T細胞レセプターの遺伝子再構成
前回 (2006.10.27)の免疫部で、「T細胞レセプターの遺伝子再構成の失敗ってどうゆうこと?」という質問が出ました。そこで、今回はこの質問に対する答えを講義してもらいました。
TCRは外界に存在する膨大な種類の抗原全てに対応するために、非常に多くの種類の構造をもっていなくてはなりません。この多様性は、TCRの可変部であるV領域の遺伝子がランダムに組み替えられることにより生まれます。これを遺伝子再構成と呼びます。どのようなメカニズムで遺伝子再構成はおこるのでしょうか。。。
遺伝子再構成のしくみ
TCRのα鎖のVドメインはV, J遺伝子、Cドメインは1個のC遺伝子から成っています。また、β鎖のVドメインはV, J, D遺伝子、Cドメインは2個のC遺伝子からそれぞれの構造が決められています。

遺伝子再構成の分子メカニズム
1. VとJの間には、一定の塩基配列があり、RAGという酵素はここを認識して結合します。
2. これらのRAGタンパク複合体は一カ所に集まります。
3. その後、RAG複合体が活性化され、DNAが切断されます。
4. ヘアピンの形成することにより、二本鎖DNA末端をシールします。
5. RAGタンパクに結合して、複合体を形成していたKu70: Ku80などのタンパクによってDNAヘアピンはいたるところで切断され、一本鎖DNA末端となります。
6. TdTという酵素によって、一本鎖DNA末端にランダムにヌクレオチドが付加されます。
7. 2本の一本鎖それぞれに添加されたヌクレオチドは、短い領域を介して塩基ペアを形成します。
8. ペアを形成できない塩基はエキソヌクレアーゼによって切断され、さらにDNA合成酵素によって一本鎖DNAの残りの部分を相補的な塩基で埋め合わせます。
