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■ レ ビ ュ ー ■

BioWareの前作Neverwinter Nightsは建築模型の中をミニチュアの人形で遊んでいる雰囲気でしたが、KotORはそれを見事に発展させ、映画に迫った見栄えのするものにしてくれました。まずは印象から。

人体モデル、顔

写実的で誇張の少ない3Dモデルは良くできており、顔の造形も精緻です。眉をひそめたり、唇を尖らせたりと感情表現も豊か。特に、主要キャラクターの女性Bastilaは小柄ながらも可愛い顔立ちです。敢えて難癖をつければ、女性は全員鼻筋が通った瓜実顔で、若干「馬面」の気がある、といったところでしょうか。

既製のムービー以外に、3Dモデルによるリアルタイムのムービーシーンがあります。俗にシネマティック(映画的)シーンと呼ばれ、公式に特徴のひとつにあげられています。本来は、シナリオ上必要な場面や舞台転換を見せつける手段ですが、KotORでは平時でもNPCがセリフを喋るときに用いられています。施された装備のまま、身振り手振りを演じてくれる仲間には愛着を覚えます。時々リップシンクが合っていないのですが、それほど気になりませんでした。

会話シーン

3Dモデルの表情やしぐさは、最初こそ印象的なのですが、見馴れると所詮パターンである事が解ってしまいます。冗長な会話と相まって、せっかくのシネマティックシーンが徐々につまらないものになってくるのは否めません。

これはカット切り替えの演出が凝っていない為でもあります。時々ロングショットや設立画像(*1)を交えてくれますが、概ね、話者が話し出すと切り替わる平凡なものです。カメラポジションは立ち位置に応じた自動制御らしく、時々イマジナリーライン(*2)がおかしくなります。映画的な演出という意味では、FPSの「ノーワン・リブス・フォーエバー2」や「マフィア」で挿入されるリアルタイム・ムービーシーンの方が数段優れています(あくまで会話主体のシーンで)。

*1 設立画像・・・映画畑の専門用語。役者の位置関係が一目で解る画面の事。主に俯瞰を用いたり、ロングショットとなる。
*2 イマジナリーライン・・・上と同じく専門用語。二人の話者を繋いだ仮想線の事で、カメラのポジションがこの線をまたぐ時には、相応しい演出が必要であるとされる(そうしないと、観客には役者の位置関係が不自然に写る)。相応しい演出の代表例は、肩越しの切り返し、きっかけによるどんでん、など。

3Dモデル難点その1 使い回し

最も興を削ぐのは、3Dモデルの使い回しです。一般人のNPCは、既に出会った人達があからさまに何回も登場します。町なかの一般人ばかりでなく、シナリオ上、ある程度の役割を与えられている脇役のNPCも!です。確かにテクスチャは変わっているのですが、皆、兄弟かと見紛うばかり。必要最低限のバリエーションが欲しいところです。

3Dモデル難点その2 主人公の顔

主人公は、あらかじめ既製の3Dモデルから選ぶ事になっています。ところが、期待に反して、美男美女が少なく、ぱっとしない人相が目立ちます。これからJEDIになろうとする人物にしては、頂けない顔ばかり。十人並かそれ以下の印象でした。その代わり、アジア系や黒人などの有色人種のバリエーションが多いのが珍しいです。体格は顔の3Dモデルに応じて自動で決まるようで、選べません。西洋人モデルが標準体とすると、東洋人は小柄、黒人は長身(若干筋肉質?)という具合です。

3Dモデル難点その3 衣装デザイン

ゲームシステムは、ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズでお馴染みのD20システムです。選べるクラスは男女3つずつ。クラス毎にコスチュームが(下着も)決まっています。このコスチューム、私はセンスの悪さを感じました。映画スターウォーズのエピソード4〜6の衣装も地味でぱっとしませんが、劇中では必要充分、むしろシンプルで格好良さを感じさせるものでした。ところが、このゲームのコスチュームは地味を通り越してダサい印象で、配色のせいか見栄えも決して良くはなりません。上下のジャージに装甲板を付けたかのようなアーマーがとりわけ醜悪で、はっきり言えば、着せたくないシロモノです。例外として、Sithのメタリックな兵士服、Bastilaの平服は良い出来だと思いました。

デザインセンスは総じて悪いと思います。例えば、もう一つの主役である「宇宙船」も劇場版の質に遠く及ばない印象です。悪く言えば、映画のエッセンスを盗用した「パチもん」に見えてしまいます。時代設定による縛りがあったとしても、もっと格好良さを追求すべきだったでしょう。R2D2に相当するドロイドも、あまり「らしさ」を醸し出していません。建造物、銃器などの小道具、スピーダーの類は、まぁまぁといったところでしょうか。

BGM

音楽は、映画サントラ版のフレーズを連想させるに留まる出来で、良くも悪くもないという印象です。自己主張の激しい楽曲はなく、あくまでBGMに徹している辺りには職人的な上手さを感じます。ゲーム中は戦闘になると曲が一転し、戦闘が終了すると、再び切り替わります。戦闘終了時の切り替えが少々もたつき、間抜けな印象がしないでもありません。それ以外では、曲が流れるときに意味深な演出があるわけでもなく、ごくごく平凡な使い方でした。繰り返し再生が少々鬱陶しいと感じる場面もありました。「ジェダイナイトII ジェダイアウトキャスト」のように、耳に馴染んだ、これぞスターウォーズ、という曲がありませんので、物足りない感じがします。

基本操作の紹介

三人称視点のゲームですが、NWNともやや異なった変則的な操作体系となっています。

視点及びカメラポジションはマウスで、移動はW,A,S,Dキー(もしくはマウス併用)で操作します。ただし、やや特殊でして、Wキーを押すとキャラクターはそれまでの向きにかかわらず、常に画面奥に向かってまっすぐ走っていきます。Sキーはその逆で画面手前にまっしぐらです。A,Dキーは「横滑り移動」ではなく、視点の左右旋回で軸がキャラクターとなっています(いかにもXboxコントローラ向け)。左右方向への移動はデフォルトでZとCが割り当てられています。キャラクターは常に進行方向を向きます。一人称視点(Free Look)にもできますが、この状態では移動が出来ません。

マウス・オンリーでの移動はウルティマ9風です。右クリック押下げのまま、左クリック押下げ状態のとき、前進します。旋回はマウスを左右に振ることで行われます。指がつりそうなシステムと言えましょう。キーとマウスを併用できますが、キーで前進中にマウスカーソルを画面端に近い所に不用意に置くと、当然の結果として、ぐるぐる回り始めます。

主人公の他、2人までの仲間を連れて歩けます。仲間の操作法もまったく同一です。どんな装備をさせるか、どのアイテムを消費させるか、どのキャラクターに制御卓を触らせるか、全てユーザーがコントロールします。ただし、一度に操作できるのは一人だけです。同行しているキャラクターは、ユーザーが指定しなくとも金魚の糞の如く、自動的に後を付いてきます。戦闘時は、指定をしなければ、予めセットしておいたAIスクリプトに則った行動を取ります。スクリプトは非常に単純な規範しかなく、使い分ける事は少ないと思います。

便利な機能その1

特筆すべきは、常に自動的に間近のNPCに焦点が定まる点です(右図)。焦点の定まったNPCには、頭の上に名前とライフ(バー表示)が乗っており、目的の人物を捜し出すときに大変重宝します。また、NPCの他にも、物品を取り出せるボックスや、いじったりできる制御卓も焦点となり得ます。この焦点(マニュアルではTarget)はカメラポジションを変更すれば自然に移り変わっていきます。Q,Eキーでも正逆順送りできます。いちいちマウスを重ねずとも、アクティブになるものとならないものとが遠目で判断でき、たいへん便利です。

便利な機能その2

Return to HideoutとTransit Backが便利です。前者は「隠れ家まで一瞬にして帰還」、後者はその逆で「帰還する前の現場まで即座に戻る」機能です。どこぞの呪文、マークとリコールが予めメニューに組み込まれているようなものです。雑魚がうようよ居る面では大助かりです。ただし、舞台によっては利用できません。

会話とパーティー

会話はNPCにマウスカーソルを重ね(マウスカーソルが会話アイコンに変化します)、左クリックです(フルボイス)。一般人はフキダシだけですが、要所のNPCには選択肢を伴ったシネマティックシーン(前述の通り)が現われます。どの仲間が話しかけても、会話は主人公が担当します。仲間はときどき脇からチャチャを入れてくれます。

パーティーの人員交代は平時ならいつでも可能です(ただし、舞台によっては制限されるときがあります)。蛇足ながら、具体的にはどう解釈すべきなのでしょう? たとえば、6人の仲間がいるとして、同行者2名には必要なスキルを持った者がいないとします。当然、メンツを入れ替えます。瞬時にして別の2名が脇に立っているわけです。コミュニケーターで連絡を入れて、その都度ビーム転送してもらっているのでしょうか? 予備の人員をウルトラセブンのカプセル怪獣のように持ち歩いているのでしょうか? SW世界のケータイで連絡し、隠れ家から来て貰った・・・ただし中略で? 仕様上の都合だとは思いますが、それでも納得できる具体的な説明が欲しいところ。

戦闘

RPGと言えば、会話による選択肢のシステムと戦闘のシステムが双璧です。どちらかが良くないと、RPGとして長時間付き合うのは苦痛となります。

KotORの戦闘は物足りない印象です。NWNと同様に敵を指示したら(指示しなくても勝手にやってくれます)、見ているだけとなります。随時、ポーズをすれば、細かな指示も可能です。こうしたリアルタイム戦闘は決して悪いシステムではありませんが、問題は戦略性に富む余地が残されているかどうかです。

殺陣用のFEATと撃ち合い用のFEATがあるので、取りうる戦略に巾はありそうです。手榴弾を投げたり、回復ポーションに相当するアイテムもあります。更にフォースパワーも加わります。ところが、FEATやアイテム、パワーを「駆使した」という実感はあまり湧かず、自分が強ければ勝てるし、弱ければ勝てない、というだけに見えてきます。ゴリ押しでやってしまいがちで、それを許容してくれる甘さもあります(そして勝ってしまう)。基本的には、名作「バルダーズゲート」と戦闘システムは同じはず。しかしながら、バルダーズ〜の方には「駆使すれば勝てる」というやり甲斐があったのは何故でしょう。メンツの多さ? 魔法の多様さ? それとも・・・?

戦闘時間は体感的にかなり短かく、自分が弱ければ、あれよあれよという間にライフ(バイタリティポイント)が削られてゆきます。頭数や実力の差を前にすると、FEATやパワーを駆使したくらいでは挽回できません(こちらはたったの三名ですから)。誰がどの敵とどんな間合いで相手をするか、も立派な戦略だと思いますが、(前述のように)キャラクターを移動させるインターフェースがNWNより都合の悪いものになっています。その為、移動による戦略性は大幅に減少し、AI頼りにならざるを得ません。二丁拳銃のキャラクターがむやみに突っ込んでいって間近で撃ち合いをしている絵はかなり間抜けです。

移動の指示ですが、マウスクリックした地点へ移動せよ、というインターフェースはハナから存在しません。選んだキャラクターを任意の場所まで「手動で」連れて行ってやるか、さもなければ、相手をする敵をクリックして後はAIに一任ということになります。したがって、同時に三人を好きな地点に移動させる事は出来ないのです。集団としての操作性は最悪です。

敵を決めるのはシステム

これもKotORの特徴のひとつです。ダークサイドのJEDIを目論んだとして、「NPC皆殺し」というプレイスタイルはあり得ません。敵はシステムが判断するからです。そして、敵とは、敵意むき出しで攻めてくる者の事です。主人公達は、自分の身を守るために闘うのです(つまり、正当防衛)。目の前にいるNPCをいきなり攻撃、という暴挙はたとえしたくても出来ません(コマンド自体が無い)。選択肢が出るときに限り、「カネ目の品を寄こさないと命はないぞ」と脅すのがせいぜいです。行き過ぎたバイオレンスへの対策はこのように明確でして、スターウォーズの精神ここに守られり、というワケです。このRPGらしからぬ規制のおかげで、余所のゲームでは敬遠されかねない「子供」も積極的に登場します。知らない言葉で子供とコミュニケーションを取ろうと奮闘する主人公は、数多あるRPGの中でもKotORのみでしょう。


■プレイ28時間での感想■

洋モノRPGではシナリオの都合で設置される「定点モンスター」が主流です。ランダム・エンカウンターやワンダリング・モンスターの類は、限られた用途でしか登場しません。私が洋モノRPGを愛好するのもこの点あればこそでして、単なる「モンスターいじめ」や「経験点稼ぎ」は唾棄すべきと申せます。

NWNで私が幻滅した点に、雑魚との戦闘が上げられます。親戚のKotORもご多分に漏れず、リスポーンするモンスターの役どころが画一的。相手をしても単調にならざるを得ません。クエスト以外に、雑魚のうろうろするフィールドを踏破せよ、という命題が暗黙の内に与えられており、毎度、往復の度に戦闘が発生します。雑魚はいかにも雑魚でして、毎回、三種類強のバリエーションが用意されているものの、差異はあって無いが如し、殺るだけ辟易します。良く言えば、経験値の補充が随時出来るわけなのですが、それも数をこなさないと値には繋がらないのですから、無駄な「繰り返し作業」を組み込み過ぎるのはどうかと思います。

シナリオですが、一本道ゆえの縛りが多いです。私流に申すと、「ストッパーを外さないと行ける場所が広がらない」パターンです。ストッパーとは「障害」の事でして、Lower Levelへ下りる為のエレベータを使うにはSithの検問を何とかしなければならない、といった状況の事です。この状況を打破するための手段や道具を求めて、主人公達は往来の許されている場所をうろうろ探し回るのです。言うなればRPGの常套手段で、どのタイトルでも少なからずお目に掛かります。問題は工夫の仕方でして、あからさまに出題するのは芸の無いやり方と言えるでしょう。特に、報償が「先へ進む道」の場合は、狭苦しい感じを受けてしまいます。

選択できる自由度が広がる局面もあるにはあるのですが、訪れる惑星を5つの内から選べる、という程度のものでした。やはり、ここでもストッパーが利いていて、あることをしない内には進展の無い惑星もあります。惑星同士の行き来は、途中でも出来ます。A惑星を少し進めて途中で去り、B惑星を訪れ、その後再びA惑星へ、と言うことも可能です(あくまで進展度合いによると思いますが)。

フルボイスの会話は、とにかく分量があります。「仲間が何か言いたそうだ、話しかけてみますか?」というきっかけで、連れの境遇や目的が披露されます。バルダーズゲート以来のアレですが、こちらが望まないタイミングで起きるのも伝統のようです。助かるのは、会話がさほど早口でなく、字幕を目で追えるだけの時間があり、且つ、いちいちセリフ送りをしなくて済む点。NWNも文章量だけは多いRPGでしたが、メッセージが一画面分終わるといちいちContinueボタンを押さねばならず、これが苦痛でした。KotORでは会話は勝手に進み(とばす事もできる)、選択肢で止まってくれます。冒頭のチュートリアルなどは、一部、クリックでセリフ送りという親切設計です。

会話は冗長ですが、反面、仲間のキャラクターにも独自の考えや性格がきちんとある事を印象付けてくれます。ただの戦力扱いではなくて、多少なりとも人格があるんだと捉えられれば、愛着も湧く事でしょう。英語自体は親しみやすく、ネイティブスピーカーでなくても、そこそこ理解できます。

KotORはXboxからの移植ですが、PC版ではインターフェースを改良しキーボードを意識した作りになっているそうです。が、私見ではキーボード・ショートカットが割り当てられている程度なのでは・・・と思います。(前述のように)キャラクターの移動に関連する操作体系を見ても、XBOX版の方が遊び易いのではなかろうかと想像しています。

とりわけメニュー画面のレイアウトは頂けません。ここでいうメニューとはインベントリーやFEAT、スキルを閲覧する画面の事です(スクリーンショットは装備メニューの画面)。昨今のRPGらしからぬ無駄の多い画面構成となっており、PC版に移植される際に最も手を入れるべきところではなかったかと思います。キャラクターのステータス画面やアイテム管理用の画面が一度に一画面しか参照できず、アクセスできる情報が小分けにされているのです。フォントも大きく、お世辞にも広い画面を有効活用しているとは申せません。