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The Witcher とは:
ポーランドの作家Andrzej Sapkowski氏の「剣と魔法」ジャンルの小説をベースにしたPC用アクションRPG。レーティングはMature(18歳以上対象。残虐表現、セックス描写有り)。ヨーロッパでの発売日は2007年10月26日、北米は10月30日。開発元はポーランドのCD Projekt Red。開発期間は2004年1月の発表からと想定しても四年近く。販売元はATARI。パッケージには、UK版、US版、アジア版などがある。片面二層DVD1枚。輸入通販専門店での価格は、5,480円〜6,980円。コピープロテクションはTAGES。なお、US版では残虐表現、性表現(乳首など)が若干配慮されているという。
パッケージの紹介文からの引用: 「The Witchersは、OblivionやFableとよく似た周波数で響き渡る、ホットなRPGである -- PC Zone」、「80時間超のノンリニアで大人向けの物語」、「モーションキャプチャ採用のリアルタイム式タクティカル・アクション・コンバット」、「上級アルケミー、多様な戦闘スキル、強力な魔法など、ゲームを変化させるスキルや能力が250種類以上。」、「ign.comの2007年ベスト・オブE3受賞」、「GameSpotの07年E3エディターズ・チョイス・ファイナリスト受賞」
原作小説の英訳既刊は"The Last Wish"(短編集)のみ。"Blood of Elves"は2008年9月18日刊行予定。ポーランドでは短編集と長編合わせて8冊出ており、最新刊は1999年。日本語の邦訳は現在ない。主人公はGeralt of Rivia(ゲラルト・オブ・リヴィア)。白髪で逞しい、人間離れした容貌の男性。ウィッチャーとは職業を指し、平易に言えば「モンスター・スレイヤー」のこと。幼い時にウィッチャーを養成する組織に預けられた彼は、肉体的な変異を課す試練に耐え抜き、超人的な能力を備えた。(主人公Geraltについてもっと詳しく)
アンチヒーローものと言われるように、R.E.ハワードの「コナン」やフリッツ・ライバーの「ファファード・アンド・グレイマウザー」を彷彿とさせる趣があるようだ。
レビューと考察:
概 説
- どんなRPG?
- 三人称視点でのアクションと、濃密な中世風世界を売りにしたRPG。主人公固定の物語主導で、順序正しく章立てに則った進行をする。イベントを表現するリアルタイム・ムービーが頻繁に挿入され、コンシューマー・ゲーム(=コンソール・ゲーム)風の語り口が用いられている。敢えて言えば、バルダーズ・ゲートやネヴァーウィンター・ナイツの系統に似ているが、既存のゲームとは分類しにくい独特の個性がある。Oblivionのような自由裁量権が終始与えられているわけではないが、サイド・クエストの消化順序や、限定された敷地内でのアクセス順序はプレイヤーに任されている。また、選択肢によって物語が分岐する箇所がある。例えば、プロローグではラボを守る事を選ぶと、frightener(フライトナー)と戦う事はできない。
- エンジンの主な特徴
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- 仮想の太陽の傾きに応じた照明(夜明け〜日暮れ)
- 動的影生成(と静的影)
- 天候(曇り、雨、雷)
- 屋外エリア/屋内戸別のモジュール管理(Auroraエンジン特有)
- リアルタイム処理によるイベントシーン(Knights of the Old RepublicやNeverwinter Nights 2と同様)
- スケジュール的なNPCの行動(昼は働き、夜は眠る)
- SM3.0時代のシェイダー
- 遠近の焦点深度制御(会話しているNPC以外はアウトフォーカスになる)
- モーションブラー(酔いが回った際の演出)
- グロー(輝き)表現は控えめ
- 見栄えが良く、処理速度の速い、森林生成ミドルウェアSpeedTree採用
- グラフィック設定(Advanced)のプリセット三種類(Low, Middle, High)からカスタム可能
- 場面に応じたBGM
- セルフシャドウ無し
- 物理エンジン名は上がっていないが、内製品か簡易版を利用していそう(ダイス・ポーカーのサイコロ、Aardサインで吹っ飛ぶ樽、水面への落下物が跳ねる)
- その他の主な特徴/演出
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[背景説明]
- 疫病と怪物にあえぐ中世風世界の饐えた描写、NPCの振る舞いが秀逸[後述]
- 主人公ゲラルトが何者で何をしている(いた)か、どのような友人がいる(いた)か、がしっかり描かれている
- ムービーシーンにより、ドラマチックな物語の展開が解りやすく伝わる
- ウィッチャーが有するというアルケミーの素養がゲームシステムで詳しく表現されている
- ウィッチャーが操れるという魔法の力「サイン」がゲームシステムで詳しく表現されている
- ウィッチャーは二種類のソードだけで、巧みに敵をいなす事ができる
- 補助的に、斧やメイスを使う事もできる
- モンスターのボスを狩るとトロフィーが3Dモデルのベルトからぶら下がる
[戦闘]
- Diabloともひと味違う、独特の戦闘アクション[後述]
- ポーションとサインを駆使する事で、戦闘方法に変化を持たせる事が出来る
- 相手に適したソード・スタイルを選択すると、敵を簡単に退治する事が出来る
[成長]
- 経験ポイント制による成長で、モンスターを狩る度にポイントが入る[後述]
- ザコのモンスターは何度でも現れる(リスポーンする)
- クエストの解決により、大きな経験ポイントが入る
- 一経験レベルあたり、3つのTalentsが獲得され、それを消費する事でプレイヤーが自由にゲラルトの能力を伸ばせる
- スキルツリーがあり、経験レベルに応じて、上級の能力が開花できる
[システム]
- ゲーム難易度が三種類(Easy, Normal, Hard)用意され、新規開始時に選択できる
- グラフィカルなユーザーインターフェースが解りやすく、尚かつ、綺麗
- 操作は、マウスの他にキーボードを併用できる
- 肩越しの三人称視点と、高さの違う見下ろし視点二種類が用意されており、F1〜F3でゲーム中に切り替えできる
- 肩越し視点では、遮蔽物は自動的に透明化してくれる
- ゲラルトの移動はマウスでポイントする他に、WASDキーでも行える
- ジャーナルを開くと、クエスト、モンスター、キャラクター、名所、アルケミーのフォーミュラ、イングレディエント、チュートリアル、用語集にアクセスできる
- ミニ・マップはクエスト内容に連動してマーカーを表示させる事が出来る
- ローカル・マップは最初白紙で、ゲラルトが歩き回るにつれて埋まっていく
[インタラクト]
- NPCの会話はフルボイス仕様
- NPCとのインタラクトは会話で選択肢を選ぶ方式
- 既に選んだ事のある選択肢は灰色表示される
- 結果と無関係の(情報確認の為の)選択肢は、何度でも選び直しができる(ネヴァーウィンター・ナイツと同じ仕様)
- 売買、ミニゲーム、賄賂/プレゼント、等は、会話の選択肢とは別にアイコンで解りやすく表示される
- 飲み比べをすると、NPCは口が軽くなって情報を漏らす場合がある
- ミニゲームには、フィスト・ファイト、ダイス・ポーカーがある
- アイテムは、樽、チェスト、クレート、荷物ダンス等から手に入れる事が出来る(バルダーズ・ゲートと同じ仕様)
- アイテムを勝手に取った事による罰則は無い(NPCは所有権を主張せず、官憲からも摘発されない)
- 重要なNPCは緑色で名称が表示される
- モンスターや敵対者は赤色で名称が表示される
- 町中では、唐突に武器を抜いて一般民を襲う事はできない(Knights of the Old Republicと同じ仕様)
- 女性のNPCにはプレゼントができる場合がある
- 女性のNPCとは性的交渉をする事が出来る場合がある
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- 処理が好ましくないと感じる箇所
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- 物語主導なので、プレイヤーが裁量できない展開が起きる (a)
- 前触れ無くムービーシーンが挿入され、いきなり交戦状態になってしまう (b)
- 特定のボス戦は退却できず、対ボス用にゲラルトを育て直す事が出来ない (b)
- 特定のボスは強過ぎて、適切な能力を欠いたゲラルトでは勝てないかもしれない
- 難易度設定を途中から変更できない
- ムービーシーン明けのゲラルトは武器すら抜いておらず、下準備が出来るゆとりがない
- ゲラルトの武器・鎧のレパートリーが少ない (c)
- 補助的な武器には、ソードにあるようなスタイルが使えない (d)
- 松明を使っている時は武器が抜けない(武器を抜くと、明かりが無くなる) (e)
- サインが5種類しかない(他のRPGでは、魔法の呪文にはもっと数がある)
- 序盤に利用できる能力に巾が無い(ウィッチャーとしての能力は物語の展開に合わせて段階的に開花する為)
- AardサインGustの威力(スタン、ノックダウン)が極端に大きい[後述]
- プレイヤーが制御できるのはゲラルトの位置取りと攻撃タイミングだけ[後述]
- ゲラルトが自動的に行う防御(パリー、ダッチ)をプレイヤーが制御できない
- 戦闘中にポーズが使えるが、ポーズ中にプレイヤーが指示できる行動がとても限定されている(バルダーズゲート風ではない)
- 植物モンスターは体力を表すサークルが足下に無く、攻撃が利いているのか判別しにくい
- プライマリー・クエストを構成するエントリーが複数あるのだが、エントリーAが先へ進む前提条件にエントリーBの進行を伴うにも関わらず、Bに関する示唆が無い(したがって、ヒントがなくて、行き詰まりに陥る場合がある) 例えば、第二章で"The Sentry"というエントリーを追加する為のヒントがない (f)
- スケジュール通りに行動するNPCに面会するには時間を調節する必要が出てくるが、プレイヤーがゲーム内時間をスキップできる場所が限られている為、手間が増える
- オプションメニューのAdvancedでHigh設定にすると、ロードがとても長くなる
- 屋内と屋外、更に屋外でもエリア別(例えば、沼地とテンプル地区)にロードを行う為、行き来が激しいとロードの回数が増える
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脚注:
a. これは物語ありきというデザインによるものなので不備とは言えない。ただ、ノンリニアやオープンエンドという枠の中でも、制約にならないように取り入れる試みがあってもよいはずだ。
b. 上同様、これもあくまで定着したゲームデザインとして処理されてしまっている。工夫の余地はあるはずだ。
c. これもデザインによるものだが、バリエーションの巾はRPGというジャンルでは重要だと思われる。自らそれを狭める事はないだろう。
d. デザインによる取捨選択というわけだが、それならば、特定の武器に限った技能(例えば、斧のスペシャリゼーション)を用意しておいても良かったかもしれない。
e. 明かりを捨ててまで両手用のソードスタイルを強引に使うだろうか? Catという暗視ポーションがあるので不備とは言えないが、コモンセンスでは松明と片手用武器で戦おうとするのではないだろうか。現状では、ナイフのような軽めの武器と松明とは同じスロットになっており、排他的関係になっている。
f. 親切なデザインを心懸けるならば、エントリーの入れ子状態は明示された方が好ましい。もしくは、プレイヤーがデッドエンドに陥ったと感じないように、近隣のNPCとの会話の中でブレイクスルーを選択肢に含めておく等のフォローが必要だ。例: 会話の選択肢「ゴーレムセメタリーを見てきたのだが」 → NPCの返事「煉瓦職人の長老に聞いてみれば?」 → 長老と会話するとエントリーが追加される
詳 説 〜現在書きかけデス〜
- 生活描写と演出
- The Witcherの世界は、歩き回っていると感嘆する出来事が多い。Oblivionでも現実味のある世界を感じる事ができるが、The Witcherの描写はヨーロッパ中世のそれを模したかのようで細かく深みがある。とりわけNPCのパターンが多彩だ。
- 走り回る活発で無邪気な子供達(ゲラルトの後を付いてきたり、「髪がミルクみたい!」と言う)
- 砂利道を往来する旅人・商人
- 家畜(イヌ、ガチョウ)がいる
- いつのまにか主人公の周りを巡っている猿モドキ
- プレイヤーが通ると飛び立つ鳥
- 足が不自由だと告げる乞食
- 宿屋前にたむろしている飲んだくれ(そこら中で小便をする)
- NPC同士で会話をしている
- 雨が降ると軒下に駆け込む人々
- 貧乏人と裕福な者、貴族と平民、などの違いが一目瞭然で解る
- NPCの3Dモデルのバリエーションが多め(体型も顔の作りも一貫して異なる)
- 裏通りにたむろしているThug(ごろつき)は、普段は人畜無害
- 宿屋の中はやかましい(楽器弾き、フィストファイトの騒音、喋っては酒をあおる人々)
- 戦闘システムの功罪
- Diabloのようにクリック連打ではカジュアル層にアピールしずらく、かといってAIが全てを取り仕切っては心得のあるプレイヤーが物足りなく感じるかもしれない・・・。そんな妥協点を探った結果が、この戦闘システムであるかのようにも思われる。基本はリアルタイム+省力化であり、更にタイミングを図ってクリックを追加する毎にコンボの成否が判定される。コンボが決まれば与えるダメージが増え、相手はより少ない時間で倒れる。また、ヒーローらしく、少ない手数で相手を昏倒させるという一面も考慮されているかのようである。昏倒した相手は、Coup de Graceなるトドメの一撃で冥土に送られる。この際、残虐表現に抵触する斬首などの仕草が見られる。
的を指定した後はほとんど自動処理になるが、これがあまり好ましい結果を生まない場合がある。相手がゲラルトの攻撃を耐え抜いて反撃できる場合がそうだ。相手からの反撃は、ゲラルトが自動的にパリーやダッジを行ってくれるとはいえ、それがいつまで続くのがプレイヤーに伝わりにくい。再攻撃の機会はプレイヤーが指示しなくてはいけないように見えるし、事実そうしなくてはならない。ただし、コンボという決まりがある以上、連続クリックはリスキーに感じられる。タイミング外のクリックだけは避けなければならない。もし、タイミングを外すとペナルティとして攻撃の機会を失するからである。
- 成長システム
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- 随時加筆予定
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