手打ちらーめん作りの材料

小麦粉
 らーめん用小麦粉は、結構幅が広く目的に応じて中力粉から強力粉まで使われますが、業務用として最も一般的なのが準強力の特等粉です。
 らーめんの特徴は、「かんすい」と云うアルカリ水で捏ねて生地をつくることですが、このアルカリ性がタンパク質(グルテン)に作用して特有の風味と食感を出すので、らーめん用粉としては基本的にタンパク質の多い小麦粉の方がよいのです。
 しかし、タンパク質(グルテン)が多い粉で生地を作ると、生地の締まりが強いために麺棒で延ばすのが難しくなります。従ってこの講座では、麺棒を使って延ばす手打ち麺作りをする関係から、グルテン量が中庸のうどん専用粉「めん匠」(手打ちうどん専用粉の入手)を使います。食感は軟らかめになりますが、ツル味などよい面もあり、美味しいらーめんが出来ます。
 らーめんのもう一つの特徴は、うどんやそばとは逆で、打ち立てより、切り出した後、少し寝かせた方がよいと云うことです。包丁切りした生めんは、その状態で一両日寝かせて熟成させます。打ち立てが不味いと云う訳ではありませんが、寝かせている間に、グルテンのアルカリによる変化が進んで、より腰の強いらーめんになるのです。
 このように、貯蔵した方がよいと云うことは、手延べ素麺を除けば、らーめんだけの素晴らしいメリットと云ってよいでしょう。
 しかし、ここで一つ困ったことがあります。それは、酸化することによる変色(褐変)です。そばの場合は特に顕著ですが、うどんでも中華でも生めん(未加熱)は、たとえ冷蔵庫中でも色が次第に褐色を帯びるようになります。
 
1ポイント
 未加熱生めん類の経時的な色相の変化(劣化)は、主として酸化酵素チロシナーゼがチロシンに作用してメラニンを生成するためとされています。これらの酸化関連物質は、小麦粒の皮部周辺に多く分布しているので、グレードの低い小麦粉の方が(一等粉より二等粉の方が)変色が激しく起こります。また、薄力粉より強力粉の方が酵素活性が大きいのが普通です
 
 このため、小麦粉の選択では、皮部の混入が殆どない純良な小麦粉、つまり低灰分含量の小麦粉が必要になります。業務用の生らーめんの製造では、この変色に拘って、タンパク質量が程々で灰分含量が特に少ない準強力特等粉が使われています。
 手打ちを楽しむ場合は、色にそこまで拘る必要はないと思うので、色的には色白のうどん専用粉で十分でしょう。
 準強力特等粉に拘る場合は、食品スーパーにはありませんので、専門の食品材料店、東急ハンズなど趣味の手作りの店で求めて下さい。見つからない場合は、製粉会社に問い合わせて下さい(うどん造り材料のページ参照)。準強力特等小麦粉の銘柄としては、「特寿」(日本製粉)、「特ナンバーワン」(日清製粉)等があります。

かんすい
 かん水(鹹水)と書かれるように、元来アルカリ性の水のことですが、製麺業界では、実際に流通している粉末状のもの(殆どがこれ)も含めて「かん水」といっています。
 かん水の効果は、グルテンを締めて生地を弾力的にし、特有の風味を生み出すと共に、生地を黄色に発色することにあります。
 
1ポイント アルカリ麺のルーツは中国ですが、中国は北西部から東北にかけて土壌が強いアルカリ性のため、井戸水がアルカリ水であることが、自然にアルカリ麺を生み出したと云われています。当然ながら、生地のアルカリの度合いは、現在のらーめんよりかなり低いものです。その後、湖沼の水が濃縮されて出来る鹹水や鹹石が積極的に使用されるようになりました。
 
 製麺で使用するかん水は、食品添加物として食品衛生法で規定されています。固形かん水と液体かん水がありますが、固形かん水は「炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸類のカリウム塩もしくはナトリウム塩のうち一種もしくは二種以上含むもの」、液体かん水は「固形かん水を水に溶かしたもので比重が1.20〜1.33でなければならない」と云うことになっています。
 ややこしいようですが、流通しているかん水の殆どは、炭酸ナトリウム主体で一部炭酸カリウムが配合された固形かん水(粉末状)です。尚、液体かん水として流通しているものは濃厚かん水で、溶解度の関係で炭酸カリウムが主成分になっています。
 手作りらーめんは一般的ではないので、かん水の入手も専門の材料店でと云うことになりますが、らーめん用の小麦粉を置いている店ならまずあります。見つからない場合は、かん水の取り扱い業者に問い合わせてみて下さい。ここでは、業者を一つご紹介しておきます。
 (有)大洋食化学(代表森富作) 〒173-0025東京都板橋区熊野町町28-1 
                     п@03-5986-0070,0126

 尚、粉末かん水は、吸湿性(吸湿して固まる)があるので、入手後は瓶に入れるなどして保存に気を付けて下さい。
 この他に、かん水とはいいませんが天然物のなかで、かん水代わりに利用できるものに卵殻焼成品(和光堂、製品名はメンラクト)があります。これは卵殻(炭酸カルシウム)を焼いて出来る灰(酸化カルシウム)です。単品でも使用できますが、かん水との併用で使用されるのが普通です。
 
いろ粉(着色料)
 小麦粉は、カロチノイド色素とフラボノイド色素を含んでいます。小麦粉は、元来微黄色ですが、この色はカロチノイド色素によるものです。フラボノイド色素は、酸性側では無色ですがアルカリ側で黄色に発色します。これが、自然のらーめんの色です。
 市場で流通している生らーめんには、黄色をより明瞭にするために色素を添加しているものが多く、これがらーめんの色として定着しているように思えます。
 めん類には、食品添加物であっても合成色素の使用は認められていないので、天然色素を使用することになります。
 最も一般的なのがクチナシの黄色色素(クロシン)です。この他、ビタミンB2(リボフラビン)やカロブ豆の胚芽粉末(アルカリで発色)も利用されています。クチナシ色素は麺以外の食品にも広く利用されているので、専門の材料店で入手出来ます。

打ち粉
 らーめん生地は、ベタツキが少ないので、打ち粉は小量でよいのですが、打ち粉としてはうどんの場合と同じで片栗粉(馬鈴薯澱粉)を使います。

その他

 食塩は、使わなくても構いませんが、使った方がかん水味の角がとれてよいように思います。
 業務用らーめんでは、グルテンを補強するために活性グルテン末(バイタルグルテン)を加えたり、らーめんに特徴を出すために鶏卵を使うこともあります。
 尚、バイタルグルテンはいわゆる植物タンパクで、小麦粉からグルテンを抽出してこれを乾燥粉末にしたものです。水と混ぜると生のグルテンに戻るものです。らーめんの他、水産練り製品などに使われます。
 この他、業務用には幾つかの添加物が使用されることもありますが、手造りらーめんには必要ないでしょう。
 
 
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