アクマイザー

劇場版

〜 エピソードガイド 〜

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  今日も君達の知らない何処かの映画館で『’98東映ヒーローフェア』は上映されている。(注:この記事は98年4月に書かれました)
  ……ということで、いつの間にか上映されていたので、観てきました『劇場版アクマイザー』。
  たぶん、誰も観る機会がないと思うので、エピガイ的に感想を書いていこうと思います。
 
■オープニング  FLASHによる再現映像
  海岸の東映マークの後、画面は暗いまま。
  暗い映画館内に遠雷のような轟きが響いてくる。
  黒い画面に白いテロップが現れる。
  『一九九九年七月 天空から恐怖の大王が降ってくる』
  轟きは次第に大きくなり、耳を聾するばかりになる。
  突然、画が現れる。
  東京都庁を中心とする新宿副都心に向かって、天頂方向から巨大な火の玉が落ちてくるのをカメラは地上から見上げている。
  火の玉と大気との摩擦が引き起こす熱とプラズマで白熱する画面。新宿の高層ビル群の画がホワイトアウトする。
  真っ白に吹き飛んだ画面で明滅するタイトル。
 
 

 ア
 ク
 マ
 イ
 ザ
 |
 
 劇
 場
 版
  』
 
 
  ホワイトアウトから画が戻ると、そこには既に我々の見知っている新宿の姿はなかった。高層ビルには土くれが盛り上がり、蟻塚のような尖塔と化しており、それらがまとまって群を成している様は、まるでスペインのサグラダ・ファミリア教会のようだ。
  カメラは、その奇怪な建造物のアップから、水平方向に思いっきり引かれ、ロングショットになる。建造物を中心とするわずかな周囲のみが島となって残されている他は湖に沈んでいる。巨大なクレーター湖。隕石の落下地点直下のビル群だけが残されたような形になっている。クレーターは、かつての東京湾を飲み込み、流れ込んだ海水が湖を成しているようだ。
 
■自由軍の撤退
  カメラは、クレーターの外輪山の峠に三人の人物を見つける。
  「……ガルバーめ! 居城を目の前にしながら…………」
  黒い甲冑を身につけた男がいまいましげにうめく。赤い面当ては、両端が翼状に伸びて、頭部を飾っている。そのスリットからは、四つの爬虫類を思わせる目が激しい光を放っていた。(名前はまだ出てないけれど、ザビタンです)
  彼らの側を傷ついた軍勢が通り過ぎてゆく。怪人と人間とが混じっている。湖の岸には船が着けられ、そこから軍勢は山の方へと進んでいる。
  湖の水面に黒い影が生じたかと思うと、巨大な魚影が水面に躍り出る。鯨だ。しかし、その形質は醜く歪んでいる。
  その姿に山へと進む者も、ぎょっとして立ち止まり、身をすくめる。岸に着けた船が壊されるのを見ては、先ほどの恐怖が甦る。
  「……海魔(シーデビル)・ザイダベック。奴があれほど荒れ狂うとは……海魔使い(シーデビルマスター)・サイレン(Siren)を殺したのはまずかった」
  三人のうちの肉団子のような怪人がつぶやく。(これも名前はまだ出てないけれどガブラです)
  「してやったりはメザロードだろう」
  残る一人、スレンダーな女性剣士を思わせる怪人がひとりごちた(もちろんイビルです)。
 ザビ:「なぜ? 奴と彼女とは恋仲だったじゃないか」
 イビ:「サイレンを殺した戦士。あれは、われら自由軍の戦士ではなかった。
    見覚えている。あれはメザロードの部下だった。自由軍に紛れ込んで
    いたのだ」
 ザビ:「だが、奴はメザロードにその場で斬られたぞ」
 イビ:「口封じのため。それがメザロード」
 ガブ:「なるほどのぅ。恐ろしい男じゃ、全く。それまで優勢じゃった我が
    軍も、サイレンを失い、怒り狂ったザイダベックの前に形勢は逆転、
    逃げ出さなくてはならんかったからの」
  この辺、海戦の回想シーン混じりで進んでます。
 ザビ:「……メザロード…………」
  感嘆とも憤りともつかないつぶやきがもれた。
 
■大魔王ガルバーの城
  場面は変わって、大魔王ガルバーの城。戦勝に浮かれ気味の魔王軍。広間。窓辺で、ザビタン軍の壊走を遠く見やる怪人がいる。焼けただれた全身を隠そうともせず、顔の左半面を透明フードで覆った男。その頭頂からは一房の髪の毛がたてがみのように立っている。
  「よくやったメザロード。まぁ、飲め」
  窓辺の怪人の下に寄ってくる怪人がいる。
  「ゲッペルス卿……。私は血のワインは好まぬ」
  「そうか……そうだったか。いや、スマン。人を憎むあまり、そんなものを口にすることなぞできん、ということだったな。だが、憎むからこそ、食ろうてやろうとも考えられぬかな」
  そう言って、さらに血のワインを勧めようとするゲッペルスであったが、メザロードは首を左右にするのだった。あきらめて去ってゆくゲッペルス。その背に向かってメザロードはつぶやく。
  「知らぬのか、ゲッペルス。古来、血のワインの習慣は、『人間は美しく、アクマは醜い』という人間側から押しつけられた価値観に苦しめられたアクマが始めたことなのだ。そのコンプレックスが、人間への憧れが、人の形質を得たいという願いが、人を食らう習慣を創りだしたのだ。……このオレは、そんなものとは無縁だ」
  「……メザロード卿」
  遠慮がちな声が背後から掛けられた。振り向くメザロード。
  「メザロード卿、お役目大儀であった」
  「……ですが、サイレン殿のことはお気の毒でした。お悔やみ申し上げます」
  「ノッペルゲン卿にノッペリウス(ノッペルゲンJr.)か。先の戦いで、オレはたいしたことは何もやっていない。あの勝利はサイレンの死がもたらしたものだ」
  「……その件について、少し話がある。気になる情報を得たのでな」
  ノッペルゲンの目が追求の光を帯びる。だが、その話は立ち消えになる。大魔王ガルバーが広間に現れたのだ。魔王の前にひざまづくアクマたち。
  「先の戦い、なんとか押しとどめたなメザロード。だが、余の軍勢も水軍を失ってしまった。……まぁ、それは言うまい。直ちに追撃隊を編成し、ちりじりになった自由軍と名のる連中を追うのだ」
  「……ですが、陛下」
  参謀パスカヴィルが言いにくそうに言葉をはさんだ。その言葉をメザロードが引き継ぐ。
 「ザイダベックは、サイレンを失った怒りのあまり我を忘れ、奴らの船どころか我が方の船も襲う有り様。奴が鎮静するまで海は渡れません」
  「…………使えぬ奴らよ……」
  心底あきれたように吐き捨て、自室へと戻っていくガルバー。
  クレーター湖では、ザイダベックが潮を上げている。彼の存在が、魔王軍と自由軍の戦いを膠着状態にしていた。
 
■ザビタンとダルニア
  場面は再びザビタン側。時制は先の続き。
 ザビ:「とにかく体勢を立て直そう。ザイダベックについての対策も立てねば
    ならん」
  先を急ごうとするザビタンの前に一人の少女が立ち尽くしている。ダルニアだ(役:垂井仁亜 第一回ザビタンの恋人コンテスト優勝者 <この映画のために開催したらしい)。あ、そうそう、ダルニアは、この映画では人間です。
 「ザビタン……、あのね…………」(<ようやく名前が出た(^_^;)
 話しかけようとするダルニアを無視して通り過ぎるザビタン。
 イビ:「どうした、ザビタン。ダルニアの気持ちに応えてやれい」
 ザビ:「冗談ではない! 素顔を見せろだと? バカにしてるのかアイツは!?」
 
  回想シーンのカットバック(この映画、いきなり最終回のノリで回想シーンが多いです)。
  露営で焚き火にあたっているザビタンとダルニア。なんだかいい雰囲気。ザビタンの仮面に手をかけるダルニア。
  「ねぇ。仮面を取って、わたしに顔を見せて」
  いきなり激高し、それを拒絶するザビタン。回想終了。
 
 イビ:「そうではない。ダルニアはお主に近づきたいのじゃ。お主のことを
    もっとよく知りたいのじゃ。……分かってやれい」
 ザビ:「驚くに決まっている。恐れるに決まっている。オレは…………オレは、
    傷つきたくない」
 かたくなに歩を進めるザビタンをイビルとガブラは見送るしかなかった。
 ガブ:「わしらは、この姿を人に見られてもどおってことはないのにの。
    なんでザビタンは自分の姿をああも気にするのじゃろう?」
 イビ:「わたしたちの多くは、アクマの社会で生きてきた。だけどザビタン
    は違う。彼は、人の社会の中で、異端とののしられながら生きてきた
    のだ。だから彼は、いまだに自分の姿を認めることができないのだろう。
    鎧を脱ぐことができないのだ」
 
■悲しみのダルニア
  夜。湖のほとり。ザビタンの心を閉じさせてしまったことを、ひとり悔やむダルニアの姿があった。
  ふと、沖を見やると、ザイダベックが潮を噴き上げているのが見えた。
  あの子、泣いている。ひとりぽっちで。あたしもひとりぽっち。
  「あなた、ひとりぽっちなの?」
  声に出して訊いてみる。
  『広い海でサイレンに会えて、やっとひとりでなくなったと思ったのに、サイレンいなくなって、また、ひとりぽっち』
  「他に仲間はいなかったの?」
  『ボクが産まれて、みんな、ここの海も汚れたと言って、ボクを置いて遠くに行っちゃった』
  「そう、海の中も安全じゃなかったの。隕石の毒は海の中では消えてしまうと言われてたのに」
  『隕石の毒?』
  ダルニアのナレーションで世界の説明が始まる。
  「そう。あの隕石の落ちてきた日から、人間の中では、アクマ化された赤ちゃんが産まれるようになってきたの。隕石の毒がそうさせるそうよ。
  多くのアクマ化された赤ちゃんが、お母さんのお胎の中で殺された。でも、生きてこの世に出てくる者もいた。彼らは、人としての形の他に、他の生き物の形を持っていて、さらに、理性の他にアクマ力と呼ばれる超常的な精神的形質を備えていた。
  生物的に優れた種だった彼らは、少数だったけれど、人間を圧倒し、人を支配するようになった。そして、アクマの王族の間で王の中の王の座を争う戦いが起こった。それに勝ったのが、あそこにいる大魔王ガルバー。でも、ガルバーは多くの人を苦しめてきた。人間のために立ち上がってくれたのがザビタンたちだったの。
  ねぇ、おねがい。ガルバーに与するのはやめて。ザビタンを襲わないで!」
  『ガルバーもザビタンも関係ない! もうサイレンはいない!』
  「だったら、あたしが友達になってあげるから」
  『人間の友達なんて! …………』
  何を思ったか、沖のザイダベック、ダルニアの方に向き直ると、白波を蹴立てて猛然と突進してくる。
  『きれいなもの、いっぱい食べると、ボクもきれいになれる? みんなのところに帰れる?』
  恐ろしさに身がすくみ、動けないダルニアは、覚悟を決める。
  「いいわ。あたしをあげる。だから、ザビタンたちを襲わないで。約束よ」
  「ダルニア!」
  遅いよザビタンって感じで駆けつけるザビタンとその仲間。
  その声を聞きつけて、振り返ったダルニアは寂しげな微笑みを残して、ザイダベックの口の中に消えていった(画的には、海岸で群れているアザラシの子供を襲うオルカって感じ)。
  「よくも!」
  剣を抜き、ザイダベックに襲いかかろうとするザビタン。だが、その時、ザイダベックの体から光があふれ出てくる。ザイダベックの形質はどんどん変化していく。歪んだ形質は失われ、洗練された形質に取って代わられる。
  姿の変わったザイダベックは、体液でべとべとのダルニアを吐き出す。駆け寄るザビタン。息はあった。
 
■ダルニアの力
  「なんだ、あの光は!?」
  その現象は、ガルバー城からも観測された。
  「やはり、人間の血肉には、美しい形質を与える力があるのか!?」
  そうとばかり、ガバガバ血のワインを飲みはじめるゲッペルス。
  「そうではない。あの娘に特殊な力があるのだ」
  参謀パスカヴィルは冷静だ。
  「では、あれがガルバー様の求めておられた力なのか?」
  ノッペルゲンはパスカヴィルに訊く。
  「かもしれん。しかし、なぜだ!? ただの人間に、あのような力が芽生えるとは!」
  そこに現れるガルバー。
  「余は、長きに渡り、この世界を見据えてきた。あのような形質操作の能力もまた、様々な形質、能力を持ったアクマのうちに現れるものと、期待していたのだが……、違ったか。
  それにしても、翼も毛皮も爪も牙も持たぬみじめな形質のままの人間にこそ、可能性があったとはな。産む性、女だからこそか。口惜しいことよ。
  だが、これで我々は、神へと至る進化の道を得ることができるやもしれぬ」
  「では、早速、あの娘を捕らえましょう」
  ゲッペルスが嬉々として提案する。
  「無論だ。ザイダベックを手なずけた今、やつらは早速にでも、この城に押し寄せてくる。後方より出で、手薄になった奴らの本陣を襲い、娘を奪取せよ。
  ノッペリウス、ゲッペルスとともに行け。メザロード、正面は任せる」
  メザロードは、内心、心穏やかではなかった。
  「なぜ、どいつもこいつも、ガルバーでさえ、洗練された形質を美しいとする感性を正しいものとして受け入れ、疑おうとしない。そのような感性は、人間のものであって、それにアクマが付き従う必要はないはずだ。
  ……サイレン、お前は美しかった」
 
■ノッペルゲン父子
  出撃の準備をしようと廊下を歩いていくノッペリウスは、壁画を見上げるノッペルゲンを見つける。
  「いつ見ても、美しい生物ですね」
  壁画には翼を持つ人間(?)・天使の舞う姿が描かれている。
  「天使だ。……この生物も人ならざる者なれど、人は自らの上位種として彼らを認めている。だが、悪魔はそうではない。
  我々アクマは、醜い形質ゆえに悪魔と同一視され、人間から忌み嫌われてきた。だが、ガルバー様は、人のうちよりアクマは出でて、アクマが世代を重ね、洗練されて、すべての生物の形質を合わせ持ち、理性や超常能力を備えた究極の生物、神のような存在に至るとお考えになられている。
  もっと時間がかかるものと思っていたが……、あの娘……、他者の形質を洗練させる力を持つ、あのような娘が現れてくれるとはな。嬉しく思うぞ」
  「そのような存在になれれば、人々もこれまでとは違って、我々に気持ちよく従ってくれるでしょう。ガルバー様の下に世界をまとめ、人々に安寧な暮らしを約束する。父上の夢も叶うことでしょう」
 
■自由軍の再攻撃
  一方、ザビタン側。ぐったりとしたダルニアを床に寝かせて、ザビタンたちは出撃の準備をしながら話し合っている。
 ザビ:「悪魔的な形質を昇華させる不思議な力だ。アクマ力でもない。
    ダルニアは人間のはずなのに……」
 ガブ:「でも、これでザビタンも自分の姿を気にせんですむんよな。
    ダルニアにかっこようしてもらえば、よろし」
 イビ:「だからなのか。ザビタンが気に病んでいることをどうにかしたいと
    いう想いが、ダルニアにあのような力を与えたのやもしれん」
  それを聞いて、ザビタンは複雑な気分になった。
  そうしているうちに屋台を引っ張る音が背後から近づいてきた。そちらに振り返るザビタン。
  「キリンダー老師!」
  立ち飲みは弱い者の集まる所。今日も1日を生き延びた者がその日の憂さを晴らす所。そう言って、居酒屋屋台を引っ張って戦場を巡る老人、かつてガルバーに滅ぼされた亡国の騎士にして、ザビタンの剣の師匠。
  「話は聞いた、ザビタン」
  「不思議な力じゃのう。じゃがな、知っておるかな、ザビタン。
  生命の樹形図というものがある。1種の生命から、様々な場所でそれに合った生き方をするため、生命は様々な形質に枝分かれしていったということじゃ。
  じゃが、いつか、その枝分かれした様々な形質をひとつに統合し、究極の存在になろうとした者がおる。アクマはな、人がその究極の存在、神になろうとして産み落としたいびつな落とし子なのじゃよ。数多くの形質のせめぎあいがいびつさを生み出すが、そのせめぎあいを調節するこの子の力は、いびつな形質を持ったアクマにとって福音となろうよ」
 ザビ:「ですが老師、それほどアクマとはいびつな存在なのでしょうか」
  その問いにキリンダーは笑顔で応えた。
  「お前さんはどう思うかね、ザビタン。……案外、心の持ちようなのかもしれんよ」
  ザビタンは、その言葉を釈然としない困惑顔で迎えた。だが、出航準備完了の声を聞き、三人は出撃しようとする。美しい姿にしてくれたダルニアに恩義を感じたザイダベックが先陣を切ってくれるというのだ。
 キリ:「ガブラ、おまいさんは残ってくれ。ガルバーが神を目指す男ならば、
    きっとこの子の力を得たいと思うにちがいない。お主がこの子を守る
    んじゃ」
 
  はたして、キリンダーの予測通り、ガルバー軍はダルニアを誘拐しにきた。
 
 

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