。攻撃と回避を繰り返して倒さなければならないような中ボスも登場します。アクションゲームをやりなれている人ならば、それほど難しくはないでしょう(私自身は苦労してますけれど 汗)。蛇足ながら、戦闘が似てると称しただけで、それ以外は全く異なりますので、間違ってもク○ゲーと早合点なさらないように。 操作は割り当て内容が多いため、やや煩雑です。戦闘時とそれ以外でもモードが切り替わりますし、魔法でもボタンの中身が変化します。一つのボタンに割り付けられている要素が、モード毎に切り替わる事もあるわけで、慣れない内はまごつきます。また、多数を相手の乱戦では標的のロック(手動/オートとも)があまり快適に働かず、頻繁に"スカった"攻撃を繰り出してしまいます。 戦闘以外には、ステルス的な要素も取り入れられており、敵に悟られないように潜入できないと先へ進めない、というクエストがありました。人が見ているときに他人の家の品物を漁ると、悪事ポイントが増えます。「何人の"目が光って"いるのか」は、専用の表示が画面に用意されているので、それで確認できます。夜間はステルス性が高まるそうです。 マップと移動手段 Morrowindのフリープレイを高く評価している向きが、最も問題視するのは、この部分だと思います。Fableでも、世界(ヨーロッパのような一地方)はジグソーパズルの不揃いなピースのごとくに分かれていて、小さな地域毎にロードされます。ただし、Fableでは、街道づたいにしか連絡していないのでした。つまり、巷にあふれるゲームと同様、あらかじめ決められた場所に、決められた道筋を辿ってしか、立ち寄ることができません(テレポーターはありますが、そういった類の意味ではなく)。 「灌木の生い茂る中を横切り、道無き道を進んで行くと開けた場所に出た、そこは○○という町だった」といった、旅人風ロールプレイの「歩いて発見する」楽しみは大きく削がれております。なにしろ、街道を外れる事ができないのですから。道の両側には「透明の障壁」が立ちふさがっていて、行ける場所の境界がはっきり定められています。自キャラクターはジャンプも出来ないので、低い垣根ですら、飛び越える事が出来ません。 一回でロードされるエリアも比較的狭く、クエストでどこかへ出向いていく場合、ある程度の回数のロードにつきあわなければなりません。旅は専ら徒歩で、テレポーターが随時利用できます。海の向こうの諸島にも出かけることが出来ますが、港と停泊している帆船はあるも、船旅は演出上登場せず、テレポーターのみです。馬は出てきませんし、荷馬車のようなものも登場しません。 インタラクティブ性 コンピュータが用意した世界に、プレイヤーはどのくらい働きかける事ができるのか? をここでは取り上げてみます。俗に言う「自由度」にも関わる部分です。とりあえず、体験と見聞きした範囲から・・・
遊び心というヤツです。鎧や武器、アイテムの収集は(きわめて少ない種類のようですが)出来るように見受けられますので、ここではそれ以外の解かれるべく設置されたシロモノや、挑戦し甲斐のあるアクション、文字通り「遊び心」以外のなにものでもない珍プレーを上げてみます。部分的にはインタラクティブ性を兼ね備えてはいるものの、演出上の処理を見ると、やはりオマケ的な扱いに見受けられます。
有名になれば、道行く老若男女から熱烈な声援を送られるようになります。中には一目惚れしてくれるファンも居ます。このゲームの目的のひとつは、「世界で最も有名なヒーローになる」という事でして、なかなか面白い趣向です。 さしずめ、ヨンさまの気分ですナ。この名声を利用してナンパすれば、結婚→肉体交渉という「おまけ」を楽しめます。結婚までの道のりを簡単に述べてみると・・・
名声は、難しいBoastをした上でクエストをこなすと高まります。更に、クエストで手に入れたトロフィー(戦利品)を民衆に示す事でも上げることができます。やり方は簡単で、アイテム使用コマンドでトロフィーを選ぶだけ。すると、「制限時間内に、その場にいるX人に見せびらかす」というミニゲーム(?)が始まります。一人に見せびらかす度に、制限時間が増えますので、数珠繋ぎに要領よく見せていく事で、クリアします。 クリアすると、トロフィーの格と見せびらかした人数に応じて、名声が増えます。人数は記録として残り、(同じトロフィーの)二度目からは記録更新を狙う事になります。ところが、このゲーム、その場にいる8割か9割のNPCをしらみつぶしに探しまくる必要があるため、なかなか難しいのでした。そこで、Boastの時にすかさず行う事をオススメします。広場なら、見晴らしも利き、なにしろ、NPC達が全員目の前に居るので、すぐにクリアできます。その代わり、人数が町中ほど振るわないので、各トロフィーにつき初回しか使えません。 称号は英雄ギルドの外で、Titleを売っている商人から買います。チキン・チェイサー(ニワトリいびり?)なんてのも。村人達は、この称号で呼んでくれます。例えば、Sabre(剣士)を名乗ったキャラクターには、「すごい! セイバーがオラが村に来たぞ」といった風。田舎モノの発音はナマっているので、セイーバになるのでした。自キャラクターの名前を呼ばせる事は叶いませんが、称号を呼称として賞賛されるのも、雰囲気が出ます。 物語が進むと、闘技場の外で、また別の称号を買う事が出来るようになります。称号は自発的に購入するので、そのときの気分で換えてもかまいません。 歳の変化と外見 成人までの歳の取り方は、自発的なものでした。「次の段階に進みますか?」という問いにYesと答えると成長します。 外見に関しては白眉と言えます。よく出来ております。おそらく、戦いでの負傷の程度から顔に傷痕が残るのでしょう。厳しい戦いを経ると、傷痕もそれなりのものになり、凄みが増します。なんと、髪まで部分的に無毛に! 怪我で生えなくなってしまったんでしょうか?(悪事の量と関連しているらしい) 体型も変化するようです。なかなかのインパクトですヨ。 - 評 - 主人公を中心に歓声を上げる村人達と、老いて傷跡の刻まれていく顔、これがFableの魅力です。行商人を襲っている悪漢を成敗すれば「ワーォ、イェイ!」と拍手されますが、ゲーム内日数を数週間も過ごそうものなら、玉手箱を開けてしまった浦島太郎のようになります(なんでも魔法を使うと加齢が進むのだとか)。こうした仮想の臨場感が、これまでのRPGよりも優れています。 NPCのリアクションは場に即したものになっており、RPGの進化を感じさせます。しかし、過度の期待は禁物で、「傍らにつったっているNPCに話しかけるだけで偶然性の物語が紡がれていく」といった域までは達していません。求愛の要素も組み入れられてはいますが、遊んでみれば一目瞭然、機械的なやりとりに終始します。ゲームを動かす両輪はミッションクリア型の「クエスト」と、「用意されたイベント」を順序通りに経ていく、旧来の手法を踏襲したものです。 主たる物語はといえば、一本道でかなりステレオタイプの感が強く、「こうして自分を中心に動いてくれる世の中なのに、どうして世界を救うような(もしくは世界を滅ぼす)類の英雄(悪党)を演じなければならないのか」という疑問が湧いてきます。雰囲気良くお膳立てされた村々で生活できるのに、あらかじめ用意された物語に引き戻されてしまうのは、ある意味「コンシューマーRPGの呪い」なのでしょうか。それとも、これこそが、この世に具現した Power of Destiny そのものなのでしょうか。 本筋を縦糸と捉え、それ以外の出来事やサブクエストを横糸と捉えると、Fableでは横糸の広がりが不足しているようです。横糸のまとまりが順序よく定期的に現れるため、総数としては多めでも、一回毎の分量には不満を感じます。また、縦糸にも枝分かれが無く、単純であり過ぎたようです。 また、善悪の立場による差異ですが、「本筋に何か大きな変化が起きるのでは?」という期待感は、見事にはぐらかされてしまいます。エンディングは確かに違うのですが、納得できるかと問われると、辛いでしょう。善悪の味付けは、村人からの反応を楽しむ為の趣向なのだ、と考えれば合点がいきます。喜ばれたり、恐れられたり、という臨場感こそがこのゲームの「おいしいところ」なのです。 小賢しい分析はともかく、運命に翻弄される主人公を純粋に楽しむ事をオススメします。近年珍しい、手間暇をかけたであろう、力作のRPGであることは間違いありません。初対面の印象を大事にしながら、一回目のプレイを大事に遊ぶのが宜しいと思います。 最後に、トーフ(豆腐)が欧米で認知された証に拍手。厳密には高野豆腐かな? ■ 04年12月25日 追記 ■ 日本語版は、05年3月17日に発売予定と発表されました。想像していたよりも早いですね。日本での宣伝文句も「For every choice a consequence 〜その選択が結末を変える・・・〜」となっています。ですが、ゲームを遊び終えた人はエエッ!?と思うことでしょう。ハッキリ言って語弊 大アリですね。字義通り、本当に結末が変わるのは、最後の最後に下す選択だけなんだけどなぁ・・・(問題のソードをムニャムニャに放り込むか、それとも・・・)。英語の宣伝文句をゲーム内容に忠実に解釈するとしたら... 「どの選択も、人生における重要な局面だ」 ...とか... 「どんな選択にも責任が伴う」 ...とかになるでしょうか。道徳観といった、主人公の器を試すような二択がよく登場しますから。こうした瞬間を真摯に受け止めてプレイすると、割と面白いかもしれませんネ。されど、所詮はゲームの中でのおとぎ話 --- それも、けっこう失笑を買うような展開なので真面目に没入するのは難しいかも --- 、結局、私のような現金なプレイヤーは更に上の満足感を求めて、次のゲームを探して彷徨うのでありました。 |