第22話

タイトル

放映日:87年8月31日

放映時

空飛ぶローラー 赤いイルカの襲撃

監督:伊藤寿浩

シナリオ

空飛ぶスケート軍団・
赤いイルカの襲撃(仮題)

脚本:高久 進

あらすじ感想シナリオ改変ネタ
 
感想&解説

  よくある「子供や一般市民に襲わせたら、ヒーローは手出しできまい」という話です。
  いろいろな解決方法があると思いますが……、『メタルダー』の場合、「剣流星は耐えた。彼は、力に訴えずに、あくまで赤いイルカと話し合いたかったのだ」と、こうきます。
  ここは、「ああ、『メタルダー』らしいな」と感銘を受けます。
  ひたすら攻撃を受けつづける妹尾さんが妙に色っぽいんですよね(^_^;  妹尾さん自身が「馬のケツ〜」とおどけてたという、大きなお尻も大写しになるし。
  途中で飛び込んでくる金剛寺さんが小柄なんで、妹尾さんの懐にすっぽり入って、ちょうど、本当は強いのだけど、小鳥を胸に抱いていて、それをかばって、加えられるいじめをひたすら耐える大男って感じで、ますます感じ入るものがあります。


■赤いイルカ

「見ろ。俺たちの鍛えに鍛えた武術とローラースケートの高度のテクニックが、大金を生み出すのだ」

  赤いイルカって、ストリートパフォーマーなのか、今で言うところの半グレなのか、ちょっと分からないんですが、ヨロイ軍団の下部には こんなのいっぱいいそうですね。難民の麗花を助けてるくらいなので、わりと義侠心のある連中みたいです。
  流星の「ネロスは、自分の帝国の利益を守るためなら、動乱や戦争を引き起こし平然としてる。麗花さんは戦争が生んだ落とし子だ。僕は彼女の気持ちがよく分かる。なぜなら、僕も戦争が生んだ落とし子だからだ」という説得を、麗花を仲間に迎えていることもあって素直に受け入れたのか、あっさりネロスと手を切る方へ傾きます。
  ゴッドネロスは「この世は金がすべて。特に今の若者は金に目がない。金のためならどんなことでもする」とうそぶきますが、それに反して、この辺りの道義心の高さは、ネロス帝国の各員もそうなんですが、『メタルダー』世界の住人の特徴ですね(^_^;
  逆に言えば、秘書K&Sにどういう話を聞かされて、メタルダーを何だと思って、メタルダー抹殺の仕事を引き受けたのか、気になります。汚い大人同士の抗争、みたいな?

  流星の説得を受けて、シナリオでは、リーダーが「よし、この目でネロスの正体を確かめてやる! 我々も日本人だ」と応えます。
  「日本人=サムライ」みたいな意味あいなんだと思いますが、こういうセリフが出てくるのが『メタルダー』なんだなぁ、とか思ったりします。

  #14「マドンナ」#22「赤いイルカ」#25「JAC編」の時田と、『メタルダー』って、末端構成員として若者が巻き込まれる話がわりと多いような。

  病院でのやり取りをみてると、流星・舞・八荒三人の関係もこなれてきた感じで、いいですね。


■ボートピープル
 妹尾さんも、撮影中 「ボートピープルなんて、子供に分かるのかな?」と伊藤監督と雑談したりしてたとブログに書かれていますが、路線変更を余儀なくされて、従来のヒーローものよりのストーリー展開であっても、こういう言葉が出てきてしまうのが『メタルダー』らしさなのかもしれませんが、ちょっとどうなのかなぁ、て気はしますね。
 「戦争の落とし子」いつまでも重いです。なんで路線変更させられたのか分かってるのかと、これを書いた高久さんや了承した吉川Pに問い詰めたくなります(^_^;  従来のヒーローぽくしなくてはならないけれど、『メタルダー』らしさも残そうと苦心されたんだとは思いますが。
 ずいぶん薄味になってしまいましたが、「剣流星は耐えた」と「戦争の落とし子」とで、『メタルダー』らしさは感じられる回ではありますね。

 麗花って、中国人風なのに、なぜボートピープルなのか不思議に思ってましたが、シナリオでの描写からの印象では、幼いときに海に逃れて、彼女自身は香港で難民認定されて、そこで育って、行方知れずだった弟が日本で暮らしているらしいことを知って、探しに来たということになっているようです。

病室での麗花のセリフを抜粋
「……ボートピープルで大勢の友達が、転覆した船から海に投げ出され行方が判らなくなったわ」
「その時、一緒に船に乗っていた弟も、行方が判らなくなったの」
「私は、漸く香港に辿りついて、そこで海に投げ出された弟が、日本の船に拾われたらしいと言う話を聞いたの」

 刑事ドラマ畑の高久さんだけあって、こういうディテールをきちんと書かれるようですが、尺の関係か、説明的すぎるといった理由でか、実際の映像では省略されてしまうようですね。


■ジャース
 なんで、こんな作戦の指揮を戦闘ロボットのジャースが担当するのか、無計画に第1話から軍団員を勢揃いさせたしわ寄せがきたようにずっと思ってましたが、どちらかというと、ジャースって、別に作戦の指揮をしているわけでもなくて、赤いイルカが裏切ったとき、彼らを始末するために出張っていた、いわば処刑人なんですね。
 というか、赤いイルカ関係なしに、メタルダー抹殺を狙ってたような。

 しかし、確かに攻撃スタイルは、戦闘ロボットというよりは機甲ロボットそのものですね。ビームをぶっ放すしか能のないような。しかも、背中の砲が上向きに固定されているので、前方を狙おうとすると、上半身を傾けなければならないという不格好さ(^_^;

 ラストの戦闘シーン。崖上からのジャースの猛攻を避けるべく、メタルダーはその崖下に潜り込む。
 「? メタルダーめ、どこに行った?」とジャースが身を乗り出して崖下をのぞき込むと、崖にへばりつくようにしているメタルダーがいた。はたと顔を上げるメタルダー。「ハッ! 見つかった!」て感じの一連の流れが笑えます。
 



妄想的 改変ネタ

 この回の不満のひとつは、ゴブデデとゲバローズが一般戦闘員みたいに使われるところです。裏切った赤いイルカを襲う姿は、もはや闘士ではなく、ただの怪人です。もっとも、ジャース自体、普通のゲスト怪人扱いですが。

 ところで、掲示板で夏乃パインさんが立てられた「ジャース話からネロスロボット開発史に広がっていく」スレから、ジャースは、
 
「ガンマンロボシリーズの最新型で、高性能な分 実戦経験が少ないわりに出世が早く、いきがっている若者」

というイメージを得ました。

 ジャースは雄闘なので、ジャースがゴブデデ(軽闘士)とゲバローズ(激闘士)を引き連れてきたという流れで、ネロス側の裏話を考えました。

 たむろしているゴブデデにジャースが声をかける。
「そこの軽闘士の先輩方、ちょっと手伝ってもらえませんかね。赤いイルカが裏切ったとき、奴らを処分しなくちゃならんのですよ」
「おお、いいけどよ。ちょっと待ってな。クロスランダーに断りいれてくるからよ」
「……クロスランダーって!  いつまでも南米時代を引きずってるんじゃないですよ。雄闘さまの言うことは聞けないっていうんですか」
「いやいや、そうは言っても、クロスランダーは暴魂だぜ」「なぁ」
「暴魂なんて、メタルダーを倒せば、すぐに追い越せる!」

「大した鼻息だなぁ、若造が!」
 クロスランダーが現れる。
「クロスランダーさま、雄闘どのが仕事があるっておっしゃってるんですがね……?」
「かまわんでしょ、暴魂どの」(ジャース)
「……いいさ、連れてけよ」

「ほら、いくぞ」 クロスランダーに背を向け、ゴブデデとともに出ていこうとするジャース。その背に向けて、クロスランダーは腹立ちまぎれに銃を抜き放つ。だが、引き金が絞られるより早く、ジャースの肩の砲が背を向き火を噴くと、クロスランダーの手から銃を叩き落とした。
 背を向けたままジャースはわらう。
「オレに死角はない。たかが2丁拳銃自慢の奴が、この多砲塔のジャース様に敵うものか」
 ゴブデデは、手を押さえてうずくまるクロスランダーを振りかえりながらも、ひょっとして、この生意気な後輩について行った方がマシかも、と思いはじめる。
「バイザーぼこぼこの、あんたもついてきなよ」
 ジャースは通りすがりのゲバローズにも声をかけた。
「うん。いいよ」

 で、赤いイルカは裏切る。
 方々に逃げようとする赤いイルカを、ジャースの多数のビーム砲は、砲撃システムにより、それぞれに狙いを付ける。
 だが、それはメタルダーに阻まれる。
 ビームが放たれた瞬間、ジャースの面前に現れたメタルダーは両手を頭上に掲げると、空間になにか波紋を起こした。ミニブラックホールによる重力レンズとか? ジャースのビームはひん曲がっててんであさっての方向に飛んでいく。
政宗「メタルダーの放つ超重力エネルギーが、ビームの軌道を変えたのだ」

「おのれ、メタルダーめ! 先輩方! そいつらの始末は任せましたよ!」

 赤いイルカの前に立ちはだかる、ゴブデデ・ゲバローズ。しかし、逆にボコられる。

 ジャースは、大技・全砲の一斉射撃でメタルダーを倒そうとするが、メタルダーは、それをバリヤーで防ぐ(EDのヤツ!)。
 そしてメタルダーは、ジャースにエネルギーチャージの間を与えず近接し(冷却が間に合わず、背中から白煙を上げてる)、レーザーアームを叩き込むのであった。

「フン! 口ほどでもない」
 戦闘が終わり、木陰から出てくる者があった。クロスランダーだ。
「オレが殺るまでもなかったわ!」
 銃を構えて、ムダにカッコつけるクロスランダー。そう、彼は、自分を蹴落とす勢いの後輩を どさくさに紛れて殺る気マンマンで、陰から戦闘を見守っていたのだ。
 (撃ってた時の言い訳。『そう。ヤツを撃ったのは、トップガンダーだ! ヤツもあの場に来ていた。そうだろ、お前ら』『そ、そうですね』(ゴブデデ))



■途中から別案
 ジャースは、大技・全砲塔の一斉射撃でメタルダーを倒そうとするが、メタルダーは、それをバリヤーで防ぐ(EDのヤツ!)。
 しかし、ビーム照射時間は長く、バリヤーは破られそうになる。その時、一発の銃弾がジャースを襲い、照射は中断される。
「くそっ!?」 銃弾が放たれたと思しき方を見やるジャース。木陰へと身を隠す、そのシルエットは−−?
 ふらふらになりながらもメタルダーは、やはりふらふらのジャースにエネルギーチャージの間を与えず近接し、レーザーアームを叩き込むのだった。

□メタルダー&トップガンダー
「ありがとう、トップガンダー。さっきは助かった」
「? それはオレではない。
 オレは、お前を助けたいとは思っているが、かつての仲間を撃つほど思いきれているわけではない(南米のドブネズミは別だ)」
 「じゃあ、あれはいったい誰が……?」

□ゴーストバンクの片隅
「ジャースのヤツも、もうちょっとでメタルダーをやれたのによ」
「まったく、惜しかったよな。あれはトップガンダーだぜ」
「フン! 大口を叩いたわりにたわいのない」
 ゴブデデの報告に、銃の手入れをしながら、クロスランダーはうそぶいた。

2014年05月11日初版

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